学園ラブコメの恋愛フラグをことごとくへし折るニブチン主人公に恋焦がれるホモ兄弟の片想い地獄に巻き込まれてしまった……

橋元 宏平

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第5話 エンドレスホモワルツ

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直樹なおき! 直樹~っ!」
「なに?」

 最近の誠人まことは、何かあればすぐ「直樹」だ。
 誠人はむくれた顔で、直樹に訴える。

「お前んとこの弟さぁ、俺がデブだからって胸んでくんの、なんとかしてよ~っ!」
「ああ、分かった。誠人を困らせるヤツは、おれが絶対に許さん」
「さっすが、直樹! ありがとう~、頼りになるぅ~っ!」
「だろ? 困った時には、いつでもおれを頼れ」

 誠人はスキンシップが好きで、心を許した相手には気軽にハグする。
 誠人に抱き着かれて、直樹はひそかにニヨニヨしていた。
 直樹がむっつりスケベの変態紳士であることを、誠人だけが知らない。

 雅紀まさきは自分の欲望に忠実で、ガツガツしている肉食系ストーカーホモ。
 人の迷惑も考えず、ひまさえあれば誠人をつけ回している。
 しょっちゅう誠人のおっぱいを揉みまくるもんだから、さすがにウザがられるようになった。
 いくら男とはいえ、胸を揉みまくるのはオレもどうかと思うぞ。

 以前オレは、誠人への恋心をこじらせまくっている直樹から相談を受けた。
「誠人から信頼されるには、どうすればいいか?」と。
 誠人はノンケなので、恋人になることは難しい。
 それでもせめて、信頼してもらえる存在になりたいと考えたようだ。
 信頼が愛に変わる可能性に、ワンチャンけたってわけよ。

 信頼は、文字通り「信じて頼ってもらえること」
 信頼ってもんは、そう簡単に得られるもんじゃない。
 だから、「日々の積み重ねで、信頼してもらえる行動を取れ」と教えた。

 恋はけ引きだ。
 相手の出方や状況に応じて、適度に押したり引いたりする。
 ベタベタしすぎるとウザがられるし、つれない態度ばかり取ると嫌われる。
 適度な距離感が、大事。
 この「適度な距離感」が、一番難しいんだけどな。

 どうやら雅紀が当て馬になって、ふたりの距離が縮まったみたいだな。
 直樹が騎士役に徹てっして守ることで、誠人姫君の信頼を勝ち取ったらしい。
 ふたりがくっ付いてくれれば、このエンドレスホモワルツが終わるのに。

 しかし、そうは問屋とんやおろさなかった。
 雅紀が興奮しながら、ゲーム同好会の部室へ駆け込んでくる。

「誠人先輩、どうして逃げるんですかっ?」
「ギャ~ッ! 来たぁ~っ! 直樹ぃ、助けて~っ!」
貴様きさま、いい加減にしろやっ! 誠人が嫌がってんだろっ!」
「なんで、兄さんの後ろに隠れるんですかっ? 兄さん、ズルいっ!」
「貴様が怖ぇからに、決まってんだろうがっ!」
「ぼくのどこが怖いっていうんですかっ? こんなに、誠人先輩のことを愛しているのにっ!」

 誠人が直樹の後ろに隠れると、ホモ兄弟でカバディが始まった。
 なんでもいいから、このクソみてぇなホモロジーウロボロスを早く終わらせてくんねぇかなぁ?

大介だいすけ先生、お助けあれぇ~っ!」
「おいっ、オレを巻き込むんじゃねぇっつってんべや、てめぇっ!」

 傍観ぼうかんを決め込んでいたら、誠人がこっちへ逃げてきた。
 ヘタクソな泣きマネなんてしながら、オレの背中に抱き着く。
 背中に押し付けられたおっぱいの感触が、めっちゃ気持ち好い。
 こっちとら、肉欲にえているヤリたい盛りの男子高校生なんだ。
 そんなことされたら、おっっちまうだろうがよ。

「んだよっ! 結局、大介んとこ行くのかよっ? 誠人!」
「大介先輩! ぼくの誠人先輩を返して下さいよっ!」

 ホモ兄弟の嫉妬しっとの視線が、オレに突き刺さった。
 なんでお前らは、いちいちオレを巻き込まないと気が済まないんだっ!
 オレはついにブチキレて、大声で怒鳴り散らす。
 
「あ~も~っ、てめぇらマジで面倒臭ぇっ! そんなに好きなら、全員付き合っちまえっ!」

 オレの叫びを聞いて、全員が呆気にとられた顔で黙り込んだ。
 急に静かになって、オレも目をパチクリさせる。
 あれ? オレ、またなんかやっちゃいました?
 しばらくすると、三人三様さんにんさんようの反応を見せ始める。

「いや、えっと、その、それは、ほら、ちょっと、ねぇ……」
「誠人が良ければ、それでも構わんけど。でも、初めての時はひとりめしたいかな」
「4Pで、兄弟丼+αアルファですか? まぁ、ぼくとしてはアリ寄りのアリですけど」

 オレの横では誠人が顔を真っ赤にして、もじもじしている。
 ホモ兄弟は、満更まんざらでもなさそう。
 3人ともチラチラとお互いを見回して、様子を伺《うかが》っている。

 え? 4Pって言った?
 もしかして、それってオレも入ってる?
 いや待て! オレはホモ兄弟と穴兄弟あなきょうだいになるつもりはないからっ!
 どうぞ、兄弟丼でしっぽりよろしくやってくれっ!

 チンコおっ勃っちゃってるけど、不可抗力ふかこうりょくだから!
 誠人のおっぱいで、うっかり勃起ぼっきしちゃっただけだからっ!
 
「や、やっぱ、今のなしで! オレ、もう帰るわっ! じゃあなしたっけなっ!」
「えぇっ? ちょっと待てよ、大介~っ!」
「おい! 今のなしって、どういうことだよっ?」
「言い逃げなんて、卑怯ひきょうですよ! 大介先輩~っ!」
「卑怯で結構っ!」  
 
 オレはいたたまれなくなって、三人が呼び止めるのも無視して全力で逃げ出した。
 これがきっかけで、さらに面倒臭いことになるのだが。
 それはまた、別の話。
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