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第二章・戦士チームの編成
ソングの最終審査
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四名の元老院と王女エッダ、アルダリが一段高い議員席に座り、ソングだけがぽつんとその前に立たされ、秘書官からプロフィールが書かれた用紙が全員に渡され面接試験がスタートした。
「安室尊具で間違いないかね?」
「いや、ソングでいいよ」
老齢の議長が儀礼的に質問し、ソングは特に緊張感もなく笑顔で答えている。
他のメンバー、妖精のチーネ、鍵師トーマ、ジェンダ王子、女戦士エリアンは後ろの席に座って見学していた。
「なんであいつだけ面接してんだ?」
アヒルの被り物をした鍵師トーマが隣のチーネに質問して、ジェンダ王子と女戦士エリアンを見て警戒している。
「たぶん、態度が悪いから。ってか君、それ脱ぎなさいよ」
チーネが無理やり被り物を剥ぎ取り、トーマは恥ずかしそうにゴーグルだけして凌いだ。元来人見知りで臆病者なのだ。
「トーマだっけ?なんで君がすんなりメンバー入りして、ソングがダメなのか不思議」
「弱いからだろ?」
「どう見ても、トーマめっちゃ弱そう」
チーネにそう言われて苦笑いしたが、トーマはチーネとは仲良くなれそうだと思った。
「ソングは人間の血を引き、しかも父親がゼツリだからだ」
「あの伝説の勇者ゼツリの息子か?」
前の席に足を投げ出していた女戦士エリアンが驚き、身を乗り出してソングに興味を示した。
「ああ、魅力的だろ。ゼツリは最強の勇者であったが、人間界の女と結婚してこの国を見捨てたと思われている」
「ふん、神族ってのは心が狭いんだね」
チーネが鼻を鳴らして馬鹿にしたので、トーマもさり気なく頷く。
「プライドが高いのさ。妖精族は昔から人間界と交流があるが、神族は人間は信じられないと毛嫌いしているんだ」
ジェンダ王子が小声で解説してしていたが、元老院の議長が木槌を叩いて「静粛に」と注意して審査が始まった。
「それでソングとやら、人間界から精霊の地へ来て何年が経つ?」
「よく覚えてねーけど。そこの爺さんの方が詳しいと思うぜ。恋人募集中の可愛い子がいっぱいいるって誘われたからな」
「アリダリ~」
元老院の四人が一番端に座っているアルダリを睨み、その横の王女エッダが頭を抱え、アリダリは苦笑いして呟く。
「うむ、少年には夢が必要じゃ」
観客席ではチーネが花冠の耳を真っ赤にして顔を両手で隠し、ジェンダ王子とエリアンがそれを横目で見たが、トーマは妖精族の内情を知らずに素直に憧れた。
「恋人募集中、なのか?」
「ち、違う。な訳ねーだろ」
チーネが否定するのも気にせず、ソングは堂々と自分の力をアピールして、母の名誉の為にも強さを見せつけるつもりだった。
「そんな事より、俺が強いか知りたいんだろ?母が人間だからって、馬鹿にされたくはないんでね」
ソングはそう言って首のペンダントを手で握りしめた。母の形見であり、父の写真が入っている。
「俺は誰よりも強い」
クリスティアーノ・ロナウドがサッカーのゴールでやる両手を広げて仁王立ちするパフォーマンスをアレンジして親指で股間を指し示す。
「ドラゴンのパワーを感じろ」
「な、なんじゃ」
一番最初に身を乗り出して反応したのはアルダリだった。ソングの股間がキルトの生地を押し上げて膨れ上がっている。
しかもその周辺に熱エネルギーが漂い、ソングの頭髪がハリネズミみたいに跳ね上がると、鍛え上げた体の中に一瞬だけ何かが見えた。
「まさか、お前、ゼツリの神器を引き継いだのか?」
元老院の四人と王女エッダには見えなかったが、アルダリは未曾有のドラゴンのエネルギーと、背骨の剣、臀部の盾がソングの体の中に隠されている事を知る。
観客席のジェンダ王子とエリアンも荒ぶるエネルギーを感じ取り、目を凝らしてソングを見つめた。
「な、なんだ?」
「ゼツリの遺産だろ。勇者ゼツリはドラゴンを倒し、そのエネルギーを剣と盾に宿らせたと云われている」
「そうだよ」
チーネが自分の事のように喜び、深呼吸をして火照った顔を手で扇ぐ。
「ドラゴンの炎で呪いを焼き払えるんだ」
「マ、マジか?すげ~奴だな」
トーマが素直に驚き、ソングとも仲良くなれそうだと思った。いつの間にか秘書官からプロフィール用紙を盗んで、自分と同じく両親がいないのを知り親近感を持っている。
「悲しみを乗り越えて、強くなったんだな」
しかしソングは思いのほか苦戦し、ドラゴンを完全に出現させる事も、剣と盾を手にする事もできない。
「なんか、違う。上手くいかねー」
チーネにあの時、ドラゴンが火を吹いて呪いを焼き払い、背骨には剣があり、臀部には盾があった。と教えられたが、それをコントロールして扱うのは難しかった。
「安室尊具で間違いないかね?」
「いや、ソングでいいよ」
老齢の議長が儀礼的に質問し、ソングは特に緊張感もなく笑顔で答えている。
他のメンバー、妖精のチーネ、鍵師トーマ、ジェンダ王子、女戦士エリアンは後ろの席に座って見学していた。
「なんであいつだけ面接してんだ?」
アヒルの被り物をした鍵師トーマが隣のチーネに質問して、ジェンダ王子と女戦士エリアンを見て警戒している。
「たぶん、態度が悪いから。ってか君、それ脱ぎなさいよ」
チーネが無理やり被り物を剥ぎ取り、トーマは恥ずかしそうにゴーグルだけして凌いだ。元来人見知りで臆病者なのだ。
「トーマだっけ?なんで君がすんなりメンバー入りして、ソングがダメなのか不思議」
「弱いからだろ?」
「どう見ても、トーマめっちゃ弱そう」
チーネにそう言われて苦笑いしたが、トーマはチーネとは仲良くなれそうだと思った。
「ソングは人間の血を引き、しかも父親がゼツリだからだ」
「あの伝説の勇者ゼツリの息子か?」
前の席に足を投げ出していた女戦士エリアンが驚き、身を乗り出してソングに興味を示した。
「ああ、魅力的だろ。ゼツリは最強の勇者であったが、人間界の女と結婚してこの国を見捨てたと思われている」
「ふん、神族ってのは心が狭いんだね」
チーネが鼻を鳴らして馬鹿にしたので、トーマもさり気なく頷く。
「プライドが高いのさ。妖精族は昔から人間界と交流があるが、神族は人間は信じられないと毛嫌いしているんだ」
ジェンダ王子が小声で解説してしていたが、元老院の議長が木槌を叩いて「静粛に」と注意して審査が始まった。
「それでソングとやら、人間界から精霊の地へ来て何年が経つ?」
「よく覚えてねーけど。そこの爺さんの方が詳しいと思うぜ。恋人募集中の可愛い子がいっぱいいるって誘われたからな」
「アリダリ~」
元老院の四人が一番端に座っているアルダリを睨み、その横の王女エッダが頭を抱え、アリダリは苦笑いして呟く。
「うむ、少年には夢が必要じゃ」
観客席ではチーネが花冠の耳を真っ赤にして顔を両手で隠し、ジェンダ王子とエリアンがそれを横目で見たが、トーマは妖精族の内情を知らずに素直に憧れた。
「恋人募集中、なのか?」
「ち、違う。な訳ねーだろ」
チーネが否定するのも気にせず、ソングは堂々と自分の力をアピールして、母の名誉の為にも強さを見せつけるつもりだった。
「そんな事より、俺が強いか知りたいんだろ?母が人間だからって、馬鹿にされたくはないんでね」
ソングはそう言って首のペンダントを手で握りしめた。母の形見であり、父の写真が入っている。
「俺は誰よりも強い」
クリスティアーノ・ロナウドがサッカーのゴールでやる両手を広げて仁王立ちするパフォーマンスをアレンジして親指で股間を指し示す。
「ドラゴンのパワーを感じろ」
「な、なんじゃ」
一番最初に身を乗り出して反応したのはアルダリだった。ソングの股間がキルトの生地を押し上げて膨れ上がっている。
しかもその周辺に熱エネルギーが漂い、ソングの頭髪がハリネズミみたいに跳ね上がると、鍛え上げた体の中に一瞬だけ何かが見えた。
「まさか、お前、ゼツリの神器を引き継いだのか?」
元老院の四人と王女エッダには見えなかったが、アルダリは未曾有のドラゴンのエネルギーと、背骨の剣、臀部の盾がソングの体の中に隠されている事を知る。
観客席のジェンダ王子とエリアンも荒ぶるエネルギーを感じ取り、目を凝らしてソングを見つめた。
「な、なんだ?」
「ゼツリの遺産だろ。勇者ゼツリはドラゴンを倒し、そのエネルギーを剣と盾に宿らせたと云われている」
「そうだよ」
チーネが自分の事のように喜び、深呼吸をして火照った顔を手で扇ぐ。
「ドラゴンの炎で呪いを焼き払えるんだ」
「マ、マジか?すげ~奴だな」
トーマが素直に驚き、ソングとも仲良くなれそうだと思った。いつの間にか秘書官からプロフィール用紙を盗んで、自分と同じく両親がいないのを知り親近感を持っている。
「悲しみを乗り越えて、強くなったんだな」
しかしソングは思いのほか苦戦し、ドラゴンを完全に出現させる事も、剣と盾を手にする事もできない。
「なんか、違う。上手くいかねー」
チーネにあの時、ドラゴンが火を吹いて呪いを焼き払い、背骨には剣があり、臀部には盾があった。と教えられたが、それをコントロールして扱うのは難しかった。
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