僕は君の━・・なに?

緋露

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翌日、六時間目の授業を終えて、一人机でボーッと突っ伏していると・・。

「おーい、優!月ヶ瀬がお前に用があるって!」

教室の後ろのドアから、和井が俺に向けて声を張って叫んだ。

━━・・そんなに大声出さなくても聞こえるのに・・

「わかった」

少し気だるく身体を動かし、和井の方にトボトボとした緩い足取りで向かった。
ドアまでに辿り着くと、いつもより静かな表情をした月ヶ瀬がいた。

━━昨日と同じ顔・・

少し間をおいてから、月ヶ瀬が口を開いた。

「五乙女先輩・・ついてきてください」

俺は月ヶ瀬の言う通り、大股で歩く月ヶ瀬の後ろをトボトボとついていった。
少し歩いて、気がついたら人がほぼいなくなっていた。人がいなくなっていることに気づきながらも月ヶ瀬について行くと、今はもう誰も使わず、近寄りもしない展示ルームに着いた。

━━こんなところまで来て何をするんだ?

「月ヶ瀬・・?」

急に立ち止まった月ヶ瀬の背に向かって声をかけた。月ヶ瀬がゆらりとこちらに振り向く。

「五乙女先輩・・先輩は、━・・して」

下を向いたまま、暗い声で月ヶ瀬が言う。声がだんだんしぼんでいっていて、後半何をいっているのか、わからなかった。

「え?何て言った?」

「五乙女先輩!」

「い・・痛━」

月ヶ瀬に大声で名前を呼ばれると同時に肩を掴まれ、壁に打ち付けられた。
そのまま、月ヶ瀬が俺に覆い被さるような形で、俺の頭上の壁に手をついた。
あまりの勢いに、声が漏れた。

「つ・・月ヶ瀬?」

少し戸惑いながらも、頭を上げ、月ヶ瀬の顔を見る。月ヶ瀬は、今にも泣き出してしまいそうな、追い詰められた顔をしていた。

「五乙女先輩は、どうして・・俺の言うことを何でも聞くんですか?」

月ヶ瀬は、とても苦しそうだったけれど、俺に向けた視線が鋭くて真剣なのだとすぐにわかった。

「それは・・お前が好きだから」

真剣な月ヶ瀬に、素直に答える。

━━ここで、言葉を濁してはいけない、はぐらかしちゃだめだ

と、思った。

「好きだったら・・何でも言うこと聞くんですか?」

「うん」

「じゃぁ・・なんでそこまで俺のこと好きなんですか?あんな人前でひどいことさせたのに・・」

「それは・・月ヶ瀬が、俺のそばにいるから・・」

「━・・どういう意味ですか?」

月ヶ瀬は少し驚いたような顔をして、俺を見つめる。

「俺は小6のとき、男の幼馴染みのことを好きになった。隠そうと思った。でも、中学のときに告った。そしたら、優しい幼馴染みが初めて俺に差別の目を向けたんだ・・それから、幼馴染みに突き離された・・。でも!月ヶ瀬は違った!月ヶ瀬は俺の気持ちを知っても、そばに居てくれた・・・っ俺に、触れてくれた!それが俺にとって・・どんなに嬉しかったか━・・」

俺は目に涙をためながら、月ヶ瀬に必死に投げかけた。

「だから!突き離されたくなかったから・・何でも言うことを聞いた。それで、月ヶ瀬がそばに居てくれるんだったら・・俺は何でもする!」

次々に流れ出てくる涙を手でぬぐいながら、月ヶ瀬のシャツの裾を強く掴んだ。

「月ヶ瀬、お願いだ・・。恋人にもセフレにもならなくていいから・・俺のそばに居てくれ、触れてくれ、お願いだ・・」

言葉の最後がしぼんでかすれた。

「はぁ・・五乙女先輩が言ってくれたので、俺も白状します」

月ヶ瀬が俺から一歩離れた。

「この間の帰り、俺が友達と帰ってたら、先輩が和井先輩と仲良くしてて・・俺といるときはそんなに、笑わないのに和井先輩と一緒のときはよく笑ってて・・正直、妬きました。恥ずかしながら・・・」

俺はそれを聞き、はっと涙が止まった。

「え・・月ヶ瀬、それって━」

「五乙女先輩」

俺は目を見開いた。俺の言葉をかきけして名前を呼ばれ、そのまま俺の目の前が暗くなった。

━━き、す?俺いま、月ヶ瀬にキスされてるのか?今まで、どんなときでも、一度もされたことがなかったのに・・・

俺と月ヶ瀬の唇が離れる。すぐに月ヶ瀬の両腕が背中まで、回ってきて、俺は強く抱き締められていた。

「好きです。五乙女先輩」

先ほど止まった涙が、いつの間にかまた、流れていた。

━━月ヶ瀬が俺のことが好き?

「月ヶ瀬ぇ・・ありがとう」

俺は月ヶ瀬の肩に顔を埋めて大泣きした。

「五乙女先輩、今日部活ないですよね、うちに来てください」

周りに人はいないのに、こっそりと秘密の話をするみたいな小声で、月ヶ瀬がそう言った。

「うん」

 ̄ ̄ ̄___

「んっ・・あぁ」

恋人の部屋。聞こえるのは水音、吐息。
窓の外には・・・雪。

「五乙女先輩・・・力抜いてください」

「そんなこと・・いったって、ぁあ」

月ヶ瀬は俺の弱いところばかり攻めてくる。

「っここ・・ですよね・・・前立腺」

含み笑いで、月ヶ瀬が言う。

「ふぁ・・あっ、嫌だ、つき、がせぇ、そこばっかり」

無理矢理出される喘ぎ声のせいで、呼吸がうまくできない。俺は月ヶ瀬の方に手をやり、ハグを求める。月ヶ瀬は、それを優しく対応してくれた。

「つきがせぇ・・うぁあ、んん・・っあ」

肌が触れあって安心したのも束の間、月ヶ瀬がさっきよりテンポを上げで、奥を突いてきた。

「はっ、あ!や・・・まって、奥・・やだ」

「嘘つき、素直にいいっていってくださいよ」

月ヶ瀬が深いところまで込み上げてくる。

━━はぁ・・あっ、ヤバイ・・・いきそ

「五乙女先輩、一緒にいきましょ」

「!っ━━━」

俺と月ヶ瀬は二人同時に達した。

━━奥が、熱い・・

「はぁ、はぁ、」

俺も月ヶ瀬も汗だくだ。

「先輩・・・」

「ん、━━・・んぅ、チュ」

「五乙女先輩・・好きです」

優しく俺の頭を撫でながら、月ヶ瀬が言った。

今は雪が降るほどとても寒い、冬。思い出したくもない過去、君がすべてを塗り潰して行く・・。

「俺も、月ヶ瀬が大好きだ」

              FIN


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