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第四話 二人のお姫様 ~チャプター2~
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俺たちは今、馬車に揺られている。
現場となるのは、アシア湖という湖の畔にある町だ。避暑地として有名で、貴族たちの別邸が多く建てられているという。
ルクスからアシア湖までは馬車で一時間ほどの距離があるが、馬車は依頼主が手配してくれていたようだ。
「あーあ。この馬車で里まで連れて行ってくれないかなぁ……。」
「まぁまぁ。アシア湖までは平原が多くて比較的安全だから、馬車代もそんなにかからないんだよ。だから馬車出してもらえたんじゃないかな。」
「それに依頼主は貴族だからな。馬車代くらい端金なんだろ。」
「ちぇっ…。」
などと話しているうちに周りの景色に大きな邸宅がみられるようになってきた。どうやらアシアの町に入ったようだ。
「すご~い!立派なお屋敷がいっぱいだね~!」
「子供かっ!」
リーナはたまに子供っぽい言動をとることがあったが、今のあからさまなそれには思いっきりツッコんでしまった。
「けど、確かにそうだな。何をやっていればこんなデッカい別荘建てられるんだ…。」
そんなことを言いながら外を眺めていると、馬車は別荘地を少し離れたところで停車する。
「ん?着いたのか?」
そう言って馬車を降りると、目の前にあったのは広大な敷地内に建つ、さっきまで見てきたどの邸宅よりもひと際大きく立派な屋敷であった。
「うわ~、デッカいわね~。」
「この豪邸の持ち主が今回の依頼主なのか?」
門前からその豪邸をしばらく眺めていると門が開き、扉の奥に執事服を着た一人の耳の長い金髪の女性、そして門から屋敷までの道の左右には何十人もの侍女さん達が並んでいた。
「お待ちしておりました。あなた方がルクスのギルドからお越しいただいた冒険者ですね?」
執事服の女性が話しかけてきた。
「私はマリークレアと申します。あなた方にこれから護衛していただく御方のお付きをさせていただいております。本日は依頼を受けていただきありがとうございます。」
「あ、ハイ。よろしくお願いします。」
俺たちも軽く自己紹介した。
「それで、護衛対象はどちらに…?」
「じきにご到着なさると思います。こちらで暫しお待ちください。」
「え?まだ来てないんですか?」
「はい。我々は屋敷の準備の為に先行させていただいてます。」
マリークレアさんと話した後ふとリーナの方を伺うと、彼女は屋敷をじっと眺めたのち深く考え込む様子を見せる。
「リーナ?どうかしたのか?」
「ねぇユウヤ、ここってもしかすると…」
「皆様。馬車がご到着なされました。準備をお願いいたします。」
リーナが何か言おうとしたところで馬車が到着したようなので、俺たちも出迎えに行く。
門が開くと、豪華な装飾が施された一台の馬車が入ってくる。
「やっぱりだ。あの馬車に描かれてる紋章って…」
「知っているのか?リーナ。」
馬車の扉の窓の下に掲げられているのは、獅子の横顔が描かれた盾とその背後に二本の剣が交差した、とても立派な紋章だ。
「あれ…、アヴァルー王家の紋章だよ。」
「そうなの!?」
王家の紋章があるってことは、乗ってるのは貴族通り越して王族!?
馬車の扉が開き、まず侍女が二人降りてくる。一人が日傘を開き扉の前に差し出すと、トランクを持った一人の女性が降りてきた。長いブロンドの髪に白いワンピースという装いの、年頃はリーナと同じくらいのようだがどこか気品の漂うその女性は、侍女から日傘を受け取るとこちらに歩いてくる。
「恐れながら、こちらの御方こそ、アヴァルー王国第二王女・ノーラ=アヴァルー殿下でございます。」
現場となるのは、アシア湖という湖の畔にある町だ。避暑地として有名で、貴族たちの別邸が多く建てられているという。
ルクスからアシア湖までは馬車で一時間ほどの距離があるが、馬車は依頼主が手配してくれていたようだ。
「あーあ。この馬車で里まで連れて行ってくれないかなぁ……。」
「まぁまぁ。アシア湖までは平原が多くて比較的安全だから、馬車代もそんなにかからないんだよ。だから馬車出してもらえたんじゃないかな。」
「それに依頼主は貴族だからな。馬車代くらい端金なんだろ。」
「ちぇっ…。」
などと話しているうちに周りの景色に大きな邸宅がみられるようになってきた。どうやらアシアの町に入ったようだ。
「すご~い!立派なお屋敷がいっぱいだね~!」
「子供かっ!」
リーナはたまに子供っぽい言動をとることがあったが、今のあからさまなそれには思いっきりツッコんでしまった。
「けど、確かにそうだな。何をやっていればこんなデッカい別荘建てられるんだ…。」
そんなことを言いながら外を眺めていると、馬車は別荘地を少し離れたところで停車する。
「ん?着いたのか?」
そう言って馬車を降りると、目の前にあったのは広大な敷地内に建つ、さっきまで見てきたどの邸宅よりもひと際大きく立派な屋敷であった。
「うわ~、デッカいわね~。」
「この豪邸の持ち主が今回の依頼主なのか?」
門前からその豪邸をしばらく眺めていると門が開き、扉の奥に執事服を着た一人の耳の長い金髪の女性、そして門から屋敷までの道の左右には何十人もの侍女さん達が並んでいた。
「お待ちしておりました。あなた方がルクスのギルドからお越しいただいた冒険者ですね?」
執事服の女性が話しかけてきた。
「私はマリークレアと申します。あなた方にこれから護衛していただく御方のお付きをさせていただいております。本日は依頼を受けていただきありがとうございます。」
「あ、ハイ。よろしくお願いします。」
俺たちも軽く自己紹介した。
「それで、護衛対象はどちらに…?」
「じきにご到着なさると思います。こちらで暫しお待ちください。」
「え?まだ来てないんですか?」
「はい。我々は屋敷の準備の為に先行させていただいてます。」
マリークレアさんと話した後ふとリーナの方を伺うと、彼女は屋敷をじっと眺めたのち深く考え込む様子を見せる。
「リーナ?どうかしたのか?」
「ねぇユウヤ、ここってもしかすると…」
「皆様。馬車がご到着なされました。準備をお願いいたします。」
リーナが何か言おうとしたところで馬車が到着したようなので、俺たちも出迎えに行く。
門が開くと、豪華な装飾が施された一台の馬車が入ってくる。
「やっぱりだ。あの馬車に描かれてる紋章って…」
「知っているのか?リーナ。」
馬車の扉の窓の下に掲げられているのは、獅子の横顔が描かれた盾とその背後に二本の剣が交差した、とても立派な紋章だ。
「あれ…、アヴァルー王家の紋章だよ。」
「そうなの!?」
王家の紋章があるってことは、乗ってるのは貴族通り越して王族!?
馬車の扉が開き、まず侍女が二人降りてくる。一人が日傘を開き扉の前に差し出すと、トランクを持った一人の女性が降りてきた。長いブロンドの髪に白いワンピースという装いの、年頃はリーナと同じくらいのようだがどこか気品の漂うその女性は、侍女から日傘を受け取るとこちらに歩いてくる。
「恐れながら、こちらの御方こそ、アヴァルー王国第二王女・ノーラ=アヴァルー殿下でございます。」
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