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第五章 ドルトムットの闇
閑話 無職の団
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無職の団のメンバーは、全員で六人いる。
言わずと知れた、レヴィン、アリシア、シーン、ベネディクト、ダライアス、ヴァイスである。
今日はその内の四人が集まってカフェでお茶をしていた。
「あう~レヴィンがいないと暇だよ~」
アリシアは行儀悪くテーブルに突っ伏していた。
「狩りに行けない……」
「そうだな。最近レヴィンも忙しそうにしているからなぁ」
ダライアスも、最近狩りに行っていないので、獣を持ち帰る事ができないでいた。貴重なタンパク源の確保ができず少し不満気なようだ。
彼は、レムレースの件で十分に稼いだため、お金に苦労している訳ではないのだが。
「レヴィンは何て言ってんだ? 別に俺らだけで行ってもいいんじゃないか?」
「レヴィンもお前らだけで行ってきたら?って言ってたよ~」
「ならいいじゃないか。俺はいつでもOKだぜ?」
ヴァイスもこの春休みは暇をしているようだ。
「このままじゃ、家業の手伝いで春休みが終わっちまうよ……」
ヴァイスの家は革細工や加工を行っている。
相変わらず母親に小言を言われているヴァイスであった。
「でもレヴィンがいないと不安だよ~」
「確かに……」
「そうだな。四人で大丈夫かな」
アリシア達、女子だけでなくヴァイスも不安なようだ。
「黒魔法の援護があるかないかじゃ大違いだからな……まぁ精霊の森の魔物ぐらい、俺の蒼天の剣でぶった斬ってやるけどな」
「とりあえず、明日にでも精霊の森に行ってみるか?」
「賛成……」
「わかったよ~。久しぶりだから緊張するよ~」
――そして翌日……。
「ヴァイス行ったぞッ!」
「ばっちこーーーい!」
「霊体縛鎖」
四人は、予定通り、精霊の森で狩りをしていた。
出会ったのは、豚人と鬼の群れであった。
精霊の森では珍しい組み合わせである。
数が多かったので、霊体縛鎖で次々と魔物の動きを封じていくアリシア。
アリシアの魔法が敵を絡め取っている間、ダライアスとヴァイスは、アリシアとシーンに魔物を近づけさせないように奮闘していた。
ダライアスは、蒼天の剣を振るい、次々と襲い来る豚人を斬っては捨てている。
ダライアスはレムレースでも戦っていたため、かなりの経験を積んでいた。
また、ヴァイスも持前の思いきりの良さで、鬼の懐に飛び込むとソードオブグローリーで、敵の横腹を薙ぎ、後ろに回ると脳天を叩き割る。
騎士中学でも修練を積んでいるお陰か、腕も鈍ってはいないようだ。
シーンは誰も怪我をしないので、足手まといにならないように逃げ回りながら、身体強化をかけたり、回復魔法をかけたりしている。
やがて、大してピンチに陥る事もなく戦闘が終わる。
「久しぶりだけど、思ったより苦戦しなかったな」
開口一番、こう言ったのは、ダライアスであった。
「結構、敵の数も多かったのにな」
「普通に疲れたよ~」
「暇……」
とりあえず、緊張感の欠片もない様子で、魔物の魔石を回収する一同。
するとアリシアが突然、素っ頓狂な声を上げる。
「はッ! こういう時は危ないってレヴィンが言ってたよッ!」
「油断大敵……」
「そうだよッ! 油断は死に直結するとも言ってたよッ!」
「そう言えば、昔、危なかった場面もあったな」
ダライアスも昔を思い出して身を引き締めている。
そんな中、魔石を回収し終えたヴァイスがすっくと立ち上がると腰に手を当てて言った。
「まだ時間もあるし、もっと奥へ行ってみようぜ!」
その提案に賛同する三人。
レヴィンなしでどこまで行けるのか試したくなった四人であった。
そして、周囲を警戒しながら森の中を進んでいく事、どれだけか。
感覚的には二時間ほど歩いているはずなのだが、不思議と魔物に出会う事はなかった。すると、不意に樹齢何年であろうか?と圧倒されてしまうような大木が目の前に姿を現した。
その木の存在感に四人共が見入っていると、空間がたわむ。
そして、空間に波紋のようなものが広がっていく。
アリシア達は、我が目を疑って瞬きをしたり、目をこすったりしていると、その波紋から一人の子供が飛び出してきた。
後には、長身で少し痩せ形体系の女性が続く。
「オリガ様ッ! 外は危険ですよッ!」
「大丈夫だよ! ボクは運がいいんだ!」
後から子供を追いかけてきた女性がアリシア達を見つけて身構える。
「オリガ様ッ! 人間ですッ! 危険ですからこちらへッ!」
女性が悲鳴のような声をあげるが、オリガと呼ばれた子供はまったく気にしていない様子で答える。
「ボクは前に人間に助けてもらったんだよ? 大丈夫だよ!」
オリガは、てててっとアリシアに近づくと、こう切り出した。
「お姉さんって危ない人間なの?」
その言葉に一瞬、呆けてしまい、返答するのが遅れるがアリシアは何とか気を取り直してオリガに向かって言った。
「危なくないよ~。私達は危ない魔物を退治しに来たんだよ~」
「ほらッ! 姉様も人間の街で暮らしてるんだから問題ないよねッ!」
オリガは女性に向かって得意げな表情をして言った。
その言葉に女性は、二の句を継げないでいる。
「キミは何者なのかな?」
アリシアはこんな森の奥深くにいる子供が何者なのか解っていないようだ。
「ボク? ボクは精霊族のオリガだよ。人間のお姉ちゃん」
「「精霊族!?」」
アリシアとシーンの驚きの声がハモった。
ダライアスとヴァイスはあまり事態を把握できていないようで特にリアクションをしていない。
「オリガ様ッ! 外は危険がいっぱいなんです。里へ帰りましょう」
「まったく心配性だなぁ……」
オリガがそう言ったその時……空気が震えた。
近くの繁みから豚人が飛び出してきたのだ。
「ぐへへ。張ってた甲斐があったなぁ……精霊族の里をやっと見つけたぜ」
「エ、精霊族……興奮するんだな……」
そう口々にに何やら喚いている豚人を見て、アリシア達はすぐさま臨戦態勢に移った。
アリシアはオリガをかばうように前に出る。そしてダライアスとヴァイスが更に前に出て剣を抜いた。
「じ、邪魔なんだな……人間……こ、殺す」
そう言うと飛びかかってきた豚人と交戦状態に入る四人。
向こうは六人ほどいるようだが、蒼天の剣を持ったダライアスの敵ではない。
あっと言う間に、斬り伏せられていく豚人。
「邪魔するなぁぁぁぁ! 人間共!」
「盛ってるだけの豚野郎は死ねッ!」
ヴァイスが吠える。
豚人の振り下ろす大剣を見切り、紙一重でかわすと、その首をはねる。
もう豚人は無職の団の敵ではないようだ。精霊族の女性も茫然としている。
あっと言う間に豚人を制圧したダライアス達を見て、オリガは興奮を隠せない様子で言った。
「兄ちゃん達、すごいや!」
「ふっふっふ。すごいだろう」
ヴァイスが自慢げに胸を張って偉そうにしている。
「前に助けてくれた兄ちゃんも強かったけど、皆もすごいよ。そうだ! 助けてくれたお礼にボクらの里まで来てよ!」
「オリガ様ッ! 里に人間を連れて行くなど……」
「もう……うるさいなぁ……いいじゃない! 命の恩人なんだよ?」
突き放すかのようなその一言に押し黙ってしまう女性。
「じゃあ、お姉ちゃん達、ボクの後にしっかりついてきてね。目を離すと迷っちゃうよ?」
そう言って返事も聞かずに歩き出すオリガ。
どうやら、せっかちな性格をしているらしい。
御付の女性もやむを得ず後に続く。
アリシア達も慌てて後を追う。
すると、またもや空間がたわみ、その面に触れると波紋が広がる。
オリガが、その空間に身を滑らせたので、アリシア達も足早に後に続いた。
そこは異様な空間であった。
先程までの森の景色は姿を消し、見た事もないような世界が広がっていた。
ある時は、岩石地帯のような、またある時は、延々と広がる平原のような景色が目に飛び込んでくるのだ。その移ろいゆく景色をゆっくりと眺める余裕もなく、オリガの背中をひたすら追う一行。
アリシアは、もしはぐれたらどうなるんだろうと不安がよぎる。
彼らには解らなかったが、ここは完全な異空間になっていた。
これが精霊族の秘術によって作りだされたものだとは、アリシア達には想像もつかなかった。
そして、オリガにぴったりとついて歩く事数十分、いや、もっと経過しているかも知れない。
この空間は、時間の間隔でさえも惑わせるものであった。
ようやく、変な景色が広がる空間を脱して、再び森林の風景が目に飛び込んできた。感じていた奇妙な感覚も薄れ、そこには明らかに人々が生活しているにおいがあった。
「ようこそ、精霊族の里、ニルヴァーナへ」
オリガが得意げな顔をして、四人に紹介する。
アリシアとシーンは、樹齢が想像もつかないような大木が集まって森を形成し自然の洞などを利用して住居が造られている様をまじまじと眺めていた。
ダライアスとヴァイスは、そこかしこに立っている兵士のような出で立ちの精霊族に目をやっている。
彼らは軽装鎧をまとい、弓を持ち、矢とナイフを携帯している。
何人かが慌ててオリガの方に走り寄ってくる。
オリガは何か言いたげなその精霊族を手で制すと、言った。
「ふふ……姉ちゃん達、せっかくだからお母様に会っていってよ」
「オリガ様ッ! 女王陛下に「まぁまぁいいじゃない」
こうして、一行はオリガの母親に会う事となり、一際大きな樹木の洞で出来た住居へと案内された。
そこは、何本もの木々が絡まり合って大きな城のような造形になっている。
オリガに尋ねると、精霊族の精霊術で木々を操作して造り上げているらしかった。
そしてオリガに案内されるがままに、木の階段を上り、木でできた回廊を渡り、やがて大きな部屋へとたどり着く。そこには、シルクのような艶やかさがあり、洗練されたドレスに身をまとった一人の女性がデスクに座って何やら書類を見ていた。彼女は、オリガが入ってくるのを見つけると、声をかける。
「あら、オリガ。執務室には入らないよう言ってあったでしょ? どうかしたのかしら?」
「はい、お母様。実は、森で魔物に襲われたところを助けて頂いたので、是非お母様に会って頂こうと、こちらへお連れしました」
すると、彼女は執務用のデスクから立ち上がると、アリシア達の方にチラリと目をやって言った。
「オリガ……あなた、森は危険だから行ってはいけないと言わなかったかしら?」
「でも、ボクは外の世界を見てみたかったのです!」
「そんな事を言って、以前、勝手に外に薬草を採りに行った時も、人間に助けてもらったのでしょう? 忘れたのかしら?」
「いえ、あの時、グレン様とレヴィン様に助けて頂いた事は忘れておりませんよ! 恩人ですから当然です!」
その言葉にアリシア達は、驚いて目を丸くしている。
「オ、オリガちゃん、今レヴィンって言った!?」
「え? ええ、レヴィン様と言いましたよ」
「あたしの幼馴染なんだけど……」
アリシアの言葉に今度はオリガが驚く番であった。
彼女は興奮気味にまくしたてた。
「これは……お母様! やはり縁というものは存在するのですね!」
それを聞いて、オリガの母親も小言を諦めたのだろう。
ふうッと大きなため息をつくと、アリシア達に向かってこう言った。
「あなた達、娘が迷惑をお掛け致しましたわね……わたくしの名は、エリザヴェータ。精霊の里の長をしておりますわ」
そう言うとエリザヴェータはアリシアの目をジッと見つめて言葉を紡ぐ。
「娘を助けてくれたお礼をしなきゃいけませんわね。何がお望みかしら?」
「そ、そんな……お礼なんて別に……」
いつも交渉事から何から何までレヴィンに頼っていた弊害である。
四人共、言葉がうまく出てこないようであった。
その姿を見たエリザヴェータは、またもや、ふうッとため息をつくと、両手を合わせると印のような形に手を組み、何かをぶつぶつとつぶやき出した。
光が彼女に集まっていくのが解る。彼女の姿はどんどん光の粒子に包まれ、一瞬一際まばゆい光を発したかと思うと、彼女は言葉を紡いだ。
「光に抱かれし、精霊の祝福あり、混沌を打ち払いしドルアーガの眷属たるもの来たれ!」
すると、地面に五芒星が浮かび上がり、そこに彼女から光の粒子が移っていったかと思うと何かを形成し始める。やがて光が収まると、そこには白い虎のような獣が存在していた。まだ小さくて幼さが残っている。
「この子は光の精霊獣。名前はグランバニア。この光の眷属をあなた方に遣わしましょう」
エリザヴェータは、精霊獣を抱き寄せると、大事そうにそれをアリシアに手渡す。
精霊獣は、アリシアの手に渡った瞬間、ヒシッと彼女の胸にしがみついて眠そうにあくびを一つする。
「かわいー!」
アリシアはシーンときゃあきゃあ黄色い声を上げている。
ダライアスとヴァイスもアリシアに抱かれて眠たそうにしている精霊獣を見つめて笑っている。
「その精霊獣があなた方を護ってくるでしょう」
そう凛とした声で言い放つエリザヴェータに、一同はお礼を言って部屋を退去した。
「お姉ちゃん良かったね。お母様が人間に精霊獣を遣わすなんて中々ないんだよ?」
「それはオリガ様がお世話になったからでしょう!」
御付の女性は他人事のように話すオリガを諌めるように話す。
「わ、解ってるよッ! お姉ちゃん、大事にしてやってね!」
それから、オリガが里の中を案内してくれたので、アリシア達は精霊族の文化に触れてから、帰路についた。御付の女性と、街にいる精霊族の突き刺さるような視線がきつかったので長居はできなかったが。
「レヴィンも連れて来たかったな……」
アリシアがそうつぶやくとシーンは、元気なさげな彼女を慰める。
「この子がいるからきっとまた行ける……」
すると、アリシアは満面の笑みを浮かべて言った。
「うんッ! そうだねッ!」
言わずと知れた、レヴィン、アリシア、シーン、ベネディクト、ダライアス、ヴァイスである。
今日はその内の四人が集まってカフェでお茶をしていた。
「あう~レヴィンがいないと暇だよ~」
アリシアは行儀悪くテーブルに突っ伏していた。
「狩りに行けない……」
「そうだな。最近レヴィンも忙しそうにしているからなぁ」
ダライアスも、最近狩りに行っていないので、獣を持ち帰る事ができないでいた。貴重なタンパク源の確保ができず少し不満気なようだ。
彼は、レムレースの件で十分に稼いだため、お金に苦労している訳ではないのだが。
「レヴィンは何て言ってんだ? 別に俺らだけで行ってもいいんじゃないか?」
「レヴィンもお前らだけで行ってきたら?って言ってたよ~」
「ならいいじゃないか。俺はいつでもOKだぜ?」
ヴァイスもこの春休みは暇をしているようだ。
「このままじゃ、家業の手伝いで春休みが終わっちまうよ……」
ヴァイスの家は革細工や加工を行っている。
相変わらず母親に小言を言われているヴァイスであった。
「でもレヴィンがいないと不安だよ~」
「確かに……」
「そうだな。四人で大丈夫かな」
アリシア達、女子だけでなくヴァイスも不安なようだ。
「黒魔法の援護があるかないかじゃ大違いだからな……まぁ精霊の森の魔物ぐらい、俺の蒼天の剣でぶった斬ってやるけどな」
「とりあえず、明日にでも精霊の森に行ってみるか?」
「賛成……」
「わかったよ~。久しぶりだから緊張するよ~」
――そして翌日……。
「ヴァイス行ったぞッ!」
「ばっちこーーーい!」
「霊体縛鎖」
四人は、予定通り、精霊の森で狩りをしていた。
出会ったのは、豚人と鬼の群れであった。
精霊の森では珍しい組み合わせである。
数が多かったので、霊体縛鎖で次々と魔物の動きを封じていくアリシア。
アリシアの魔法が敵を絡め取っている間、ダライアスとヴァイスは、アリシアとシーンに魔物を近づけさせないように奮闘していた。
ダライアスは、蒼天の剣を振るい、次々と襲い来る豚人を斬っては捨てている。
ダライアスはレムレースでも戦っていたため、かなりの経験を積んでいた。
また、ヴァイスも持前の思いきりの良さで、鬼の懐に飛び込むとソードオブグローリーで、敵の横腹を薙ぎ、後ろに回ると脳天を叩き割る。
騎士中学でも修練を積んでいるお陰か、腕も鈍ってはいないようだ。
シーンは誰も怪我をしないので、足手まといにならないように逃げ回りながら、身体強化をかけたり、回復魔法をかけたりしている。
やがて、大してピンチに陥る事もなく戦闘が終わる。
「久しぶりだけど、思ったより苦戦しなかったな」
開口一番、こう言ったのは、ダライアスであった。
「結構、敵の数も多かったのにな」
「普通に疲れたよ~」
「暇……」
とりあえず、緊張感の欠片もない様子で、魔物の魔石を回収する一同。
するとアリシアが突然、素っ頓狂な声を上げる。
「はッ! こういう時は危ないってレヴィンが言ってたよッ!」
「油断大敵……」
「そうだよッ! 油断は死に直結するとも言ってたよッ!」
「そう言えば、昔、危なかった場面もあったな」
ダライアスも昔を思い出して身を引き締めている。
そんな中、魔石を回収し終えたヴァイスがすっくと立ち上がると腰に手を当てて言った。
「まだ時間もあるし、もっと奥へ行ってみようぜ!」
その提案に賛同する三人。
レヴィンなしでどこまで行けるのか試したくなった四人であった。
そして、周囲を警戒しながら森の中を進んでいく事、どれだけか。
感覚的には二時間ほど歩いているはずなのだが、不思議と魔物に出会う事はなかった。すると、不意に樹齢何年であろうか?と圧倒されてしまうような大木が目の前に姿を現した。
その木の存在感に四人共が見入っていると、空間がたわむ。
そして、空間に波紋のようなものが広がっていく。
アリシア達は、我が目を疑って瞬きをしたり、目をこすったりしていると、その波紋から一人の子供が飛び出してきた。
後には、長身で少し痩せ形体系の女性が続く。
「オリガ様ッ! 外は危険ですよッ!」
「大丈夫だよ! ボクは運がいいんだ!」
後から子供を追いかけてきた女性がアリシア達を見つけて身構える。
「オリガ様ッ! 人間ですッ! 危険ですからこちらへッ!」
女性が悲鳴のような声をあげるが、オリガと呼ばれた子供はまったく気にしていない様子で答える。
「ボクは前に人間に助けてもらったんだよ? 大丈夫だよ!」
オリガは、てててっとアリシアに近づくと、こう切り出した。
「お姉さんって危ない人間なの?」
その言葉に一瞬、呆けてしまい、返答するのが遅れるがアリシアは何とか気を取り直してオリガに向かって言った。
「危なくないよ~。私達は危ない魔物を退治しに来たんだよ~」
「ほらッ! 姉様も人間の街で暮らしてるんだから問題ないよねッ!」
オリガは女性に向かって得意げな表情をして言った。
その言葉に女性は、二の句を継げないでいる。
「キミは何者なのかな?」
アリシアはこんな森の奥深くにいる子供が何者なのか解っていないようだ。
「ボク? ボクは精霊族のオリガだよ。人間のお姉ちゃん」
「「精霊族!?」」
アリシアとシーンの驚きの声がハモった。
ダライアスとヴァイスはあまり事態を把握できていないようで特にリアクションをしていない。
「オリガ様ッ! 外は危険がいっぱいなんです。里へ帰りましょう」
「まったく心配性だなぁ……」
オリガがそう言ったその時……空気が震えた。
近くの繁みから豚人が飛び出してきたのだ。
「ぐへへ。張ってた甲斐があったなぁ……精霊族の里をやっと見つけたぜ」
「エ、精霊族……興奮するんだな……」
そう口々にに何やら喚いている豚人を見て、アリシア達はすぐさま臨戦態勢に移った。
アリシアはオリガをかばうように前に出る。そしてダライアスとヴァイスが更に前に出て剣を抜いた。
「じ、邪魔なんだな……人間……こ、殺す」
そう言うと飛びかかってきた豚人と交戦状態に入る四人。
向こうは六人ほどいるようだが、蒼天の剣を持ったダライアスの敵ではない。
あっと言う間に、斬り伏せられていく豚人。
「邪魔するなぁぁぁぁ! 人間共!」
「盛ってるだけの豚野郎は死ねッ!」
ヴァイスが吠える。
豚人の振り下ろす大剣を見切り、紙一重でかわすと、その首をはねる。
もう豚人は無職の団の敵ではないようだ。精霊族の女性も茫然としている。
あっと言う間に豚人を制圧したダライアス達を見て、オリガは興奮を隠せない様子で言った。
「兄ちゃん達、すごいや!」
「ふっふっふ。すごいだろう」
ヴァイスが自慢げに胸を張って偉そうにしている。
「前に助けてくれた兄ちゃんも強かったけど、皆もすごいよ。そうだ! 助けてくれたお礼にボクらの里まで来てよ!」
「オリガ様ッ! 里に人間を連れて行くなど……」
「もう……うるさいなぁ……いいじゃない! 命の恩人なんだよ?」
突き放すかのようなその一言に押し黙ってしまう女性。
「じゃあ、お姉ちゃん達、ボクの後にしっかりついてきてね。目を離すと迷っちゃうよ?」
そう言って返事も聞かずに歩き出すオリガ。
どうやら、せっかちな性格をしているらしい。
御付の女性もやむを得ず後に続く。
アリシア達も慌てて後を追う。
すると、またもや空間がたわみ、その面に触れると波紋が広がる。
オリガが、その空間に身を滑らせたので、アリシア達も足早に後に続いた。
そこは異様な空間であった。
先程までの森の景色は姿を消し、見た事もないような世界が広がっていた。
ある時は、岩石地帯のような、またある時は、延々と広がる平原のような景色が目に飛び込んでくるのだ。その移ろいゆく景色をゆっくりと眺める余裕もなく、オリガの背中をひたすら追う一行。
アリシアは、もしはぐれたらどうなるんだろうと不安がよぎる。
彼らには解らなかったが、ここは完全な異空間になっていた。
これが精霊族の秘術によって作りだされたものだとは、アリシア達には想像もつかなかった。
そして、オリガにぴったりとついて歩く事数十分、いや、もっと経過しているかも知れない。
この空間は、時間の間隔でさえも惑わせるものであった。
ようやく、変な景色が広がる空間を脱して、再び森林の風景が目に飛び込んできた。感じていた奇妙な感覚も薄れ、そこには明らかに人々が生活しているにおいがあった。
「ようこそ、精霊族の里、ニルヴァーナへ」
オリガが得意げな顔をして、四人に紹介する。
アリシアとシーンは、樹齢が想像もつかないような大木が集まって森を形成し自然の洞などを利用して住居が造られている様をまじまじと眺めていた。
ダライアスとヴァイスは、そこかしこに立っている兵士のような出で立ちの精霊族に目をやっている。
彼らは軽装鎧をまとい、弓を持ち、矢とナイフを携帯している。
何人かが慌ててオリガの方に走り寄ってくる。
オリガは何か言いたげなその精霊族を手で制すと、言った。
「ふふ……姉ちゃん達、せっかくだからお母様に会っていってよ」
「オリガ様ッ! 女王陛下に「まぁまぁいいじゃない」
こうして、一行はオリガの母親に会う事となり、一際大きな樹木の洞で出来た住居へと案内された。
そこは、何本もの木々が絡まり合って大きな城のような造形になっている。
オリガに尋ねると、精霊族の精霊術で木々を操作して造り上げているらしかった。
そしてオリガに案内されるがままに、木の階段を上り、木でできた回廊を渡り、やがて大きな部屋へとたどり着く。そこには、シルクのような艶やかさがあり、洗練されたドレスに身をまとった一人の女性がデスクに座って何やら書類を見ていた。彼女は、オリガが入ってくるのを見つけると、声をかける。
「あら、オリガ。執務室には入らないよう言ってあったでしょ? どうかしたのかしら?」
「はい、お母様。実は、森で魔物に襲われたところを助けて頂いたので、是非お母様に会って頂こうと、こちらへお連れしました」
すると、彼女は執務用のデスクから立ち上がると、アリシア達の方にチラリと目をやって言った。
「オリガ……あなた、森は危険だから行ってはいけないと言わなかったかしら?」
「でも、ボクは外の世界を見てみたかったのです!」
「そんな事を言って、以前、勝手に外に薬草を採りに行った時も、人間に助けてもらったのでしょう? 忘れたのかしら?」
「いえ、あの時、グレン様とレヴィン様に助けて頂いた事は忘れておりませんよ! 恩人ですから当然です!」
その言葉にアリシア達は、驚いて目を丸くしている。
「オ、オリガちゃん、今レヴィンって言った!?」
「え? ええ、レヴィン様と言いましたよ」
「あたしの幼馴染なんだけど……」
アリシアの言葉に今度はオリガが驚く番であった。
彼女は興奮気味にまくしたてた。
「これは……お母様! やはり縁というものは存在するのですね!」
それを聞いて、オリガの母親も小言を諦めたのだろう。
ふうッと大きなため息をつくと、アリシア達に向かってこう言った。
「あなた達、娘が迷惑をお掛け致しましたわね……わたくしの名は、エリザヴェータ。精霊の里の長をしておりますわ」
そう言うとエリザヴェータはアリシアの目をジッと見つめて言葉を紡ぐ。
「娘を助けてくれたお礼をしなきゃいけませんわね。何がお望みかしら?」
「そ、そんな……お礼なんて別に……」
いつも交渉事から何から何までレヴィンに頼っていた弊害である。
四人共、言葉がうまく出てこないようであった。
その姿を見たエリザヴェータは、またもや、ふうッとため息をつくと、両手を合わせると印のような形に手を組み、何かをぶつぶつとつぶやき出した。
光が彼女に集まっていくのが解る。彼女の姿はどんどん光の粒子に包まれ、一瞬一際まばゆい光を発したかと思うと、彼女は言葉を紡いだ。
「光に抱かれし、精霊の祝福あり、混沌を打ち払いしドルアーガの眷属たるもの来たれ!」
すると、地面に五芒星が浮かび上がり、そこに彼女から光の粒子が移っていったかと思うと何かを形成し始める。やがて光が収まると、そこには白い虎のような獣が存在していた。まだ小さくて幼さが残っている。
「この子は光の精霊獣。名前はグランバニア。この光の眷属をあなた方に遣わしましょう」
エリザヴェータは、精霊獣を抱き寄せると、大事そうにそれをアリシアに手渡す。
精霊獣は、アリシアの手に渡った瞬間、ヒシッと彼女の胸にしがみついて眠そうにあくびを一つする。
「かわいー!」
アリシアはシーンときゃあきゃあ黄色い声を上げている。
ダライアスとヴァイスもアリシアに抱かれて眠たそうにしている精霊獣を見つめて笑っている。
「その精霊獣があなた方を護ってくるでしょう」
そう凛とした声で言い放つエリザヴェータに、一同はお礼を言って部屋を退去した。
「お姉ちゃん良かったね。お母様が人間に精霊獣を遣わすなんて中々ないんだよ?」
「それはオリガ様がお世話になったからでしょう!」
御付の女性は他人事のように話すオリガを諌めるように話す。
「わ、解ってるよッ! お姉ちゃん、大事にしてやってね!」
それから、オリガが里の中を案内してくれたので、アリシア達は精霊族の文化に触れてから、帰路についた。御付の女性と、街にいる精霊族の突き刺さるような視線がきつかったので長居はできなかったが。
「レヴィンも連れて来たかったな……」
アリシアがそうつぶやくとシーンは、元気なさげな彼女を慰める。
「この子がいるからきっとまた行ける……」
すると、アリシアは満面の笑みを浮かべて言った。
「うんッ! そうだねッ!」
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爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
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村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
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お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
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俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
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そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
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