時空魔術操縦士の冒険記

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1章魔戦操縦士学院

1話緊張の入学式

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 初の晴れ舞台である入学式当日、総合魔戦操縦士エルグランド学院第一高等学院。
 朝、余裕な心で500階層にあるブリュンヒルデ王国の家から、3階層にあるエルグランド王国へ到着した。
 燦々と降る太陽光を浴び、西洋式の白城。
 豪邸はL字型で、さらに奥には何棟かの高低差のある建物が並び、中央には緑豊かな木々や、庭が揃っている。
 噴水から吹き出される水の舞はこの上なく趣深い。
 広大な敷地面積を誇る学院。
 門の両側には鎧騎士の銅像が飾られ、騎士は馬に跨がり槍は上に掲げ、疾走感溢れる像である。

 広いホールには全員の生徒が集まっていた。
 みんな緊張してんな。目線を中央に向け、眉一つさえ動かさない。
 広い。周りを見渡す。
 女神模様のガラスがスポットによって煌めいている。
 四隅に太い柱があり、そこには豪炎を灯す巨大な蝋燭《ろうそく》。
 妖しく光る壁中には艶やかな色彩で描かれた神様の模様。
 裸の男が雲の上に鎮座している女神に土下座をしている。
 裸の男の近くにはお供え物があるが、女神は目を逸らし、お供え物を踏み潰している。
 最低!
 神聖な雰囲気な絵なのだが、裸の男が可哀想だった。
 ぞろぞろと歩く新入生集団の後について行く、クラス分け表が掲示されている教室前に到着した。
 ホログラム。
 透明な画面上に名前を探す。

「トーマス・アルは……Fクラス」

 Fクラスか。
 Fクラスって大抵、落ちごぼれクラスのような気がする。
 まあこの高校に入れただけでもすごいと思わなくちゃな。
 すると、廊下の一番奥の向こう側から何やら怒鳴り声がする。
 なんだなんだ。喧嘩か? 入学式早々そんな破天荒な奴がいるのか。
 誰と誰が喧嘩してる?
 すぐさま目の前にいる新入生の群集を掻き分け、足早に走ったので喧嘩の現場近くまで来ることができた。
 周りには同じ野次馬が喧嘩現場を見ている。

 三人組の奴らが一人相手に口論をしているようだ。
 喧嘩としては卑怯過ぎないか。
 喧嘩なら1対1だろうが!
 真ん中に目つきの悪い赤髪の男。いかにも不良。種族はヒューマン。
 右側ヒョロガリの茶髪男。頭には尖った両耳、仕切り舌を出して「キャキュキャキャ」と嘲笑っている。種族は犬族。
 左側出っ歯が目立つ男。小柄でネズミのような顔。種族鼠族。
 その二人はにやにやと笑っている。 

 一方赤髪男に胸ぐらを掴まれて怯える弱々しいドワーフ。

「おい! テメェェェェェェ? そこの机に置いたオレの財布盗っただろう?」

「いえええ……僕じゃないですよ」

「そこの机の辺りでお前うろうろしてただろ?」

「いや……自分の席が分からなくて……」

「もうさ……金返せよ!」

 不運だね。
 あんな怖い不良に絡まれちゃってさ。
 ドワーフ少年が崩れ落ちて、三人組に蹴られてる。
 それにしてもあいつ何したんだよ。
 悪いけど俺はかっこいい正義のイケメンヒーローじゃないからさ、助けてやれないわ。
 すると、隣から女の声がする。

「あなた助けてやらないの?」

 俺は突然話し掛けられ首を傾げる。
 そこには黒髪の美少女がいた。後ろ髪は膝ぐらいまである。
 まさに容姿端麗。
 種族はエルフ? ヒューマン?
 判別できない。耳はないようだが。
 冷淡な紫瞳でこちらを見る。どこか暗い。
 何ですかこの人? 
 さも友達すら助けない薄情な最低な人間だわみたいな顔しちゃって。

「何?」

「聞き返すほど難しい質問をした覚えはないのだけれど」

「あのね。わざわざ俺が知らない人を助けなければならないの? why?」

「さっき坊主男と呟いたのを聞いていたわ。顔見知りなのは確かよ」

 おいおい小さな呟きを聞いていたのか。
 この野次馬が集まる中、俺のこの声を聞いていたのか。
 この女、地獄耳だ。危険。この女の周りで会話するな危険だ。

「ははは……そんじゃあ」

 この少女に満点笑顔を向けて、後ろへ振り返り、その場を立ち去ろうとする。
 すかさず少女は細い綺麗な右手で俺の肩を掴む。

「逃げる気?」

 少女の手を払いのけようとするが、がっちり掴んでいて離れない。
 細い身体の割になかなか腕力は強い。
 ここは魔法能力が高い者が集まる学校、ならばそんな美少女がいても不思議ではない。
 俺は少女に再度目線を向ける。

「あの、手をどけてくれますか?」

「あの人達の暴力を止めさせるまであなたは逃がさないわ」



 
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