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第11話 命の危険
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重苦しい空気が流れ、しばしの沈黙ののちに、桜庭が問い掛けてくる。
「それで、どうして、ご主人様が『Great Old Ones』に命を狙われるなんてことに……?」
「もし、俺がミッチェルさんの遺産を辞退したら、『Great Old Ones』に寄贈されることになってんだよ」
「そんなバカなっ! 何故、ミッチェル様の大事な遺産を『Great Old Ones』なんかにっ?」
驚愕に目を見開く桜庭に、俺は続ける。
「いや~……俺にも良く分かんないけど、そういうことになってるらしいよ。ミッチェルさんが、何をトチ狂っちまったか知んないけど、もしそのことが『Great Old Ones』に知れたら逆恨みで……」
「そんなこと、絶対にさせません。ご主人様のお命は、僕が守ります」
俺の言葉を遮って、桜庭が低い声でハッキリと言い切った。
それを聞いて、無駄に熱くなった橘と桔梗も続く。
「やはり、今後も一緒に寝るべきです! ご主人様は、私達で守るんだっ!」
「もちろんですっ!」
あれ? 俺、ひょっとして、墓穴を掘った?
これじゃ、ますます、こいつら俺の布団に入ってきちゃうじゃん。
全裸の野郎どもと、川の字で寝るのは、正直勘弁して欲しい。
いや、ひとり多いから川の字じゃないけど。
俺がグルグル考えていると、硬い表情の桜庭がベッドから出て行く。
「そうと決まれば、警備を強化しましょうっ! まずは警察と警備会社へ連絡をっ!」
「わーっ! 待った待ったっ! そこまでしなくて良いってばっ! 『命を狙われるかも知んない』ってのは、単なる俺の想像だからっ! 桜庭がいてくれれば、充分だってっ!」
「僕がいれば……?」
必死で引き止める俺に、桜庭が反応を示した。
俺は何度も頷いて、笑みを作る。
「そ、そうっ! お前が、俺を守ってくれるんだろ?」
「はい。ご主人様の命は、僕が身を挺してでもお守り致します。この命、燃え尽きるまで」
鬼神が女神へ戻って、俺の手を両手で握り締めた。
全裸で。
「ちょーっと、アンタ達ぃ! いつまで、きゃっきゃうふふしてんのっ! そろそろ起きてちょうだいっ!」
ベッドルームの扉をバターンッと音を立てて開け放ち、椿が俺らを起こしに来た。
パンパンと手を叩きながら、ベッドの上にいる執事達を叱り付ける。
「アンタらね、朝からのほほんとし過ぎ! お顔洗って、シャキッとしてらっしゃいっ!」
「すみません」
「申し訳ない」
「ごめんなさいっ!」
執事達は謝ると、バタバタと慌ただしくベッドルームを出て行った。
お前は、みんなの母ちゃんか。
特に橘、お前、執事長だろ?
なんで、執事長が、他の執事に怒られてんの?
役職換えてもらった方が、良いんじゃねぇか?
俺がポカンとしていると、椿が取り繕うように「てへぺろ☆」とおどけて笑う。
三十過ぎたオッサンが「てへぺろ☆」は、マジキモいから、マジやめろ。
「やだわ、アタシったら、朝から大声出しちゃってっ。はしたないところを、お見せしました」
クネクネと体をくねらせながら、椿が俺に擦り寄って来る。
「ごめんなさいねぇ、ご主人様っ。あの子達、ミッチェル様が亡くなってからというもの、すっかり気が抜けてしまいまして。大変失礼致しました」
「へ、へぇ……そうなんだ?」
自分よりも、図体のデカいオカマに全裸で擦り寄られて、俺は体を強張らせた。
全身に鳥肌が立ち、背筋が寒くなる。
「では、ご主人様、ご案内致しますわ」
「は、はい……」
椿にエスコートされて、ベッドルームを出た。
「それで、どうして、ご主人様が『Great Old Ones』に命を狙われるなんてことに……?」
「もし、俺がミッチェルさんの遺産を辞退したら、『Great Old Ones』に寄贈されることになってんだよ」
「そんなバカなっ! 何故、ミッチェル様の大事な遺産を『Great Old Ones』なんかにっ?」
驚愕に目を見開く桜庭に、俺は続ける。
「いや~……俺にも良く分かんないけど、そういうことになってるらしいよ。ミッチェルさんが、何をトチ狂っちまったか知んないけど、もしそのことが『Great Old Ones』に知れたら逆恨みで……」
「そんなこと、絶対にさせません。ご主人様のお命は、僕が守ります」
俺の言葉を遮って、桜庭が低い声でハッキリと言い切った。
それを聞いて、無駄に熱くなった橘と桔梗も続く。
「やはり、今後も一緒に寝るべきです! ご主人様は、私達で守るんだっ!」
「もちろんですっ!」
あれ? 俺、ひょっとして、墓穴を掘った?
これじゃ、ますます、こいつら俺の布団に入ってきちゃうじゃん。
全裸の野郎どもと、川の字で寝るのは、正直勘弁して欲しい。
いや、ひとり多いから川の字じゃないけど。
俺がグルグル考えていると、硬い表情の桜庭がベッドから出て行く。
「そうと決まれば、警備を強化しましょうっ! まずは警察と警備会社へ連絡をっ!」
「わーっ! 待った待ったっ! そこまでしなくて良いってばっ! 『命を狙われるかも知んない』ってのは、単なる俺の想像だからっ! 桜庭がいてくれれば、充分だってっ!」
「僕がいれば……?」
必死で引き止める俺に、桜庭が反応を示した。
俺は何度も頷いて、笑みを作る。
「そ、そうっ! お前が、俺を守ってくれるんだろ?」
「はい。ご主人様の命は、僕が身を挺してでもお守り致します。この命、燃え尽きるまで」
鬼神が女神へ戻って、俺の手を両手で握り締めた。
全裸で。
「ちょーっと、アンタ達ぃ! いつまで、きゃっきゃうふふしてんのっ! そろそろ起きてちょうだいっ!」
ベッドルームの扉をバターンッと音を立てて開け放ち、椿が俺らを起こしに来た。
パンパンと手を叩きながら、ベッドの上にいる執事達を叱り付ける。
「アンタらね、朝からのほほんとし過ぎ! お顔洗って、シャキッとしてらっしゃいっ!」
「すみません」
「申し訳ない」
「ごめんなさいっ!」
執事達は謝ると、バタバタと慌ただしくベッドルームを出て行った。
お前は、みんなの母ちゃんか。
特に橘、お前、執事長だろ?
なんで、執事長が、他の執事に怒られてんの?
役職換えてもらった方が、良いんじゃねぇか?
俺がポカンとしていると、椿が取り繕うように「てへぺろ☆」とおどけて笑う。
三十過ぎたオッサンが「てへぺろ☆」は、マジキモいから、マジやめろ。
「やだわ、アタシったら、朝から大声出しちゃってっ。はしたないところを、お見せしました」
クネクネと体をくねらせながら、椿が俺に擦り寄って来る。
「ごめんなさいねぇ、ご主人様っ。あの子達、ミッチェル様が亡くなってからというもの、すっかり気が抜けてしまいまして。大変失礼致しました」
「へ、へぇ……そうなんだ?」
自分よりも、図体のデカいオカマに全裸で擦り寄られて、俺は体を強張らせた。
全身に鳥肌が立ち、背筋が寒くなる。
「では、ご主人様、ご案内致しますわ」
「は、はい……」
椿にエスコートされて、ベッドルームを出た。
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