【ホラー小話】

色酉ウトサ

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<人外ホラー>

『トイレの怪異』R指定

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「ねえ、あの話聞いた?」

「あの話って?」

「この学校のトイレの話よ!!」

「トイレ?」

「4階の端にある女子トイレの4番目に…」

「花子さんが出るとか?」

「違うわよ!そんな小学校や中学校の頃の噂みたいなのじゃなくて、もっと厄介なものよ」

「厄介なもの…?」

「出るのは、変態よ!!」

「変態!?」

まさかの友人の話に、娘は目を見開いた。

娘の言葉に友人は頷くと、それまでに聞いた被害報告を語り始めた。

合唱部が屋上での練習を終えてトイレに寄った際、4番目のトイレに入った娘が下半身を何者かに悪戯されたこと。

発表会の出し物の練習を4階の空き教室で行っていた娘がトイレへ行ったまま帰ってこず、様子を見に行くと制服がはだけた状態で4番目のトイレで気を失なっていたことなど。

楽しそうに語る友人に娘は呆れながら「そんなの、先生に相談すればいいじゃない…」と返したが、友人は首を振った。

「その子達も先生に言ったのよ。だけど、トイレには誰もおらず、その後監視カメラとかも付けたけど誰も写って無かったんだって!!」

「まさか~…」

「他にも被害者がいたから、トイレ自体に問題は無かったけど、今は立ち入り禁止になってるのよ」

友人の言葉に娘は黙り込んだ。

「姿の見えない変態。確かめてみない?」

「え…」

「どんな奴がいるのか、気になるじゃない!」

「…止めよう?もし、何かあったら…」

「それならそれで、正体掴めるんだからいいじゃない!!」

「でも…」

「嫌なら私一人で行くから、屋上で待っててよ」

「今日の放課後決行よ!」と意気込み、友人はチャイムの音と共に自分の席へ戻って行った。

心配そうに友人を見つめていた娘だったが、一度言い出したら聞かない友人の性格をよく知っていたため、憂鬱な気分で放課後まで過ごした。

放課後になり、4階へ向かった二人はトイレの前で別れ、娘は屋上へ行き、友人はトイレへと入っていった。

屋上で景色を眺めながら、友人が来るのを待っていた娘だったが、友人はなかなかやってこず、30分経った頃に娘は心配してトイレへと向かった。

ギイッ

「大丈夫?何かあった?」

入り口から顔だけを中に入れ、声を掛けた娘。

しかし中からの返事は無く、戸惑いながらも意を決して中へと足を踏み入れた。

何かあった時用に携帯を握り締めて。

一つずつトイレの中を確認し、4番目のトイレまでやって来た娘の目に飛び込んできたのは【使用禁止】と書かれた貼り紙だった。

中へと声を掛けたが返事は無く、トイレの鍵も中から閉まっており、開けることは出来なかった。

(閉まってる…。でも、全部確認したし、どこに…もしかして入れ違い?でも、屋上はすぐ隣だし…)

娘は友人が居ないことに戸惑い、取り敢えず連絡を取ろうと友人へ電話をかけた。

すると突然、鍵が開く音がして驚きながらも振り返った娘の目に飛び込んできたのは、ドアが開いている4番目のトイレだった。

「え?どうして…」

『もしもし?』

「あ、今どこ?」

『今どこって、家に決まってるじゃ ん。風邪ひいて休んだんだから』

「え、でも、さっきまで一緒に…、4階の4番目のトイレ確かめようって…」

『ははっ、なにそれ?そんな話知らないよ?』

「そん、な…」

『ごめん、また熱上がってきたみたいだから寝るね。また明日』

「待って…」

プーップーッ

友人の言葉に青ざめた娘は、トイレから逃げ出そうと慌てて走った。

しかし、トイレの入り口は強い力で閉められており、開けることは敵わなかった。

(嫌っ…、なんで…)

不意に背後に気配を感じ、怖がりながらも娘が振り返るとそこには、見知らぬ男が立っていた。

突然現れたその男に娘は恐怖から腰を抜かし、へたりこんでしまった。

(誰?なんで女子トイレに男の人がいるの?)

動けずにいる娘に気付いてか、男はゆっくり娘へと近付き、腕を掴むとグイッと引っ張り立ち上がらせ、そのまま4番目のトイレへと引き込んだ。

娘は必死に抵抗したが男はびくともせず、中へ入ると鍵を閉め、向き合う形で娘の身体をまさぐり始めた。

サワサワ

「嫌っ!?触んないで!!」

恐怖と嫌悪感から何とか男の手を引き離そうともがいた娘だったが、男の手は娘の手をすり抜け、制服の上から体のラインをなぞったり、尻を揉んだり、胸の大きさを確かめたりと動き続けた。

その内に恥ずかしさから娘は身体を強張らせ抵抗を無くすると、男は娘から離れ背後に回り、便器に腰を下ろした。

男が離れたことに気付いた娘は、すぐさま戸を開けようと鍵に手を伸ばす。

けれど次の瞬間、背後の男に腰を掴まれ、男の上に座る形となってしまった。

グイッ

(なに…?え…)

「キャッ…」

ドサッ

「っ…」

ギュッ

「やっ…、離して…!」

グイッ

腰に腕を回され、男にしっかりと押さえつけられた娘は何とか逃れようと必死にもがいたが、瞬間あるものに気付いた。

それは、天井から垂れ下がっている二本の腕で、その腕は娘の膝に手をかけると勢いよく持ち上げた。

体勢から自然とスカートがめくれあがり、下半身の下着が顔を覗かせる。 
 
ハァ ハァ

「いやぁ…、止めて…」
  
背後から荒い呼吸が聞こえ始め、娘は恥ずかしさと恐怖から涙をこぼした。

そんな娘に気付くと男は、腰に回していた腕を動かし制服の中へ滑り込ませると、脇腹を伝い下着をすり抜け、じかに娘の胸を揉み始めた。

初めての感覚に娘は更に涙をこぼし、何とか止めさせようと男の腕に手をかける。

しかし男は止めるどころか更に激しく胸を揉み、指先で固くなり始めた突起を転がし始めたのだ。

「やぁ…、なんで、こんな…」

ピチャッ 

「ヒャッ!?」

娘はこれ以上どうして良いか分からずにいると、今度は耳の中を舐められ、身体を仰け反らせた。

くすぐったさと何とも言えない胸への刺激に、娘は段々と抵抗を弱めていった。

その時、目の前の戸の壁に人の顔のようなものを見つけ、恐怖から娘の意識は再びはっきりと覚醒した。

「やっ、何、これ…」

ヌウッ

「いやぁっ!!」

不意に壁の顔と目が合い、娘が脅えていると壁の顔がゆっくりと壁から浮き出てきて、娘の恐怖は更に高まった。

浮き出てきた顔はそのまま真っ直ぐに娘の下半身へと伸びていき、その状況に娘は慌てて腰を捩った。

「やあぁっ、近付かないで!!見ないで!!」

ムニッ

「止めてぇっ!!」

顔は娘の股間に近付くと、下着越しのその部分に鼻を擦り付けた。

娘は堪えられなくなり、必死に暴れ、何とか逃れようとした。

けれど、背後の男は腰に回した腕に更に力を入れたため、娘は逃げることが出来なかった。

そうこうしている内にそれは、娘の股間に顔を埋め、鼻先をグリグリと押し付け始めた。

気持ち悪さに娘が泣き出したが、背後の男も顔だけの男も止める気配は見せず、尚も耳を舐めたり、胸を揉んだり、股間に顔を埋めたりするのを止めなかった。

「ひっ…、うぅ…なんで、こんなこと…」

スッ

「え…?あ、ダメッ!止めてっ!!」

グイッ

娘が抵抗しなくなり始めたその時、背後の男が腰に回していた腕をゆっくりと動かし、娘の下半身へと手を伸ばした。

始めは呆けた様子でその動きを見つめていた娘だったが 、伸ばした手が下着にかかると慌てて制止に入った。

けれど娘の制止は間に合わず、下着はあっさりとずらされ、そこに埋められていた顔がじかに娘の陰部へと埋まった。

同時に上半身の衣服も捲りあげられ、男の手が自身の胸を揉んだり、突起を摘ままれている様子も目に飛び込み、娘の頭は真っ白になった。

見知らぬ男に胸を弄られ、股間には顔を埋められ鼻先で擦りあげられている。

初めての行為に娘の頭はついていけなくなったのだ。

クイッ

チュッ

「?!っんんん~…」

ヌルッ

クチュ

娘が完全に抵抗を止めると、男は娘の顔を自分の方へと向けさせ、そのまま唇を奪った。

口内に舌が捩じ込まれ、上顎や歯列を舐め回され、娘は涙を流し続けた。

上手く息が出来ず、娘の意識が飛び始めた頃、股間に埋まっていた顔が突然鼻先を押し付けるのを止めたのだ。

ようやく離れてくれるのかと思っていた娘だったが、その考えは甘かった。

ヌロッ

「ふむぅっ!?」

ニュルッ

「んうぅっっ!!」

柔らかい物を陰部に押し付けられる感覚に驚いたのも束の間、それが娘のナカへと入り込んだのだ。

目を見開き身体を強張らせながらも、娘は何をされているのか理解するのに時間は掛からなかった。

陰部に触れていた顔が舌を伸ばし、娘のナカへと滑り込ませたのだ。

未だ口内を舐め回されていた娘は、陰部まで舐められていた。

クチュクチュとあちらこちらからいやらしい水音が聞こえ、娘の意識は再び遠退いていった。

クチュクチュ

ピチャ
 
「はぁっ…ん…」

(…なんで、こんなことに…)

次に娘の意識が戻ると、服の乱れも無く、娘は便器に腰掛けて眠っていた。

すでに辺りは暗くなっており、娘は自分が今まで何をしていたのか思い出そうと頭を働かせた。

けれど、トイレへやって来たことまでは覚えていたが、その後なにをしていたのかははっきりと思い出せなかったのだ。

「私、どうしてトイレで寝てたのかしら…?確か、何かの噂を確かめようとして…」

チャカチャカチャン

「メール?…そうだ、確かプリント届けなくちゃいけなかったんだ!早く帰らなきゃ!!」

友人からのメールにやらなくてはならないことを思い出し、娘はトイレを後にした。

そんな娘の後ろ姿を、男や顔が戸の隙間から、とても楽し気に見つめていたのだった。





終わり
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