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1話 謁見、そして褒美
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1話 謁見、そして褒美
「デルフィナ戦団よ、此度の領地奪還と魔王軍幹部の討伐は大義であった。我はこの人族の長としてお主らに褒美を与える義務がある。儂に叶えられる事ならなんでも言ってみよ。」
ビザンカ大陸の人族の王城の謁見の間でデルフィナ戦団の5人は片膝をついて王からの労いの言葉を受けていた。
姫騎士のカレア、魔導師のイン、回復術師のユフィーナ、拳闘士のジキルとこの俺、魔術士のゼクトで構成されるデルフィナ戦団は魔王軍に奪われた土地へと潜入し、軍の指揮官である魔王軍幹部を打ち倒して土地を取り戻した。その褒美として望むものが貰えるという。
「有り難きお言葉。私はそれならばギルドマスターの職に就きたいと願います。72個あるギルドの1つを任せてもらいたく存じます。」
壮年の魔導師のインが答える。大地のマナや精霊の力を借りて強力な魔法を放つ彼は、戦団内最年長ということもあって皆から頼られるおっさんだった。
若い頃は冒険者として荒稼ぎしていたと語っていたから、それもあってギルドマスターになるということだろう。
「よかろう。それならお主らが奪還した土地に73個目のギルドを作りそこを管理すると良い。」
「有難う御座います。」
次にユフィーナが立ち上がって言う。
「私は国宝の『月神の魔眼』が欲しいです。……えっと………ダメですか? 」
『月神の魔眼』それは王家に伝わる2つしかない魔道具で、一日置きに効果を変える7種類の力を持つ水晶玉のことだ。
ユフィーナは生まれつき左眼の眼球がない。だから彼女は侵攻の最中もしょっちゅう魔眼を欲しいと言っていた。
「いいだろう。魔眼は2つあるからその1つを下賜する。」
「あっ、ありがとうございます‼︎ 」
「次は私が。」
そう言って姫騎士のカレアが勢いよく立ち上がり、堂々と胸を張る。
彼女は自称他称で姫騎士だが、姫でも騎士でもない。裕福な商家のご令嬢ではあるが姫ではないし、騎士団にも所属していない。まぁそれでも剣の腕は大陸で5本の指に数えられるのだが。
「私は王立図書館の『幻獣召喚教典』の写本をいただきたいです。」
「いいだろう。すぐに用意させよう。」
これまた国宝の『幻獣召喚教典』は太古に滅んだ召喚魔法の方法が書いてある本である。その本の存在自体は有名なのだが国宝で王族以外は閲覧禁止なので誰も見たことがない。
カレアがニコニコしながら再び跪くと同時に拳闘士のジキルが立ち上がる。
「俺の願いは1つです。今後一切の奴隷制度の禁止を。」
ジキルは王をじっと、半ば睨みつけるかのように見つめる。この言葉に初めて王が渋い顔になる。
「奴隷制度は既に社会に深く結びついていて、それ自体が重要な歯車なんだが…… 」
「それでも奴隷制度の禁止を。それ以外のものなら要らない。いえ、要りません。」
ジキルは奴隷出身で十代の頃はコロシアムの見世物に出場していた。彼はそこで連勝してその賞金で自分自身を買ったという過去があるらしい。奴隷時代に何があったのかは知らないが、奴隷制の禁止を求める理由はそこにあるんだろう。
「うむ………わかった。制度はなんとかしよう。最後にゼクト・トウドウ・デルフィナよ、褒美に何を望む? 」
最後に俺の番が回ってくる。
今更ではあるが本音を言うと、魔王軍幹部討伐なんてめんどくさくてしたくはなかった。魔族と人族の争いなんて興味がないし、自分は平穏にぬるま湯で生きていきたかった。
自分以外の仲間は王家からの褒美が欲しくて志願したらしいが、俺は所属していたギルドのギルドマスターに勝手に推薦されただけ。まあ、そのおかげでカレア達に会えたし色んな経験もできた。
だから今の俺が欲しいのは……
「ドラクリフ島の統治権を下さい。完全に治外法権を認めてもらった上で、島全体を褒美として貰いたいです。」
「ふむ。良いのだが、お主なら知っておろうがドラクリフ島は危険な魔獣と魔物の宝庫だぞ。島中心の火山には火龍が、森には知性魔物、周りを取り囲む海には海龍とクラーケンがいる。」
「はい、それで大丈夫です。」
魔獣は居ても構わない。というかいた方がいい。居てもらわないと困る。
「ならば良いだろう。ドラクリフ島に関する全ての権利を譲ろう。お主の好きにすれば良い。」
「ありがとうございます。」
「デルフィナ戦団よ、此度の領地奪還と魔王軍幹部の討伐は大義であった。我はこの人族の長としてお主らに褒美を与える義務がある。儂に叶えられる事ならなんでも言ってみよ。」
ビザンカ大陸の人族の王城の謁見の間でデルフィナ戦団の5人は片膝をついて王からの労いの言葉を受けていた。
姫騎士のカレア、魔導師のイン、回復術師のユフィーナ、拳闘士のジキルとこの俺、魔術士のゼクトで構成されるデルフィナ戦団は魔王軍に奪われた土地へと潜入し、軍の指揮官である魔王軍幹部を打ち倒して土地を取り戻した。その褒美として望むものが貰えるという。
「有り難きお言葉。私はそれならばギルドマスターの職に就きたいと願います。72個あるギルドの1つを任せてもらいたく存じます。」
壮年の魔導師のインが答える。大地のマナや精霊の力を借りて強力な魔法を放つ彼は、戦団内最年長ということもあって皆から頼られるおっさんだった。
若い頃は冒険者として荒稼ぎしていたと語っていたから、それもあってギルドマスターになるということだろう。
「よかろう。それならお主らが奪還した土地に73個目のギルドを作りそこを管理すると良い。」
「有難う御座います。」
次にユフィーナが立ち上がって言う。
「私は国宝の『月神の魔眼』が欲しいです。……えっと………ダメですか? 」
『月神の魔眼』それは王家に伝わる2つしかない魔道具で、一日置きに効果を変える7種類の力を持つ水晶玉のことだ。
ユフィーナは生まれつき左眼の眼球がない。だから彼女は侵攻の最中もしょっちゅう魔眼を欲しいと言っていた。
「いいだろう。魔眼は2つあるからその1つを下賜する。」
「あっ、ありがとうございます‼︎ 」
「次は私が。」
そう言って姫騎士のカレアが勢いよく立ち上がり、堂々と胸を張る。
彼女は自称他称で姫騎士だが、姫でも騎士でもない。裕福な商家のご令嬢ではあるが姫ではないし、騎士団にも所属していない。まぁそれでも剣の腕は大陸で5本の指に数えられるのだが。
「私は王立図書館の『幻獣召喚教典』の写本をいただきたいです。」
「いいだろう。すぐに用意させよう。」
これまた国宝の『幻獣召喚教典』は太古に滅んだ召喚魔法の方法が書いてある本である。その本の存在自体は有名なのだが国宝で王族以外は閲覧禁止なので誰も見たことがない。
カレアがニコニコしながら再び跪くと同時に拳闘士のジキルが立ち上がる。
「俺の願いは1つです。今後一切の奴隷制度の禁止を。」
ジキルは王をじっと、半ば睨みつけるかのように見つめる。この言葉に初めて王が渋い顔になる。
「奴隷制度は既に社会に深く結びついていて、それ自体が重要な歯車なんだが…… 」
「それでも奴隷制度の禁止を。それ以外のものなら要らない。いえ、要りません。」
ジキルは奴隷出身で十代の頃はコロシアムの見世物に出場していた。彼はそこで連勝してその賞金で自分自身を買ったという過去があるらしい。奴隷時代に何があったのかは知らないが、奴隷制の禁止を求める理由はそこにあるんだろう。
「うむ………わかった。制度はなんとかしよう。最後にゼクト・トウドウ・デルフィナよ、褒美に何を望む? 」
最後に俺の番が回ってくる。
今更ではあるが本音を言うと、魔王軍幹部討伐なんてめんどくさくてしたくはなかった。魔族と人族の争いなんて興味がないし、自分は平穏にぬるま湯で生きていきたかった。
自分以外の仲間は王家からの褒美が欲しくて志願したらしいが、俺は所属していたギルドのギルドマスターに勝手に推薦されただけ。まあ、そのおかげでカレア達に会えたし色んな経験もできた。
だから今の俺が欲しいのは……
「ドラクリフ島の統治権を下さい。完全に治外法権を認めてもらった上で、島全体を褒美として貰いたいです。」
「ふむ。良いのだが、お主なら知っておろうがドラクリフ島は危険な魔獣と魔物の宝庫だぞ。島中心の火山には火龍が、森には知性魔物、周りを取り囲む海には海龍とクラーケンがいる。」
「はい、それで大丈夫です。」
魔獣は居ても構わない。というかいた方がいい。居てもらわないと困る。
「ならば良いだろう。ドラクリフ島に関する全ての権利を譲ろう。お主の好きにすれば良い。」
「ありがとうございます。」
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