学習能力スキルを使ってチートスキルを覚える魔術の商人

一色

文字の大きさ
34 / 53
2章魔術師学院(閑話)

34話ひととき

しおりを挟む
 風呂場の扉を開けた瞬間、湯煙が顔を刺激する。
 周りを見渡すと、中はとても広く、温かな光り、まさに高級感溢れる温泉のようだ。
 大きな窓から見える外の冷たい闇と中の温かい光が自分が異空間にいるかのような錯覚に陥る程、湯煙に包み込まれた。
 そして、タオルを片手に、床の大理石の断熱の感触を足に感じながら、シャワーへ行く。
 上から降ってくるシャワーの湯を浴び、今日一日の疲れがどっと吹っ飛んでいく。

「ザーッ!!! ふぁ~あああああ」

 頭から体まで洗い流す。
 一通り洗い終わったら、すぐさま湯船の中へ。
 ばじゃばしゃばしゃと広い浴場の中で全力で犬掻きをしている奴がいた。
 そいつは数秒潜って、濡らした茶髪の少年の顔を出す。

「ゼル、めっちゃ気持ちいいな」

「泳ぐなと書いてるぞ」

「そんな細かいこと言うな」

「……」

 突如、ガロロは俺の顔に湯を掛け始める。

「ザパァァァァァァァ!!!!!」

「何がしたいんだ?」

「そんなつまんねー顔すんなって」

「……悪いか」

 お返しに湯をガロロの顔に掛けた。

「ゼル! やりやがったな!」

「!!!!!!」
 
「!!!!!!」

 それから、俺とガロロは突き飛ばしたり、お湯を掛け合った。
 ほとんど遊んでいるようなものだ。
 そして、俺は湯船の中から顔を出すと、ガロロは目の前におらず、飽きたようで平泳ぎしながら向こうへ行ったようだ。

「はぁ……」

 全く勝手だ……。
 やがて、露天風呂に向かった。
 すると、一番乗りしているガロロが何やら必死の剣幕で手招きする。

「ゼル! 今すぐ来い!」

「何だ?……常に動いてないと気が済まないのか」

「おい! 来い!」

「何か珍しい物でも見つけたのか?」

「見つけた……最高のもんだ」

 だいだい察しはついてる。

「止めとけって! バレたら退学どころじゃ済まないぞ」

「あっフレス! 煙で細部まで見れない」

 フレス?
 何だとフレスがどうした?

「ゼル……さっきは悪かったな……お前に譲ってやるよ」

 さっき? 

「え」

「いいから、見ろよ!」

「何考えてる?」

「遠慮すんなよ!」

「いや、俺は見ない」

 ガロロが肩を掴み、俺を見させようとする。

「いい加減にしろ」

「うるせぇよ! 見たいなら見ろよ! 何クールぶってんだよ!」

 いつの間にか本気の取っ組み合いになっていた。
 力と力の勝負。
 この瞬間気づいてしまったのだ。
 露天風呂の女子浴場側の木材の壁の仕切りが薄かった。
 ガロロが突然手を振り払い、拳を振り上げようとするが、足が滑って、俺ごと女子浴場の仕切りの壁をぶち破った。

「あっ」

「ドドドドドドド!!!」

 という木材の音が辺りに割れる響く。
 まずい……。
 俺は全裸仰向けで女風呂へ出荷された。
 真上にいた全裸で立ち尽くす金髪美少女と目が合った。

「え?」

「えっ?」

 妖艶な体に、豊かな胸は想像していた通りだ。
 まさしく、それはフレスだった。

「フレスあの……これは」

「キャァァァァァ!!!!」

 あっ……。
 フレスは悲鳴を上げながら、一目散に出て行った。
 完全に嫌われた。
 これは事故だ……。
 周囲を見渡すと、フレスはいない。
 俺は茫然自失で立ち上がった。
 すると、タオルを巻いた黒髪エルフの美少女が現れる。
 クロテアだ。

「あのだ……な」

「私、一緒に入ろうと言ったけど。あれを本当に真に受ける馬鹿だとはね。この変態犯罪者!」

 クロテアは何かを真正面に投げ飛ばす。
 視界に木材の塊がやってきて、だんだん大きくなり、顔面に直撃した。
 視界が真っ黒になり、気絶した。
 それからのことはあまり覚えていない。



 
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

追放された万年雑用、最強神具を拾って無自覚無双~元勇者パーティーを見返したら、なぜか女神たちまで跪いてきた件~

fuwamofu
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係・リオは、役立たずの烙印を押されて追放された。 だがその直後、拾った“壊れた神具”が、なぜか彼にしか扱えない最強の神器だった!? 世界樹に選ばれ、女神たちに認められ、龍王に気に入られ――気づけば敵なし。 無自覚に世界最強となった少年は、かつて彼を見下した者たちへ静かな復讐を果たす。 これは「もう遅い」と泣く者たちを置き去りにする、無自覚最強ファンタジー。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...