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15話 ゲームの世界
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(side)
「オースティン様!」
合同訓練が終わると新しい手拭いを持って慌てて走り寄った。
「ああ、悪いな」
オースティン様が手拭いで汗を拭うと、それをすかさず回収する。これは大事なコレクションだからな。
オースティン様は平民だけど、実力があるんだ。
そんな彼とお近づきになりたいと、いろんなヤツがチャンスを伺っているけど、それを蹴散らしているのが僕だ。
僕は伯爵家の次男で、親からリグリアンに従うようこの学校に放り込まれたわけだが、アイツめちゃくちゃ性格悪いんだよな。
アイツに付き従うのなんか心底嫌だった。
だから試験日の時のアイツらのやられっぷりに、スカッとしたのは平民だけじゃなかったと思うぜ。
それ以来、僕はオースティン様の追っかけをしているんだ。
僕より身分の高いヤツなんか僅かしかいないから、僕がオースティンに近づくと他のヤツらは近寄ってこれない。
「オースティン様はものすごく強いですから、きっと騎士団とかにも入れますよ。その時のお世話を僕にお任せください」
「あー、それは別に必要ない」
この場合のお世話という意味には2つの意味が含まれている。
一つは金銭的な援助や貴族の後盾。
もう一つは、肉体的にお慰めする役割だ。
本来なら騎士クラスに入る予定はなかった僕は、このクラスでは細身な方で、そういう意味で人気がある。
その2つをオースティン様に捧げるつもりなのだ。
「僕、かなりお役に立てますよ!」
「いや、騎士団に興味がない」
「そんな!もったいないです!」
オースティン様が騎士団に興味がないのは、あのナローエとかいう人のせいなんだと思う。
公爵家だかなんだか知らないけど、武家に生まれながら武人として活躍できないからひねくれているのだ。
オースティン様が思うように活躍できないように、行動に制限をつけているに違いない。
オースティン様をそこから解放するのが、僕の役目なんだ。
☆
(sideナローエ)
「ナローエ様、貴方、ご自分の立場をわかってますか?!」
校庭を散策していると急に声をかけられた。
いきなりの声がけの上に、挨拶も名乗りもない。カラーの模様と色を見るに同学年だろう。
この学年だと僕より上、もしくは同等の身分の生徒はもう1人しかいないはずだから、彼は僕より下なはずだよな?
もう1人のことは要注意人物としてオースティンに教えられて知ってるし。
君、めっちゃ失礼だぞ。まあ、こんなことで怒ったりなんかしないけど。
なんていうか、僕、騎士クラスの人から見下されてるんだよなあ、本当。
「貴方のせいで、オースティン様は出世を諦めているんですよ?!」
「出世?」
まだ学生なのに、出世ってどういうこと?
あ、でもメロディは魔導師になったし、アレは学生のうちに出世したって言ってもいいよな。
じゃあ騎士クラスにも何かあるのか。
「そうです!まだまだ学生の身分でありながら、騎士団から声がかかっているのを知っていますか?!彼の後見人と言いながら、オースティン様の邪魔をしてるの、貴方なんですよ!」
「え?」
騎士団から声がかかっている?
僕が、オースティンの邪魔をしてる?
「それを、そんな名誉なことを、オースティン様は貴方のために断ってるんです!そろそろ貴方のわがままから、オースティン様を解放してあげてください!」
彼はそれだけ言うと、弾丸のように走り去ってしまった。
残るのは、よく状況が分からなくて困っている僕1人。
いや、本当はわかっている。
だって、ここはゲームの世界だ。
オースティンを騎士団長に、いや、勇者にさせようと、なんらかの力が働いていたっておかしくないんだ。
オースティンが僕のことを、簡単に捨てたりしないと信じてはいる。
けど、お互いの気持ちだけでは、どうにもならない所にいるのかもしれない。
僕は、本当なら死んでいてもう存在もしていない、異分子なのだから。
☆
「ナローエ様?なんかありましたか?元気がありませんね」
部屋でいつも通り過ごしていたつもりだけど、オースティンには違うように見えたらしい。
確かに、ため息を吐きたくなるもんな。
「え、そう?そんなこと、ないんだけど。……あ、そういえば今日聞いたんだけどさ、オースティン、騎士団から声がかかってるって本当?」
僕はなるべく明るく聞こえるように声を出した。
「まあ、そうですけど、ちゃんと全部断ってますから」
って、なんでそんなに嬉しそうなんだ!
「な、なんで?!もったいない!」
瞬間、部屋の温度が5度は下がった。
「ナローエ様、それだと俺が騎士団に入ってもいいって言ってるように聞こえますが」
「え、うん」
そのつもりだったんだけど?
なんで機嫌悪くなるんだ?
「なんでです?俺、ナローエ様の近くにいたいって言いましたよね。一緒にいたいと思ってるのは俺だけでしたか?」
なんで、そういうことになるんだ?
「ナローエ様は俺を手放すつもりですか?」
「そんなこと、思ってない」
「嘘ばっかりだ。ナローエ様は俺のこと、好きじゃなかったんですね」
「好きだよ!」
ちゃんと好きだよ。
「好きだから、君の幸せの邪魔をしたくない。騎士団に入るなんて、すごいことだろ?」
「……なるほど。ナローエ様にはもっと愛されているかと思ってましたが」
オースティンは片手で軽々と僕を抱き上げると、寝台の上に放り投げた。
なんで、怒ってるの?
愛してるに決まってるだろ?
「俺が、ナローエ様から離れる気がないって、もっと教え込まないといけないってわけですね」
「オースティン?」
いつもは丁寧に脱がせてくれて、そっと触れる口付けから始まる行為が、荒々しく始まった。
性急なせいで、ボタンが弾け飛んだ。
「いったっ!!」
甘噛みなんてものじゃない。本当に食い千切られるかと思うくらい、歯を立ててくる。
「一生残る、跡がつけばいい」
「やだっ」
オースティンの顔が、強張った。
ああ、失敗した。
オースティンを拒絶するつもりはなかったのに。
「見るたびに俺のことを思い出すようにしてやる」
解こしてもないそこに、濡れてもいない指が当てられる。
「傷つけばいい」
こんなオースティンを、僕は知らない。
「ねえ、オースティン。怖いよ?優しくしてよ」
「じゃあ、優しくさせてくださいよ!」
「オースティン?」
痛いのは僕の方なのに、オースティンの方が辛そうだ。
「俺の愛を疑わないでください。ナローエ様に捨てられたら、生きていく、意味がないんです。騎士団に入ったって、いくら出世したって、そこにナローエ様がいないなら、なんの意味もない!!」
ああ、これは僕が悪かった。
ちゃんと話すべきだった。
何があって、こう思ってしまったのか。
僕のこのショックを受けている気持ちがなんなのか。
ちゃんとオースティンと話し合うべきだった。
「オースティン、ごめん。オースティンの気持ちは疑ってないんだ。ただ僕が、僕に自信がなかったから。僕なんかがオースティンの側にいちゃいけないって、他人に言われて納得しちゃったんだ」
「誰です?そんなことを言ったのは」
「わかんない。騎士クラスの人だったけど、名乗らなかったし。オースティンの邪魔をしてるって言われたことの方が、僕にはショックだったから」
オースティンの喉がグッと鳴ると、噛みつかれた。
息、できない!
何度もバンバン肩を叩いて、ようやく解放された。
「は、はあっ!はあっ」
「ナローエ様、俺らの間のことは、他の誰の言うことも聞かないで、俺に聞いてください」
「うん」
「俺の言葉だけが、真実なんです」
「うん、うん、ごめん」
「ナローエ様を失うかと思った」
「ごめん」
「ナローエ様を失うくらいなら、手も足も切り落として俺なしじゃ生きていけないようにしてやろうかと思った」
「うん、うん?」
なんか、聞き間違えた気がする。
「でも、ナローエ様に辛い思いをさせたくないんです」
「うん?」
「だから、俺から離れないようにしてください。俺に優しくさせてください」
「わ、わかった」
「はあ、でも、俺の印がついてるナローエ様とか、最高ですね」
オースティンの目は俺の肩を見つめている。
うん?
あの、さっきの、聞き間違い、だよね?
「今日は、俺の好きにさせてください」
「うん」
うん?
手に持ってるの、何?
「オースティン?」
なんで、縛るの?
「今日はお仕置き、しないと、ね」
「や、優しくしてくれる、んだよな?」
「もちろんです。そのために、ナローエ様が拒絶できないようにしましょうね」
「こ、こんなことしなくても、オースティンを拒絶なんかするわけないだろ?」
その問いに、答えはなかった。
「オースティン?」
「もう、黙って」
その言葉通り、僕の口はオースティンのモノで塞がれた。
大きすぎてちゃんと入らないのに、強引に押し込んでくる。溢れる涎が、浅ましくて異様に恥ずかしいのに、離してもらえない。
上から伸し掛かるオースティンが僕のを激しく舐めてくるのに、僕は舌を動かすので精一杯だ。
オースティンが腰を揺らすと、喉の奥に来そうで怖い。
そう思いながら、脚を震わせた時だった。
オースティンの口から、僕のが吐き出されてしまった。
イキ、たい。
そう、伝えたいのに、声が出せない。
うーうーと唸っても、触ってくれない。
と、いつもは浄化剤で解こされるそこに、オースティンの舌が入ってきた。
嫌がるように身体を揺すれば、身体を締め付ける力が増えただけだった。
気が遠くなるくらいの時間、そうされていて、気がついたら僕のお尻が天井を向いて思いっきり開かれていた。
こんな格好をするために柔軟を頑張ったわけじゃない。柔軟しかまともにできなかったのだ。
ようやく口から出たオースティンのオースティンが、天井に向けて広げられた僕のソコにずぶずぶと沈んでいく。
それだけのことなのに、オースティンは僕のに触ってないのに、勢いよく飛び出た白いものが、真下にあった僕の顎を直撃した。
「俺に入れられただけで、イッちゃいましたね。ナローエ様はもう、女なんか抱けませんよ」
「だ、抱かないから」
オースティンの顔が、泣きそうに、歪んだ。
「本当に、そうなれば、いいのに!」
オースティン。
それが、オースティンの本音なら、僕は。
「オースティン、僕に兄弟はいないけど、従兄弟はいるんだ。僕が子を作らなくても、どこかに、この家を、継げる子は、存在、してるんだよ?」
縛られてるのがキツくて、体勢がキツくて、途切れ途切れになるけど伝えないと。
「ナローエ様?」
「多少、揉める、だろうけど、いるんだ。だから、僕は、オースティンを、選ぶ。オースティンが、僕の隣を、望むなら、僕の隣に、いる、のは、オースティン、君だけだ」
結婚なんか、しなくてもいいんだ。
「ぐぅぅぅ」
オースティンの喉が、獣みたいに鳴った。
「ううぅぅぅぅ!」
オースティンの目から僕の顔に、ポタポタと落ちてくる。
「我慢させてて、ごめん。オースティン、愛してるよ」
オースティンが激しく動いて、僕の中で震えた。
ゆっくりと、優しく解かれる紐。
痛かったけど、きっとオースティンの心の方が痛かったんだろう、ずっと。
僕だって、オースティンの横に誰かがいたら嫌だと思ったじゃないか。
オースティンが同じことを思わないなんて、なんで思えたんだ。
僕は、なんて傲慢だったのだろう。
「ナローエ様、ごめんなさい」
赤くなった肌に唇を寄せて、僕を恐る恐る抱きしめる。
君が謝ることなんか、何もないんだ。
「僕も、ごめんね。これからは、もっと、ちゃんと話し合おう?」
「はい」
僕もオースティンを手放さないと、決めた。
必要があるのならばこの世界と、戦おう。
そして、いつかオースティンに本当のことを告げられたのなら。
その時、全部の僕を受け入れてもらえるように、努力するだけしてみよう。
そう思ったところで、目蓋が、降りてしまった。
さすがに今日は、疲れた。
ーーーーーーーーーー
水場の性癖満載ですみませぬ……
ヤン攻め慟哭エロパートでございました
「オースティン様!」
合同訓練が終わると新しい手拭いを持って慌てて走り寄った。
「ああ、悪いな」
オースティン様が手拭いで汗を拭うと、それをすかさず回収する。これは大事なコレクションだからな。
オースティン様は平民だけど、実力があるんだ。
そんな彼とお近づきになりたいと、いろんなヤツがチャンスを伺っているけど、それを蹴散らしているのが僕だ。
僕は伯爵家の次男で、親からリグリアンに従うようこの学校に放り込まれたわけだが、アイツめちゃくちゃ性格悪いんだよな。
アイツに付き従うのなんか心底嫌だった。
だから試験日の時のアイツらのやられっぷりに、スカッとしたのは平民だけじゃなかったと思うぜ。
それ以来、僕はオースティン様の追っかけをしているんだ。
僕より身分の高いヤツなんか僅かしかいないから、僕がオースティンに近づくと他のヤツらは近寄ってこれない。
「オースティン様はものすごく強いですから、きっと騎士団とかにも入れますよ。その時のお世話を僕にお任せください」
「あー、それは別に必要ない」
この場合のお世話という意味には2つの意味が含まれている。
一つは金銭的な援助や貴族の後盾。
もう一つは、肉体的にお慰めする役割だ。
本来なら騎士クラスに入る予定はなかった僕は、このクラスでは細身な方で、そういう意味で人気がある。
その2つをオースティン様に捧げるつもりなのだ。
「僕、かなりお役に立てますよ!」
「いや、騎士団に興味がない」
「そんな!もったいないです!」
オースティン様が騎士団に興味がないのは、あのナローエとかいう人のせいなんだと思う。
公爵家だかなんだか知らないけど、武家に生まれながら武人として活躍できないからひねくれているのだ。
オースティン様が思うように活躍できないように、行動に制限をつけているに違いない。
オースティン様をそこから解放するのが、僕の役目なんだ。
☆
(sideナローエ)
「ナローエ様、貴方、ご自分の立場をわかってますか?!」
校庭を散策していると急に声をかけられた。
いきなりの声がけの上に、挨拶も名乗りもない。カラーの模様と色を見るに同学年だろう。
この学年だと僕より上、もしくは同等の身分の生徒はもう1人しかいないはずだから、彼は僕より下なはずだよな?
もう1人のことは要注意人物としてオースティンに教えられて知ってるし。
君、めっちゃ失礼だぞ。まあ、こんなことで怒ったりなんかしないけど。
なんていうか、僕、騎士クラスの人から見下されてるんだよなあ、本当。
「貴方のせいで、オースティン様は出世を諦めているんですよ?!」
「出世?」
まだ学生なのに、出世ってどういうこと?
あ、でもメロディは魔導師になったし、アレは学生のうちに出世したって言ってもいいよな。
じゃあ騎士クラスにも何かあるのか。
「そうです!まだまだ学生の身分でありながら、騎士団から声がかかっているのを知っていますか?!彼の後見人と言いながら、オースティン様の邪魔をしてるの、貴方なんですよ!」
「え?」
騎士団から声がかかっている?
僕が、オースティンの邪魔をしてる?
「それを、そんな名誉なことを、オースティン様は貴方のために断ってるんです!そろそろ貴方のわがままから、オースティン様を解放してあげてください!」
彼はそれだけ言うと、弾丸のように走り去ってしまった。
残るのは、よく状況が分からなくて困っている僕1人。
いや、本当はわかっている。
だって、ここはゲームの世界だ。
オースティンを騎士団長に、いや、勇者にさせようと、なんらかの力が働いていたっておかしくないんだ。
オースティンが僕のことを、簡単に捨てたりしないと信じてはいる。
けど、お互いの気持ちだけでは、どうにもならない所にいるのかもしれない。
僕は、本当なら死んでいてもう存在もしていない、異分子なのだから。
☆
「ナローエ様?なんかありましたか?元気がありませんね」
部屋でいつも通り過ごしていたつもりだけど、オースティンには違うように見えたらしい。
確かに、ため息を吐きたくなるもんな。
「え、そう?そんなこと、ないんだけど。……あ、そういえば今日聞いたんだけどさ、オースティン、騎士団から声がかかってるって本当?」
僕はなるべく明るく聞こえるように声を出した。
「まあ、そうですけど、ちゃんと全部断ってますから」
って、なんでそんなに嬉しそうなんだ!
「な、なんで?!もったいない!」
瞬間、部屋の温度が5度は下がった。
「ナローエ様、それだと俺が騎士団に入ってもいいって言ってるように聞こえますが」
「え、うん」
そのつもりだったんだけど?
なんで機嫌悪くなるんだ?
「なんでです?俺、ナローエ様の近くにいたいって言いましたよね。一緒にいたいと思ってるのは俺だけでしたか?」
なんで、そういうことになるんだ?
「ナローエ様は俺を手放すつもりですか?」
「そんなこと、思ってない」
「嘘ばっかりだ。ナローエ様は俺のこと、好きじゃなかったんですね」
「好きだよ!」
ちゃんと好きだよ。
「好きだから、君の幸せの邪魔をしたくない。騎士団に入るなんて、すごいことだろ?」
「……なるほど。ナローエ様にはもっと愛されているかと思ってましたが」
オースティンは片手で軽々と僕を抱き上げると、寝台の上に放り投げた。
なんで、怒ってるの?
愛してるに決まってるだろ?
「俺が、ナローエ様から離れる気がないって、もっと教え込まないといけないってわけですね」
「オースティン?」
いつもは丁寧に脱がせてくれて、そっと触れる口付けから始まる行為が、荒々しく始まった。
性急なせいで、ボタンが弾け飛んだ。
「いったっ!!」
甘噛みなんてものじゃない。本当に食い千切られるかと思うくらい、歯を立ててくる。
「一生残る、跡がつけばいい」
「やだっ」
オースティンの顔が、強張った。
ああ、失敗した。
オースティンを拒絶するつもりはなかったのに。
「見るたびに俺のことを思い出すようにしてやる」
解こしてもないそこに、濡れてもいない指が当てられる。
「傷つけばいい」
こんなオースティンを、僕は知らない。
「ねえ、オースティン。怖いよ?優しくしてよ」
「じゃあ、優しくさせてくださいよ!」
「オースティン?」
痛いのは僕の方なのに、オースティンの方が辛そうだ。
「俺の愛を疑わないでください。ナローエ様に捨てられたら、生きていく、意味がないんです。騎士団に入ったって、いくら出世したって、そこにナローエ様がいないなら、なんの意味もない!!」
ああ、これは僕が悪かった。
ちゃんと話すべきだった。
何があって、こう思ってしまったのか。
僕のこのショックを受けている気持ちがなんなのか。
ちゃんとオースティンと話し合うべきだった。
「オースティン、ごめん。オースティンの気持ちは疑ってないんだ。ただ僕が、僕に自信がなかったから。僕なんかがオースティンの側にいちゃいけないって、他人に言われて納得しちゃったんだ」
「誰です?そんなことを言ったのは」
「わかんない。騎士クラスの人だったけど、名乗らなかったし。オースティンの邪魔をしてるって言われたことの方が、僕にはショックだったから」
オースティンの喉がグッと鳴ると、噛みつかれた。
息、できない!
何度もバンバン肩を叩いて、ようやく解放された。
「は、はあっ!はあっ」
「ナローエ様、俺らの間のことは、他の誰の言うことも聞かないで、俺に聞いてください」
「うん」
「俺の言葉だけが、真実なんです」
「うん、うん、ごめん」
「ナローエ様を失うかと思った」
「ごめん」
「ナローエ様を失うくらいなら、手も足も切り落として俺なしじゃ生きていけないようにしてやろうかと思った」
「うん、うん?」
なんか、聞き間違えた気がする。
「でも、ナローエ様に辛い思いをさせたくないんです」
「うん?」
「だから、俺から離れないようにしてください。俺に優しくさせてください」
「わ、わかった」
「はあ、でも、俺の印がついてるナローエ様とか、最高ですね」
オースティンの目は俺の肩を見つめている。
うん?
あの、さっきの、聞き間違い、だよね?
「今日は、俺の好きにさせてください」
「うん」
うん?
手に持ってるの、何?
「オースティン?」
なんで、縛るの?
「今日はお仕置き、しないと、ね」
「や、優しくしてくれる、んだよな?」
「もちろんです。そのために、ナローエ様が拒絶できないようにしましょうね」
「こ、こんなことしなくても、オースティンを拒絶なんかするわけないだろ?」
その問いに、答えはなかった。
「オースティン?」
「もう、黙って」
その言葉通り、僕の口はオースティンのモノで塞がれた。
大きすぎてちゃんと入らないのに、強引に押し込んでくる。溢れる涎が、浅ましくて異様に恥ずかしいのに、離してもらえない。
上から伸し掛かるオースティンが僕のを激しく舐めてくるのに、僕は舌を動かすので精一杯だ。
オースティンが腰を揺らすと、喉の奥に来そうで怖い。
そう思いながら、脚を震わせた時だった。
オースティンの口から、僕のが吐き出されてしまった。
イキ、たい。
そう、伝えたいのに、声が出せない。
うーうーと唸っても、触ってくれない。
と、いつもは浄化剤で解こされるそこに、オースティンの舌が入ってきた。
嫌がるように身体を揺すれば、身体を締め付ける力が増えただけだった。
気が遠くなるくらいの時間、そうされていて、気がついたら僕のお尻が天井を向いて思いっきり開かれていた。
こんな格好をするために柔軟を頑張ったわけじゃない。柔軟しかまともにできなかったのだ。
ようやく口から出たオースティンのオースティンが、天井に向けて広げられた僕のソコにずぶずぶと沈んでいく。
それだけのことなのに、オースティンは僕のに触ってないのに、勢いよく飛び出た白いものが、真下にあった僕の顎を直撃した。
「俺に入れられただけで、イッちゃいましたね。ナローエ様はもう、女なんか抱けませんよ」
「だ、抱かないから」
オースティンの顔が、泣きそうに、歪んだ。
「本当に、そうなれば、いいのに!」
オースティン。
それが、オースティンの本音なら、僕は。
「オースティン、僕に兄弟はいないけど、従兄弟はいるんだ。僕が子を作らなくても、どこかに、この家を、継げる子は、存在、してるんだよ?」
縛られてるのがキツくて、体勢がキツくて、途切れ途切れになるけど伝えないと。
「ナローエ様?」
「多少、揉める、だろうけど、いるんだ。だから、僕は、オースティンを、選ぶ。オースティンが、僕の隣を、望むなら、僕の隣に、いる、のは、オースティン、君だけだ」
結婚なんか、しなくてもいいんだ。
「ぐぅぅぅ」
オースティンの喉が、獣みたいに鳴った。
「ううぅぅぅぅ!」
オースティンの目から僕の顔に、ポタポタと落ちてくる。
「我慢させてて、ごめん。オースティン、愛してるよ」
オースティンが激しく動いて、僕の中で震えた。
ゆっくりと、優しく解かれる紐。
痛かったけど、きっとオースティンの心の方が痛かったんだろう、ずっと。
僕だって、オースティンの横に誰かがいたら嫌だと思ったじゃないか。
オースティンが同じことを思わないなんて、なんで思えたんだ。
僕は、なんて傲慢だったのだろう。
「ナローエ様、ごめんなさい」
赤くなった肌に唇を寄せて、僕を恐る恐る抱きしめる。
君が謝ることなんか、何もないんだ。
「僕も、ごめんね。これからは、もっと、ちゃんと話し合おう?」
「はい」
僕もオースティンを手放さないと、決めた。
必要があるのならばこの世界と、戦おう。
そして、いつかオースティンに本当のことを告げられたのなら。
その時、全部の僕を受け入れてもらえるように、努力するだけしてみよう。
そう思ったところで、目蓋が、降りてしまった。
さすがに今日は、疲れた。
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