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第7章:時の残響(レゾナンス・オブ・ゼロ)
第45話:未来の選択
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白い閃光が外側層を満たした。
侵蝕核に“未来線”を突き立てた瞬間、
黒い世界は激しくうねり、
無数の観測眼が悲鳴のように揺らいだ。
《――――ミライ……
カクテイ……
アリエナイ……!!》
未来を喰うだけで生きていた侵入者にとって、
“未来を渡される”という現象は理解できないらしい。
黒い球体――侵蝕核は、
光の裂け目から白い蒸気を噴き上げてひび割れていく。
未来の素材が逆流し、
外側層のあちこちに飛び散った。
(……壊れていく……
いや、違う。
“破壊されてるんじゃない”――)
悠は息を呑んだ。
ひび割れの中から溢れる白い線は、どれも確かに“未来”だった。
(世界が……未来を取り返してるんだ……!)
そのとき。
背後から、起源の悠の声が届いた。
『悠――まだ終わってない。』
起源の悠はふらつきながらも、悠の肩をつかんだ。
その掌は、ほんの少し透けて見えた。
「……お前、身体が……!」
『気にすんな。
俺は“最初の観測者”だ。
ゼロ層に寄りすぎて、ただの観測記憶に戻りつつあるだけさ。』
苦笑しながらも、目は真剣だった。
『最後の仕事は――“選択”だ。
未来線の中から、ひとつを選ぶ。
世界が進むべきただ一つの道を。』
悠は周囲を見渡した。
白い空間に、無数の光線が浮かんでいる。
どれも異なる“未来候補”だった。
九条が笑っている未来。
奏が涙を流す未来。
誰も失われない未来。
誰かが犠牲になる未来。
涙を流す未来。
誰も傷つかない未来。
未来は一本ではなかった。
複数あり、そのどれもが“世界の可能性”として漂っていた。
悠の喉が震える。
「どれが……正しいんだ……?
どれを選べば、世界は壊れない?」
起源の悠は、静かに言った。
『正しい未来なんて、どこにもない。
あるのは――“選んだ未来が正しくなるように生きる”世界だけだ。』
「……それって……」
『未来は、観測されるから存在する。
そして――選ばれるから続いていく。』
その言葉は、外側層に優しく響いた。
悠は一歩前へ出る。
光線が、彼の前に集まり、一本の太い光を形作っていく。
(……これは……)
まるで“未来が悠を選んでいる”ようだった。
白い光の大河。
そこに映っているのは――
仲間たちが笑っている光景。
九条の皮肉っぽい笑み。
奏の安堵の表情。
そして――
「高梨……生きてるな。」
高梨がカメラを構えている未来。
どの未来でも、そこにいる。
(それなら……
俺が選ぶ未来は……決まってる。)
悠は手を伸ばした。
光線がゆっくりと指先に吸い込まれる。
未来の選択。
観測者が最後に行う、“確定”の瞬間。
起源の悠が小さく笑う。
『それが……お前の選ぶ未来か。』
「うん――俺が守りたい世界だ。」
悠の掌から光が溢れ、
外側層全体へ流れ込むように広がった。
黒い侵蝕は一斉に後退し、
観測眼の群れが悲鳴を上げた。
《――――ミライ……カエサレタ……!!
ミエナイ……ミエナイ……!》
侵蝕核が最後の叫びをあげ、
世界から完全に切り離される。
光が外側層を満たし――
“世界の未来が、確定した。”
悠は深く息を吐いた。
手の中にあった未来線が、温かく脈打つ。
その光が徐々に消えていくのを見ながら、
起源の悠が呟いた。
『やるじゃん、俺。』
悠は笑う。
「やめろ、なんか変な感じだわ。」
『そういうもんさ。
でも――これで、お前は完全な観測者だ。
俺の役目は、ここで終わりだ。』
起源の悠の輪郭が、
さらに薄くなっていく。
悠は思わず手を伸ばす。
「待てよ……!
まだ話したいこと……いっぱいあるだろ!」
起源の悠は微笑んだ。
『大丈夫。
俺は消えるんじゃない――“お前の中に戻る”んだ。
観測者は、一人でいい。
未来を繋ぐために。』
悠の胸の奥が熱くなる。
起源の悠は最後に、優しく言った。
『次は――零点の夜明けだ。
行けよ、悠。
世界がお前の帰りを待ってる。』
彼の姿が、光に溶けていく。
悠は拳を握りしめた。
(……待ってろ。
必ず、帰る。)
光は収束し、
外側層そのものが音を立てて閉じていった――。
侵蝕核に“未来線”を突き立てた瞬間、
黒い世界は激しくうねり、
無数の観測眼が悲鳴のように揺らいだ。
《――――ミライ……
カクテイ……
アリエナイ……!!》
未来を喰うだけで生きていた侵入者にとって、
“未来を渡される”という現象は理解できないらしい。
黒い球体――侵蝕核は、
光の裂け目から白い蒸気を噴き上げてひび割れていく。
未来の素材が逆流し、
外側層のあちこちに飛び散った。
(……壊れていく……
いや、違う。
“破壊されてるんじゃない”――)
悠は息を呑んだ。
ひび割れの中から溢れる白い線は、どれも確かに“未来”だった。
(世界が……未来を取り返してるんだ……!)
そのとき。
背後から、起源の悠の声が届いた。
『悠――まだ終わってない。』
起源の悠はふらつきながらも、悠の肩をつかんだ。
その掌は、ほんの少し透けて見えた。
「……お前、身体が……!」
『気にすんな。
俺は“最初の観測者”だ。
ゼロ層に寄りすぎて、ただの観測記憶に戻りつつあるだけさ。』
苦笑しながらも、目は真剣だった。
『最後の仕事は――“選択”だ。
未来線の中から、ひとつを選ぶ。
世界が進むべきただ一つの道を。』
悠は周囲を見渡した。
白い空間に、無数の光線が浮かんでいる。
どれも異なる“未来候補”だった。
九条が笑っている未来。
奏が涙を流す未来。
誰も失われない未来。
誰かが犠牲になる未来。
涙を流す未来。
誰も傷つかない未来。
未来は一本ではなかった。
複数あり、そのどれもが“世界の可能性”として漂っていた。
悠の喉が震える。
「どれが……正しいんだ……?
どれを選べば、世界は壊れない?」
起源の悠は、静かに言った。
『正しい未来なんて、どこにもない。
あるのは――“選んだ未来が正しくなるように生きる”世界だけだ。』
「……それって……」
『未来は、観測されるから存在する。
そして――選ばれるから続いていく。』
その言葉は、外側層に優しく響いた。
悠は一歩前へ出る。
光線が、彼の前に集まり、一本の太い光を形作っていく。
(……これは……)
まるで“未来が悠を選んでいる”ようだった。
白い光の大河。
そこに映っているのは――
仲間たちが笑っている光景。
九条の皮肉っぽい笑み。
奏の安堵の表情。
そして――
「高梨……生きてるな。」
高梨がカメラを構えている未来。
どの未来でも、そこにいる。
(それなら……
俺が選ぶ未来は……決まってる。)
悠は手を伸ばした。
光線がゆっくりと指先に吸い込まれる。
未来の選択。
観測者が最後に行う、“確定”の瞬間。
起源の悠が小さく笑う。
『それが……お前の選ぶ未来か。』
「うん――俺が守りたい世界だ。」
悠の掌から光が溢れ、
外側層全体へ流れ込むように広がった。
黒い侵蝕は一斉に後退し、
観測眼の群れが悲鳴を上げた。
《――――ミライ……カエサレタ……!!
ミエナイ……ミエナイ……!》
侵蝕核が最後の叫びをあげ、
世界から完全に切り離される。
光が外側層を満たし――
“世界の未来が、確定した。”
悠は深く息を吐いた。
手の中にあった未来線が、温かく脈打つ。
その光が徐々に消えていくのを見ながら、
起源の悠が呟いた。
『やるじゃん、俺。』
悠は笑う。
「やめろ、なんか変な感じだわ。」
『そういうもんさ。
でも――これで、お前は完全な観測者だ。
俺の役目は、ここで終わりだ。』
起源の悠の輪郭が、
さらに薄くなっていく。
悠は思わず手を伸ばす。
「待てよ……!
まだ話したいこと……いっぱいあるだろ!」
起源の悠は微笑んだ。
『大丈夫。
俺は消えるんじゃない――“お前の中に戻る”んだ。
観測者は、一人でいい。
未来を繋ぐために。』
悠の胸の奥が熱くなる。
起源の悠は最後に、優しく言った。
『次は――零点の夜明けだ。
行けよ、悠。
世界がお前の帰りを待ってる。』
彼の姿が、光に溶けていく。
悠は拳を握りしめた。
(……待ってろ。
必ず、帰る。)
光は収束し、
外側層そのものが音を立てて閉じていった――。
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