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第四章 ヴィエナの狂信者
4-23 一時帰還
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ナミディアでの調整に区切りをつけて王都へ戻る事にした。
もちろん、クローディアを救出し、マルムス教を壊滅に追い込むためにだ。
クローディアは王都ではなく、秘密のアジトの方にいると確認が取れたと知らせが来た。
他にもアジトがないとは言い切れないが、現時点では情報がない。
後の事は、家宰候補のルーファスと仲間達に任せて一時帰還だ。
毎日報告の使いを出すように言っておく。
王都への帰りは、馬車で大爆走。一晩中ぶっ通しだ。
馬車で眠り、馬車で起き、馬車で食事をして馬車で報告を聞く。
御者は二人連れて行き、交代で操縦させる。
こんな調子だから、王都へはナミディア行きにかかった時間の三分の一の時間で到着した。王都へ着くと、一旦家へ戻り、家族に顔を見せる。
そこで待っていたのは、家族だけではなかった。
発注していたナミディア家の馬車が完成し、家へ届けられていたのだ。
なんの変哲もない普通の馬車だが、ナミディア家の紋章が彫り込まれている。
レヴィンが紋章に選んだのは、風神雷神図屏風の風神の絵である。
とても良い出来である。再現度が半端ない。
何故雷神じゃないのか?という疑問にはこう言い返そう。
何故風神じゃダメなのか?と。
巷では、雷神だの雷帝だのと言った存在が強いキャラクターの異名として定着している。
風だって強キャラいるから!
○ォルセティとか○ートニックとか!
こう言う理由で風神がナミディア家の紋章に採用されたのであった。
後、一応、隣家のアリシア達にも久しぶりだし会っておいた。
王城へは、一緒に連れて来ていた執事候補のウォルターを使いに出した。
そして、新馬車の乗り心地を確認しがてら、冒険者ギルドへと赴く。先触れを出していなかったので、すぐに面会できるか不安だったが、大丈夫なようだ。
ランゴバルトはすぐにギルドマスターの部屋へと招き入れてくれた。
「おう。久しいな。元気そうじゃねぇか」
「お久しぶりです。マルムス教の件はどういう状況ですか?」
「せっかちだな。借りていた信徒服と覆面目出し帽と腕章を返すぜ。潜入するのに役立ったぞ」
「それは何よりです。クローディアさんとは接触できたんですか?」
「ああ、割と元気みたいだぞ。丁重に扱われてるって話だ」
「じゃあ、早速ぶっ潰しますか」
「なんでだよ! お前攻撃的すぎだろ」
ランゴバルトは突っ込みが苦手なようだ。
「やだなぁ、冗談ですよ。とりあえず計画を練りましょう」
「結構、余裕あるじゃねーか」
「いや、クローディアさんが無事だと解ったので、つい……」
「ああ……」
ランゴバルトが疲れた声を上げる。
「次の秘密集会までには、準備を整えたいところだな。潜入したヤツを含めて、関係者を招集しておく。打ち合わせは明日の十時でどうだ?」
「解りました。その方が話は速いですしね。僕は王城へ行って対策委員に報告してきます」
「スパイには気をつけろよ?」
「解ってますよ」
そう言うとレヴィンは王城へと向かった。
王城へ入ると、マルムス教対策委員会という看板が掲げられている部屋へとやってくる。そこには、通常二人の文官が常駐している。
と言っても、やっている事は住人から上げられた情報と、教団を監視している武官の情報を精査している程度だ。
ようするに暇を持て余している二人なのであった。
武官の二人は教団の監視任務についているため、一応仕事はしている。
そして、委員長は当然のようにいない。
これで給金が支払われているのだから、最早詐欺である。
文官に何か有益な情報はないか聞いてみたが、聞くだけ無駄だった。
ちなみにウォルターとは会えなかった。すれ違いになったようだ。
そこへ、訪れる一人の貴族がいた。
こんなところに来る貴族なんて夢か幻か、と思って名前を聞くと、聞き覚えのある名前を名乗る。フェルエン・フォン・マーランド男爵と言うらしい。
「これはナミディア卿。王都に戻ってらしたのですね」
「ちょっと野暮用がありまして。マーランド卿こそ、こんなところへ何の用事があっていらっしゃったのですか?」
「いえ、マルムス教の対策はどうなっているのかと気になりましてね。訪ねて参った次第です」
「対策も何も、委員長の方針通り、融和策を取っております。要は現状維持の静観ですね」
レヴィンは、基本的にこの件で貴族や官僚の力を借りる気は毛頭なかった。
委員会内の部下にすら情報を明かすつもりはなかったし、ましてや、こんなに怪しい人物には尚更である。
「そうなのですね……。何か情報があればと思ったのですが……」
殊勝な態度で、心配している振りをしているマーランド卿。
「そんなに心配なら、委員会に入られますか?」
「へ……? 私がですか?」
「他に誰がいるというのです」
「そ、そうですね。しかし私のような者が入ってもお役に立てませんし……」
「そうですか。まぁ私に人事権がある訳でもないので、入りたい場合は委員長にでもおっしゃってください」
「委員長ですか? わ、解りました。確認してみましょう……。では私はこの辺りで……」
一体何をしたかったのか解らない、マーランド卿を見送ると、レヴィンは文官その壱に武官のサーザイト・ウォーロックの居場所を確認すると伝言を頼んだ。
明日の冒険者ギルドでの打ち合わせに参加してもらうためだ。
サーザイトは、特にどこの貴族のお抱えでもない、官僚の一人だ。
一応、騎士爵を持っており、見たところやる気もある。
こんなところで燻っていて良い人物ではない。
今日、自分で探してみて会えなかった場合の事を考えて伝言を頼んだのだ。
王城からの帰りには、マッカーシー卿の邸宅に寄って挨拶とお願いをしておいた。近く実行に移されるであろうマルムス教団の悪魔崇拝者の検挙に向けて、警備隊のみでは心元ないのだ。それに、マッカーシー卿に手柄を立ててもらうつもりもあった。なんでも一人勝ちと言うのは避けるべきものである。
兵を出してもらうためのお願いは、レヴィンの希望通りに受諾された。
もっともマッカーシー卿にも何らかの思惑があるようであったが。
そして、自宅に馬車を置いて、貴族服を脱ぎ去ると、監視任務に当たっているというサーザイトの下へと徒歩で向かったのであった。
文官に聞いた通り、マルムス教徒がデモをやっている場所を探すと、思ったよりあっさりと彼を見つける事ができた。
「サーザイトさん。お疲れ様です」
「あ、えッ!? ナミディア卿? どうなさったんですか?」
「ちょっと勧誘に来ましたよっと」
「勧誘ですか?」
「突然ですが、サーザイトさん、うちで働きませんか? 騎士待遇で迎えますよ?」
「うえぇッ!? 突然何を言い出すんですかッ!?」
かなり驚愕の表情をしている。こんな珍妙な声を出すキャラじゃないだろと心の中で突っ込みつつ、追撃する。
「だから断ったじゃないですか。サーザイトさん、以前、やりがいのある仕事をしたいとおっしゃってましたよね?」
「突然の事でびっくりしています。お返事は後日で良いでしょうか?」
落ち着いたようだ。いつもの口調に戻っている。
「もちろんです。ところで、マルムス教対策の打ち合わせを明日、冒険者ギルドで行うので、参加して欲しいんです。十時からです」
「明日ですか? 随分、急ですね。解りました。参加させて頂きます」
「良かった。この事は他言無用でお願いしますね」
「承知致しました」
サーザイトに約束を取り付けたので、今日やるべき事は終わった。
帰って、リリスとクロエに癒されようと思うレヴィンであった。
もちろん、クローディアを救出し、マルムス教を壊滅に追い込むためにだ。
クローディアは王都ではなく、秘密のアジトの方にいると確認が取れたと知らせが来た。
他にもアジトがないとは言い切れないが、現時点では情報がない。
後の事は、家宰候補のルーファスと仲間達に任せて一時帰還だ。
毎日報告の使いを出すように言っておく。
王都への帰りは、馬車で大爆走。一晩中ぶっ通しだ。
馬車で眠り、馬車で起き、馬車で食事をして馬車で報告を聞く。
御者は二人連れて行き、交代で操縦させる。
こんな調子だから、王都へはナミディア行きにかかった時間の三分の一の時間で到着した。王都へ着くと、一旦家へ戻り、家族に顔を見せる。
そこで待っていたのは、家族だけではなかった。
発注していたナミディア家の馬車が完成し、家へ届けられていたのだ。
なんの変哲もない普通の馬車だが、ナミディア家の紋章が彫り込まれている。
レヴィンが紋章に選んだのは、風神雷神図屏風の風神の絵である。
とても良い出来である。再現度が半端ない。
何故雷神じゃないのか?という疑問にはこう言い返そう。
何故風神じゃダメなのか?と。
巷では、雷神だの雷帝だのと言った存在が強いキャラクターの異名として定着している。
風だって強キャラいるから!
○ォルセティとか○ートニックとか!
こう言う理由で風神がナミディア家の紋章に採用されたのであった。
後、一応、隣家のアリシア達にも久しぶりだし会っておいた。
王城へは、一緒に連れて来ていた執事候補のウォルターを使いに出した。
そして、新馬車の乗り心地を確認しがてら、冒険者ギルドへと赴く。先触れを出していなかったので、すぐに面会できるか不安だったが、大丈夫なようだ。
ランゴバルトはすぐにギルドマスターの部屋へと招き入れてくれた。
「おう。久しいな。元気そうじゃねぇか」
「お久しぶりです。マルムス教の件はどういう状況ですか?」
「せっかちだな。借りていた信徒服と覆面目出し帽と腕章を返すぜ。潜入するのに役立ったぞ」
「それは何よりです。クローディアさんとは接触できたんですか?」
「ああ、割と元気みたいだぞ。丁重に扱われてるって話だ」
「じゃあ、早速ぶっ潰しますか」
「なんでだよ! お前攻撃的すぎだろ」
ランゴバルトは突っ込みが苦手なようだ。
「やだなぁ、冗談ですよ。とりあえず計画を練りましょう」
「結構、余裕あるじゃねーか」
「いや、クローディアさんが無事だと解ったので、つい……」
「ああ……」
ランゴバルトが疲れた声を上げる。
「次の秘密集会までには、準備を整えたいところだな。潜入したヤツを含めて、関係者を招集しておく。打ち合わせは明日の十時でどうだ?」
「解りました。その方が話は速いですしね。僕は王城へ行って対策委員に報告してきます」
「スパイには気をつけろよ?」
「解ってますよ」
そう言うとレヴィンは王城へと向かった。
王城へ入ると、マルムス教対策委員会という看板が掲げられている部屋へとやってくる。そこには、通常二人の文官が常駐している。
と言っても、やっている事は住人から上げられた情報と、教団を監視している武官の情報を精査している程度だ。
ようするに暇を持て余している二人なのであった。
武官の二人は教団の監視任務についているため、一応仕事はしている。
そして、委員長は当然のようにいない。
これで給金が支払われているのだから、最早詐欺である。
文官に何か有益な情報はないか聞いてみたが、聞くだけ無駄だった。
ちなみにウォルターとは会えなかった。すれ違いになったようだ。
そこへ、訪れる一人の貴族がいた。
こんなところに来る貴族なんて夢か幻か、と思って名前を聞くと、聞き覚えのある名前を名乗る。フェルエン・フォン・マーランド男爵と言うらしい。
「これはナミディア卿。王都に戻ってらしたのですね」
「ちょっと野暮用がありまして。マーランド卿こそ、こんなところへ何の用事があっていらっしゃったのですか?」
「いえ、マルムス教の対策はどうなっているのかと気になりましてね。訪ねて参った次第です」
「対策も何も、委員長の方針通り、融和策を取っております。要は現状維持の静観ですね」
レヴィンは、基本的にこの件で貴族や官僚の力を借りる気は毛頭なかった。
委員会内の部下にすら情報を明かすつもりはなかったし、ましてや、こんなに怪しい人物には尚更である。
「そうなのですね……。何か情報があればと思ったのですが……」
殊勝な態度で、心配している振りをしているマーランド卿。
「そんなに心配なら、委員会に入られますか?」
「へ……? 私がですか?」
「他に誰がいるというのです」
「そ、そうですね。しかし私のような者が入ってもお役に立てませんし……」
「そうですか。まぁ私に人事権がある訳でもないので、入りたい場合は委員長にでもおっしゃってください」
「委員長ですか? わ、解りました。確認してみましょう……。では私はこの辺りで……」
一体何をしたかったのか解らない、マーランド卿を見送ると、レヴィンは文官その壱に武官のサーザイト・ウォーロックの居場所を確認すると伝言を頼んだ。
明日の冒険者ギルドでの打ち合わせに参加してもらうためだ。
サーザイトは、特にどこの貴族のお抱えでもない、官僚の一人だ。
一応、騎士爵を持っており、見たところやる気もある。
こんなところで燻っていて良い人物ではない。
今日、自分で探してみて会えなかった場合の事を考えて伝言を頼んだのだ。
王城からの帰りには、マッカーシー卿の邸宅に寄って挨拶とお願いをしておいた。近く実行に移されるであろうマルムス教団の悪魔崇拝者の検挙に向けて、警備隊のみでは心元ないのだ。それに、マッカーシー卿に手柄を立ててもらうつもりもあった。なんでも一人勝ちと言うのは避けるべきものである。
兵を出してもらうためのお願いは、レヴィンの希望通りに受諾された。
もっともマッカーシー卿にも何らかの思惑があるようであったが。
そして、自宅に馬車を置いて、貴族服を脱ぎ去ると、監視任務に当たっているというサーザイトの下へと徒歩で向かったのであった。
文官に聞いた通り、マルムス教徒がデモをやっている場所を探すと、思ったよりあっさりと彼を見つける事ができた。
「サーザイトさん。お疲れ様です」
「あ、えッ!? ナミディア卿? どうなさったんですか?」
「ちょっと勧誘に来ましたよっと」
「勧誘ですか?」
「突然ですが、サーザイトさん、うちで働きませんか? 騎士待遇で迎えますよ?」
「うえぇッ!? 突然何を言い出すんですかッ!?」
かなり驚愕の表情をしている。こんな珍妙な声を出すキャラじゃないだろと心の中で突っ込みつつ、追撃する。
「だから断ったじゃないですか。サーザイトさん、以前、やりがいのある仕事をしたいとおっしゃってましたよね?」
「突然の事でびっくりしています。お返事は後日で良いでしょうか?」
落ち着いたようだ。いつもの口調に戻っている。
「もちろんです。ところで、マルムス教対策の打ち合わせを明日、冒険者ギルドで行うので、参加して欲しいんです。十時からです」
「明日ですか? 随分、急ですね。解りました。参加させて頂きます」
「良かった。この事は他言無用でお願いしますね」
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