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1話 刀片帰還編
2.特にこれといって大したことはない筈だ
しおりを挟む天気予報で 曇りのち雨と言う予報士に苛立ちを覚えたのはいつだっただろうか、
いずれ雨が降ります。でいいのではないかと思い始めたのがきっかけだった気がする。
前置きはいらない。
今日は雨が降りますので傘を忘れずに…で良くはないのかと自問を繰り返していた気がする。
どうでもいいことに自問自答する少年時代が懐かしい。
今思えばあの頃から俺の体に異変が起こった気がする。
しかし、今はそんな昔話はどうでもいい。
噴煙立ち込める教室は教室と呼ぶにはふさわしくないくらい俺の知っている教室ではなかった。
散乱した机と椅子の残骸壁や天井が崩落しそれによって潰された筆箱や掃除ロッカーの数々ヒビが入り真っ二つに割れてなんで書いてあったかすら不明な黒板。見事なまでに瓦礫の下敷きになった教卓と その下でピクリとも動かない国語の先生、妻夫木。
他の生徒もみな 無残な姿でその辺に散らばっていた。
腕だけが転がっていたり、
誰かの血痕や歯、 指、上靴などが
転がり 何かよからぬものが焼けてる焦げ臭さが教室の中に溢れかえっていた。
『痛~っ、みんな生きてるかー?
いや、生きてねえか…うわっ
、、ありゃー死んでるわ…まあいいや俺こいつ嫌いだし。』
誰かが独り言ほざいている。
内容は最低だ。
不謹慎にも程がある。
だが、そんな不謹慎な物言いをする人物が誰なのかは特定できない。
声と制服からして男子ではあることに間違いはないが、
顔は立ち込める噴煙によって把握できない。
俺は仕方なく、教室の外へ出ることにした。
幸いにして制服に煙の匂いは染み付いてはいるものの、特にこれといった外傷は一つもない。
それもこれも全て俺の身の危険を察知すると作動する見えない壁のお陰である。
教室の入り口の扉はすでになくなっておりすぐに廊下に出ることができた。
これからなにをしようか特にすることもない。
恐らく生徒のほとんどが息をしていないと見て間違いはない。
が、とりあえずここから出る途中生存者がいたらそいつと一緒に出るとしよう。
そして クラスのマドンナ的存在の倉橋がどこへ行ったか、というより生きているのかどうかも調べてみるとしよう。
俺はやるべきことを整理して廊下に転がる死体の山を見ながら進んだ。
死体の山を見て思うことは特にない。
なぜなら、もう痛いほどこの光景は見ているからだ。
たとえそれが見知った顔であっても…
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