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神様の作戦
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「神さん、直接行くんは分かったけど、そこでの作戦ってなんやの?」
となりで歩くオスのデブ猫……いや三毛猫は、気になるようでしつこく話しかけてくる。
俺は今回の作戦には、少しだけ自信があった。というのもサブローが現れてくれた事が大きい。
町中を歩き、迷わずに向かう。サブローもその事は知っている。
「なぁ、やっぱり殺すにしても作戦っちゅうもんがあるんちゃうか? 危ないからミイコ置いて来たんやろけど……」
「サブローさんは、妖怪なんでしたっけ?」
「そうやで。それいうたらミイコも猫又なんやけどなぁ……」
ほぼ見た目は猫と変わりは無いのだが、長い間生きて化ける事ができるようになると猫又になるのだという。
「やっぱり妖怪って強いんですか?」
「まぁ、猫又が強いんやのうて、ワシが強いんや。ミイコは同じでも綺麗に化けるのが得意やからなぁ……」
確かに、ミイコが巫女になっている時は普通の人間と言われても全く違和感が無い。あれはあれであの子の能力だったわけだ。
そうこうしているうちに、俺たちはビルの前に着いた。
「なんやのここ? もしかしてここかいな?」
「そう、おじさんを追いやった人の事務所が3階にあるみたいなんだ」
「やっぱり神さん、そのまま突入やんか!」
「サブローさん、もしかしてびびってる?」
「そんなわけあるかい! ワシは巷ででも恐れられた猫又やで? せやけど、今のご時世そのままザックリ行くんは危なないか?」
サブローのいう通りここで、そのまま突入する時代では無い。それに、元々そのつもりは全く無かった。
「サブローさん、ちょっといいかな?」
「わかった、わかった。もう、ワシもはらくくったわ」
近づいてきたサブローに、作戦を説明する。
「はーん! なんやそういうことかいな! それやったらまかしとき!」
サブローはそう言ってビルの中に入って行った。
うまくやってくれるといいんだけど……。
事務所の方は彼に任せるとして、俺は再び歩き出した。そう、これはサブローさんにだけ任せる訳には行かない。こっちはこっちで、別のする事があった。
俺はまず、開運グッズ屋さんに向かう。神様が開運グッズを買うなんて変なはなしなのだが、一番それっぽいものが売っているからだ。
いくつかのグッズを買うと、俺はあのおじさんのところに向かう。お店を経由してもお客さんとして来ていたのもあって意外と近い場所におじさんの家はある。
あ、そっか……このままじゃ見えないんだったっけ?
少し物陰に隠れ、姿を見えるようにすると、おじさんの家のインターホンを鳴らした。
「すいませーん!」
しばらくして、アパートの奥から物音が聞こえる。多分警戒しているのだろう。
再びインターホンを押すと、チェーンをかけたままドアが開いた。
「あの……どちら様でしょうか?」
そう言われ、一瞬焦る。まさかこないだ願いを受けた神様ですという訳には行かない。俺は元々の本名で名乗る事にした。
「神代と言う者なんですけど……」
「はい……」
おじさんは、チェーンを開けてくれる様子は無く、そのまま話を進めようとした。
「あの……お札入りませんか?」
「ちょっとそう言うのは……」
当たり前だ、今のままではお札を売りつけようとしている悪徳業者にしか見えない。おじさんがドアを閉めようとしたので慌てて叫ぶ。
「あのっ、自殺とか考えてますよね?」
「えっ……い、いや……」
動揺したのか、閉めようとしたドアが止まる。俺はそのまま追うように言った。
「それに……殺したい人がいる……」
「ど、どうしてそれを……」
このまま私は神ですとか言ってしまおうかとも思ったが、話をするのが優先だ。俺は少し怪しい宗教の人の様に、おじさんのそれまでを当てた。
「なんでそこまで……」
少し当て過ぎたかなとも思いつつ、おかげで占いなんかを絶対に信じなさそうなおじさんも、次第に俺のはなしを聞き始めた。
「そこまで分かっておられるのでしたら、私はこれからどうすれば良いのでしょうか?」
そう言って、未だに悲壮感漂う彼に開運グッズ屋さんで購入した紙袋を渡した。
「これを持ってその人の所にいきましょう!」
雑な決め台詞と、怪しさ満点の"開運"と書かれた紙袋なのだけど、教祖様と化した俺の言葉を信じ付いてきてくれる事になった。
よし、これで反撃開始!
あとはサブローさんが上手くやってくれていれば……。
となりで歩くオスのデブ猫……いや三毛猫は、気になるようでしつこく話しかけてくる。
俺は今回の作戦には、少しだけ自信があった。というのもサブローが現れてくれた事が大きい。
町中を歩き、迷わずに向かう。サブローもその事は知っている。
「なぁ、やっぱり殺すにしても作戦っちゅうもんがあるんちゃうか? 危ないからミイコ置いて来たんやろけど……」
「サブローさんは、妖怪なんでしたっけ?」
「そうやで。それいうたらミイコも猫又なんやけどなぁ……」
ほぼ見た目は猫と変わりは無いのだが、長い間生きて化ける事ができるようになると猫又になるのだという。
「やっぱり妖怪って強いんですか?」
「まぁ、猫又が強いんやのうて、ワシが強いんや。ミイコは同じでも綺麗に化けるのが得意やからなぁ……」
確かに、ミイコが巫女になっている時は普通の人間と言われても全く違和感が無い。あれはあれであの子の能力だったわけだ。
そうこうしているうちに、俺たちはビルの前に着いた。
「なんやのここ? もしかしてここかいな?」
「そう、おじさんを追いやった人の事務所が3階にあるみたいなんだ」
「やっぱり神さん、そのまま突入やんか!」
「サブローさん、もしかしてびびってる?」
「そんなわけあるかい! ワシは巷ででも恐れられた猫又やで? せやけど、今のご時世そのままザックリ行くんは危なないか?」
サブローのいう通りここで、そのまま突入する時代では無い。それに、元々そのつもりは全く無かった。
「サブローさん、ちょっといいかな?」
「わかった、わかった。もう、ワシもはらくくったわ」
近づいてきたサブローに、作戦を説明する。
「はーん! なんやそういうことかいな! それやったらまかしとき!」
サブローはそう言ってビルの中に入って行った。
うまくやってくれるといいんだけど……。
事務所の方は彼に任せるとして、俺は再び歩き出した。そう、これはサブローさんにだけ任せる訳には行かない。こっちはこっちで、別のする事があった。
俺はまず、開運グッズ屋さんに向かう。神様が開運グッズを買うなんて変なはなしなのだが、一番それっぽいものが売っているからだ。
いくつかのグッズを買うと、俺はあのおじさんのところに向かう。お店を経由してもお客さんとして来ていたのもあって意外と近い場所におじさんの家はある。
あ、そっか……このままじゃ見えないんだったっけ?
少し物陰に隠れ、姿を見えるようにすると、おじさんの家のインターホンを鳴らした。
「すいませーん!」
しばらくして、アパートの奥から物音が聞こえる。多分警戒しているのだろう。
再びインターホンを押すと、チェーンをかけたままドアが開いた。
「あの……どちら様でしょうか?」
そう言われ、一瞬焦る。まさかこないだ願いを受けた神様ですという訳には行かない。俺は元々の本名で名乗る事にした。
「神代と言う者なんですけど……」
「はい……」
おじさんは、チェーンを開けてくれる様子は無く、そのまま話を進めようとした。
「あの……お札入りませんか?」
「ちょっとそう言うのは……」
当たり前だ、今のままではお札を売りつけようとしている悪徳業者にしか見えない。おじさんがドアを閉めようとしたので慌てて叫ぶ。
「あのっ、自殺とか考えてますよね?」
「えっ……い、いや……」
動揺したのか、閉めようとしたドアが止まる。俺はそのまま追うように言った。
「それに……殺したい人がいる……」
「ど、どうしてそれを……」
このまま私は神ですとか言ってしまおうかとも思ったが、話をするのが優先だ。俺は少し怪しい宗教の人の様に、おじさんのそれまでを当てた。
「なんでそこまで……」
少し当て過ぎたかなとも思いつつ、おかげで占いなんかを絶対に信じなさそうなおじさんも、次第に俺のはなしを聞き始めた。
「そこまで分かっておられるのでしたら、私はこれからどうすれば良いのでしょうか?」
そう言って、未だに悲壮感漂う彼に開運グッズ屋さんで購入した紙袋を渡した。
「これを持ってその人の所にいきましょう!」
雑な決め台詞と、怪しさ満点の"開運"と書かれた紙袋なのだけど、教祖様と化した俺の言葉を信じ付いてきてくれる事になった。
よし、これで反撃開始!
あとはサブローさんが上手くやってくれていれば……。
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