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良き隣人と最悪の隣人①
しおりを挟む魔物データNo.FA-016
種族名:コロポックル
種族:植物系人型魔物
寿命:不明
身長:30~50cm
体重:不明
通称:〝モリビト〟
特記:水辺近くの湿地帯に生えた〝フキ〟の下に住んでいると言われている。良き精霊と信じられ、出会うと幸運が訪れると言われている。
魔物データNo.FA-024
種族名:フィッシュドラゴン
種族:飛行系爬虫類型魔物
寿命:不明
身長:1,500~2,000cm
体重:200,000~600,000g
通称:二日酔い
特記:魚が多く生息する水辺等に生息する魔獣。ドラゴンという名前が付いているが真正のドラゴンではない。分類的には空を飛べるトカゲ。魚が大好物。一匹住み着くと周辺の魚が絶滅すると言われるほど大食らい。漁が終了した漁船が格好のカモにされることがしばしば。
▲▲▲
さて、今日教えるのは、魔物の中で〝三大厄災〟と呼ばれるものの一つ。
〝フィッシュドラゴン〟です。
〝フィッシュドラゴン〟……皆さんには〝二日酔い〟の方が親しまれているかもしれません。
この二つ名は、〝フィッシュドラゴン〟のブレスを見た当時の勇者が名付けたと言われています。
当時の勇者は、異世界から召喚された者だったと記録されていますが、洒落のわかる面白い人だったのでしょう。
そんな〝二日酔い〟――いえ、今日は正式名称でいきましょう。
〝フィッシュドラゴン〟、実に面白い魔物で、我が国では北方と西方に逸話が残されています。
西方では、当時侵略してきていた魔王軍を撃退した〝竜神〟として。
一方、北方では湖の魚を全部食べ尽くし、人々を飢えさせた〝邪神〟としての逸話です。
一国の中で、こうも違う評価がされる魔物はそうはいません。
しかし、そんな中で共通しているのが、両方で〝神〟、神格化し信仰や恐れの対象になっていることです。
そんな中、両方の地区で共通するある言葉があります。
それは、「悪いことをしたら、〝二日酔い〟がやってくるぞ」です。
面白いですよね。
恐怖している側、信仰している側、両方でこれが言われているのです。
〝フィッシュドラゴン〟の恐ろしさを、うまく表現している言葉になっているのです。
では、ここからは〝フィッシュドラゴン〟の生態について説明します。
ケーデス連邦国所蔵
350年前の生活動画集 ある学院の教育風景より
▲▲▲
ある日の午前中のことだ。
まとめていた魔物資料から一度目を離し、私は外の空気を吸いに住居の外へ出た。
その日も天気は良く、いつも通り、屋根の上ではマンドラゴラたちが気持ちよさそうに日向ぼっこをしていた。
陽を浴びている時の彼らは、魔物というより、ただの鉢植えのように見える。
――だが、その日は少しだけ様子が違った。
マンドラゴラの輪の中に、ひときわ大きな影が混じっていたのだ。
同じように屋根の上に座り、同じように目を細め、同じように気持ちよさそうな顔をしている。
その顔つきを見た瞬間、私は妙に納得してしまった。
ああ、やっぱり植物系だな、と。
そして、その正体にもすぐに思い当たった。
コロポックル――植物系人型の精霊。
湿地に生える〝フキ〟の下に住まう、精霊たちである。
古くから人に愛され、幸運を運ぶ存在。
多くの人々から〝モリビト〟などと呼ばれている。
実際、私自身、彼らから何度も助けられてきた。
その最たるものが、〝フキガミ〟である。
調査隊が撤退した後、本国からの補給は一切途絶えた。
真っ先に困ったのが、魔物資料をまとめるための紙である。
そんな折、紹介されたのがコロポックルたちだった。
彼らは能力で紙を作ることができたのだ。
彼らの棲家は、私の拠点から東へ進んだ先にある湖――その周囲に広がる湿地帯だ。
だから私は、彼らのことをこう呼んでいる。
――良き隣人、と。
そんな彼らとはかなりの頻度で交流をしている。
彼らは定期的に〝フキガミ〟を届けてくれているのだ。
しかし、今日は〝フキガミ〟を届けてくれる日ではないはず。
では何故ここに来たのか。
理由を知りたがったが、気持ちよさそうに陽を浴びているのを見て、急かす必要はないなと私は思った。
いくばくかの休憩の後、魔物の資料をまとめていると、住居の中にコロポックルが入ってきた。
急いでいるように見えるが、先ほどまでの緩んだ顔を思い出すと、どうも締まらない感じがする。
しかし、コロポックルから伝えられたことは……全く緩さのない、最悪の事態だったのだ。
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