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3章見習い魔術の商人(本編)
6話依頼書を解読
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数分後、サリヴァンに依頼書を持ってきて貰った。
だが、依頼書である一枚の羊皮紙は刻みながら破られていた。
「ああぁぁ……大事な依頼書がぁぁぁ……ど、どうして……こんなことするんですか?」
「おや、困りましたね。これでは依頼が成立しない。サリヴァン、これはどういうことです?」
持ってきた張本人であるサリヴァンは眉間に皺を寄せた表情で、群青の両眼はそっぽを向き、悔しさを現す。
「取りに行ったら、破られていたの。誰がこんなことを……許せない」
たぶん、今の依頼の話を聞いて、俺達の誰かに怨みのある人物の仕業だろう。
注目を浴びていたし、特にレミアスは嫌悪されている。
仕方ない……ここからは俺の出番ということか。
「サリヴァン……その依頼書を貸してくれ」
「……でも、この依頼書じゃ使い物にならないのよ」
「レミアスそんなところで泣いてないで、羊皮紙とペンを持ってきてくれ」
「ひくっ、ひくっ、ひくっ……でも、ゼルフォード様……これじゃ依頼が成立しないんですぅ」
「心配はない」
とは言ったものの、絶望的だ。
本来、依頼書は破内容、規約、依頼人の署名が詳細に書かれてさえすれば、書の形式は問わない。
だが、このように破られた場合は無効なのだ。
その上、復元、再生の魔術は俺にはない。
しかし、遠回りになるが、方法はあるにはある。
無効というのは少し語弊があって、破られた依頼書は依頼人の効力が途中で切断されている状態なのだが、まだ完全消滅はしておらず、復活する道は閉ざされてはいない。
けど、この切り刻まれた紙屑を再生しようという稀有な奴はいないだろう。
「何をしようとしても無駄。この依頼書は簡単に破けるから、ただの紙切れのようにも見えるけど、依頼人の重要な個人情報、一組織の膨大な機密情報が詰まっているの、流出することは大問題。なので、ギルド機密情報保護という高度な魔術式が組み込まれている。その上、ランクステージ5の魔術式は数十人の中級冒険者による【隠蔽】【保護】の付加、更にギルドマスターによる【ギルドマスターの加護】という万全のセキュリティーを施している。もちろん、破壊、コピー、複製でもすれば、爆発してここ一帯は焼け野原よ」
【ギルド機密情報保護】
ランク ステージ 1~5
依頼者の情報を強力なセキュリティで保護する。
仕組み
一般に受託者は簡易情報のみの閲覧が可能。
受諾者(閲覧者)が規約、依頼人の詳細情報等の機密に関わる事項に侵入した場合、文字化け、多言語化、疑似書き換え等の暗号化が発動される。
更にコピー、複製という重大違反と見做す行為をしようとした場合、攻撃魔術式あるいは自爆魔術式が発動される。
その通りだ。
厳重なセキュリティーだ。
さすが、下層の巨大ギルドシャルマン。
「依頼書は破けても、保護術式の効力は残っているのか?」
「そうね。保護術式の効力は残っているけど、依頼人の依頼効力が切断されているので、依頼は成立しない。何やっても無理なものは無理」
「いや、問題はない」
「は? 話聞いてた?」
そして、破けた羊皮紙を手に取り、【分析解析】する。
「【分析解析】を持っているとは驚きだ」
「ゼルフォード様凄いです」
「一流の生産系の魔術師と遜色がない魔術……」
【分析解析】レベルEX100
ランク A
威力 なし
効能 対象物を高度で、詳細な情報収集能力で分析、解析する。
途切れ途切れではあるが、パズルのように重ね合わせると、縦に羅列された多数の目次の数々が見えてくる。
ざっと、数千事項か。
だが、何が書いてあるかは理解できてない。
さて、どうするか。
こんな膨大な文章を一々閲覧する訳にはいかないし。
依頼の全文を読み取れる部分はどこだ。
ん?
第990章102項
……?&%XVNIJHUHIIKHYYJVUU185690&$#
第990章103項
%&%XVふNIJHUぇHIIKHYYんJVUU12り8&る$#
第990章104項
?&%XVNIJHUHIIKHYYJVUU128$#
↓
第990章103項
%&%XVふNIJHUぇHIIKHYYんJVUU12り8&る$#
↓
【 ふ ぇ ん り る 】
そういうことか。
とは言っても、この暗号文は誰がどう見ても安易な暗号文にしか見えないだろう。
誰だって解けると思うがそれは違う。
俺の脳内ではヒルヘルム数列という規則性を当てはめ、多数変換値を導き出した後、高速比率演算というα語を用いる高度な計算処理を行い、最後に証明を行った結果、このような簡易で、綺麗な暗号文となったのだ。
決して安易な暗号文ではないのだ。
【ギルドマスター要請緊急クエスト】全文に侵入
↓
問題なく侵入成功しました
「本当に侵入するとはね……ゼルフォード君は君は……いったい何者なんだい?」
「明らかに、普通の魔術師、冒険者ではない、遥か上の領域に彼はいるね」
「だから、言ったのです! ゼルフォード様は凄い魔術師だと」
ここまでは大丈夫だ。
暗号文が全てを埋め尽くす。
ログレル語、ブリュンヒーゲルス語、セルン語、意味不明な記号が複雑に組み合わせられ、何列に渡って並び、何が書いてあるのか、さっぱりだ。
「まさか……君がやろうとしていることは……いやいや、無理でしょう。分析、解読はできたとしても、規約は100以上書かれていますし、数百万文字に及ぶ言語、時間制限がある中で、これをどうすると言うのですか」
ソルト辺境伯は察しがいいな。
【解読】レベルEX100を発動します。
【解読】レベルEX100
ランク A
威力 創造力+500 知識力+500
効能 あらゆる対象物の暗号化された謎を解き明かすことができる。
主に【保護】【隠蔽】【書き換え】のスキルが行使された対象物を見破る時に使用される。
【解読】レベルEX100成功です。
徐々に文字化けが消え、多数言語文章にすることが出来た。
だが、多数、複雑、難解なこの言語を俺が普段使用するブリュンヒーゲルス語に翻訳しなければならない。
だが、依頼書である一枚の羊皮紙は刻みながら破られていた。
「ああぁぁ……大事な依頼書がぁぁぁ……ど、どうして……こんなことするんですか?」
「おや、困りましたね。これでは依頼が成立しない。サリヴァン、これはどういうことです?」
持ってきた張本人であるサリヴァンは眉間に皺を寄せた表情で、群青の両眼はそっぽを向き、悔しさを現す。
「取りに行ったら、破られていたの。誰がこんなことを……許せない」
たぶん、今の依頼の話を聞いて、俺達の誰かに怨みのある人物の仕業だろう。
注目を浴びていたし、特にレミアスは嫌悪されている。
仕方ない……ここからは俺の出番ということか。
「サリヴァン……その依頼書を貸してくれ」
「……でも、この依頼書じゃ使い物にならないのよ」
「レミアスそんなところで泣いてないで、羊皮紙とペンを持ってきてくれ」
「ひくっ、ひくっ、ひくっ……でも、ゼルフォード様……これじゃ依頼が成立しないんですぅ」
「心配はない」
とは言ったものの、絶望的だ。
本来、依頼書は破内容、規約、依頼人の署名が詳細に書かれてさえすれば、書の形式は問わない。
だが、このように破られた場合は無効なのだ。
その上、復元、再生の魔術は俺にはない。
しかし、遠回りになるが、方法はあるにはある。
無効というのは少し語弊があって、破られた依頼書は依頼人の効力が途中で切断されている状態なのだが、まだ完全消滅はしておらず、復活する道は閉ざされてはいない。
けど、この切り刻まれた紙屑を再生しようという稀有な奴はいないだろう。
「何をしようとしても無駄。この依頼書は簡単に破けるから、ただの紙切れのようにも見えるけど、依頼人の重要な個人情報、一組織の膨大な機密情報が詰まっているの、流出することは大問題。なので、ギルド機密情報保護という高度な魔術式が組み込まれている。その上、ランクステージ5の魔術式は数十人の中級冒険者による【隠蔽】【保護】の付加、更にギルドマスターによる【ギルドマスターの加護】という万全のセキュリティーを施している。もちろん、破壊、コピー、複製でもすれば、爆発してここ一帯は焼け野原よ」
【ギルド機密情報保護】
ランク ステージ 1~5
依頼者の情報を強力なセキュリティで保護する。
仕組み
一般に受託者は簡易情報のみの閲覧が可能。
受諾者(閲覧者)が規約、依頼人の詳細情報等の機密に関わる事項に侵入した場合、文字化け、多言語化、疑似書き換え等の暗号化が発動される。
更にコピー、複製という重大違反と見做す行為をしようとした場合、攻撃魔術式あるいは自爆魔術式が発動される。
その通りだ。
厳重なセキュリティーだ。
さすが、下層の巨大ギルドシャルマン。
「依頼書は破けても、保護術式の効力は残っているのか?」
「そうね。保護術式の効力は残っているけど、依頼人の依頼効力が切断されているので、依頼は成立しない。何やっても無理なものは無理」
「いや、問題はない」
「は? 話聞いてた?」
そして、破けた羊皮紙を手に取り、【分析解析】する。
「【分析解析】を持っているとは驚きだ」
「ゼルフォード様凄いです」
「一流の生産系の魔術師と遜色がない魔術……」
【分析解析】レベルEX100
ランク A
威力 なし
効能 対象物を高度で、詳細な情報収集能力で分析、解析する。
途切れ途切れではあるが、パズルのように重ね合わせると、縦に羅列された多数の目次の数々が見えてくる。
ざっと、数千事項か。
だが、何が書いてあるかは理解できてない。
さて、どうするか。
こんな膨大な文章を一々閲覧する訳にはいかないし。
依頼の全文を読み取れる部分はどこだ。
ん?
第990章102項
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第990章103項
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とは言っても、この暗号文は誰がどう見ても安易な暗号文にしか見えないだろう。
誰だって解けると思うがそれは違う。
俺の脳内ではヒルヘルム数列という規則性を当てはめ、多数変換値を導き出した後、高速比率演算というα語を用いる高度な計算処理を行い、最後に証明を行った結果、このような簡易で、綺麗な暗号文となったのだ。
決して安易な暗号文ではないのだ。
【ギルドマスター要請緊急クエスト】全文に侵入
↓
問題なく侵入成功しました
「本当に侵入するとはね……ゼルフォード君は君は……いったい何者なんだい?」
「明らかに、普通の魔術師、冒険者ではない、遥か上の領域に彼はいるね」
「だから、言ったのです! ゼルフォード様は凄い魔術師だと」
ここまでは大丈夫だ。
暗号文が全てを埋め尽くす。
ログレル語、ブリュンヒーゲルス語、セルン語、意味不明な記号が複雑に組み合わせられ、何列に渡って並び、何が書いてあるのか、さっぱりだ。
「まさか……君がやろうとしていることは……いやいや、無理でしょう。分析、解読はできたとしても、規約は100以上書かれていますし、数百万文字に及ぶ言語、時間制限がある中で、これをどうすると言うのですか」
ソルト辺境伯は察しがいいな。
【解読】レベルEX100を発動します。
【解読】レベルEX100
ランク A
威力 創造力+500 知識力+500
効能 あらゆる対象物の暗号化された謎を解き明かすことができる。
主に【保護】【隠蔽】【書き換え】のスキルが行使された対象物を見破る時に使用される。
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