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9話 王都で試験
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「ここが、オースティンの試験会場だな。僕のためにも全力で頑張ってこいよ」
「はい」
オースティンの試験には実技も含まれるため、僕とは会場からして違う。
貴族ばかりの雰囲気の中でオースティンが尻込みするなんてことは思っていないが、実力が発揮できないなんてことがないようにさらに発破をかけておくのだ。
ふははは、オースティンの凄さをみんな思い知るがいい!
さて
「じゃあ僕は僕の会場に行くから、後で部屋で会おう」
「はい!」
本当はオースティンの勇姿を間近で見たかったけど、僕の体力では騎士の試験は受けられない。
まあ、僕もオースティンの後見人その1として彼に恥をかかせない程度の成績を残さないとな。
ここは貴族と選ばれた平民が通う王立の学院だ。
試験といっても受験資格がある者は皆誰かの推薦で受験しているため、全員が受かる。
ではなんのための試験かといえば、それはクラス分けのための試験なのだ。
いくら推薦者がゴリ押しして入学させても、この試験の成績が全てなのだ。
卒業後の進路もここでの成績で大きく左右されるだろう。
成績が進路とたいして関係がないのは、僕みたいな家の跡取りくらいだ。
オースティンは従者として一緒に入るために必要な試験だと勘違いしているが、オースティン自身が師匠からの推薦で受験する、ちゃんとした一般の受験資格所有者だ。
ちなみに僕は貴族枠での父上の推薦となり、充分資格有りだ。
何しろ上から10番目くらいには入る家格だからな、えっへん。
領自体は貧乏だけど。
そして、魔導士クラスと騎士クラス、入学する学科が違うのに部屋割りがなぜ一緒かといえば、最大限に権力を使ったからに他ならない。
まあ従者兼で入ったんだなってことで、後ろ盾があるとはっきりしている方がオースティンのここでの生活が楽になるだろってのもある。
平民は何かと苦労するらしいからな。
☆
(ナローエの会場)
魔導士クラスは簡単な筆記試験と魔力測定がある。
なぜ魔導士クラスが文官クラスと言われるかというと、卒業後の進路の8割が魔力のあまり関係のない役場的な仕事を割り振られるからだ。
無事魔導士クラスに入り魔導師になれば魔法省での職員となれる。
魔導師となれず魔導士のまま、それでも文官よりは才能がある者は魔法省に入りながら試験を受け続けてもよし、市井に降りて自営してもよし、それなりに実入りのある仕事が豊富にある。
魔導士クラスに入る際、重要となるのは魔力量なのだが僕の魔力量はトップクラスだったらしい。
影部屋に垂れ流しながらの計測でも、針は検査魔道具の9割まで光らせていた。
そりゃあそうだろう。量が多すぎて死ぬところだったんだし。
オースティンやクロシオ達がいなかったら、今頃死んでたんだよ、僕。
そんなにギリギリになるまで対処しなかったせいで魔力が溜まりに溜まって圧縮され、かなり密度の濃い魔力になっているらしいのだ。
クロとナミがガンガン削り取りながら影部屋を拡張してくれているらしいけど。
つまり、魔力を貯めておける器がかなり大きくなっていて含有量も多いし、今ある濃い魔力をクロとナミが使いきってくれるまでは魔力の質も濃いってわけだ。
その処理を毎日手伝ってくれていたオースティンも、魔力を入れておく器が大きくなっているというのがマズルカ先生の診察結果だ。
うん、結果オーライってことで。
☆
(side 同級生)
魔力量の検査が終わった者は、各々決められた座席を探して待つことになった。
中には緊張で顔色の悪いヤツもいる。
落ちることのない試験で、そんなに緊張する意味がわからないよなー。
この学院に入学できた時点で食いっぱぐれはないんだし。
自分の名前を見つけて座ると、さっき魔道具を限界まで光らせていた美人が最前列に座っていた。
やっぱり貴族の中でも身分高めの方だったかー。
さらっさらの銀髪を後ろで括った美人が、魔道具を光らせる光景が何やらやたらと神々しくて、なんだか泣けた。
俺、そんなセンチメンタルな性格してねえのにな。
そのぐらい衝撃だったんだよ。
試験会場となっているこの部屋は前に行けば行くほど座席が広く大きく作られていて、椅子も綿入りで長時間座っていても尻が痛くならない仕様だ。
つまりその席にあの美人が座ってるってことは、この学年で1番身分が高いってことだろう。
ん?俺の椅子か?
俺の椅子は木でできていて、2人で使う長机に腰かけてるぞ?
なんと言っても下級も下級、貴族だなんて思えないくらいの下っ端貴族だからな。
すぐ後ろは平民だからな、と後ろを見てこれまた驚いた。
平民なのに髪色が薄くピンクがかったブロンドで、魔力も美人の次くらいに多かった彼女がいた。
顔も可愛い顔をしている。
平民なのに魔力値が高いってことで、響めきが起こってた子だな。
同じ学年に飛び抜けた美人が2人もいるって、この3年間退屈しなさそうだなー。
ま、俺にチャンスが無いことはわかってるけどな!
そうして全員が席に着いてしばらくすると、壁に設置されていた放送魔術が点滅した。
《各自、机上にある赤色の紙をよく読み署名せよ。読んだ上で署名できないと判断した者は、速やかに席を立ち部屋を辞するように》
机の上には各自の名前と赤い紙、そしてちょっと薄めの本が置いてある。
ふむ、なになに。
学院で学んだ魔術に関することについて、学院に入学していない者に情報を開示することを禁止する、か。
ここで同意の署名をすることで、外に魔術の知識が漏れなくなってるのか。
資格のない相手に魔術について喋ろうとすると、声が出せなくなって文字にも残せないわけな。
赤い紙は契約魔術形式で書かれている。
そのため、契約魔術を嫌悪する人は辞退してもいいってことだ。
ただ辞退=入学できないってことだから、普通は辞退なんかしない。
魔力の使えない貴族なんて聞いたことないしな。
魔力がないと貴族の子供でも貴族になれないんだ。この学校に通えないからな。
そういうヤツらは、だいたいは町の学校を出てその家の家令として働けるように学力を揉まれるか、武力を上げてどこかの自衛団とか私軍に志願するかだ。
んー、大丈夫そうだな。
さすがに王立学院でそんな怪しげな魔術は行使されないだろうが、俺は表と裏を隅まで読み、一応隠し式がないことを確認した。
そもそも俺に見破られるような式を入れるほど、学院の魔術式の質が悪いわけがないので確認する意味はないと思うのだが、市井ではそんなこともあるため、俺たち下っ端貴族や平民は一通り確認するクセがついてしまっているのだ。
変なものに署名なんかして、借金でも作らされたら地獄しかねえ。
しかし、魔術知識をここまで厳重に管理するなんて、昔の貴族の子って一体何をやらかしたんだろうなー。
まあ、俺だって苦労してここまでのし上がったんだし、後ろに続くやつも同じくらい苦労すればいいって思ってるから俺は署名する。
「うおっ」
文面を読んで署名をすると陣が現れた。
これ、魔力を登録するってことだよな?
陣に魔力を込めると赤い紙が光って消え、その場に銀の指輪が現れた。
《署名と魔力登録の終了した者には魔道具が現れたと思う。1度はめると二度と抜けない仕様になっているので、よく考えて好きな指にはめるように》
これが『魔力を使う資格有り』って示す魔道具かー。
好きなとこにはめて、指輪の小さな魔石に魔力を登録っと。
おお、はめたら指の太さに合わせて縮んだぞ。
あ、本当にもう外れないんだな。
へへへ、これで俺も魔道士の仲間入りかあ。
《装着が済めば魔術式の書いてある書物などを読むことが可能になる。机上に置いてあるテキストは2限目の魔道士クラス試験の範囲となる。見ながらの回答を認める》
は?
習ってない範囲も試験内容に含まれるのか?
いやいや、よく考えたらこれに関しては上の連中のやつも初見てことだ。
下手したら俺の方が成績がいいなんてことも起こり得るわけだ。
俄然やる気が出てきたぞ。
が、チラリと見て撃沈した。
なんかわからん模様がいっぱいあるだけだった……。
《では各部屋、共通筆記試験を開始する》
放送と共に、一斉に紙をめくる音が静かに響いた。
今年は魔導士クラスも騎士クラスもそれぞれ200人強の生徒が集まっている。
第3王子が16歳ということで今年入学の生徒まで直接ご尊顔を拝する機会があるため、それに合わせて生まれた貴族は多いのだ。
しかも来年は妹姫が入学する。
思ったよりも、難しいな。
これ、平民はわかんねえんじゃ……。国の歴史とか、ここまで細かいのは図書館で閲覧できねえだろうなあ。
時間いっぱいかけて書き間違えがないが確認しながら解き終わると、最初の説明にあったように、試験用紙を回収箱に入れて陣に魔力を流した……ら、回収箱がパッと消えた。
び、びびった。
魔力登録すると転移陣が作動するタイプだったらしい。
すげーなあ。
今からこれを習うのかと思うと、オラ、ワクワクすっぜ!
ちなみに魔力を登録することにより、替え玉なんていう不正を防止するのだそうだ。
本人じゃない魔力だと弾かれるんだと。
ほー。
1限目の試験後休憩で美人さんは席を立つことはなかったけど、名前はわかった。
ナローエ ユンス ビジジュール
つまり建国の際、兄王を支えるべく辺境の守護を務めた王弟を先祖に持つ、辿れば王族の血筋にある公爵家だ。
そりゃあ最前列なわけだ。
未だに国の防衛に深く関わっている一族だもんなあ。
しかし歴代領主が武人であるのに対して、ナローエ様は線が細すぎるっていうか、まあ、戦える感じは0だ。
うん、魔道士向きって感じだ。
今のビジジュール様はデカくて怖い、まさに護り神ってお方だけどな。
きっとナローエ様は母君に似たんだろう。
ちなみに平民の可愛子ちゃんはメロディちゃんと言うらしい。
休憩中は周りの子とずっと喋っていて、声が可憐な鈴みたいな声で、すっごく可愛かった。
俺、この学年でよかったなあ。
ほんの少しの可能性もないとは思うけど、ちょっとぐらい覚えてもらえるように頑張ろうっ。
次の試験はみんな初めてやる教科だしな!
《続いては文官専用の試験となる。机上の冊子を参考にして構わない。終了した者から回収箱に用紙を入れ速やかに部屋を辞するように。始め!》
うん、そんな気はしてたけどな!
テキスト見ながらでも、さっぱりわからん!!
あはははは、はあ、ぐすん。
「はい」
オースティンの試験には実技も含まれるため、僕とは会場からして違う。
貴族ばかりの雰囲気の中でオースティンが尻込みするなんてことは思っていないが、実力が発揮できないなんてことがないようにさらに発破をかけておくのだ。
ふははは、オースティンの凄さをみんな思い知るがいい!
さて
「じゃあ僕は僕の会場に行くから、後で部屋で会おう」
「はい!」
本当はオースティンの勇姿を間近で見たかったけど、僕の体力では騎士の試験は受けられない。
まあ、僕もオースティンの後見人その1として彼に恥をかかせない程度の成績を残さないとな。
ここは貴族と選ばれた平民が通う王立の学院だ。
試験といっても受験資格がある者は皆誰かの推薦で受験しているため、全員が受かる。
ではなんのための試験かといえば、それはクラス分けのための試験なのだ。
いくら推薦者がゴリ押しして入学させても、この試験の成績が全てなのだ。
卒業後の進路もここでの成績で大きく左右されるだろう。
成績が進路とたいして関係がないのは、僕みたいな家の跡取りくらいだ。
オースティンは従者として一緒に入るために必要な試験だと勘違いしているが、オースティン自身が師匠からの推薦で受験する、ちゃんとした一般の受験資格所有者だ。
ちなみに僕は貴族枠での父上の推薦となり、充分資格有りだ。
何しろ上から10番目くらいには入る家格だからな、えっへん。
領自体は貧乏だけど。
そして、魔導士クラスと騎士クラス、入学する学科が違うのに部屋割りがなぜ一緒かといえば、最大限に権力を使ったからに他ならない。
まあ従者兼で入ったんだなってことで、後ろ盾があるとはっきりしている方がオースティンのここでの生活が楽になるだろってのもある。
平民は何かと苦労するらしいからな。
☆
(ナローエの会場)
魔導士クラスは簡単な筆記試験と魔力測定がある。
なぜ魔導士クラスが文官クラスと言われるかというと、卒業後の進路の8割が魔力のあまり関係のない役場的な仕事を割り振られるからだ。
無事魔導士クラスに入り魔導師になれば魔法省での職員となれる。
魔導師となれず魔導士のまま、それでも文官よりは才能がある者は魔法省に入りながら試験を受け続けてもよし、市井に降りて自営してもよし、それなりに実入りのある仕事が豊富にある。
魔導士クラスに入る際、重要となるのは魔力量なのだが僕の魔力量はトップクラスだったらしい。
影部屋に垂れ流しながらの計測でも、針は検査魔道具の9割まで光らせていた。
そりゃあそうだろう。量が多すぎて死ぬところだったんだし。
オースティンやクロシオ達がいなかったら、今頃死んでたんだよ、僕。
そんなにギリギリになるまで対処しなかったせいで魔力が溜まりに溜まって圧縮され、かなり密度の濃い魔力になっているらしいのだ。
クロとナミがガンガン削り取りながら影部屋を拡張してくれているらしいけど。
つまり、魔力を貯めておける器がかなり大きくなっていて含有量も多いし、今ある濃い魔力をクロとナミが使いきってくれるまでは魔力の質も濃いってわけだ。
その処理を毎日手伝ってくれていたオースティンも、魔力を入れておく器が大きくなっているというのがマズルカ先生の診察結果だ。
うん、結果オーライってことで。
☆
(side 同級生)
魔力量の検査が終わった者は、各々決められた座席を探して待つことになった。
中には緊張で顔色の悪いヤツもいる。
落ちることのない試験で、そんなに緊張する意味がわからないよなー。
この学院に入学できた時点で食いっぱぐれはないんだし。
自分の名前を見つけて座ると、さっき魔道具を限界まで光らせていた美人が最前列に座っていた。
やっぱり貴族の中でも身分高めの方だったかー。
さらっさらの銀髪を後ろで括った美人が、魔道具を光らせる光景が何やらやたらと神々しくて、なんだか泣けた。
俺、そんなセンチメンタルな性格してねえのにな。
そのぐらい衝撃だったんだよ。
試験会場となっているこの部屋は前に行けば行くほど座席が広く大きく作られていて、椅子も綿入りで長時間座っていても尻が痛くならない仕様だ。
つまりその席にあの美人が座ってるってことは、この学年で1番身分が高いってことだろう。
ん?俺の椅子か?
俺の椅子は木でできていて、2人で使う長机に腰かけてるぞ?
なんと言っても下級も下級、貴族だなんて思えないくらいの下っ端貴族だからな。
すぐ後ろは平民だからな、と後ろを見てこれまた驚いた。
平民なのに髪色が薄くピンクがかったブロンドで、魔力も美人の次くらいに多かった彼女がいた。
顔も可愛い顔をしている。
平民なのに魔力値が高いってことで、響めきが起こってた子だな。
同じ学年に飛び抜けた美人が2人もいるって、この3年間退屈しなさそうだなー。
ま、俺にチャンスが無いことはわかってるけどな!
そうして全員が席に着いてしばらくすると、壁に設置されていた放送魔術が点滅した。
《各自、机上にある赤色の紙をよく読み署名せよ。読んだ上で署名できないと判断した者は、速やかに席を立ち部屋を辞するように》
机の上には各自の名前と赤い紙、そしてちょっと薄めの本が置いてある。
ふむ、なになに。
学院で学んだ魔術に関することについて、学院に入学していない者に情報を開示することを禁止する、か。
ここで同意の署名をすることで、外に魔術の知識が漏れなくなってるのか。
資格のない相手に魔術について喋ろうとすると、声が出せなくなって文字にも残せないわけな。
赤い紙は契約魔術形式で書かれている。
そのため、契約魔術を嫌悪する人は辞退してもいいってことだ。
ただ辞退=入学できないってことだから、普通は辞退なんかしない。
魔力の使えない貴族なんて聞いたことないしな。
魔力がないと貴族の子供でも貴族になれないんだ。この学校に通えないからな。
そういうヤツらは、だいたいは町の学校を出てその家の家令として働けるように学力を揉まれるか、武力を上げてどこかの自衛団とか私軍に志願するかだ。
んー、大丈夫そうだな。
さすがに王立学院でそんな怪しげな魔術は行使されないだろうが、俺は表と裏を隅まで読み、一応隠し式がないことを確認した。
そもそも俺に見破られるような式を入れるほど、学院の魔術式の質が悪いわけがないので確認する意味はないと思うのだが、市井ではそんなこともあるため、俺たち下っ端貴族や平民は一通り確認するクセがついてしまっているのだ。
変なものに署名なんかして、借金でも作らされたら地獄しかねえ。
しかし、魔術知識をここまで厳重に管理するなんて、昔の貴族の子って一体何をやらかしたんだろうなー。
まあ、俺だって苦労してここまでのし上がったんだし、後ろに続くやつも同じくらい苦労すればいいって思ってるから俺は署名する。
「うおっ」
文面を読んで署名をすると陣が現れた。
これ、魔力を登録するってことだよな?
陣に魔力を込めると赤い紙が光って消え、その場に銀の指輪が現れた。
《署名と魔力登録の終了した者には魔道具が現れたと思う。1度はめると二度と抜けない仕様になっているので、よく考えて好きな指にはめるように》
これが『魔力を使う資格有り』って示す魔道具かー。
好きなとこにはめて、指輪の小さな魔石に魔力を登録っと。
おお、はめたら指の太さに合わせて縮んだぞ。
あ、本当にもう外れないんだな。
へへへ、これで俺も魔道士の仲間入りかあ。
《装着が済めば魔術式の書いてある書物などを読むことが可能になる。机上に置いてあるテキストは2限目の魔道士クラス試験の範囲となる。見ながらの回答を認める》
は?
習ってない範囲も試験内容に含まれるのか?
いやいや、よく考えたらこれに関しては上の連中のやつも初見てことだ。
下手したら俺の方が成績がいいなんてことも起こり得るわけだ。
俄然やる気が出てきたぞ。
が、チラリと見て撃沈した。
なんかわからん模様がいっぱいあるだけだった……。
《では各部屋、共通筆記試験を開始する》
放送と共に、一斉に紙をめくる音が静かに響いた。
今年は魔導士クラスも騎士クラスもそれぞれ200人強の生徒が集まっている。
第3王子が16歳ということで今年入学の生徒まで直接ご尊顔を拝する機会があるため、それに合わせて生まれた貴族は多いのだ。
しかも来年は妹姫が入学する。
思ったよりも、難しいな。
これ、平民はわかんねえんじゃ……。国の歴史とか、ここまで細かいのは図書館で閲覧できねえだろうなあ。
時間いっぱいかけて書き間違えがないが確認しながら解き終わると、最初の説明にあったように、試験用紙を回収箱に入れて陣に魔力を流した……ら、回収箱がパッと消えた。
び、びびった。
魔力登録すると転移陣が作動するタイプだったらしい。
すげーなあ。
今からこれを習うのかと思うと、オラ、ワクワクすっぜ!
ちなみに魔力を登録することにより、替え玉なんていう不正を防止するのだそうだ。
本人じゃない魔力だと弾かれるんだと。
ほー。
1限目の試験後休憩で美人さんは席を立つことはなかったけど、名前はわかった。
ナローエ ユンス ビジジュール
つまり建国の際、兄王を支えるべく辺境の守護を務めた王弟を先祖に持つ、辿れば王族の血筋にある公爵家だ。
そりゃあ最前列なわけだ。
未だに国の防衛に深く関わっている一族だもんなあ。
しかし歴代領主が武人であるのに対して、ナローエ様は線が細すぎるっていうか、まあ、戦える感じは0だ。
うん、魔道士向きって感じだ。
今のビジジュール様はデカくて怖い、まさに護り神ってお方だけどな。
きっとナローエ様は母君に似たんだろう。
ちなみに平民の可愛子ちゃんはメロディちゃんと言うらしい。
休憩中は周りの子とずっと喋っていて、声が可憐な鈴みたいな声で、すっごく可愛かった。
俺、この学年でよかったなあ。
ほんの少しの可能性もないとは思うけど、ちょっとぐらい覚えてもらえるように頑張ろうっ。
次の試験はみんな初めてやる教科だしな!
《続いては文官専用の試験となる。机上の冊子を参考にして構わない。終了した者から回収箱に用紙を入れ速やかに部屋を辞するように。始め!》
うん、そんな気はしてたけどな!
テキスト見ながらでも、さっぱりわからん!!
あはははは、はあ、ぐすん。
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