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04 信頼関係
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「わかってるっすよ!」
ロランはそう言うと、気遣う様にラニの手を引きリビングの方に歩いて来た。
「だから……」
「陛下にたのまれたんすよ。師匠の家の周りに小さい子がいるはずだって」
「アレクの奴……」
ロランは慣れた様子でマティスの向かいに座ると、ラニを隣にちょこんと座らせた。
「ロラン、そいつは危ないぞ……」
「何言ってんすか、こんなに小さくて可愛らしいじゃないっすか?」
「お前はそいつの怖さを知らないだけなんだ……」
「なるほど……そしたら、自分にもこの子の事情聞かせてもらえないっすか?」
ロランは落ち着いた様子で、マティスの方を見た。多分彼はアレクに頼まれた際に、ある程度話を聞いていたのだろう。
マティスはロランにアレクからラニを貰い受けた事、そこからタロトとの交戦までの事を細かく話した。彼は相槌をうつように頷き、話が終わると口を開いた。
「それ、ラニちゃん何も悪く無いっすよね?」
「は? タロトを喰ったんだぞ? お前話聞いてたのか?」
マティスの勢いにラニは肩を竦め下を向く。
「だって、食べたのも自分を守る為か師匠を助けるためっすよね?」
「そうだけど……剣の無い今、こいつがいきなり襲いかかって来たらどうするんだよ……」
するとロランはスッと立ち上がり、自らの剣を抜くと鋭い剣線でマティスに突き付けた。
「うぉっ! いきなり何すんだよ!」
「チェックメイト……それを言うなら、自分も丸腰の師匠なら勝てますよ? 怖いっすか?」
ロランのいきなりの行動に、言葉をつまらせた。
するとステラは割り込む様に野菜のスープをロランの前に置いて言った。
「マティスさんはまだその子の事を信頼して無いだけなんじゃ無いかい?」
「……はい」
「それを言うなら、持ち主を傷付けないっていう盟約のある【大罪武器】の方が自分より信頼できるっすよ?」
「そうは言ってもだな……」
頭を抱えるマティスに、座り直したロランは追い討ちをかけるように言う。
「師匠らしく無いっす……」
「らしく無いって、俺は……」
「隠してるつもりかも知れないっすけど、怖がりなのは知ってるっす」
「はぁ!? うそだろ!!」
マティスは驚いて席をたつ。それを見て驚いたのか、猫のクロは離れる様に玄関に向かい走って行った。
「弟子になって4年……その事に気づかない方が変すよ。それでも自分の力を過信ぜず、冷静かつ合理的にどうすれば安全かを求めて乗り越えて来たのが師匠っす……」
「ちょっと待て、いつ頃から気付いてたんだ?」
「野営してるゴブリンキングを討伐しに行った時っすかね?」
「いやいやいや……それ、初めて一緒に行った依頼じゃねーか」
――まさかそんなに早くからロランは気付いていたのか……。
「でも、あの時っすよ。師匠に付いて行こうと思ったのは……この人のレベルでも怖いんだ、それでもちゃんと自分の事を助けようとしてくれる人なんだって……」
「あの時はロランが考えなしに突っ込んで行ったからだろ?」
「いや、足震えて目が泳いでいる人に行かせられないでしょ! でも、ちゃんとやられそうになったら自分の前に立ってくれましたよね?」
「いや……まぁ……」
「そこから、ゴブリンキングを瞬殺した時は殴ろうかと思ったっすけどね。そんな簡単に倒せるなら早く行けよと……」
「あの……上げるか下げるかはっきりしてもらっていいかな?」
ロランは笑うとラニの頭をやさしく撫でる。ラニも嫌がる様子も無く目を細めて笑った。
「あの時の自分より、ラニちゃん可愛いっすよ? 大人しいし、いい子じゃ無いっすか~。ほらほっぺたもプニプニで~!」
ガブッ!
「痛っ! 噛んだ!」
「ははは、今のはロランが悪いだろー」
マティスが笑うと、ロランはニヤリと笑う。
「ほら、大丈夫っすよね?」
「……まぁ……な」
「はい、ラニちゃん師匠の隣に座るっす!」
彼がそう言うと、ラニはオドオドしながら上目遣いになる。それから、マティスを見ながら小さい声を出して言った。
「主……座ってもいいの?」
その可愛らしい姿にマティスは少し照れながら頷くと、彼女は嬉しそうにマティスの膝に乗って笑顔になった。
「えっ! 膝にすわるのか!?」
「いいじゃないっすか~! なんか親子みたいっすねー!」
「あら本当、どことなくマティスさんに似てるんじゃないかい?」
「そんな事は……無い。そして、身に覚えもない」
ニコニコとマティスを見上げるラニを見てマティスは小さい声で囁いた。
「変な事言ってごめんな……」
「ラニも怖がらせてごめんなさい」
ロランのおかげで、少しだけラニとの距離が近くなった様に感じた。ラニは心の無い武器なわけじゃ無い……ちゃんと意志のある一人の女の子なのかもしれないとマティスは思い始めていた。
「なんかいい雰囲気の中悪いんすけど……師匠はとりあえず騎士団解雇なんで!」
「……えー!?」
「いやいや、自分で陛下に剣が持てない以上無理だって言ったんすよね?」
「言ったけど……こいつ飯めちゃくちゃ食いそうなんだけど……お金大丈夫かな……」
ラニを見ると緊張が解けたのかテーブルのパンをこれでもかと言わんばかりに頬張っている。どう考えても大食いなのは間違い無いだろう。
「まあまあ、剣にする事が出来るように陛下からのアドバイスをもらってるっす!」
「アドバイス……?」
「陛下ほ使えるようになる為に、大罪武器を自由に使いこなす【精霊王ルノワール】の所に行けって言ってたっす!」
【5つの災】の一つ、精霊族。人族とも友好関係にあるそこの長であれは【大罪武器】を持っていてもおかしくはない。
アレクが【大罪武器】を自由に使いこなすと言っているから、ルノワールが詳しいという裏付けが有るのは間違い無いだろう。
だが……。
「……精霊族の国って何処にあるんだ?」
「いや、それは知らないっすよ……」
「……それは無理じゃないか?」
「探すのも試練っすよ! 精霊教会とか、それっぽい所から当たってみるっす!」
「それなら、ロランもくるんだよな?」
「いや自分は、師匠の引き継ぎと騎士団の仕事があるんで行けないっすね……」
――ロランとアレクの薄情者ー!
こうしてマティスは、翌日からラニを連れて【精霊王】を探す為に精霊教会に行ってみる事にした。
──精霊だから精霊教会って安直過ぎないか?
ロランはそう言うと、気遣う様にラニの手を引きリビングの方に歩いて来た。
「だから……」
「陛下にたのまれたんすよ。師匠の家の周りに小さい子がいるはずだって」
「アレクの奴……」
ロランは慣れた様子でマティスの向かいに座ると、ラニを隣にちょこんと座らせた。
「ロラン、そいつは危ないぞ……」
「何言ってんすか、こんなに小さくて可愛らしいじゃないっすか?」
「お前はそいつの怖さを知らないだけなんだ……」
「なるほど……そしたら、自分にもこの子の事情聞かせてもらえないっすか?」
ロランは落ち着いた様子で、マティスの方を見た。多分彼はアレクに頼まれた際に、ある程度話を聞いていたのだろう。
マティスはロランにアレクからラニを貰い受けた事、そこからタロトとの交戦までの事を細かく話した。彼は相槌をうつように頷き、話が終わると口を開いた。
「それ、ラニちゃん何も悪く無いっすよね?」
「は? タロトを喰ったんだぞ? お前話聞いてたのか?」
マティスの勢いにラニは肩を竦め下を向く。
「だって、食べたのも自分を守る為か師匠を助けるためっすよね?」
「そうだけど……剣の無い今、こいつがいきなり襲いかかって来たらどうするんだよ……」
するとロランはスッと立ち上がり、自らの剣を抜くと鋭い剣線でマティスに突き付けた。
「うぉっ! いきなり何すんだよ!」
「チェックメイト……それを言うなら、自分も丸腰の師匠なら勝てますよ? 怖いっすか?」
ロランのいきなりの行動に、言葉をつまらせた。
するとステラは割り込む様に野菜のスープをロランの前に置いて言った。
「マティスさんはまだその子の事を信頼して無いだけなんじゃ無いかい?」
「……はい」
「それを言うなら、持ち主を傷付けないっていう盟約のある【大罪武器】の方が自分より信頼できるっすよ?」
「そうは言ってもだな……」
頭を抱えるマティスに、座り直したロランは追い討ちをかけるように言う。
「師匠らしく無いっす……」
「らしく無いって、俺は……」
「隠してるつもりかも知れないっすけど、怖がりなのは知ってるっす」
「はぁ!? うそだろ!!」
マティスは驚いて席をたつ。それを見て驚いたのか、猫のクロは離れる様に玄関に向かい走って行った。
「弟子になって4年……その事に気づかない方が変すよ。それでも自分の力を過信ぜず、冷静かつ合理的にどうすれば安全かを求めて乗り越えて来たのが師匠っす……」
「ちょっと待て、いつ頃から気付いてたんだ?」
「野営してるゴブリンキングを討伐しに行った時っすかね?」
「いやいやいや……それ、初めて一緒に行った依頼じゃねーか」
――まさかそんなに早くからロランは気付いていたのか……。
「でも、あの時っすよ。師匠に付いて行こうと思ったのは……この人のレベルでも怖いんだ、それでもちゃんと自分の事を助けようとしてくれる人なんだって……」
「あの時はロランが考えなしに突っ込んで行ったからだろ?」
「いや、足震えて目が泳いでいる人に行かせられないでしょ! でも、ちゃんとやられそうになったら自分の前に立ってくれましたよね?」
「いや……まぁ……」
「そこから、ゴブリンキングを瞬殺した時は殴ろうかと思ったっすけどね。そんな簡単に倒せるなら早く行けよと……」
「あの……上げるか下げるかはっきりしてもらっていいかな?」
ロランは笑うとラニの頭をやさしく撫でる。ラニも嫌がる様子も無く目を細めて笑った。
「あの時の自分より、ラニちゃん可愛いっすよ? 大人しいし、いい子じゃ無いっすか~。ほらほっぺたもプニプニで~!」
ガブッ!
「痛っ! 噛んだ!」
「ははは、今のはロランが悪いだろー」
マティスが笑うと、ロランはニヤリと笑う。
「ほら、大丈夫っすよね?」
「……まぁ……な」
「はい、ラニちゃん師匠の隣に座るっす!」
彼がそう言うと、ラニはオドオドしながら上目遣いになる。それから、マティスを見ながら小さい声を出して言った。
「主……座ってもいいの?」
その可愛らしい姿にマティスは少し照れながら頷くと、彼女は嬉しそうにマティスの膝に乗って笑顔になった。
「えっ! 膝にすわるのか!?」
「いいじゃないっすか~! なんか親子みたいっすねー!」
「あら本当、どことなくマティスさんに似てるんじゃないかい?」
「そんな事は……無い。そして、身に覚えもない」
ニコニコとマティスを見上げるラニを見てマティスは小さい声で囁いた。
「変な事言ってごめんな……」
「ラニも怖がらせてごめんなさい」
ロランのおかげで、少しだけラニとの距離が近くなった様に感じた。ラニは心の無い武器なわけじゃ無い……ちゃんと意志のある一人の女の子なのかもしれないとマティスは思い始めていた。
「なんかいい雰囲気の中悪いんすけど……師匠はとりあえず騎士団解雇なんで!」
「……えー!?」
「いやいや、自分で陛下に剣が持てない以上無理だって言ったんすよね?」
「言ったけど……こいつ飯めちゃくちゃ食いそうなんだけど……お金大丈夫かな……」
ラニを見ると緊張が解けたのかテーブルのパンをこれでもかと言わんばかりに頬張っている。どう考えても大食いなのは間違い無いだろう。
「まあまあ、剣にする事が出来るように陛下からのアドバイスをもらってるっす!」
「アドバイス……?」
「陛下ほ使えるようになる為に、大罪武器を自由に使いこなす【精霊王ルノワール】の所に行けって言ってたっす!」
【5つの災】の一つ、精霊族。人族とも友好関係にあるそこの長であれは【大罪武器】を持っていてもおかしくはない。
アレクが【大罪武器】を自由に使いこなすと言っているから、ルノワールが詳しいという裏付けが有るのは間違い無いだろう。
だが……。
「……精霊族の国って何処にあるんだ?」
「いや、それは知らないっすよ……」
「……それは無理じゃないか?」
「探すのも試練っすよ! 精霊教会とか、それっぽい所から当たってみるっす!」
「それなら、ロランもくるんだよな?」
「いや自分は、師匠の引き継ぎと騎士団の仕事があるんで行けないっすね……」
――ロランとアレクの薄情者ー!
こうしてマティスは、翌日からラニを連れて【精霊王】を探す為に精霊教会に行ってみる事にした。
──精霊だから精霊教会って安直過ぎないか?
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