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file5:魔女と女王に従う転生者
第1節 不審な殺人③
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PM 10:00 如月邸内 アルトナの工房
セシリアが去ってから数時間が経ち、私は彼女からもらった資料を元に、魔術の解析をする。死体の画像を元に、使用された魔術を解析したところ、彼らの魔術はイレギュラーの魔術であった。
どうやら、熟練の魔術師でも使えこなせるのに数年がかかるものを、短期間で習得したものと見て良いだろう。
それと同時に、私はある違和感を覚える。彼らは、どこでそれを身についたのか。熟練の魔術師である私でさえ、どこか引っかかるところが多すぎるのだ。
「どれも高練度の術式だが、これを容易く扱えるとはな。だが、それよりも気になることがある」
私は、さらに解析を進める。だが、それから数十分経ったところだが、何も進展がなかった。しかし、あることに気づく。なぜ、あの組織は、魔術を容易く扱えるのか。
私は本元について考察していると、真後ろから亜空間が現れる。そして、身に覚えのある人物が、私の後ろに現れた。
「あらあら。どうやら、お悩みのようね」
「『仮面の魔女』か。見ての通りさ。例の組織の術式について、調べているところだが、どうも面倒なものに引っかかってるのさ」
「あなたにしては、珍しいわね。でも、答えは意外と単純よ」
『仮面の魔女』が、亜空間からやってきた。どうやら、私に用があるらしい。
仮面越しではあるが、私が悩んでる姿を見てあざ笑っているみたいだ。
「答えは単純? どういう意味だ?」
「確かに、あなたの考察と解析は、相変わらず素晴らしいわ。だけど、今回はそれだけでは答えにならないのよ」
「なるほど、詰まる所、奴らは論外的なものを使ってるわけっか」
『仮面の魔女』は私の書いたものを見てそういう。これまで分かった術式とは別に、何か厄介な術式も使用されているみたいだ。
「それで? なんのようだい?」
「実は、かなり面倒なことがあってね。あなたに報告をしに来たの」
「そうなら早く言ってくれ。これでも、そんな余裕はないんだ」
私がそういうと、『仮面の魔女』は話し始める。
「奴らは、とんでもない代物を使ってるわ。それも、禁忌のやつね」
「どういうことだ?」
「まず1つ、彼らの兵のほとんどは、アルスターの兵士の転生者よ。彼らは、『女王』の号令によって集まりつつある。放って置いたら、魔術院に匹敵する勢力なるわ。そうなる前に、この国が『女王』のものになる。それを阻止するために、魔術院は奔走してるわ。それともう1つ、彼らの戦力はこれだけじゃない。彼らは、何かしらの方法で戦力を増強してるみたいね。被害者は、それの実験にされたと言っていいわ」
私は、『仮面の魔女』の言葉に顔色を変える。それはもう、相当まずい状況と言っても良いほどだ。
「となると、魔術院の中に内通者がいるのか」
「そうね。彼らに協力しているのは、今の体制、あのお子様に対して不服に感じている者達がこぞって『女王』に従ってるわ。そして、奴らは、ある術式を『女王』に提供した。彼らが咎人になることを対価にね。更には、彼らに術式を付与しているのも事実ね。これで分かったと思うわ。奴らが、何をしているのかを」
「そうだな。その術式というのは、禁忌に指定された術式だ」
私は、古い魔術書を開く。そして、記されている術式を紙に書き出した。それを見た『仮面の魔女』は、関心の顔を仮面越しに浮かべている。
「『異世界転移術式』だ。術師が咎人となる代わりに異世界から人間を召喚する禁術だ。これによって、異界から召喚された人物の情報を召喚先の人理に上書きされる。いわば、ご都合主義の術式さ。こうすれば、無駄の努力無くして力を得られるからね」
「さすが、『魔女』の転生者ね。なら、動く事に越したことはないわね」
「よしてくれ。しかし、彼らの『女王』というのは、なんなんだ? アルスター神話とはいえど、ここは日本だ。彼らの知名度は、祖国より低いはずだ」
「そうね。彼らは、ここで兵力を増強してるのよ。もう一度、国を作るためにね」
私は、魔方陣を書いた紙をテーブルに置く。『仮面の魔女』は、それを拾い上げると、同時に燃やし始めた。
「でも、所詮は烏合の衆。都合の良い建前が崩れた時には、国も崩れる。今の時代はわからないけど、私が『人』だった頃は、それが常識だったわ。国王であっても教会とズブズブなら、教会の都合で王なんてすぐに廃されんだから」
「それは中世の話だろう? 今の時代は教会の代わりが財閥だろう。金に物を言わせば、元首なんて簡単に思うようになる。財閥が潰れたら、国なんて簡単に壊れるさ。内部からね」
「皮肉なものね。国を良くしようと集まったけど、その実は欲のぶつけ合いなんてね」
『仮面の魔女』は、燃え尽きる紙を、長い爪をしたグローブで握りつぶす。彼女の藍色の炎は、負の力を触媒にしている為、簡単には燃え移らないのだから屋内でも簡単に火を出せるからだ。
「そろそろ行くわ。それと、あれを見失なわないことね。彼女は今回の重要な鍵なのだから」
「分かってる。それじゃ、また頼むよ」
私は、亜空間に入る『仮面の魔女』を見送る。彼女が去った後、工房の奥へと向かう。壁に手を触れ、レンガの壁が開く。無機質な壁の道を進み、また大きな壁にぶつかる。
そして、パスワードを入力すると、壁が大きく開き、さらに奥へと向かう。灯をつけると、そこには台に乗せられた魔術書が現れた。
「やっぱり、これが一番信用できる」
ここにある書籍は全て、『本物のグリモワル真書』である。大体の書籍は、屋上の本棚に置いているが、『本物のグリモワル真書』はここへ置くようにしている。それを狙う魔術師が多く、仮にここが攻められても良いようにしているからだ。
しかし、まだ4冊だ。9冊ある書籍の内、半分は私の手元にあるだけだ。そうして、私は『本物のグリモワル真書』を読み漁る。気がつく頃には、もう夜が明けていたのだった。
セシリアが去ってから数時間が経ち、私は彼女からもらった資料を元に、魔術の解析をする。死体の画像を元に、使用された魔術を解析したところ、彼らの魔術はイレギュラーの魔術であった。
どうやら、熟練の魔術師でも使えこなせるのに数年がかかるものを、短期間で習得したものと見て良いだろう。
それと同時に、私はある違和感を覚える。彼らは、どこでそれを身についたのか。熟練の魔術師である私でさえ、どこか引っかかるところが多すぎるのだ。
「どれも高練度の術式だが、これを容易く扱えるとはな。だが、それよりも気になることがある」
私は、さらに解析を進める。だが、それから数十分経ったところだが、何も進展がなかった。しかし、あることに気づく。なぜ、あの組織は、魔術を容易く扱えるのか。
私は本元について考察していると、真後ろから亜空間が現れる。そして、身に覚えのある人物が、私の後ろに現れた。
「あらあら。どうやら、お悩みのようね」
「『仮面の魔女』か。見ての通りさ。例の組織の術式について、調べているところだが、どうも面倒なものに引っかかってるのさ」
「あなたにしては、珍しいわね。でも、答えは意外と単純よ」
『仮面の魔女』が、亜空間からやってきた。どうやら、私に用があるらしい。
仮面越しではあるが、私が悩んでる姿を見てあざ笑っているみたいだ。
「答えは単純? どういう意味だ?」
「確かに、あなたの考察と解析は、相変わらず素晴らしいわ。だけど、今回はそれだけでは答えにならないのよ」
「なるほど、詰まる所、奴らは論外的なものを使ってるわけっか」
『仮面の魔女』は私の書いたものを見てそういう。これまで分かった術式とは別に、何か厄介な術式も使用されているみたいだ。
「それで? なんのようだい?」
「実は、かなり面倒なことがあってね。あなたに報告をしに来たの」
「そうなら早く言ってくれ。これでも、そんな余裕はないんだ」
私がそういうと、『仮面の魔女』は話し始める。
「奴らは、とんでもない代物を使ってるわ。それも、禁忌のやつね」
「どういうことだ?」
「まず1つ、彼らの兵のほとんどは、アルスターの兵士の転生者よ。彼らは、『女王』の号令によって集まりつつある。放って置いたら、魔術院に匹敵する勢力なるわ。そうなる前に、この国が『女王』のものになる。それを阻止するために、魔術院は奔走してるわ。それともう1つ、彼らの戦力はこれだけじゃない。彼らは、何かしらの方法で戦力を増強してるみたいね。被害者は、それの実験にされたと言っていいわ」
私は、『仮面の魔女』の言葉に顔色を変える。それはもう、相当まずい状況と言っても良いほどだ。
「となると、魔術院の中に内通者がいるのか」
「そうね。彼らに協力しているのは、今の体制、あのお子様に対して不服に感じている者達がこぞって『女王』に従ってるわ。そして、奴らは、ある術式を『女王』に提供した。彼らが咎人になることを対価にね。更には、彼らに術式を付与しているのも事実ね。これで分かったと思うわ。奴らが、何をしているのかを」
「そうだな。その術式というのは、禁忌に指定された術式だ」
私は、古い魔術書を開く。そして、記されている術式を紙に書き出した。それを見た『仮面の魔女』は、関心の顔を仮面越しに浮かべている。
「『異世界転移術式』だ。術師が咎人となる代わりに異世界から人間を召喚する禁術だ。これによって、異界から召喚された人物の情報を召喚先の人理に上書きされる。いわば、ご都合主義の術式さ。こうすれば、無駄の努力無くして力を得られるからね」
「さすが、『魔女』の転生者ね。なら、動く事に越したことはないわね」
「よしてくれ。しかし、彼らの『女王』というのは、なんなんだ? アルスター神話とはいえど、ここは日本だ。彼らの知名度は、祖国より低いはずだ」
「そうね。彼らは、ここで兵力を増強してるのよ。もう一度、国を作るためにね」
私は、魔方陣を書いた紙をテーブルに置く。『仮面の魔女』は、それを拾い上げると、同時に燃やし始めた。
「でも、所詮は烏合の衆。都合の良い建前が崩れた時には、国も崩れる。今の時代はわからないけど、私が『人』だった頃は、それが常識だったわ。国王であっても教会とズブズブなら、教会の都合で王なんてすぐに廃されんだから」
「それは中世の話だろう? 今の時代は教会の代わりが財閥だろう。金に物を言わせば、元首なんて簡単に思うようになる。財閥が潰れたら、国なんて簡単に壊れるさ。内部からね」
「皮肉なものね。国を良くしようと集まったけど、その実は欲のぶつけ合いなんてね」
『仮面の魔女』は、燃え尽きる紙を、長い爪をしたグローブで握りつぶす。彼女の藍色の炎は、負の力を触媒にしている為、簡単には燃え移らないのだから屋内でも簡単に火を出せるからだ。
「そろそろ行くわ。それと、あれを見失なわないことね。彼女は今回の重要な鍵なのだから」
「分かってる。それじゃ、また頼むよ」
私は、亜空間に入る『仮面の魔女』を見送る。彼女が去った後、工房の奥へと向かう。壁に手を触れ、レンガの壁が開く。無機質な壁の道を進み、また大きな壁にぶつかる。
そして、パスワードを入力すると、壁が大きく開き、さらに奥へと向かう。灯をつけると、そこには台に乗せられた魔術書が現れた。
「やっぱり、これが一番信用できる」
ここにある書籍は全て、『本物のグリモワル真書』である。大体の書籍は、屋上の本棚に置いているが、『本物のグリモワル真書』はここへ置くようにしている。それを狙う魔術師が多く、仮にここが攻められても良いようにしているからだ。
しかし、まだ4冊だ。9冊ある書籍の内、半分は私の手元にあるだけだ。そうして、私は『本物のグリモワル真書』を読み漁る。気がつく頃には、もう夜が明けていたのだった。
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