転生したらダンジョン雲になった訳

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1章魔獣になりましょう

96話終わり

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 その瞬間、虎帝の凄まじい躍動で、酒鬼の頭上へたどり着く。
 目が合う両者の怪物。
 刹那、虎帝が千切れんばかりに口を開き、緑の閃光を投じる。
 先程とは桁違いの莫大な風の魔力を溜め、近距離という条件付き、相手を完全に消滅する気だ。
 応じて酒鬼も巨大な口を開くが、反撃する様子は無く、相対するだけ。それはあれだけの魔力を直に受ける行為は正気の沙汰ではない。
 緑の閃光が明滅し、瞬く間に放たれた。
 だが、一瞬で、その光線は幻のように消えた。
 時は停止したかのような間。
 虎帝は鬼の三眼に恐れを抱き、顔を歪め、条件反射で着地せず、後退を試みる。
 しかし、もう遅い。強烈な張り手が顔半分に直撃していたからだ。
 頭蓋骨が凹んだように変形し、横に追いやられようとするが、強烈な張り手はその横からもやってきた。
 破壊力ある衝撃が周囲に円形波のように発生する。
 つまり、酒鬼は両手で虎帝の頭を粉々に潰したのだ。
 そして、分厚い右足で、地面を踏み、円形の波を発生させ、伝播していくように地割れを起こし、地を崩壊させ、巨大な円形の穴を作り上げる。
 その衝撃のあまり、アタマカラと無残な虎帝を道具のように扱う酒鬼が回避する。
 ほどなくして、酒鬼はその穴に無残な虎帝を放り込んだ。
 虎帝に意識は無く、ほぼ亡骸状態だった。
 穴の地中まで埋め込まれ、爆音と大量の砂塵が舞い上がり、やがて、一向に反応や音すらも無くなった。
 完全に生還する道は絶たれたのだと実感。
 酒鬼は蔑む三眼で見下ろした後、着地、再度跳び、その背負っている樽を手に掲げ、その穴へ放り込んだ。
 その樽は穴の中で爆破され、見る見るうちに酒が土に浸透し、虎帝の体中を染み込ませ、数秒で、一杯になった。
 その瞬間、酒鬼は禍々しい口から龍のように動く炎を吹き出し、穴へと命中させる。

「酒蒸し焼き地獄!!」

 巨大な穴は一瞬で、炎の地獄と化した。炎は赤いというよりも、憎悪に満ちたような黒さだった。
 一体どれほどの魔獣や人間がこの炎の餌食となったのだろうか。
 憎悪を集約した炎は穴の中で、三度爆発をし、炎を焚かし続ける。
 酒鬼は侮蔑の表情で吐き捨てる。

「虎帝……お前の時代はもう終わった」

 
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