亂世 ~幾千万の声、幾億の無言~

るてん

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第一部「開戦の狼煙」

Act3「戦火の天幕」

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 4/1 午後

 午前中のミサイル飽和攻撃をどうにかしのぎ、防空体制をさらに強化する台湾軍。

 午後になると極超音速ミサイルを含めた攻撃が激化するが、台湾軍の新型防空兵器「神盾(シェンデン)」が想定以上の迎撃率を記録。

 地対空部隊は、極超音速ミサイルへの耐性を示し、士気が向上する。

「担当区域での迎撃率96%!」
「重要施設、民間人に被害はありません」」
「奴らのミサイル、全部落としてやる!」

 兵士たちの歓声が湧き、敵ミサイル攻撃が停止したとの観測。しかし、参謀本部は冷静だった。

「連中があきらめるわけがない」
「次の動きは同時攻撃だろう」
「反撃に出るべきでは?」
「こちらの消耗も大きい。立て直しで精一杯だ」



 台湾側の予想通り、中国軍は次のフェーズに移行すべく動いていた。

 中国軍の侵攻計画は当初、サイバー戦と圧倒的なミサイル飽和攻撃で台湾軍を麻痺させ、一気に上陸する手筈だった。しかし、そう簡単には進んでいない。

 数十年をかけて積み上げた、米国にさえ劣らないと自負する中国軍がたった一つの島に苦戦するものなのか。

 この作戦を任されている劉兆龍大将は、作戦立案者を呪いつつ、戦況を上層部に報告する。
その間にも、台湾近海で駆逐艦が一隻撃沈されたという報告が入る。しかし、上層部からは平然と、空母打撃部隊の投入が伝えられる。

(なぜ最初からそうしないのか…)

 劉は内心で愚痴りながら、部下に次の動きを指示する。



 4/1 夜

 台湾海峡では中国本土から大量の無人機と、一部の旧式戦闘機が投入され激戦となっていた。
夜空を絶え間なく照らす戦闘。台湾海峡防衛の指揮についた李凌雲少将は、敵の物量に圧されつつある状況を報告、援軍を要請した。

 台湾参謀本部では、中国艦隊の動きを慎重に分析していた。初期段階に見られた揚陸艦を含む艦隊は離れ、新たに大規模な艦隊が北部に接近中。

「これが本命の艦隊か?」
「大型空母も確認されています」
「南方にも敵艦隊が遊弋中」
「高雄の軍港は損害を復旧中。南方は手薄になっています」
「台湾海峡各所では空中戦が続いています。援軍要請多数」

 対応に苦慮しつつも、参謀本部の専用AIの意見を参考に決定が下されていく。

 北部に艦隊を集結、台湾海軍には空母がないため、陸上から航空支援を行う。
台湾海峡に展開している水上艦は機雷を敷設しながら南北の防衛に移動。陸上では、海峡防衛への増援を急ぐ。

 すでに戒厳令を出している総統府はこれらを承認した。




 日本国防軍、第八護衛艦隊の司令官、斎藤玲奈一佐は新鋭イージス艦「やまと」「むさし」を中心とした艦隊を率いて佐世保を出港していた。
受けた任務は、不測の事態に備えて東シナ海に進出せよ、という曖昧なものだ。その「不測の事態」が起きやすい海域にはまだ遠い。

 斎藤一佐は那覇の航空護衛艦隊を動かすべきと上申しつつ、幕僚監部と首相官邸の混乱を想像した。




 横須賀ではアレックス・バーンズ提督が、大統領命令があれば即応できるよう、
第七艦隊の艦艇を日本近海から沖縄へ集結させる指示を出していた。提督自身も那覇に向かう手配をする。

 沖縄では高速輸送機への物資搬入が進行中。輸送船も準備を始めていた。



 …そして、遠くホワイトハウスでは朝を迎えていた…
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