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叶えられない願い
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その子の過去の恋愛は4回、いずれも"男運が悪い"と言う様に、浮気されたり冷められたりして本人から別れを告げていた。
こんなに可愛い子なのになんで浮気されたりするのだろう?
「どうでしたかにゃ? 自分の悪い所を棚に上げて運のせいにするなんて、どうせロクなメス猫じゃないですにゃ」
ミイコは今回、やけに辛口だな。
「いや、それが結構いい子そうなんだよね」
「またまたぁ、これだから男神はメスに甘いと言われてるんだにゃ。わたしにも見せるにゃ」
そんなつもりはないんだけどなぁ……。
俺は疑うミイコに彼女の過去を見せると、ミイコはふむふむと頷く。
「悪い子じゃ無さそうだろぉ? 結構しっかりしてて、ちゃんと尽くすタイプなんだよ」
「うーん、これは見る目が無いですにゃあね……」
そう、一言で言えば見る目が無い。ミイコも納得している様に見える。
「誠実な人と出会わせるってのはどう? 運の問題だろ? それならいい人見つけてあげればいいと思うんだけど?」
「それで解決すれば、苦労はしないにゃ……」
ミイコはそう言っているものの、解決作が思い浮かばない以上とりあえずその子にあういい人を探す事を考えた。
でも……どうやって探せばいいんだ?
いい人と言っても一概には言えない。
あの子の胸がキュンキュンする様な人と俺が思ういい人は違うだろう。となると……まずはあの子の好みを知らなければならない。
あまり乗り気じゃない猫の手を借りるしかないか……。
「……あのさぁ、あの子の好みを調べたいんだけどさぁ……?」
「結局キューピットですかにゃ?」
「まぁ、そうなんだけどさぁ……」
「それで? わたしに何をして欲しいんですかにゃ?」
「あの子の好みを調べる方法と、出来れば相手候補のリストみたいなのが有ると有り難いんだけど?」
ミイコは目を細めると、部屋から何やら本の様な物を背負って来た。
「この本は相手を探すのに使うにゃ。好みは……本人に聞いたらいいんじゃないかにゃ?」
本人に聞くというのは置いといて、ミイコの持って来た本には、この街の住人がリスト化されている。これは中々骨が折れそうだ。
「そのまま使ったらただの名簿にゃあよ。ちゃんと神様の力を使うにゃ」
過去を覗くみたいにすればいいのか!
俺は、名簿をいつものOKサインから覗いてみる。なるほど、自分のイメージしている人の候補が映像になって出て来るのか!
「ありがとうミイコ!」
「正直いうと、わたしは今回の願いはパスしたいにゃ……でも、神様が叶えたいなら巫女は協力するしかないにゃ」
明らかに今回の件に気乗りしていない様子のミイコは部屋に戻ろうとすると、去り際に呟いた。
「神様にだって出来ない事はあるにゃあよ……」
「なんだよそれ……願いを叶えるのが俺の
使命みたいに言ったくせに……」
ミイコの態度に少し腹を立てながら、少しムキになる様に部屋に籠る。それから、DVDを巻き戻すかの様に4人の元カレとの付き合う迄の流れを見てみると、俺はある共通点を見つけた。
こいつらやけにこの子の事を褒めているな。と言うかよく見ているのか? 4人それぞれのルックスにはあまり共通点は無いのだが、彼らはいずれも"頑張っているから"とか"気遣い出来るよね"といった言葉を彼女によく言っている。
どちらかと言うと気遣いのよく出来た男達なのだが、俺は何処かに違和感を感じた。
いくら仲が良くても、こんなにすんなりと恥ずかしげも無く言えるものなのか?
次第にそれは、俺の中でどんどん疑惑に発展していくと、一つの結論にたどり着いた。
こいつら、女の子の心を掴むのが上手い、要は女の子慣れしたナンパ師なんだ!
……という事は、そういった奴が好きな以上、この子は今後も絶対騙され続けていくんじゃないのか?
すると、いつの間にか部屋の中にいたミイコは言った。
「神様は気づいたのかにゃ?」
「ミイコ、お前もしかして最初から分かってたのか?」
ミイコは間が悪そうに頷くと、
「神様をガッカリさせたくはにゃいのだけど、その子は基本的に乙女な思考なんだにゃ」
「乙女な思考? なんだよそれ?」
「簡単に言うと、少女マンガとかお姫様的なものに憧れてるんだにゃ」
「それって、彼氏なんて出来ない典型的なパターンなんじゃないか?」
「そう、普通はそうなんだにゃ。だけど、持ち前のコミュ力でバランスを取っているから騙され易い子になっているんだにゃ」
「普通なら引かれるポイントをコミュニケーションでカバーして、話し掛けやすくなっていると?」
「そう、さらにルックスもあるから違和感に気づく事が出来ないんだにゃ」
「そうか! 基本的にモテて普通のアプローチも受けてるから、疑う事が出来ずに騙す奴に心を掴まれてしまってる訳か!」
「そうなんだにゃ。だから、その子本人が気づかない事には神様が奇跡を起こしても上手く訳無いにゃあよ」
なるほど、神様にも出来ない事があるってそう言う事だったのか……。
「それならその、お姫さまとかへの憧れを現実的な物に変えればいいんじゃないか?」
「それも神様なら出来なくはないにゃ。だけど、憧れというのは夢にゃあよ? 自分の夢を変えられて叶えられる願いって何なんだにゃ?」
ミイコの言葉が胸に刺さる。確かにそれはもうその子じゃない、俺もそんな事はされたく無い。でも、それならどうやって叶えたらいいのか分からない。
「こればかりは自分で気づくしか無いにゃ……」
ミイコの言う通りだ。
こればかりは、叶えたい願いのイメージと、現実のいい人が一致していないから、結局その子か相手の"個人"を変えるしかなくなってしまうのだ。
俺はこの難題に心が折れ、諦めそうになってしまった。
こんなに可愛い子なのになんで浮気されたりするのだろう?
「どうでしたかにゃ? 自分の悪い所を棚に上げて運のせいにするなんて、どうせロクなメス猫じゃないですにゃ」
ミイコは今回、やけに辛口だな。
「いや、それが結構いい子そうなんだよね」
「またまたぁ、これだから男神はメスに甘いと言われてるんだにゃ。わたしにも見せるにゃ」
そんなつもりはないんだけどなぁ……。
俺は疑うミイコに彼女の過去を見せると、ミイコはふむふむと頷く。
「悪い子じゃ無さそうだろぉ? 結構しっかりしてて、ちゃんと尽くすタイプなんだよ」
「うーん、これは見る目が無いですにゃあね……」
そう、一言で言えば見る目が無い。ミイコも納得している様に見える。
「誠実な人と出会わせるってのはどう? 運の問題だろ? それならいい人見つけてあげればいいと思うんだけど?」
「それで解決すれば、苦労はしないにゃ……」
ミイコはそう言っているものの、解決作が思い浮かばない以上とりあえずその子にあういい人を探す事を考えた。
でも……どうやって探せばいいんだ?
いい人と言っても一概には言えない。
あの子の胸がキュンキュンする様な人と俺が思ういい人は違うだろう。となると……まずはあの子の好みを知らなければならない。
あまり乗り気じゃない猫の手を借りるしかないか……。
「……あのさぁ、あの子の好みを調べたいんだけどさぁ……?」
「結局キューピットですかにゃ?」
「まぁ、そうなんだけどさぁ……」
「それで? わたしに何をして欲しいんですかにゃ?」
「あの子の好みを調べる方法と、出来れば相手候補のリストみたいなのが有ると有り難いんだけど?」
ミイコは目を細めると、部屋から何やら本の様な物を背負って来た。
「この本は相手を探すのに使うにゃ。好みは……本人に聞いたらいいんじゃないかにゃ?」
本人に聞くというのは置いといて、ミイコの持って来た本には、この街の住人がリスト化されている。これは中々骨が折れそうだ。
「そのまま使ったらただの名簿にゃあよ。ちゃんと神様の力を使うにゃ」
過去を覗くみたいにすればいいのか!
俺は、名簿をいつものOKサインから覗いてみる。なるほど、自分のイメージしている人の候補が映像になって出て来るのか!
「ありがとうミイコ!」
「正直いうと、わたしは今回の願いはパスしたいにゃ……でも、神様が叶えたいなら巫女は協力するしかないにゃ」
明らかに今回の件に気乗りしていない様子のミイコは部屋に戻ろうとすると、去り際に呟いた。
「神様にだって出来ない事はあるにゃあよ……」
「なんだよそれ……願いを叶えるのが俺の
使命みたいに言ったくせに……」
ミイコの態度に少し腹を立てながら、少しムキになる様に部屋に籠る。それから、DVDを巻き戻すかの様に4人の元カレとの付き合う迄の流れを見てみると、俺はある共通点を見つけた。
こいつらやけにこの子の事を褒めているな。と言うかよく見ているのか? 4人それぞれのルックスにはあまり共通点は無いのだが、彼らはいずれも"頑張っているから"とか"気遣い出来るよね"といった言葉を彼女によく言っている。
どちらかと言うと気遣いのよく出来た男達なのだが、俺は何処かに違和感を感じた。
いくら仲が良くても、こんなにすんなりと恥ずかしげも無く言えるものなのか?
次第にそれは、俺の中でどんどん疑惑に発展していくと、一つの結論にたどり着いた。
こいつら、女の子の心を掴むのが上手い、要は女の子慣れしたナンパ師なんだ!
……という事は、そういった奴が好きな以上、この子は今後も絶対騙され続けていくんじゃないのか?
すると、いつの間にか部屋の中にいたミイコは言った。
「神様は気づいたのかにゃ?」
「ミイコ、お前もしかして最初から分かってたのか?」
ミイコは間が悪そうに頷くと、
「神様をガッカリさせたくはにゃいのだけど、その子は基本的に乙女な思考なんだにゃ」
「乙女な思考? なんだよそれ?」
「簡単に言うと、少女マンガとかお姫様的なものに憧れてるんだにゃ」
「それって、彼氏なんて出来ない典型的なパターンなんじゃないか?」
「そう、普通はそうなんだにゃ。だけど、持ち前のコミュ力でバランスを取っているから騙され易い子になっているんだにゃ」
「普通なら引かれるポイントをコミュニケーションでカバーして、話し掛けやすくなっていると?」
「そう、さらにルックスもあるから違和感に気づく事が出来ないんだにゃ」
「そうか! 基本的にモテて普通のアプローチも受けてるから、疑う事が出来ずに騙す奴に心を掴まれてしまってる訳か!」
「そうなんだにゃ。だから、その子本人が気づかない事には神様が奇跡を起こしても上手く訳無いにゃあよ」
なるほど、神様にも出来ない事があるってそう言う事だったのか……。
「それならその、お姫さまとかへの憧れを現実的な物に変えればいいんじゃないか?」
「それも神様なら出来なくはないにゃ。だけど、憧れというのは夢にゃあよ? 自分の夢を変えられて叶えられる願いって何なんだにゃ?」
ミイコの言葉が胸に刺さる。確かにそれはもうその子じゃない、俺もそんな事はされたく無い。でも、それならどうやって叶えたらいいのか分からない。
「こればかりは自分で気づくしか無いにゃ……」
ミイコの言う通りだ。
こればかりは、叶えたい願いのイメージと、現実のいい人が一致していないから、結局その子か相手の"個人"を変えるしかなくなってしまうのだ。
俺はこの難題に心が折れ、諦めそうになってしまった。
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