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第五章・四大元素の鍵
炎の浮遊文字
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「普通の科学雑誌のようじゃが?」
アルダリがテーブルの中央でペラペラとページを捲り、戦士チームが集まって興味津々で雑誌を覗き込んだが、グラフや研究写真が載っているのを見て「科学って何?」と首を傾げている。
「恐竜図鑑の方が面白しれ~。アーズランドの生物も載ってるぞ」
トーマがそう言って馬鹿にしたが、ソングは科学の大切さを説明した。
「いや科学ってのはさ、人間にとっては精霊界のクラウドみたいな存在なんだぜ」
「未来を予言しているのか?」
チーネがそれで興味を示したが、アルダリは「グラビアの方が良かった」と嘆く。
「グラビア?」
チーネが聞き返したので、ソングが困ったように頭を掻いて、呆然と佇んでいるメッセンジャーの若者を見た。
「とにかく、教授はこれが重要だと言ったんだよな?」
「はい。間違いありません。ところで、精霊界のクラウドって?」
「いや、気にするな」
「変なこと言いふらすなよ」
ジェンダ王子とエリアンが若者に口止めし、拡大鏡を出して紙面を覗き込んでいたアルダリが、真面目な表情で科学雑誌を開いた状態でテーブルの上に置く。
「炎のペンを使ったようじゃ」
そう言って、ポケットからライターを出して手の中で火を灯す。
「魔法か……?」
「いや、百円ライターだろ」
「ここは禁煙です」
メッセンジャーの若者が注意したが、小さな布袋から黒い粉を科学雑誌の上に振り撒いてライターの火を近付けた。
「なんだ?」
一瞬で激しい炎が紙面の上に吹き上がり、科学雑誌から赤く燃える文字が浮き上がった。
中山教授が炎のペンで印した英数字、平仮名、漢字が立体ロゴになって回転し、ランダムに炎の中に集まると、その文字群から最初に選び抜かれたイニシャルが空中に表示された。
(炎の浮遊文字は精霊の巨石の粉75%、地龍の尿糞10%、ウバメガシの木炭15%を混合したインクに反応して現れる。)
「F 」「W 」「A 」「E 」
そのサイン記号にアルダリが両手を翳して大きく息を吹きかけると、更に炎が増して、次の文字が動き出して暗号文を伝える。
F W A E →Mander
アルダリの顔が炎に照らし出させれ、珍しく怒りと苦悶を露わにして組み合わさった文字を睨み付けた。
「マンダーか?」
「YES」と浮遊文字が答え。
更に重要なメッセージを伝えた。
FIRE(火)
WATER(水)
AIR(風)
EARTH(地)
「四大元素だな?」
「YES」
それは錬金術師ランス・マンダーの四姉妹の存在を示し、その名前の頭文字のイニシャルが四大元素を意味していると教える。
F =ファラ
W =ウィン
A =アン
E=エナ
「名前か?」
「YES. 四姉妹」
この時点で、アルダリは『ランス・マンダー』と『四姉妹』が腐食の呪いに関係している理解したが、四大元素と名前の関係性が不明だった。
「友よ、ランスは何を企んでいる?」
しかしその返答は無く、炎は揺れて消えかかった。
「終わりか?」とアルダリがため息を漏らし、戦士チームも首を傾げていると、突然、天井を突き抜けて飛んで来た文字が残り火の上に現れた。
「help」
中山教授がペン先に血を垂らして書いた紙片の文字が、炎に引き寄せられて届いたのである。
しかしその直後に館内に火災報知器が鳴り響き、消火器を持った警備員や図書員が血相を変えて階段を駆け上がり、アルダリと戦士チームが囲むテーブルへ向かって走って来た。
「何をしているんだ」
雑誌の黒い燃え滓が広いテーブルの中央に残っているだけだったが、少し離れた位置から消火器を噴射して付近を泡だらけにし、警備員は警棒を構えて戦士チームを捕らえようとした。
「ヤバい。逃げろ」
アリダリが空中に舞う「help」の灰を僅かに手に掬い、非常口の方へ戦士チームを誘導する。
エリアンが怪力で立ち塞がる警備員を薙ぎ倒し、ソングとチーネはテーブルや本棚を飛び越えて図書員を置き去りにし、ジェンダ王子とトーマは泡だらけの顔で走った。
そしてメッセンジャーの若者がエリアンに襟首を掴まれて逃走団に無理やり加えられる。
警備員は人間離れした集団に恐れをなして途中で追うのを諦め、図書員はテーブルの上の消火剤を拭って焦げ目が無いのに驚いた。
「不思議ですね」
「あの者たちは何者なのだ?」
警備員も図書員もその場に立ち尽くし、口には出さなかったが『普通の人間ではない』と感じていた。
「見て……」
その証拠に泡に塗れた灰がテーブルの上で動き出し、「Danger」と文字を作って中山教授のラストメッセージを書き印す。
人間界も異世界と同じく、『腐食の呪い』の影響で危険な状態に陥っていたのである。
アルダリがテーブルの中央でペラペラとページを捲り、戦士チームが集まって興味津々で雑誌を覗き込んだが、グラフや研究写真が載っているのを見て「科学って何?」と首を傾げている。
「恐竜図鑑の方が面白しれ~。アーズランドの生物も載ってるぞ」
トーマがそう言って馬鹿にしたが、ソングは科学の大切さを説明した。
「いや科学ってのはさ、人間にとっては精霊界のクラウドみたいな存在なんだぜ」
「未来を予言しているのか?」
チーネがそれで興味を示したが、アルダリは「グラビアの方が良かった」と嘆く。
「グラビア?」
チーネが聞き返したので、ソングが困ったように頭を掻いて、呆然と佇んでいるメッセンジャーの若者を見た。
「とにかく、教授はこれが重要だと言ったんだよな?」
「はい。間違いありません。ところで、精霊界のクラウドって?」
「いや、気にするな」
「変なこと言いふらすなよ」
ジェンダ王子とエリアンが若者に口止めし、拡大鏡を出して紙面を覗き込んでいたアルダリが、真面目な表情で科学雑誌を開いた状態でテーブルの上に置く。
「炎のペンを使ったようじゃ」
そう言って、ポケットからライターを出して手の中で火を灯す。
「魔法か……?」
「いや、百円ライターだろ」
「ここは禁煙です」
メッセンジャーの若者が注意したが、小さな布袋から黒い粉を科学雑誌の上に振り撒いてライターの火を近付けた。
「なんだ?」
一瞬で激しい炎が紙面の上に吹き上がり、科学雑誌から赤く燃える文字が浮き上がった。
中山教授が炎のペンで印した英数字、平仮名、漢字が立体ロゴになって回転し、ランダムに炎の中に集まると、その文字群から最初に選び抜かれたイニシャルが空中に表示された。
(炎の浮遊文字は精霊の巨石の粉75%、地龍の尿糞10%、ウバメガシの木炭15%を混合したインクに反応して現れる。)
「F 」「W 」「A 」「E 」
そのサイン記号にアルダリが両手を翳して大きく息を吹きかけると、更に炎が増して、次の文字が動き出して暗号文を伝える。
F W A E →Mander
アルダリの顔が炎に照らし出させれ、珍しく怒りと苦悶を露わにして組み合わさった文字を睨み付けた。
「マンダーか?」
「YES」と浮遊文字が答え。
更に重要なメッセージを伝えた。
FIRE(火)
WATER(水)
AIR(風)
EARTH(地)
「四大元素だな?」
「YES」
それは錬金術師ランス・マンダーの四姉妹の存在を示し、その名前の頭文字のイニシャルが四大元素を意味していると教える。
F =ファラ
W =ウィン
A =アン
E=エナ
「名前か?」
「YES. 四姉妹」
この時点で、アルダリは『ランス・マンダー』と『四姉妹』が腐食の呪いに関係している理解したが、四大元素と名前の関係性が不明だった。
「友よ、ランスは何を企んでいる?」
しかしその返答は無く、炎は揺れて消えかかった。
「終わりか?」とアルダリがため息を漏らし、戦士チームも首を傾げていると、突然、天井を突き抜けて飛んで来た文字が残り火の上に現れた。
「help」
中山教授がペン先に血を垂らして書いた紙片の文字が、炎に引き寄せられて届いたのである。
しかしその直後に館内に火災報知器が鳴り響き、消火器を持った警備員や図書員が血相を変えて階段を駆け上がり、アルダリと戦士チームが囲むテーブルへ向かって走って来た。
「何をしているんだ」
雑誌の黒い燃え滓が広いテーブルの中央に残っているだけだったが、少し離れた位置から消火器を噴射して付近を泡だらけにし、警備員は警棒を構えて戦士チームを捕らえようとした。
「ヤバい。逃げろ」
アリダリが空中に舞う「help」の灰を僅かに手に掬い、非常口の方へ戦士チームを誘導する。
エリアンが怪力で立ち塞がる警備員を薙ぎ倒し、ソングとチーネはテーブルや本棚を飛び越えて図書員を置き去りにし、ジェンダ王子とトーマは泡だらけの顔で走った。
そしてメッセンジャーの若者がエリアンに襟首を掴まれて逃走団に無理やり加えられる。
警備員は人間離れした集団に恐れをなして途中で追うのを諦め、図書員はテーブルの上の消火剤を拭って焦げ目が無いのに驚いた。
「不思議ですね」
「あの者たちは何者なのだ?」
警備員も図書員もその場に立ち尽くし、口には出さなかったが『普通の人間ではない』と感じていた。
「見て……」
その証拠に泡に塗れた灰がテーブルの上で動き出し、「Danger」と文字を作って中山教授のラストメッセージを書き印す。
人間界も異世界と同じく、『腐食の呪い』の影響で危険な状態に陥っていたのである。
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