学習能力スキルを使ってチートスキルを覚える魔術の商人

一色

文字の大きさ
36 / 53
2章魔術師学院(閑話)

36話ダンジョン体験学習

しおりを挟む
 ダンジョン体験学習の日。
 船に乗ってある島へ向かっていた。
 サファイア色の海一面を眺めながら、海水の匂いが暖かな風と共にやってくる。
生徒らは船着き場に降ろされ、先生による詳しい体験学習の説明を訊いていた。
 この広大な島にて三日間サバイバル生活を行うとの事。
 広大な島はブリタニア島。
 この島には異世界神《イセカイジン》が潜んでいるそうだ。 
 異世界神とはこの世界で恐れられている大きな魔物。
 魔物と似たようなものだが、あまりにも巨大なサイズで、特殊な魔術を有し、異世界の神と呼ばれた。
 合宿の課題については、このダンジョンに柳の杖とデュラハンの盾と宝剣の三つのアイテムを隠したそうだ。
 その三つのアイテムを提出すればクリア。
 もちろん相手からアイテムを奪って良いし、魔術を使うことも可能。
 ただ、故意に怪我をさせるのは禁止だ。
 クラスは関係なく、生徒の中からそれぞれ仲間を選び、パーティー(10人程度)を組んで臨んでも良いし、ソロでもどちらで参加しても良い。
 アイテムを一つでも見つけないと、退学になる。
 生死に関わる合宿なので参加を辞退する事もできるが、その場合も退学となる。

「ゼルフォード君!」

 慌ただしく声を掛けてきたのは、フレスだった。
 汗の余り髪を耳に掛け、激しい吐息を漏らす少女。

「どうした?」

「私もパーティーに入れて!」 

「もちろん」

「ありがとう」

 すると、フレスの後方にやってくるのは、クロテラ、ガロロ。

「私も入ろうかしら」

 すると、ガロロは俺に近寄り、肩を両手で掴み、笑顔を見せる。

「ゼル! また、一緒に頑張ろうな?」

「……」
 
 断る権利は無いようだ。
 そして、俺達はホームでパーティ登録し、いつでも形態変化できるように魔甲を装備し、広大な森の中へ入って行った。
 進んでも進んでも緑の草木が進行を妨げる。
 突然鳥や虫の奇怪な声がする。
 その声にビクッとする一同。
 魔力察知スキルを使い、周囲に魔獣がいるか確認する。
 結構いるが……。
 異世界神クラスはいない。
 ガロロは草木を振り払うのに苛立ちを覚えているのか、猛犬のような顔で舌打ちを撒き散らしていた。

「っ……ああ……っっ……くそっ……っっ」

「あまりイライラするな」

「しょうがねぇだろうが」

「警戒だけは怠るな。ダンジョンは命懸けだぞ」

「分かってる!」

 そして、歩いて一時間が経過した。
 
「指定アイテムとやらは見つからないわね」

「そうだな。ところで、この中で鉱物探知やドロッパースキルを持ってる奴はいるのか?」

「私は無いわ」

「ないのか」

「前線の人が多いのよ」

 ダンジョンにおいて探索系スキルを持っておきたい、なかったとしてもそれの類のアイテムは欲しいな。

【魔力察知】MAX
ランク B
 効能 魔力を探知できる。

「それにしても、魔物は見つかるのは見つかるが逃げていくな」

「本当ね……気になるわ」

 そして、魔物の気配は察知できて、異世界神の気配が察知できないのはやはり、おかしい。
 まさか……異世界神は魔力隠蔽を行っているのか……。
 その時、ザザザザと林がざわめき立つ。
 周囲を怪訝な様子で見渡す一同。
 皆の視線は同じ場所に留まり、巨大な手でいくつかの木が踏み潰される。
 ギギギギギと木が潰される音が大きくなり、黒手から伸びる鋭い爪は乱暴に森林を荒らしていく。
 無造作に。乱雑に。倒木が辺りに横たわる。
 怪物は姿を現し、周りにある大木は一瞬で圧縮されたかのように粉々になる。かなりの重量が伺える。
 黒狼。巨大な赤瞳。大きな体躯。四足歩行で犬のように歩く。

【異世界神《イセカイジン》】
 人類の天敵。災厄。大きな魔物。誰が生み出したのか、どこから発生したのかは未だに分からない。

 【孤独狼《ガイルウルフ》】
 ランクD
 種族 狼神下位種(ウルフガミ)
 レベル100。
 体長4メートル。

    HP 300/300 MP250/ 300 
 スキル 攻撃力強化5 威嚇6

 一歩一歩と進む度に木が粉砕される音と地響きが鳴り響く。
 皆、目を開けたまま、手脚が震え動くことができない、完全に身体が停止する。
 恐ろしい顔と発生される魔力が襲ってくる。


 前にいたガロロが地面に腰を抜かし、ガタガタと歯を震わせ、今までにない恐怖の表情。
 無理もない。
 異世界神……。
 やはり、大きいな……。

 案の定、フレスは両手を覆い隠し、固まっている。
 クロテアは目を細め、語気が強くし、俺に問い掛ける。

「どうするの?」

「……」

 だが、ガイルウルフは獲物を見つけたとばかりに、赤い双眸を光らせ、ダッダッダッとこちらへ駆けて来る。

「ガルルルルルルル!!!!」

 奇怪な鳴き声を発していく。
 恐ろしい黒い顔と赤眼が凄まじいスピードで突進してくる。

「逃げろ!!」

 皆は石化が解かれたのように、一目散に逃げ出す。
 俺はその場から動かずに、ガイルウルフと対する。

「ゼルフォード君も早く逃げなさいよ!!」

「ここで止めなければ、お前らがやられる。ガイルウルフの特性は隠蔽、執着、復讐、どれも恐ろしい。獲物への絶対的な執着心を侮るな」

「でも」

「行け!」

 頷き、後ろ髪に引かれるような思いでクロテアは逃げ出していく。
 そして、俺とガイルウルフだけになった。
 俺は黒銀翼を広げ、大空に羽ばたく。

【身体超強化】【装備超強化】【全属性魔力超強化】【超加速】【超回避】【弾丸超強化】【発射速度超強化】

   トーマス=ゼルフォード
戦闘レベル150   HP2000/400↑MP1000/300↑

 ガイルウルフは目の前にいる俺に臆すること無く、荒い息を鳴らしながら口を大きく開き、噛みつこうとする。
 涎が垂れる鋭い歯、血色の肉片が視界を覆う。
 俺は即時に左手を直剣装備にした。

 衝突。
 分厚い刀身と鋭利な牙が激突。

「ギギギギギギギ!!!!」 

 獰猛なガイルウルフはギラギラとした赤双眸は怒りを煮え立つ。
 気味悪く眼球を上下右左動かしながら。
 臆すことなく、頑なに一歩たりとも下がろうとはしない。
 獲物は絶対に逃さないと言っているかのように。
 
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

​『追放された底辺付与術師、実は【全自動化】のチートスキル持ちでした〜ブラックギルドを追い出されたので、辺境で商会を立ち上げたら勝手に世界規

NagiKurou
ファンタジー
​「お前のような、一日中デスクに座って何もしない無能はクビだ!」 国内最大のギルド『栄光の剣』で、底辺の付与術師として働いていたアルスは、ある日突然、強欲なギルドマスターから追放を言い渡される。 しかし、彼らは知らなかった。ギルドの武器の自動修復、物流の最適化、資金管理に至るまで、すべてアルスの固有スキル【全自動化(ワークフロー構築)】によって完璧にシステム化され、回っていたことを。 「俺がいなくなったら、あの自動化システム、全部止まるけど……まあいいか」 管理権限を解除し、辺境へと旅立ったアルス。彼は自身のスキルを使って、圧倒的な耐久力を誇る銀色の四輪型重装ゴーレムを作り出し、気ままな行商を始める。 一度構築すれば無限に富を生み出す「全自動」のチートスキルで、アルスの商会は瞬く間に世界規模へとスケールしていく! 一方、すべてを失ったギルドは、生産ラインが崩壊し、絶望のどん底へと突き落とされていくのだった……。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...