僕は君の━・・なに?

緋露

文字の大きさ
9 / 11

優の家でお泊まり!(1)

しおりを挟む
俺は今、ある話で浮かれている。多分相当変な顔をして。
つい5分前のこと、俺は初デート以来、全く会えていなかった大切な人に電話をかけた。

数回、受信待ちの音がしたあと、通話口から聞き慣れた声が聞こえてきた。

「あ、五乙女先輩?聞いてください、次の週末から4日間部活がなくなりました」

『え、奇遇だな、俺も次の週末から6日間休みなんだ』

「本当ですか」通話口から思いもよらない言葉が耳に入り、嬉しくて先輩には聞こえないくらい小さく喚声を上げた。

『そこで提案してもいいか?』いつもと特に変わらない先輩の声。「何ですか?」その声に、俺もいつも通り返す。

『もし月ヶ瀬がよかったらだけど・・・俺の家に来ないか?一泊二日で』

最後辺りの言葉が小さくなっていた気がした。俺のそうだけど、久々に話してるから、互いに多少は緊張しているのかもしれない。

「え、泊まり・・・・・・ですか?先輩の家で?」

『あぁ・・・・・・いやっまぁ、その、月ヶ瀬が嫌なら俺は全然、構わないが・・・・』

今のはさすがに俺でも確信した。今先輩が、自分から泊まりに誘って恥ずかしがっていることに。
これは攻め時・・・と思った俺は、少し意地の悪い質問をしてみた。

「ふーん、俺この提案・・本当に断ってもいいんですか?」

『あぁ、別に断ってもくれても・・・構わ━・・・』

俺の質問の意図を察したのか、丁度いいところで言葉が途切れた。

「構わ?」

まんまと罠にかかった獲物に問うように一言。
そしてまんまと引っ掛けられた獲物は、数秒間沈黙の空間を作ってから、口を開いた。

『・・・・構わ━・・なく、ない・・・・デス』

分かりやすく声を震わせて、やはりだんだんと声が遠くなっていった。
薄桃色の瞳を潤わせて、顔を耳まで真っ赤にしている先輩の姿が鮮明に想像できる。

「━・・ふっ」

『なっ、っ━・・笑うな、めちゃくちゃ恥ずかしいんだぞ』

なんだか声がこもっていて聞き取りにくかった、きっとクッションにでも顔を埋めているのだろう。

「すいません、つい、先輩が可愛くて、ははっ」

『可愛くない、バカ・・・それで、来るのかこないのか?!』

「行きます、是非行かせてください」

そこで先輩から、通話が直ぐに切られた。
あらら、相当照れてるな・・・



それからメールで日時を決めるやり取りをして、先輩から「雪覇くんも一緒でも、構わないが・・w」と送られたときはさすがに鳥肌がたった。・・・普通に断ったけど。
日時も決まったら、あとは行くだけ、当日が楽しみすぎて部活の時、無意識に誰よりも多く走って、自己新記録をバンバン出し続けていたようだ。後々、同じ部活で同級の井上暁彦(イノウエア キヒコ)と古風な名前をしたやつに話されてからやっと気が付いた。


お泊まり当日・・・月ヶ瀬が来る日。
ど、どうしよう・・・月ヶ瀬が今日来る、のか・・・・・・緊張するぅ
朝7時、いつもは目覚ましで起きるのだが、今日に限っては自然と目が覚めた。二度寝をしようにも寝付けずに、朝食を済ませて。
今、リビングでまったり━━・・過ごせるわけもなく、部屋の掃除をしている。
頭のなかは、無意識に月ヶ瀬でいっぱいで、さっきから同じところばかり拭いている。
月ヶ瀬が家に来る・・・一人暮らしの俺の家に・・来る、つまり二人きり・・?!いやいやいや!そんな疚しいことなんて、ない・・・・・・多分



月ヶ瀬晴はいつもは感情を顔には出さないが、今は少し違う。口元がちょっと緩んでいる。
ここが・・・先輩の家、マンション住まいか
表札に「五乙女」と記されたドアの前で、突っ立っている。
少し緊張しながらも、インターホンに手を伸ばす。2回ほどベルの音が響いて、ゆっくりとドアが開いた。
薄紅色のさらっとした短髪。目にはまた薄紅色の大きな宝石が収まっている。少しずつラフな格好をして出てきた彼は、俺が愛して止まない恋人。

「っはあ、月ヶ瀬、いらっしゃい」

やんわりと口を横に開いて、俺を迎えてくれた。
て・・・天使が見える・・・・

「ほら、入って」

天使が短い廊下に立って俺を手招きしている。

「お邪魔します・・・」
 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

【8話完結】いじめられっ子だった僕が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

【完結】  同棲

蔵屋
BL
 どのくらい時間が経ったんだろう 明るい日差しの眩しさで目覚めた。大輝は 翔の部屋でかなり眠っていたようだ。 翔は大輝に言った。  「ねぇ、考えて欲しいことがあるんだ。」  「なんだい?」  「一緒に生活しない!」 二人は一緒に生活することが出来る のか?  『同棲』、そんな二人の物語を  お楽しみ下さい。

処理中です...