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体の方を守って欲しかった

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(どうする?避けるか?)

 いや、ここは当たってあげよう。ここであっさり避けてしまったら、あまりにもバルスたちが一方的に不利だ。
 一発くらいはまともなの当たってあげないとね。

(……そうか)

 中二もバルスたちを不憫に思ったのか、口数が少ない。
 決死の奇襲が的にバレてるとか、かわいそすぎる。

「いくぞ!うおぉぉぉ!『ブリザードエッジ』!『ソードブレイク』」

 バルスは氷の刃で炎を斬り折を抜け出して、フラガラッハの一本を叩き折った。
 魔法の起点の一部が無くなり、炎の檻はキレイさっぱり消えてなくなった。

 そうか、この技の弱点はこれか。てことは次からは魔法陣を多重展開して一本折られたくらいでは、びくともしないようにしよう。
 やはり実戦でないと分からないことがあるんだねぇ。

「今だ!」

「『セイクリッドノヴァ』」

「『フェニックスブロウ』」

「『シールドプレス』」

「『六連魔剣飛斬』」

「『グランドボルケーノ』」

 5つの必殺が突っ立っている中二に殺到する。
 ……防御くらいしてもいいんだけど。

(む?そうだったのか。もっと早く言え。まともに当たってしまった)

 一応人格が違うだけで僕であることには変わらないから、意味を汲み取ってくれるのかと思った。

(我らはそれぞれ独立した思考をしている。言うなれば、記憶を共有している他人だ。無論、我ら全員を一つにくっつけてこねくり回せば貴様になるが……できんだろ)

 出来てもやらないよ。完全にアイデンティティの崩壊じゃないか。

「『ギガンティッククラッシャー』」

 バルスが剣をこちらに向けてビーム的な何かを放つ。
 なんだあれ?見たことないぞ。ここで修行したことで身につけた技か?

 ギガンティック某も中二に当たった。必殺技6つを棒立ちで食らうって、イジメかよ。
 中二、大丈夫かね?

(ノープロブレム。我が纏いし闇の死守はした)

 コスチュームじゃなくて体の方はどうなってるのかなー?

(腹に穴が空いてモザイク案件になったが、回復魔法で出かけていたものも元通りにしておいた。)

 おい!人の体だと思いやがって……待てよ。なんで腹に穴が空いたのに服が無事なんだ?
 腹に穴が空いた方はひとまず置いといて、そっちの件について聞こう。

(攻撃が当たる直前に脱いで、衣を死守した後もう一度着た)

 うん知ってた。体は共有しているから見えてたけど余りにもおかしな光景だったから、自分の視覚情報が信じれなかったから一応聞いてみたんだけど、やっぱりそうだったのか。

(些事に囚われるな。そのようなこと、我が胸に巣食う虚無に比べればどんな物も小さきことよ)

 穴が空いたら、君の中の虚無が漏れてくるよね?
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