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序章
幕開き 序幕 II
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「っ……!?」
お腹の底から迫り上がる悪寒、嫌悪、吐き気。
あまりにも異常な状況に脳が理解を拒み、本能が警鐘を鳴らしている。
──見なかったことにしたい
一度扉を閉じて先ほど見た光景を隠す。
深呼吸して高鳴る鼓動を抑え、頭を振り、扉を再び開き中へと踏み入る。
先ほどまでの光景は嘘ではないと言うように、其れ等は存在している。
ぐちゃぐちゃな床に奇妙な図形が四方に描かれた壁、蒼白の仮面にも似た天井の絵画……
「……、気の所為か?何かなくなっているような」
赤と灰緑色の床を注意深く観察していくと、大きな粘着質なものが這いずったような痕跡を発見した。
振れると、先ほどのこの部屋の扉のと同じ感触、そして同じ腐敗臭がしたのを思い出した。
何よりこの粘液はつい先ほどまで存在していたという事実をより強調させた。
ぞわ、と背中に氷を入れられたような悪寒が走る。
脳内でこの部屋を最初に見た時の事を思い返す、そうだ確かにここには何か灰緑色のゼリーのような何かがあったはずだ。
ぴちゃ、と目の前に灰緑色の粘液が落ちてきた、顔をあげて目の前を見ても壁しか見えない。
かといって背後を見ても何も……まて、上から落ちてきたということは……
ぴちゃ、ぴちゃとまた粘液が落ちてくるのを見て視線を上に向ける。
それは、化け物だった
全身の肉は既存のどの魚とも一致しないウロコを状になって灰緑色の染みが全身に広がっており、腕や足はタコの触手のようにぶよぶよとして骨なんかは一切ないかのように蠢いている、顔はわずかながら人間としての面影が残っているように見えるが、その眼窩は灰緑色のゼリーの球が垂れ下がっており、口からは赤と灰緑色の粘液が入り混じって形容しがたい悪臭を放っていた。
灰緑色の化け物は獣とも人とも思えない名状し難い咆哮をあげ、床へと押し潰そうとのしかかってきた!
「がっ……!?」
背中を強く打ったが何とか頭を打たないで済んだようだ、だが、ゼリー状で柔らかいように見えてゴムのように硬い腕が俺の喉を潰さんと握りしめようとしてくるのを感じ取り、手探りで床に落ちていたキャンパスを化け物の眼を勢いよく殴る!
化け物は驚いたのか俺の上から飛び退いて眼を抑えた、まるで人間のようだ……あれは、なんだ、いったいこの家で何があった?
先ほどのゼリー状のは、恐らくこいつだろう、だが、こいつは俺のいや、人間の理解の範疇を超えている。
俺が思考している間にまた飛びかかってくるのが見えてなんとか避ける。
「考えるのは、後にしないと死ぬ……!」
また攻撃しようと伸ばした腕を掴み、胸元と思われるゼリー状の肉体を掴んで一本背負いの要領で勢いよく投げ飛ばす!
床へと落ちた瞬間、ガラスに投げられたトマトのように全身が潰れ周囲に灰緑色の液体と悪臭をばら撒き、床の一部となった。
──ありえん、なんだこいつは
呼吸を整え、返り血の粘液でべっとりついてしまったコートを整える。
改めて部屋の中を調べて幾つか発見した事がある。
部屋に塗りたくられた塗料は、芸術家達の使う塗料である事は間違いない。
赤色は酸化して赤黒くなっている事から、恐らくは先ほど廊下で見た複数人の足跡の主があの化け物によって殺されたと見るべきだ。
その犠牲者の数は不明だが……あまり考えたくはない
脳裏にあの化け物に捕食されている被害者達をありありと想像してしまい、嫌な気分になったからだ。
持参していたデジタルカメラでひと通りの証拠を撮影する。
仕事の為とはいえ、この部屋は気味が悪すぎる。
さっさと済ませてしまおう。
家の中を隅々まで探索していくと以下のことがわかった。
・灰緑の粘液が全体的に付着している
・黒と黄色の紋様があちこちに描かれている
・下駄箱内に粘液塗れの靴が幾つも存在
・行方不明者達の粘液塗れの免許証が寝室に存在
・遺体が何処にも見当たらない
──こんなもの、依頼者への調査報告書に書けん、何とか考えよう……
お腹の底から迫り上がる悪寒、嫌悪、吐き気。
あまりにも異常な状況に脳が理解を拒み、本能が警鐘を鳴らしている。
──見なかったことにしたい
一度扉を閉じて先ほど見た光景を隠す。
深呼吸して高鳴る鼓動を抑え、頭を振り、扉を再び開き中へと踏み入る。
先ほどまでの光景は嘘ではないと言うように、其れ等は存在している。
ぐちゃぐちゃな床に奇妙な図形が四方に描かれた壁、蒼白の仮面にも似た天井の絵画……
「……、気の所為か?何かなくなっているような」
赤と灰緑色の床を注意深く観察していくと、大きな粘着質なものが這いずったような痕跡を発見した。
振れると、先ほどのこの部屋の扉のと同じ感触、そして同じ腐敗臭がしたのを思い出した。
何よりこの粘液はつい先ほどまで存在していたという事実をより強調させた。
ぞわ、と背中に氷を入れられたような悪寒が走る。
脳内でこの部屋を最初に見た時の事を思い返す、そうだ確かにここには何か灰緑色のゼリーのような何かがあったはずだ。
ぴちゃ、と目の前に灰緑色の粘液が落ちてきた、顔をあげて目の前を見ても壁しか見えない。
かといって背後を見ても何も……まて、上から落ちてきたということは……
ぴちゃ、ぴちゃとまた粘液が落ちてくるのを見て視線を上に向ける。
それは、化け物だった
全身の肉は既存のどの魚とも一致しないウロコを状になって灰緑色の染みが全身に広がっており、腕や足はタコの触手のようにぶよぶよとして骨なんかは一切ないかのように蠢いている、顔はわずかながら人間としての面影が残っているように見えるが、その眼窩は灰緑色のゼリーの球が垂れ下がっており、口からは赤と灰緑色の粘液が入り混じって形容しがたい悪臭を放っていた。
灰緑色の化け物は獣とも人とも思えない名状し難い咆哮をあげ、床へと押し潰そうとのしかかってきた!
「がっ……!?」
背中を強く打ったが何とか頭を打たないで済んだようだ、だが、ゼリー状で柔らかいように見えてゴムのように硬い腕が俺の喉を潰さんと握りしめようとしてくるのを感じ取り、手探りで床に落ちていたキャンパスを化け物の眼を勢いよく殴る!
化け物は驚いたのか俺の上から飛び退いて眼を抑えた、まるで人間のようだ……あれは、なんだ、いったいこの家で何があった?
先ほどのゼリー状のは、恐らくこいつだろう、だが、こいつは俺のいや、人間の理解の範疇を超えている。
俺が思考している間にまた飛びかかってくるのが見えてなんとか避ける。
「考えるのは、後にしないと死ぬ……!」
また攻撃しようと伸ばした腕を掴み、胸元と思われるゼリー状の肉体を掴んで一本背負いの要領で勢いよく投げ飛ばす!
床へと落ちた瞬間、ガラスに投げられたトマトのように全身が潰れ周囲に灰緑色の液体と悪臭をばら撒き、床の一部となった。
──ありえん、なんだこいつは
呼吸を整え、返り血の粘液でべっとりついてしまったコートを整える。
改めて部屋の中を調べて幾つか発見した事がある。
部屋に塗りたくられた塗料は、芸術家達の使う塗料である事は間違いない。
赤色は酸化して赤黒くなっている事から、恐らくは先ほど廊下で見た複数人の足跡の主があの化け物によって殺されたと見るべきだ。
その犠牲者の数は不明だが……あまり考えたくはない
脳裏にあの化け物に捕食されている被害者達をありありと想像してしまい、嫌な気分になったからだ。
持参していたデジタルカメラでひと通りの証拠を撮影する。
仕事の為とはいえ、この部屋は気味が悪すぎる。
さっさと済ませてしまおう。
家の中を隅々まで探索していくと以下のことがわかった。
・灰緑の粘液が全体的に付着している
・黒と黄色の紋様があちこちに描かれている
・下駄箱内に粘液塗れの靴が幾つも存在
・行方不明者達の粘液塗れの免許証が寝室に存在
・遺体が何処にも見当たらない
──こんなもの、依頼者への調査報告書に書けん、何とか考えよう……
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