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その女神、乱舞
女神の遊戯(1)
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部屋を出たアッシュは、まだ心が踊っていた。もっと、もっと闘いたい。もっと激しく、もっと情熱的に、もっと狂気的に。
「フゥー……フゥー……」
獲物を襲う前の獣のように、その荒ぶる闘争心を無理やり押さえつけるように彼女はとある場所へ早足で向かった。
着ていたシルクのシャツを洗濯場に脱ぎ捨て、その上に仮面を投げ捨てた。物干し竿に干してあった戦士の普段着を毟るように取ると、それをさっと身につけた。ズボンも同じようにした。サイズが合わないため、ベルトできつく締め上げた。
「うっふふふふ……クハハハハッ」
興奮状態。意味もなく笑いが込み上げてくる。楽しい、とても愉快。そんな感情で満たされていた。
「壊れてしまえ、全部壊れちゃえ」
自分がそう呟いたことさえ気付かぬほどに。
身につけていたものをそこへ置き去りにし、闘技場のある方へ歩き出した。そこでは普段、各剣騎士団へ所属している戦士たちが大小隊に分かれ、振り分けられた日程ごとに訓練を行なっていた。アッシュはそこへ入って行った。
彼女は戦士最高の称号“テルミドネ”であるとはいえ、その素顔を知るものは少ない。ましてや公の場に出る際はほぼ死神の面をつけている。下っ端の戦士たちは彼女が何者か知る由もない。
「組手してるのはどこかなぁ」
浮き足立つようにして闘技場へ入場する。基礎体力をつける訓練をする者、素振りを行う者、剣の正しい振り方を学ぶ者。そして、彼女の目当てである組手を行う者。
「みーつけたっ」
観客席にいた彼女は、そこから飛び降りた。3メートルの高さから飛び降りても、彼女は体勢を崩すことなく着地した。まるで、天上より女神が舞い降りたようだった。
踊るような足取りで、組手をする者たちのところへ歩いていく。そして、何事もなかったかように中に紛れ込んだ。そこで監督していたのは大隊長だった。
皆各々に、あたりに当たらない程度の距離をとって訓練用の木製の剣を振るっている。もちろんアッシュもその剣を持っていた。それは幼い頃から使い続けている愛用の剣だった。
「ねぇ、大隊長」
親しげに声をかけるアッシュ。彼女の方が身分が上だが、大隊長はそれを知らない。女性の割に声が中音域で、声変わりするかしないかくらいの愛らしい少年のような声。それがいきなり、こんな場違いなところで聞こえてきたら目を向けずにはいられない。
「なんだ?」
隊長の目線の先には、スレンダーな美しい金髪の人が、女神のような微笑みで立っていた。
「フゥー……フゥー……」
獲物を襲う前の獣のように、その荒ぶる闘争心を無理やり押さえつけるように彼女はとある場所へ早足で向かった。
着ていたシルクのシャツを洗濯場に脱ぎ捨て、その上に仮面を投げ捨てた。物干し竿に干してあった戦士の普段着を毟るように取ると、それをさっと身につけた。ズボンも同じようにした。サイズが合わないため、ベルトできつく締め上げた。
「うっふふふふ……クハハハハッ」
興奮状態。意味もなく笑いが込み上げてくる。楽しい、とても愉快。そんな感情で満たされていた。
「壊れてしまえ、全部壊れちゃえ」
自分がそう呟いたことさえ気付かぬほどに。
身につけていたものをそこへ置き去りにし、闘技場のある方へ歩き出した。そこでは普段、各剣騎士団へ所属している戦士たちが大小隊に分かれ、振り分けられた日程ごとに訓練を行なっていた。アッシュはそこへ入って行った。
彼女は戦士最高の称号“テルミドネ”であるとはいえ、その素顔を知るものは少ない。ましてや公の場に出る際はほぼ死神の面をつけている。下っ端の戦士たちは彼女が何者か知る由もない。
「組手してるのはどこかなぁ」
浮き足立つようにして闘技場へ入場する。基礎体力をつける訓練をする者、素振りを行う者、剣の正しい振り方を学ぶ者。そして、彼女の目当てである組手を行う者。
「みーつけたっ」
観客席にいた彼女は、そこから飛び降りた。3メートルの高さから飛び降りても、彼女は体勢を崩すことなく着地した。まるで、天上より女神が舞い降りたようだった。
踊るような足取りで、組手をする者たちのところへ歩いていく。そして、何事もなかったかように中に紛れ込んだ。そこで監督していたのは大隊長だった。
皆各々に、あたりに当たらない程度の距離をとって訓練用の木製の剣を振るっている。もちろんアッシュもその剣を持っていた。それは幼い頃から使い続けている愛用の剣だった。
「ねぇ、大隊長」
親しげに声をかけるアッシュ。彼女の方が身分が上だが、大隊長はそれを知らない。女性の割に声が中音域で、声変わりするかしないかくらいの愛らしい少年のような声。それがいきなり、こんな場違いなところで聞こえてきたら目を向けずにはいられない。
「なんだ?」
隊長の目線の先には、スレンダーな美しい金髪の人が、女神のような微笑みで立っていた。
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