4 / 72
1 教室の世迷言
1-4
しおりを挟む
コール2回でつながった。
「あの……さっきはごめんなさい」
おそるおそる謝ると、春馬さんはちょっと困ったような感じで言った。
『いや、謝ることないよ。僕が軽率に誘ったのが悪いんだし』
「そんなことないです。あの、俺ほんとに、春馬さんと話したかったんで。さっきは、知ってる人に思いっきり趣味を晒していたことが恥ずかしすぎて逃げちゃったんですけど、家に帰ってよくよく考えたら、これっきりでもう春馬さんとBL話できないのは嫌だなって思ったんです」
春馬さんは少し黙ったあと、つぶやくようにぽつっと言った。
『僕もそう思うよ。なんだかんだ、毎晩電話するのを楽しみに仕事がんばってたからね』
やばい……キュンとさせに来てる。
いや、そんなわけないんだけど。
ぶるぶると頭を振り、気を取り直して話に戻る。
「あの、会うのは無理でも、いままでどおりLINEしたり電話したり、してくれませんか?」
『そうしたいのはやまやまなんだけど、やっぱり倫理上まずいかなって思ってて。知らないフリをしていればいいっていうものでもないし』
そう言ったあと、急に春馬さんが、ふはっと笑った。
「どうしたんですか?」
『……いや。自分で言ってておかしいなって。このやりとりがトーク履歴に残るのが嫌で、電話してるのにね』
「え、それって……」
『僕たちはまだ会ったことがない、ということにできる道を残したつもり』
え、え、え。それは、期待していいのか?
普通にいままでどおりにしてくれる、ということ?
「じゃあ、これからも連絡取るのは……」
『ネット友達としてなら』
マジか! 奇跡の大逆転。
「ありがとうございますっ。よかった。なんか、また孤独な趣味になっちゃうのかなって思ってたので」
『僕も、生きがいを失わずに済みそう』
「大袈裟ですよ」
……と笑ったところで気付いた。
待って、『生きがい』って何? どこにかかってんの?
BLにかかってんの? 俺との電話にかかってんの?
この人いま、俺との電話が生きがいって言ったの?
激甚に萌えダメージを喰らいながら、ヘラヘラと作り笑いをする。
春馬さんは、ちょびっとだけ黙ってから言った。
「それにしても……なんか、意外だよ。高野くんが腐男子だなんて。全然見えない」
「あー。俺、一般人にステルスしてるんですよね。見た目気遣ったり、流行りのゲームやったり、音楽聴いたり。全部、快適なBLライフを送るためなんですけど」
なるほどね、と、納得したように答える。
しかし、そう言う春馬さんだって、漫画なんておよそ無縁そうな見た目だ。
と言っても、俺とは真逆で、ニコリともしない彼は、なんにも興味がなさそうに見えるのだ。
ファッション雑誌とか1回も見たことがなさそうだし、ゲームもしなさそうだし、BLなんてもってのほか。
ずっと難しい本を読んでそう。
まあ、そのギャップが最高に萌えるんだけど。
「学校では切り離して考えるようにします」
『うん、そうしてくれるとうれしい』
この人は春馬さん。
俺のネット友達は、春馬さん。
川上先生? 話したこともないし、とっつきにくくて、よく知らない人だな。
「あの……さっきはごめんなさい」
おそるおそる謝ると、春馬さんはちょっと困ったような感じで言った。
『いや、謝ることないよ。僕が軽率に誘ったのが悪いんだし』
「そんなことないです。あの、俺ほんとに、春馬さんと話したかったんで。さっきは、知ってる人に思いっきり趣味を晒していたことが恥ずかしすぎて逃げちゃったんですけど、家に帰ってよくよく考えたら、これっきりでもう春馬さんとBL話できないのは嫌だなって思ったんです」
春馬さんは少し黙ったあと、つぶやくようにぽつっと言った。
『僕もそう思うよ。なんだかんだ、毎晩電話するのを楽しみに仕事がんばってたからね』
やばい……キュンとさせに来てる。
いや、そんなわけないんだけど。
ぶるぶると頭を振り、気を取り直して話に戻る。
「あの、会うのは無理でも、いままでどおりLINEしたり電話したり、してくれませんか?」
『そうしたいのはやまやまなんだけど、やっぱり倫理上まずいかなって思ってて。知らないフリをしていればいいっていうものでもないし』
そう言ったあと、急に春馬さんが、ふはっと笑った。
「どうしたんですか?」
『……いや。自分で言ってておかしいなって。このやりとりがトーク履歴に残るのが嫌で、電話してるのにね』
「え、それって……」
『僕たちはまだ会ったことがない、ということにできる道を残したつもり』
え、え、え。それは、期待していいのか?
普通にいままでどおりにしてくれる、ということ?
「じゃあ、これからも連絡取るのは……」
『ネット友達としてなら』
マジか! 奇跡の大逆転。
「ありがとうございますっ。よかった。なんか、また孤独な趣味になっちゃうのかなって思ってたので」
『僕も、生きがいを失わずに済みそう』
「大袈裟ですよ」
……と笑ったところで気付いた。
待って、『生きがい』って何? どこにかかってんの?
BLにかかってんの? 俺との電話にかかってんの?
この人いま、俺との電話が生きがいって言ったの?
激甚に萌えダメージを喰らいながら、ヘラヘラと作り笑いをする。
春馬さんは、ちょびっとだけ黙ってから言った。
「それにしても……なんか、意外だよ。高野くんが腐男子だなんて。全然見えない」
「あー。俺、一般人にステルスしてるんですよね。見た目気遣ったり、流行りのゲームやったり、音楽聴いたり。全部、快適なBLライフを送るためなんですけど」
なるほどね、と、納得したように答える。
しかし、そう言う春馬さんだって、漫画なんておよそ無縁そうな見た目だ。
と言っても、俺とは真逆で、ニコリともしない彼は、なんにも興味がなさそうに見えるのだ。
ファッション雑誌とか1回も見たことがなさそうだし、ゲームもしなさそうだし、BLなんてもってのほか。
ずっと難しい本を読んでそう。
まあ、そのギャップが最高に萌えるんだけど。
「学校では切り離して考えるようにします」
『うん、そうしてくれるとうれしい』
この人は春馬さん。
俺のネット友達は、春馬さん。
川上先生? 話したこともないし、とっつきにくくて、よく知らない人だな。
2
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる