隣人の向居さんと最後の晩餐を…

315 サイコ

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16 隣人の向居さんと最後の晩餐を…

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 それが好きとか、そう言う感情に近いと向居が気付いとたのは、志野が出張で、しばらく家を空けると伝えに来てくれた時だ。

 別れた後から妙に悲しくなってしまい。
 いつも通りに作ったはずのご飯が、美味しくないと食が進まなかった。

 そこで、ハッとした。
 いつも一緒に、食べていたからこそ美味しかったんだと…

 とても、単純で簡単な答えに胸が高鳴った。

 『…やっぱり。好きになっていたんだなぁ…』

 ドコからどう見ても、それしか浮かばない。

 ただの偶然が、いつの間にか志野を認識してしまっていた事が、大きかったのだろう。

 告白してみるか?

 いや自分は、今のこの関係が好きであって告白するとか…

 そこまでの変化は、望んでいなかった。

 それは、してはいけない行動の気がしてより複雑になった。
 
 今から思えば、複雑にしていたのは、その自分の行動だとは知らずに…

 たった3日の出張、しかも国内。

 連絡が、一切無かった訳では無い。
 
 こう言う町に来ています。
 メッセージに新幹線から撮った風景が送付されていたり。
 
 出張の帰りがけに通話上で、

 『今、駅ナカなんです。新幹線を待つ間に会社にお土産を買いたいと思っているんですが、この辺りだと何が、一番お土産として喜ばれますか?』
 『…そのあたりって、有名なお菓子屋さんがあるはずだよ。和洋のお菓子が沢山あって、確か…コーナーとして仕切られてるの見たことある!』
 『あっ確かに◯◯◯屋ってコーナーがあります。どら焼きにまんじゅう。焼き菓子類にロールケーキとか、色々ありますね…』
 『でしょ? コレでもフードライターですから』
 『会社に焼き菓子とまんじゅうを買うとして…向居さんは、何か良いですか?』
 
 一段と弾んだトーンの声を出す志野に…
  もしかして会社へのお土産は、建前で自分へのお土産が、目的で通話を?

 とか? そんな事を考えて居るとたちまち顔がニヤケしまった。

 『ええ~っ、そんなこと言うと本気で買って来てもらうよ。会社のついでなんだから…』
 『…あの俺…このロールケーキ食って見たいんですけど…一緒に食べません? 期間限定のフルーツロールみたいで…』

 一緒にと言うフレーズにドキッとなる。

 『向居さん?』
 『あっ…うん。楽しみ!』
 『じゃ…1つ買って帰りますね。会社に回ってからなんで…家につくのは夕方になります』
 『うん。気を付けてね』

 そう言って切れた通話を、噛み締めるように向居は、ペタリと床に座り込んだ。



 元々志野くんが、帰って来る日だから朝からソワソワしていたし何度も何度も、時計ばかりを見ていたから。
 本の数分の通話でも、嬉しかった。

 次第に太陽も傾きかけ夕方頃になると、落ち着かなくなり自分自身の置き場所が無くなって、廊下をウロウロしたりリビングを、行ったり来たりとひたすら繰り返しいた。

 新幹線を降りましたよ。って、メッセージが入ったのは、1時間前…
 会社に寄ってから帰って来るって書いてあったから…

 もう直ぐ帰って来る時間だよね?






 
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