嫁は美しき元王女!だが、俺の平穏は嫁のせいでぶっ壊れました

モンジ・コタロウ

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第1話 山奥デビュー!謎のサイコロで大金持ち?

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《【速報】40歳無職男、ついに理想の山暮らし開始!しかし現実は甘くなかった...》

朝日が森の向こうから昇ってくる。二つの月が沈み、空がオレンジ色に染まっていく。

俺は木の根元に背中を預けて目を覚ました。体中が痛い。地面で寝るとこんなに体に堪えるのか。40歳の肥満体には辛すぎた。

「うげ...腰が...」

立ち上がろうとして、俺は腰の痛みに呻いた。YouTubeで見たキャンプ動画では、みんな楽しそうに野宿していたのに、現実はこんなに過酷だとは。

革袋を確認する。中のサイコロは健在だった。昨夜は暗くてよく見えなかったが、改めて見ると精巧な作りをしている。特に金製とプラチナ製は、重厚感がある。

「まあ、売れば多少の金にはなるかな...」

俺はサイコロを革袋に戻し、首からぶら下げた。人に見られたら盗まれるかもしれない。用心に越したことはない。

空腹が襲ってきた。昨日は通り魔に刺される前にコンビニ弁当を食べただけ。もう24時間近く何も食べていない。

「まずは食料と住む場所を確保しないと...」

俺は重い足を引きずりながら、森の中を歩き始めた。

《【衝撃】川魚発見で大興奮!しかし釣りは素人レベル...》

森を30分ほど歩くと、清流が流れている場所に出た。水は透明で、底まで見える。小さな魚が泳いでいるのが確認できる。

「お、魚がいるじゃん」

俺の心は躍った。これで食料は確保できる。問題は、どうやって捕まえるかだ。

釣り竿はない。網もない。素手で捕まえるしかないのか。

俺は服を脱ぎ、下着姿で川に入った。冷たい水が肥満体を刺す。

「うわっ、冷たっ!」

魚に向かって手を伸ばすが、当然ながら逃げられる。何度やっても同じだった。俺の動きは鈍く、魚の方がはるかに速い。

1時間格闘したが、1匹も捕まえられない。それどころか、濡れた岩で滑って尻もちをつき、川の中で転倒してしまった。

「くそ...こんなはずじゃ...」

ずぶ濡れになった俺は、川岸で膝を抱えて座り込んだ。空腹と疲労で思考力が低下している。

このとき、革袋のサイコロがカラカラと音を立てた。

「そうだ...あのチンピラ野郎が言ってたな。『お前みたいな無能でも生き残れるように俺のギフトやる』って」

ギフト。贈り物。もしかして、このサイコロに何か秘密があるのか?

俺は革袋から銅製のサイコロを2個取り出した。手のひらに乗せると、ほんのり温かい。

「どうすればいいんだ?」

試しに振ってみることにした。

「えいっ」

サイコロを地面に転がす。出た目は「3」と「5」。合計8。

すると、俺の前に光る粒子が現れ、それが金貨の形になって落ちてきた。

「え?」

俺は目を疑った。8枚の金貨が地面に落ちている。手に取ってみると、ずっしりとした重量感がある。本物の金だ。

金貨には見たことのない文字が刻まれているが、純度99%の高品質であることは素人目にも分かる。

「まさか...サイコロの目の数だけ金貨が出るのか?」

俺は震えた。これが本当なら、とんでもないアイテムを手に入れたことになる。

《【驚愕の事実】サイコロ1回で大金ゲット!しかし1日3回制限が判明》

興奮した俺は、もう一度サイコロを振った。今度は「6」と「4」。合計10。

10枚の金貨が現れた。

「やったぁ!」

俺は小躍りした。これで18枚の金貨を手に入れた。この金で食料を買い、道具を揃えることができる。

調子に乗った俺は、3回目のサイコロを振った。「2」と「6」で合計8。また8枚の金貨が出現。

合計26枚の金貨。俺は大金持ちになった気分だった。

しかし、4回目にサイコロを振っても、何も起こらなかった。

「あれ?」

何度振り直しても、金貨は出てこない。

「1日3回までなのか...」

俺は気づいた。チート能力にも制限があるということを。しかし、26枚もあれば当分は生活できるだろう。

問題は、どこでこの金貨を使うかだ。

《【潜入レポート】謎の村で金貨を換金!村人たちの反応は...》

川沿いを下流に向かって歩いていくと、煙が立ち上っているのが見えた。人里があるようだ。

小さな村だった。木造の家が10軒ほど並んでいる。畑では野菜が育ち、家畜小屋からは牛の鳴き声が聞こえる。

村人たちは俺を見て驚いているようだった。まあ、下着姿で濡れた肥満体の男が現れれば、そりゃ驚くだろう。

「す、すみません」

俺は慌てて服を着直した。幸い、革袋は肩からぶら下げたままだったので、サイコロは無事だ。

「あの...食べ物を分けてもらえませんか?お金は払います」

俺は金貨を1枚取り出して見せた。

村人たちは金貨を見て、さらに驚いた顔をした。そして何やらひそひそと話し合っている。

やがて、村長らしい老人が現れた。

「これは...神聖帝国時代の金貨ですね。1000年前の貴重なものです」

老人の言葉で、俺は金貨の価値を知った。とんでもなく貴重なものだったのだ。

「この金貨2枚あれば、贅沢しなければ1ヶ月は暮らせます」

老人は俺に食料と、簡単な道具を提供してくれた。パン、干し肉、毛布、ナイフ、鍋などの生活必需品。それで金貨2枚。

残り24枚もある。俺は小金持ちになったのだ。

《【独占スクープ】ついに山小屋建設開始!素人大工の奮闘記》

食料を確保した俺は、再び山に戻った。今度は住処を作らなければならない。

川のほとりで、平らな場所を見つけた。水源に近く、魚も狙える好立地だ。

「よし、ここに小屋を建てよう」

俺は村で買った斧で木を切り始めた。しかし、40歳の運動不足の体には重労働すぎた。30分で息が上がってしまう。

「はあ...はあ...きつい...」

YouTube で見た山小屋作りの動画では、もっと簡単そうに見えたのに。現実は甘くない。

それでも、3日間かけて何とか小屋らしきものを完成させた。歪んでいるし、隙間だらけだが、雨風はしのげる。

小屋の中に毛布を敷き、簡素なベッドを作った。これで地面で寝る必要はない。

「やったぞ...やっと人間らしい生活ができる」

俺は達成感に満たされていた。しかし、本当の試練はここからだった。

《【緊急事態】謎の荒くれ者が襲来!おじさんピンチ!》

小屋での生活を始めて1週間。俺は川魚を捕まえる技術を身につけ、野草や木の実も食べられるようになっていた。サイコロで得た金貨は大切に保管している。

そんなある日、小屋に粗暴な男たちがやってきた。

「おい、ここは俺たちの縄張りだ。立ち退け」

3人組の荒くれ者だった。筋骨隆々で、武器を持っている。俺のような肥満体では到底勝てない。

「す、すみません。知りませんでした」

俺は謝ったが、男たちは引き下がらない。

「立ち退き料として金貨10枚よこせ。それで勘弁してやる」

金貨のことを知っている。村で使ったとき、誰かが見ていたのかもしれない。

「そんなにありません...」

「嘘つくな!貴重な神聖帝国の金貨を持ってるって噂だぞ」

男の一人が俺の首からぶら下げた革袋に気づいた。

「それだな!」

男が革袋を奪おうと手を伸ばしてきた。

俺は咄嗟に銅製のサイコロを一つ取り出し、男に差し出した。

「こ、これでどうですか?」

「何だこれは?サイコロか?」

男は銅製のサイコロを掴んだ。

その瞬間、男の体が震え始めた。顔が青ざめ、口から泡を吹いて倒れてしまった。

「おい、どうした!?」

他の二人が慌てるが、男はそのまま動かなくなった。死んでいる。

「ま、まさか...」

俺は恐ろしい事実に気づいた。あのチンピラ野郎が言っていた『ギフト』には、何らかの呪いがかかっているのだ。俺以外が触れると死ぬ。

「こ、こいつ魔法使いだ!逃げろ!」

残りの二人は恐怖して逃げ去った。

俺は震えながらサイコロを拾い上げた。呪いのアイテム。とんでもないものを渡されたのだ。

しかし、これで俺の縄張りは守られた。誰も近づいてこなくなるだろう。

代償として、一人の命が失われたが...。

「俺は...人を殺してしまったのか...」

罪悪感が俺を襲った。しかし、同時に安堵もしていた。これで静かな山暮らしを続けられる。

複雑な感情を抱えながら、俺は山奥での生活を続けることにした。

*神界某所*

「おっ、やっと面白くなってきたじゃねーか」

ロキは水晶球を覗き込みながらニヤニヤしていた。

「まだまだこんなもんじゃねえぞ。本当の地獄はこれからだ」

邪悪な笑い声が神界に響いていた。
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