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うんざり

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こんなにも苦しいのはなぜなんだろう。

ヒトというものはとても沢山いて、より条件のよい人なら沢山いる。

僕は知っている意外と緩いものなんだ
結婚なんて契約も、お付き合いなんていう口約束も、一生離さないなんて、体のいい逃げ口も、うんざりする。

ゆるゆるなその結びつきの中でそれでも、きみがいいと思えたのは、年数の長さなのかな、交わした言葉なのかな、結びついた思考や可能性のせいなのかな。

全部そうだけど、違うよ、年数の長さじゃない、たとえ同じ長さを過ごした他の人間がいても、君だけは違うよ。

なんて嘘、ほんとはもういやなんだ。

きみに合うたびにうんざりする。

きみが何か言って、君が僕に合わさるとき、うんざりする、変わらない、なにも変わらないきみにうんざりする。

もしかしたら変わらない僕にうんざりしているのかな。

全てが、予定調和、決められた会話、決められた時間、決められた行為。

うんざりするよ、なにもかもに。

傷のなすりあい、うんざりだ。

それを愛だなんて勘違いするな。

愛は本当の愛は、無償だ、無傷で、互いが自立していて、交じり合うことないけど、いつのまにか一部を共有している。

ふざけるなよ、ここにあるものすべてが、にせものだ。

知っているそれでも、この苦しさから逃げ出せないことを。

なぜだろうね、もうてばなせない。

もう、ひきかえせないんだ、僕らは、ただで笑っていたあの頃には。

どんなに焦がれても、もう、戻れない。

こころはすでに、みずからから逃げてしまった。

それでも、見てみない振りするの?それでもすがるの?いいの?

僕はいやだ、でも、逃げられないよね、わかるよ。

怪物に飲み込まれていく、僕という怪物になった僕に。

自分と戦うのは辛いよね、一人だもの、それでも、選んだのは自分だよ。

この世の全ての不利益は自らの能力不足、言い訳するなよ、自らに、逃げるなよ、せめて恥じるな。
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