願い -わすれな草の海ー

吉岡果音

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出会い

特別な輝き

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 天高く昇る朧月。雑踏の中、男はひとつの「輝き」を見つけた。

 他にもたくさんの輝く光がある。都会の街は深夜であっても明るい「輝き」に満ち溢れている。それぞれひとつひとつが違ったきらめきを放っている。ひとつとして同じものはない。男にはそれが見える。世界の美しさを、男は知っていた。

 しかし、あの「輝き」だけは、なにかが違う。男はその「輝き」から目が離せなかった。群を抜いて光が強いというわけではない。一番素晴らしい美しさというわけでもない。男は不思議に思う。


 ――なぜだろう。なぜ、こんなにも強烈に……。


 その特別な「輝き」の源を凝視する。さらに男は驚いた。


 ――なんということだ! よりによって……!


 男は迷わなかった。強い決意と強い意志でその特別な「輝き」に向かってまっすぐ歩き始めた。

 男にとって初めての行動だった。
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