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第七話 里を守れ!メルの決意 ~チャプター9~
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戦いが終わり、すっかり日が落ちた集落では宴が開かれていた。
兵士や冒険者、ラミアたちが入り混じり飲めや食えやの大騒ぎだとか、ラミアの里に伝わる『男を誘う踊り』を見せてもらったりと、愉快なひと時を過ごしていた。
そんな中宴の場を抜け出し、先ほどまでラミアたちが避難していた開けた丘に仰向けになって寝転ぶユウヤ。
(だいぶ落ち着いたが、まだ気持ち悪ぃ…。まぁもともと飲み会はニガテだし、ノーラ姫も居るからなおさら…)
などと考えながら、ただひたすら星空を眺めていた。
そんな彼に近寄る影が一つ。
「こんなところにいたのね、ユウヤ。」
やってきたのはメルだった。
「リーナは一緒じゃないの?」
「…あいつはなんかいい匂いがする飲み物を飲んだら、顔を赤くしてそのまま寝ちまったよ。」
「あ~。」
と、一言ずつ交わした二人はしばらく黙りこくってしまう。
(…そういえば、メルと二人きりになることってあんまりなかったよな。)
気まずい沈黙が続く中、最初に切り出したのはメルの方だった。
「……ありがと。」
「?、どうした急に。」
「あのとき、ユウヤたちが私を見つけてくれなかったら、里に帰ることも、里のみんなを助けることも出来なかった。それにユウヤも体調悪いのに来てくれたし…。」
「仲間だし当然でしょうよ。……俺は何もできなかったけど。」
「そんな…」
「でも、メルは無事里に戻ることが出来たんだ。お前とはもうここで―――」
「…ううん。私決めたの。」
「え?」
「私、冒険者つづける!たくさんクエストやっていっぱい稼いで、この里に仕送りするんだ。」
「メル……」
そう話してるうち、メルは頬をすこし赤らめる。
「…こうやって冒険者になれたのもユウヤのお陰だから。」
「?」
「だから……その……、これからもヨロシクね。」
メルはユウヤの顔に近づくと、頬にそっと口づけた。
「!!!!????ッ―――」
ユウヤは口づけられた頬に手を当て、お互いの顔から大量の湯気が立つ。
「…じゃ、じゃあ、私先に戻ってるね。ユウヤもいつまでもそこにいるとナイトウルフに食べられちゃうわよ!」
そういいながらメルはそそくさと集落に戻っていった。
「………。」
ユウヤもしばらくした後まだ宴会がつづく集落へと戻る。
「よぉボウズ!どこ行ってたんだ?」
顔見知りの冒険者が話しかけてくる。
「……酒まだある?」
「お、おうよ。」
冒険者は持っていた樽ジョッキをユウヤに渡すと、ユウヤはそれを一気にそれを飲み干す。
そしてユウヤはそのまま気を失いその場に倒れこんだ。
***
―――翌朝。
王国兵と冒険者たちはそれぞれ馬車に乗り、ラミアの里を後にした。
今後、ラミアの里を守るために集落とその近くのトーリの町に王国兵が常駐することになった。
里側の警備には何人かの独身の男性兵が配属を熱望したようだが、里側には女性の兵が配置されることになったそうだ。
また、トーリのラミアたちはヒトへの害意はないと認められ、近くの人里との交流も始めていき、次々に社会進出していくことになるという。
そして帰りの馬車、ノーラ所有の馬車にはメルとシアリーゼが同乗していた。
「ユウヤとリーナもこっちに乗ったらよかったのに。」
「この馬車は4人乗りなの。乗せれてもリーナだけよ。それにユウヤが『横になりたいから大きいのがいい』つって荷馬車の方に乗ったじゃない。そしたらリーナもついてっちゃって―――」
「まぁ、それは当然ですよね。リーナさんはユウヤさん最優先ですもの。」
「そうね。」
そしてその荷馬車。
車内の側面の腰掛にユウヤが寝そべり、その端の方でリーナが座っている。
「うう…ダルぃ。」
「も~、お酒弱いのに一気飲みするからだよ。」
「お前は平気なのか?」
「へ…?なんで?」
(コイツ、一晩で抜けるタイプか。)
「…じゃあ、はい。」
リーナはそう言いながら自分の太腿をポンポンと叩く。
「……何?」
「頭、こっち。」
普段なら恥ずかしがってそういう事をしたがらないユウヤだが、そうも言ってられない程度に具合が悪かったので、お言葉に甘えて彼女の膝枕に頭を預けた。
「どお?」
「……。」
「……お疲れさま。」
そして、森の中の一本道を馬車の列は駆け抜けていった。
兵士や冒険者、ラミアたちが入り混じり飲めや食えやの大騒ぎだとか、ラミアの里に伝わる『男を誘う踊り』を見せてもらったりと、愉快なひと時を過ごしていた。
そんな中宴の場を抜け出し、先ほどまでラミアたちが避難していた開けた丘に仰向けになって寝転ぶユウヤ。
(だいぶ落ち着いたが、まだ気持ち悪ぃ…。まぁもともと飲み会はニガテだし、ノーラ姫も居るからなおさら…)
などと考えながら、ただひたすら星空を眺めていた。
そんな彼に近寄る影が一つ。
「こんなところにいたのね、ユウヤ。」
やってきたのはメルだった。
「リーナは一緒じゃないの?」
「…あいつはなんかいい匂いがする飲み物を飲んだら、顔を赤くしてそのまま寝ちまったよ。」
「あ~。」
と、一言ずつ交わした二人はしばらく黙りこくってしまう。
(…そういえば、メルと二人きりになることってあんまりなかったよな。)
気まずい沈黙が続く中、最初に切り出したのはメルの方だった。
「……ありがと。」
「?、どうした急に。」
「あのとき、ユウヤたちが私を見つけてくれなかったら、里に帰ることも、里のみんなを助けることも出来なかった。それにユウヤも体調悪いのに来てくれたし…。」
「仲間だし当然でしょうよ。……俺は何もできなかったけど。」
「そんな…」
「でも、メルは無事里に戻ることが出来たんだ。お前とはもうここで―――」
「…ううん。私決めたの。」
「え?」
「私、冒険者つづける!たくさんクエストやっていっぱい稼いで、この里に仕送りするんだ。」
「メル……」
そう話してるうち、メルは頬をすこし赤らめる。
「…こうやって冒険者になれたのもユウヤのお陰だから。」
「?」
「だから……その……、これからもヨロシクね。」
メルはユウヤの顔に近づくと、頬にそっと口づけた。
「!!!!????ッ―――」
ユウヤは口づけられた頬に手を当て、お互いの顔から大量の湯気が立つ。
「…じゃ、じゃあ、私先に戻ってるね。ユウヤもいつまでもそこにいるとナイトウルフに食べられちゃうわよ!」
そういいながらメルはそそくさと集落に戻っていった。
「………。」
ユウヤもしばらくした後まだ宴会がつづく集落へと戻る。
「よぉボウズ!どこ行ってたんだ?」
顔見知りの冒険者が話しかけてくる。
「……酒まだある?」
「お、おうよ。」
冒険者は持っていた樽ジョッキをユウヤに渡すと、ユウヤはそれを一気にそれを飲み干す。
そしてユウヤはそのまま気を失いその場に倒れこんだ。
***
―――翌朝。
王国兵と冒険者たちはそれぞれ馬車に乗り、ラミアの里を後にした。
今後、ラミアの里を守るために集落とその近くのトーリの町に王国兵が常駐することになった。
里側の警備には何人かの独身の男性兵が配属を熱望したようだが、里側には女性の兵が配置されることになったそうだ。
また、トーリのラミアたちはヒトへの害意はないと認められ、近くの人里との交流も始めていき、次々に社会進出していくことになるという。
そして帰りの馬車、ノーラ所有の馬車にはメルとシアリーゼが同乗していた。
「ユウヤとリーナもこっちに乗ったらよかったのに。」
「この馬車は4人乗りなの。乗せれてもリーナだけよ。それにユウヤが『横になりたいから大きいのがいい』つって荷馬車の方に乗ったじゃない。そしたらリーナもついてっちゃって―――」
「まぁ、それは当然ですよね。リーナさんはユウヤさん最優先ですもの。」
「そうね。」
そしてその荷馬車。
車内の側面の腰掛にユウヤが寝そべり、その端の方でリーナが座っている。
「うう…ダルぃ。」
「も~、お酒弱いのに一気飲みするからだよ。」
「お前は平気なのか?」
「へ…?なんで?」
(コイツ、一晩で抜けるタイプか。)
「…じゃあ、はい。」
リーナはそう言いながら自分の太腿をポンポンと叩く。
「……何?」
「頭、こっち。」
普段なら恥ずかしがってそういう事をしたがらないユウヤだが、そうも言ってられない程度に具合が悪かったので、お言葉に甘えて彼女の膝枕に頭を預けた。
「どお?」
「……。」
「……お疲れさま。」
そして、森の中の一本道を馬車の列は駆け抜けていった。
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