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16話 sideリク
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サフィ様を連れて町に戻ってきた。
森に篭ったまま、実に3カ月は経っていたようだ。
毎日きちんと食べるようになったからか、日に日に背が伸びている気はしていたし、サフィ様の要望に応えるために動いていたおかげで体力も筋力もついたとは思っていた。
思ってはいたけど、町の人間に俺だと気づかれないとまでは思っていなかった。
だってまだ3カ月だ。
少し前まで自分を痛めつけていた相手から、別人認定されるとは。
サフィ様に頼まれた食料を大量に買い(大量に買っても全部しまえるこの鞄はすごい)、次は雑貨屋へと移動しようとした時、店の裏に見つけたのだ。彼らを。
瞬間的にいつもの行為が頭をよぎり、身体が硬直した。彼らはそれを見逃さなかった。
身なりのいいちょっと見ひ弱そうな俺をみて、やれると思ったのだろう。
俺だって少し前までは同じことをしていたんだ。彼らの思考は理解できる。
彼らが俺の肩に担いだ鞄を取り上げようとして、俺が手離さなかったから、身体ごと掴まれて裏通りに引き摺り込まれた。
これから起こることがわかっているからこそ、恐怖はわいてくる。
いつものように搾取されることに諦めをつけようとした時、目に入ったのはサフィ様に頼まれたものが入っている鞄だった。
あれは俺の物じゃない。
サフィ様の物だ。
取られるわけには、いかない。
鞄を掴んで抱え込んだ。
殴られても、蹴られても、サフィ様の物を守っていると思うと我慢できた。
しかも、不思議と痛くなかった。
だから相手が少し疲れて止まるのを待って、反撃することにしたんだ。
俺の蹴りを受けてあっさりと飛んでいった彼らをみて、あれ?と思った。
俺、強くなってる?
いつか、あいつらをぶちのめして腹いっぱい食う。
いつか、あいつらをぶちのめして奪われたものを取り返す。
いつか、が、こんなに早くやってくるとは思っていなかった。
暫く蹴り続けていたら動かなくなった。
流石に殺してしまったらサフィ様に迷惑をかけるかもしれない。
少し考えて、俺はぐったりして動かなくなった3人を担ぎあげると、ひとまず帰ることにした。
家に帰ると、門というか、塀ができていた。
ここでよかったよな?
周りに何も無い一軒家だったはずなんだけど。
「あ、お帰り。早かったな……ってどうしたんだよ、それ!」
庭で何故か丸太を振り回していたサフィ様が、汚れた俺を見て駆け寄ってきた。
怒られるかもしれない。
せっかく買ってもらった衣装を汚して、俺は青くなった。
服を脱がされ、サフィ様が俺の周りをぐるぐると回る。
「ケガはしてないみたいだな。ちょっと青あざにはなってるけど。っと、それなんだ?」
怒られなかった。
俺はちょっと安心して、ハッと安心できなかったことに気がついた。
「絡まれて、伸しました」
「それで汚れちゃったのか。浄化!と。ん、綺麗になったな」
服を汚してしまったことも、あいつらが死んでしまうかもしれないような暴力を振るったことも、サフィ様は怒らなかった。
「怒っていないのですか?」
迷惑をかけるかもしれないのに。
「なんで怒るんだよ。そうしないといけなかったんだろう?」
サフィ様はそう言うと、俺を連れて家に入った。
家に入ったら、出ていった時と全く別の部屋になっていて、再度目をこすった。
もう、サフィ様ならなんでもありだと思うことにした。
「本当はお風呂とか明日からのつもりだったんだけど、リクが元気になるなら今日からにしようかな」
暫くしてサフィ様が俺の簡易服と拭い布を用意すると、俺を風呂場に連れていった。
風呂には湯気が立っている。
「ご飯用意しておくから、ゆっくりあったまって出てくるんだぞ」
久しぶりの風呂で、使い方もあまり覚えてなくてよくわからないし、そのまま湯に浸かった。
気持ちいい、けど落ち着かない。
なんだか幸せ過ぎて、落ち着かない。
…………あ、歯ブラシとか買い忘れてた。
サフィ様になんて言おうか。さすがに怒られるよなと、俺はがっくりと項垂れた。
サフィ様は俺のこと奴隷だと言う割には風呂から上がれば食事ができていて、なんていうかむしろ新婚感……いや、ダメだ。ニヤける。
サフィ様に不審そうに見られたではないか。
食いっぱぐれないだけではなくて、飯は美味いし、サフィ様は綺麗だし、いい匂いするし。
それなのに強くて隙がないから少し困る。
サフィ様より強くならないと、意識なんかしてもらえるわけもないし。
前途多難だなと溜息をついて寝室に案内されて愕然とした。
今日から一緒に寝れない、だと……!
「これでリクも伸び伸びと寝られるだろ」
って、その心遣い全然嬉しくない。
夜中にこっそりサフィ様の布団に潜り込むと、テント時代と同じように後ろからしっかりと抱きしめた。
こうしていれば寒くない。
サフィ様があったかい。
俺よりも小さいのに、こんなにサフィ様はあったかい。
俺はサフィ様の首に顔を埋めると、深く息を吸い込んだ。
あ、サフィ様の匂いに反応して元気にならなくていいところが元気になってきた。
困ったな、眠れなくなってしまったぞ。
……はあ、でも、この手触り、堪らない。
俺は、サフィ様が起きていたら絶対に許してくれないシャツの中に手を突っ込んで撫で回した。
そうしているうちに、ゆっくりとリズムを刻むサフィ様の音で、俺の瞼が重くなってきたのだった。
ーーーーーーーーーー
えーとですね……
水場、今頃になって書き込みページの右下に左右の矢印を見つけてしまいましてね……
おお、カーソル動くやん
ルビめっちゃ楽やん
ってなりまして
アルファポリスさん、いつの間にかめちゃくちゃ書きやすくなってたんですね
∑(๑º口º๑)!!
森に篭ったまま、実に3カ月は経っていたようだ。
毎日きちんと食べるようになったからか、日に日に背が伸びている気はしていたし、サフィ様の要望に応えるために動いていたおかげで体力も筋力もついたとは思っていた。
思ってはいたけど、町の人間に俺だと気づかれないとまでは思っていなかった。
だってまだ3カ月だ。
少し前まで自分を痛めつけていた相手から、別人認定されるとは。
サフィ様に頼まれた食料を大量に買い(大量に買っても全部しまえるこの鞄はすごい)、次は雑貨屋へと移動しようとした時、店の裏に見つけたのだ。彼らを。
瞬間的にいつもの行為が頭をよぎり、身体が硬直した。彼らはそれを見逃さなかった。
身なりのいいちょっと見ひ弱そうな俺をみて、やれると思ったのだろう。
俺だって少し前までは同じことをしていたんだ。彼らの思考は理解できる。
彼らが俺の肩に担いだ鞄を取り上げようとして、俺が手離さなかったから、身体ごと掴まれて裏通りに引き摺り込まれた。
これから起こることがわかっているからこそ、恐怖はわいてくる。
いつものように搾取されることに諦めをつけようとした時、目に入ったのはサフィ様に頼まれたものが入っている鞄だった。
あれは俺の物じゃない。
サフィ様の物だ。
取られるわけには、いかない。
鞄を掴んで抱え込んだ。
殴られても、蹴られても、サフィ様の物を守っていると思うと我慢できた。
しかも、不思議と痛くなかった。
だから相手が少し疲れて止まるのを待って、反撃することにしたんだ。
俺の蹴りを受けてあっさりと飛んでいった彼らをみて、あれ?と思った。
俺、強くなってる?
いつか、あいつらをぶちのめして腹いっぱい食う。
いつか、あいつらをぶちのめして奪われたものを取り返す。
いつか、が、こんなに早くやってくるとは思っていなかった。
暫く蹴り続けていたら動かなくなった。
流石に殺してしまったらサフィ様に迷惑をかけるかもしれない。
少し考えて、俺はぐったりして動かなくなった3人を担ぎあげると、ひとまず帰ることにした。
家に帰ると、門というか、塀ができていた。
ここでよかったよな?
周りに何も無い一軒家だったはずなんだけど。
「あ、お帰り。早かったな……ってどうしたんだよ、それ!」
庭で何故か丸太を振り回していたサフィ様が、汚れた俺を見て駆け寄ってきた。
怒られるかもしれない。
せっかく買ってもらった衣装を汚して、俺は青くなった。
服を脱がされ、サフィ様が俺の周りをぐるぐると回る。
「ケガはしてないみたいだな。ちょっと青あざにはなってるけど。っと、それなんだ?」
怒られなかった。
俺はちょっと安心して、ハッと安心できなかったことに気がついた。
「絡まれて、伸しました」
「それで汚れちゃったのか。浄化!と。ん、綺麗になったな」
服を汚してしまったことも、あいつらが死んでしまうかもしれないような暴力を振るったことも、サフィ様は怒らなかった。
「怒っていないのですか?」
迷惑をかけるかもしれないのに。
「なんで怒るんだよ。そうしないといけなかったんだろう?」
サフィ様はそう言うと、俺を連れて家に入った。
家に入ったら、出ていった時と全く別の部屋になっていて、再度目をこすった。
もう、サフィ様ならなんでもありだと思うことにした。
「本当はお風呂とか明日からのつもりだったんだけど、リクが元気になるなら今日からにしようかな」
暫くしてサフィ様が俺の簡易服と拭い布を用意すると、俺を風呂場に連れていった。
風呂には湯気が立っている。
「ご飯用意しておくから、ゆっくりあったまって出てくるんだぞ」
久しぶりの風呂で、使い方もあまり覚えてなくてよくわからないし、そのまま湯に浸かった。
気持ちいい、けど落ち着かない。
なんだか幸せ過ぎて、落ち着かない。
…………あ、歯ブラシとか買い忘れてた。
サフィ様になんて言おうか。さすがに怒られるよなと、俺はがっくりと項垂れた。
サフィ様は俺のこと奴隷だと言う割には風呂から上がれば食事ができていて、なんていうかむしろ新婚感……いや、ダメだ。ニヤける。
サフィ様に不審そうに見られたではないか。
食いっぱぐれないだけではなくて、飯は美味いし、サフィ様は綺麗だし、いい匂いするし。
それなのに強くて隙がないから少し困る。
サフィ様より強くならないと、意識なんかしてもらえるわけもないし。
前途多難だなと溜息をついて寝室に案内されて愕然とした。
今日から一緒に寝れない、だと……!
「これでリクも伸び伸びと寝られるだろ」
って、その心遣い全然嬉しくない。
夜中にこっそりサフィ様の布団に潜り込むと、テント時代と同じように後ろからしっかりと抱きしめた。
こうしていれば寒くない。
サフィ様があったかい。
俺よりも小さいのに、こんなにサフィ様はあったかい。
俺はサフィ様の首に顔を埋めると、深く息を吸い込んだ。
あ、サフィ様の匂いに反応して元気にならなくていいところが元気になってきた。
困ったな、眠れなくなってしまったぞ。
……はあ、でも、この手触り、堪らない。
俺は、サフィ様が起きていたら絶対に許してくれないシャツの中に手を突っ込んで撫で回した。
そうしているうちに、ゆっくりとリズムを刻むサフィ様の音で、俺の瞼が重くなってきたのだった。
ーーーーーーーーーー
えーとですね……
水場、今頃になって書き込みページの右下に左右の矢印を見つけてしまいましてね……
おお、カーソル動くやん
ルビめっちゃ楽やん
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