あそこにいる公爵令嬢は、実は脱走してきたゴブリンです

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1章ゴブミ脱走

1章5話逃げるんだ

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 その絶叫と恐ろしい音で目が覚める農場のゴブリンやミノタウロス達は何事かと疑問を浮かべる。
 そして、ゴブミの小屋からおじさんの呻き声、抵抗し、暴れる物音が聞こえ、次第に静かになった。
 皆はとうとうおじさんがゴブミを殺したんだと思い、寝静まった。
 やがて、私は全身が血だらけで、片手に犯行の凶器のトウモロコシを持ちながら、出てきた。

「はぁはぁはぁ……ひへへへへ」

 すぐさま、血に塗られたトウモロコシを捨て、懐に持っていたマッチの火を、その小屋へ投げ入れる。
 そして、オレンジ色の炎は小屋を燃やし、隣にあった藁の積み荷に燃え移り、牛舎まで燃え広がっていく。
 鳴り響く、サイレンの音。
 そんな中、私は恐怖と興奮を胸に全力で逃げる。
 やっと、私は外に出られる。
 けれど、もう後戻りは出来ない悪の道を進むんだ。
 でも、醜いゴブリンのまま、このまま殺されていた人生よりはずっとマシだ。

 私は必死で逃げた。
 転んでも、脚を痛めて、走り続ける。
 気づいたら、街に出ていた。
 暗闇に落ちた、民家が密集する石畳の路地裏。
 深夜だから、誰も人はいない。
 暗がりながらも、浄水器を見つけ、そこで、血のついた汚れを落とし、近くにあったゴミ捨て場を漁り、適当な汚れた白いワンピースを身に纏う。

「よし、これで良いわ」

 出来るだけ、顔を俯きながら、足早にS字の路地裏を走り、建物と建物の隙間を進んだ先で、サイレント音が聞こえ、驚き立ち止まる。

「おい! いたか!」

「いないな」

「殺人放火犯のゴブリンを絶対に見つけろ」

 騒がしい足音が去って行く。
 逮捕されるという恐怖が私を襲い、太い脚、太い手が震えてくる。
 急に私は農場に送られてくるゴミの中から盗んだ美容関連の雑誌に整形という特集を読んだことを思い出す。
 これよ!
 その場の凌ぎの頭で考えた策が、整形だった。
 そうよ。
 整形すれば、私が犯人だって分からない。
 しかも、綺麗になれるなら、一石二鳥よ。
 今すぐ整形外科に行くしかない。 
 確か、雑誌の情報によると、この辺りに整形してくれる病院があったはず。
 
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