愉快な旅

ps1

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その2

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 男はいつまでもぐちぐち言っていた。
 それに我慢ならなかったのか、堪忍袋の鼻緒でも切れたのか、そこのところは曖昧模糊としているが、なぜか、誘拐はスルッと離脱できた。
 ぽーんと放り出されて、目を丸くしていると、久しぶりに朝の光が降り注ぎ、男の幽体はみるみる雲散霧消した。

「あちち、熱いやないけ」本体がそう言っているみたいだ。
 そこいらじゅう火の海か灰の山か、まあ、大して違いはないか。
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