学習能力スキルを使ってチートスキルを覚える魔術の商人

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2章魔術師学院(閑話)

34話ひととき

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 風呂場の扉を開けた瞬間、湯煙が顔を刺激する。
 周りを見渡すと、中はとても広く、温かな光り、まさに高級感溢れる温泉のようだ。
 大きな窓から見える外の冷たい闇と中の温かい光が自分が異空間にいるかのような錯覚に陥る程、湯煙に包み込まれた。
 そして、タオルを片手に、床の大理石の断熱の感触を足に感じながら、シャワーへ行く。
 上から降ってくるシャワーの湯を浴び、今日一日の疲れがどっと吹っ飛んでいく。

「ザーッ!!! ふぁ~あああああ」

 頭から体まで洗い流す。
 一通り洗い終わったら、すぐさま湯船の中へ。
 ばじゃばしゃばしゃと広い浴場の中で全力で犬掻きをしている奴がいた。
 そいつは数秒潜って、濡らした茶髪の少年の顔を出す。

「ゼル、めっちゃ気持ちいいな」

「泳ぐなと書いてるぞ」

「そんな細かいこと言うな」

「……」

 突如、ガロロは俺の顔に湯を掛け始める。

「ザパァァァァァァァ!!!!!」

「何がしたいんだ?」

「そんなつまんねー顔すんなって」

「……悪いか」

 お返しに湯をガロロの顔に掛けた。

「ゼル! やりやがったな!」

「!!!!!!」
 
「!!!!!!」

 それから、俺とガロロは突き飛ばしたり、お湯を掛け合った。
 ほとんど遊んでいるようなものだ。
 そして、俺は湯船の中から顔を出すと、ガロロは目の前におらず、飽きたようで平泳ぎしながら向こうへ行ったようだ。

「はぁ……」

 全く勝手だ……。
 やがて、露天風呂に向かった。
 すると、一番乗りしているガロロが何やら必死の剣幕で手招きする。

「ゼル! 今すぐ来い!」

「何だ?……常に動いてないと気が済まないのか」

「おい! 来い!」

「何か珍しい物でも見つけたのか?」

「見つけた……最高のもんだ」

 だいだい察しはついてる。

「止めとけって! バレたら退学どころじゃ済まないぞ」

「あっフレス! 煙で細部まで見れない」

 フレス?
 何だとフレスがどうした?

「ゼル……さっきは悪かったな……お前に譲ってやるよ」

 さっき? 

「え」

「いいから、見ろよ!」

「何考えてる?」

「遠慮すんなよ!」

「いや、俺は見ない」

 ガロロが肩を掴み、俺を見させようとする。

「いい加減にしろ」

「うるせぇよ! 見たいなら見ろよ! 何クールぶってんだよ!」

 いつの間にか本気の取っ組み合いになっていた。
 力と力の勝負。
 この瞬間気づいてしまったのだ。
 露天風呂の女子浴場側の木材の壁の仕切りが薄かった。
 ガロロが突然手を振り払い、拳を振り上げようとするが、足が滑って、俺ごと女子浴場の仕切りの壁をぶち破った。

「あっ」

「ドドドドドドド!!!」

 という木材の音が辺りに割れる響く。
 まずい……。
 俺は全裸仰向けで女風呂へ出荷された。
 真上にいた全裸で立ち尽くす金髪美少女と目が合った。

「え?」

「えっ?」

 妖艶な体に、豊かな胸は想像していた通りだ。
 まさしく、それはフレスだった。

「フレスあの……これは」

「キャァァァァァ!!!!」

 あっ……。
 フレスは悲鳴を上げながら、一目散に出て行った。
 完全に嫌われた。
 これは事故だ……。
 周囲を見渡すと、フレスはいない。
 俺は茫然自失で立ち上がった。
 すると、タオルを巻いた黒髪エルフの美少女が現れる。
 クロテアだ。

「あのだ……な」

「私、一緒に入ろうと言ったけど。あれを本当に真に受ける馬鹿だとはね。この変態犯罪者!」

 クロテアは何かを真正面に投げ飛ばす。
 視界に木材の塊がやってきて、だんだん大きくなり、顔面に直撃した。
 視界が真っ黒になり、気絶した。
 それからのことはあまり覚えていない。



 
 
 
 
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