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第七話 白虎の謹慎
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組長の息子が襲撃されるという、不測の事態(予想外の出来事)が起こった。
むしろ組長の息子だからこそ、危険が及ぶことは予測出来たはずなのに。
俺たちが不甲斐なかったせいで、可愛い坊ちゃんにケガをさせちまった。
どうして、坊ちゃんを守れなかったのか。
あの時のことを何度も思い出して夢に見るくらい、悔やんでも悔やみきれない。
あの事件から、厳戒態勢が敷かれることになった。
起こり得うる危機の為、人員の配置の見直しが行なわれた。
管理区域内に、防犯カメラを増設。
坊ちゃんが出掛ける際には、発信機や盗聴器を付ける。
うちら世話係三人以外にも、周囲に警備の者を配置する。
さらに、獲物携帯の義務化。
襲われた時は、素手だったからな。
うちらは素手でも戦えるけど、やっぱあった方が有利だからね。
デコ助にパクられないように、服の中に隠し持つ。
ハジキとかドスとか、必然的に獲物のサイズは限られる。
出来れば、べっぴんさんが望ましい。
一度、発砲事件で使っちまうと、マメマメの施条痕(銃身の跡)で使用歴がバレちまう。
懲役太郎(よく刑務所に入る人)には、なりたくない。
ケガが治るまで、坊ちゃんはお散歩が出来なくなった。
それに合わせて、世話係のうちらも謹慎処分で外出禁止を食らった。
申し訳ない気持ちで、坊ちゃんに言い聞かせる。
「すみません、坊ちゃん。ケガが治るまでは、おうちの中で遊びましょうね」
「ぼく、おうち大好きだし、みんなもいるからお外出られなくても平気だよ!」
坊ちゃんは、にぱぁ~と可愛い笑顔で答えた。
もしかしたら、あの事件がトラウマで外が怖くなっているのかもしれない。
俺に気を遣つかわせないように、そんな優しいお言葉をっ?
くぅ……っ、なんてけなげで可愛いんだ、坊ちゃんっ!
天使かっ? 天使だったわっ!
慈悲深い天使の坊ちゃんに、何かしてあげたい。
そうだ! 暇潰しも兼ねて、菓子作りなんてどうだろう?
事件の日も、有名な洋菓子店へ行く約束をしてたっけ。
「坊ちゃん、俺と一緒にお菓子作りしませんか?」
「お菓子? うん、作りたいっ!」
坊ちゃんが嬉しそうに大きく頷いてくれたので、ホッとする。
作る菓子は、基本の型抜きクッキーにしよう。
クッキーは特別な材料がいらないし、簡単に出来る。
まずは、生地作り。
材料はシンプルに、薄力粉とバターと砂糖と卵。
バターを数秒レンジにかけて、ほんのちょっとだけ柔らかくする。
柔らかさとしては、粘土くらい。
バターに砂糖を加えて、ヘラですり混ぜる。
卵をよく溶きほぐして、3回に分けてバターに混ぜていく。
薄力粉はふるいにかけた後、バターにさっくりと混ぜ合わせる。
「ここはこうして、こうするんですよ」
「こう?」
「そうそう、上手」
これで、クッキー生地の完成。
な? 簡単だろ?
生地が出来たらラップで包んで、1時間くらい冷蔵庫で寝かせる。
寝かせる理由は、生地のムラをなくしてサクサクにする為。
冷蔵庫で冷やすとバターが固まって、型抜きしやすくなる。
生地を休ませている間に、クッキー型を作る。
材料は、牛乳パックと紙とペンとハサミとホッチキス。
「坊ちゃんは、どんな動物が好きですか?」
「にゃんことわんこ!」
「にゃんことわんこですね」
これも簡単。
紙に、下絵を描く。
次に、洗って乾かした牛乳パックを3cm幅に切って帯を作る。
牛乳パックの帯を下絵の線に沿って、形を合わせる。
牛乳パックを適当な長さで切り、つなぎ目をホッチキスで留めれば完成。
「ほら、にゃんことわんこが出来ましたよ」
「わ~っ、可愛~い! 白虎お兄ちゃん、スゴ~いっ!」
「他にも、色んな形を作りましょう」
「うんっ! 次はちんちん描いてっ!」
ちんちんだとっ?
バッキバキに反り上がった、俺の立派なちんちんを描いてもいいんだぜ?
いや待て、落ち着け俺よ。
坊ちゃんの言うちんちんは、たぶんちんちん電車のことだ。
決して、俺の股間にぶら下がっているちんちんのことではない。
それに、卑猥なちんちん型のクッキーは食べたくない。
坊ちゃんのお望み通り、在来線普通電車を描きました。
他にも、ウサギやクマ、☆や♡などの型も作った。
これで、型作りは完了。
生地を寝かせている間、そのままお絵かきをして遊んだ。
1時間経ったら、いよいよ型抜きだ。
生地を5mmくらいの厚さに伸ばして、型で抜く。
「坊ちゃんは、型抜きして下さいね~。俺が焼いてきますんで」
「うん、分かった~。にゃんこにわんこっ、くまさん、うさちゃんっ♪」
坊ちゃんは、楽しそうに歌を唄いながら型抜きをしている。
楽しそうな笑顔が、本当に可愛い。
坊ちゃんが抜いた生地を、クッキングシートの上に並べていく。
あとは、170℃に予熱したオーブンで15分くらい焼く。
こんがりキツネ色に焼けたら、冷まして出来上がり。
「はい、できあがりです」
「わぁ、スゴい、美味しそ~っ!」
「どうぞ、お召し上がり下さい」
山盛りのクッキーを差し出すと、坊ちゃんは真面目な顔でクッキーを見つめる。
「あれ? どうしたんですか? 食べていいんですよ?」
「これ、パパと朱雀お兄ちゃんと玄武お兄ちゃんと組のみんなにも、食べさせてあげたいっ!」
ぐはっ! なんて良い子なんだ!
笑顔が眩まぶしすぎて、目が潰れそうだぜっ!
「じゃあ、みんなに配りましょうね」
「うんっ!」
坊ちゃんは明るい笑顔で、組員ひとりひとりにクッキーを配る。
「これ、みんなに食べて欲しくて、頑張って作ったのっ!」
「坊ちゃんが、自分の為にクッキーを焼いて下さったんですかっ?」
「うん! 初めて作ったからちょっとヘタクソだけど、食べてねっ!」
「とっても上手で可愛いですよ! ありがたくいただきますねっ!」
「えへへ、良かったっ!」
こんな可愛いこと言われたら、暗黒物質でも喜んで食べるわっ!
組員達は、坊ちゃんの可愛さにメロメロになりながら、クッキーを受け取った。
「坊ちゃんの初めてを貰もらってしまった!」と、感激して食べられないヤツもいた。
いや、言い方が気持ち悪りぃな。
気持ちは分かるけど、早く食えよ。
保存料が一切入ってない手作りクッキーだから、すぐ腐るぞ。
そして、大本命の組長の部屋の前へやって来た。
「組長、よろしいでしょうか? 坊ちゃんもご一緒です」
「入れ」
襖を開けると、組長の他に朱雀と玄武もいた。
どうやら、話し合いをしていたようだ。
組長は坊ちゃんを見て、柔らかい笑みを浮かべる。
「おう、どうした? 青龍」
「あのね、白虎お兄ちゃんと一緒にクッキー作ったの。だから、パパにも食べて欲しくて」
「良い匂いがすると思ったら、クッキーを作ったのか。青龍は、スゴいな」
組長は坊ちゃんの前でしか見せない父親の笑顔で、坊ちゃんの頭を撫でた。
俺がクッキーの山を差し出すと、さらに笑みを深くする。
「色んな形があってどれも可愛いし、美味しそうだ。さっそく、いただこうか」
「はい、召し上がれ~っ!」
「うん、とっても美味しいぞ。青龍が作ったんだ、マズいはずがない」
「ホント? 良かった~っ!」
父親である組長に褒められて、坊ちゃんもめちゃくちゃ嬉しそうだ。
組長はうちらにも、声を掛ける。
「てめぇらも食え」
「「「へい! ありがたく頂戴致しますっ!」」」
「ぼくも食べる~」
うちらは5人は、坊ちゃんが作ったクッキーを食べた。
分量や焼き時間は俺が正確に計ったから、間違いないんだけど。
坊ちゃんが作ったクッキーだと思うと、いつもより何倍も美味しく感じられた。
きっと、世界一美味しいクッキーに違いない。
坊ちゃんはクッキーを食べながら、俺に向かってにっこりと笑い掛けてくる。
「みんなで食べると、とっても美味しいね! 白虎お兄ちゃん、また一緒にお菓子作ってくれる?」
「はい、喜んでっ!」
むしろ組長の息子だからこそ、危険が及ぶことは予測出来たはずなのに。
俺たちが不甲斐なかったせいで、可愛い坊ちゃんにケガをさせちまった。
どうして、坊ちゃんを守れなかったのか。
あの時のことを何度も思い出して夢に見るくらい、悔やんでも悔やみきれない。
あの事件から、厳戒態勢が敷かれることになった。
起こり得うる危機の為、人員の配置の見直しが行なわれた。
管理区域内に、防犯カメラを増設。
坊ちゃんが出掛ける際には、発信機や盗聴器を付ける。
うちら世話係三人以外にも、周囲に警備の者を配置する。
さらに、獲物携帯の義務化。
襲われた時は、素手だったからな。
うちらは素手でも戦えるけど、やっぱあった方が有利だからね。
デコ助にパクられないように、服の中に隠し持つ。
ハジキとかドスとか、必然的に獲物のサイズは限られる。
出来れば、べっぴんさんが望ましい。
一度、発砲事件で使っちまうと、マメマメの施条痕(銃身の跡)で使用歴がバレちまう。
懲役太郎(よく刑務所に入る人)には、なりたくない。
ケガが治るまで、坊ちゃんはお散歩が出来なくなった。
それに合わせて、世話係のうちらも謹慎処分で外出禁止を食らった。
申し訳ない気持ちで、坊ちゃんに言い聞かせる。
「すみません、坊ちゃん。ケガが治るまでは、おうちの中で遊びましょうね」
「ぼく、おうち大好きだし、みんなもいるからお外出られなくても平気だよ!」
坊ちゃんは、にぱぁ~と可愛い笑顔で答えた。
もしかしたら、あの事件がトラウマで外が怖くなっているのかもしれない。
俺に気を遣つかわせないように、そんな優しいお言葉をっ?
くぅ……っ、なんてけなげで可愛いんだ、坊ちゃんっ!
天使かっ? 天使だったわっ!
慈悲深い天使の坊ちゃんに、何かしてあげたい。
そうだ! 暇潰しも兼ねて、菓子作りなんてどうだろう?
事件の日も、有名な洋菓子店へ行く約束をしてたっけ。
「坊ちゃん、俺と一緒にお菓子作りしませんか?」
「お菓子? うん、作りたいっ!」
坊ちゃんが嬉しそうに大きく頷いてくれたので、ホッとする。
作る菓子は、基本の型抜きクッキーにしよう。
クッキーは特別な材料がいらないし、簡単に出来る。
まずは、生地作り。
材料はシンプルに、薄力粉とバターと砂糖と卵。
バターを数秒レンジにかけて、ほんのちょっとだけ柔らかくする。
柔らかさとしては、粘土くらい。
バターに砂糖を加えて、ヘラですり混ぜる。
卵をよく溶きほぐして、3回に分けてバターに混ぜていく。
薄力粉はふるいにかけた後、バターにさっくりと混ぜ合わせる。
「ここはこうして、こうするんですよ」
「こう?」
「そうそう、上手」
これで、クッキー生地の完成。
な? 簡単だろ?
生地が出来たらラップで包んで、1時間くらい冷蔵庫で寝かせる。
寝かせる理由は、生地のムラをなくしてサクサクにする為。
冷蔵庫で冷やすとバターが固まって、型抜きしやすくなる。
生地を休ませている間に、クッキー型を作る。
材料は、牛乳パックと紙とペンとハサミとホッチキス。
「坊ちゃんは、どんな動物が好きですか?」
「にゃんことわんこ!」
「にゃんことわんこですね」
これも簡単。
紙に、下絵を描く。
次に、洗って乾かした牛乳パックを3cm幅に切って帯を作る。
牛乳パックの帯を下絵の線に沿って、形を合わせる。
牛乳パックを適当な長さで切り、つなぎ目をホッチキスで留めれば完成。
「ほら、にゃんことわんこが出来ましたよ」
「わ~っ、可愛~い! 白虎お兄ちゃん、スゴ~いっ!」
「他にも、色んな形を作りましょう」
「うんっ! 次はちんちん描いてっ!」
ちんちんだとっ?
バッキバキに反り上がった、俺の立派なちんちんを描いてもいいんだぜ?
いや待て、落ち着け俺よ。
坊ちゃんの言うちんちんは、たぶんちんちん電車のことだ。
決して、俺の股間にぶら下がっているちんちんのことではない。
それに、卑猥なちんちん型のクッキーは食べたくない。
坊ちゃんのお望み通り、在来線普通電車を描きました。
他にも、ウサギやクマ、☆や♡などの型も作った。
これで、型作りは完了。
生地を寝かせている間、そのままお絵かきをして遊んだ。
1時間経ったら、いよいよ型抜きだ。
生地を5mmくらいの厚さに伸ばして、型で抜く。
「坊ちゃんは、型抜きして下さいね~。俺が焼いてきますんで」
「うん、分かった~。にゃんこにわんこっ、くまさん、うさちゃんっ♪」
坊ちゃんは、楽しそうに歌を唄いながら型抜きをしている。
楽しそうな笑顔が、本当に可愛い。
坊ちゃんが抜いた生地を、クッキングシートの上に並べていく。
あとは、170℃に予熱したオーブンで15分くらい焼く。
こんがりキツネ色に焼けたら、冷まして出来上がり。
「はい、できあがりです」
「わぁ、スゴい、美味しそ~っ!」
「どうぞ、お召し上がり下さい」
山盛りのクッキーを差し出すと、坊ちゃんは真面目な顔でクッキーを見つめる。
「あれ? どうしたんですか? 食べていいんですよ?」
「これ、パパと朱雀お兄ちゃんと玄武お兄ちゃんと組のみんなにも、食べさせてあげたいっ!」
ぐはっ! なんて良い子なんだ!
笑顔が眩まぶしすぎて、目が潰れそうだぜっ!
「じゃあ、みんなに配りましょうね」
「うんっ!」
坊ちゃんは明るい笑顔で、組員ひとりひとりにクッキーを配る。
「これ、みんなに食べて欲しくて、頑張って作ったのっ!」
「坊ちゃんが、自分の為にクッキーを焼いて下さったんですかっ?」
「うん! 初めて作ったからちょっとヘタクソだけど、食べてねっ!」
「とっても上手で可愛いですよ! ありがたくいただきますねっ!」
「えへへ、良かったっ!」
こんな可愛いこと言われたら、暗黒物質でも喜んで食べるわっ!
組員達は、坊ちゃんの可愛さにメロメロになりながら、クッキーを受け取った。
「坊ちゃんの初めてを貰もらってしまった!」と、感激して食べられないヤツもいた。
いや、言い方が気持ち悪りぃな。
気持ちは分かるけど、早く食えよ。
保存料が一切入ってない手作りクッキーだから、すぐ腐るぞ。
そして、大本命の組長の部屋の前へやって来た。
「組長、よろしいでしょうか? 坊ちゃんもご一緒です」
「入れ」
襖を開けると、組長の他に朱雀と玄武もいた。
どうやら、話し合いをしていたようだ。
組長は坊ちゃんを見て、柔らかい笑みを浮かべる。
「おう、どうした? 青龍」
「あのね、白虎お兄ちゃんと一緒にクッキー作ったの。だから、パパにも食べて欲しくて」
「良い匂いがすると思ったら、クッキーを作ったのか。青龍は、スゴいな」
組長は坊ちゃんの前でしか見せない父親の笑顔で、坊ちゃんの頭を撫でた。
俺がクッキーの山を差し出すと、さらに笑みを深くする。
「色んな形があってどれも可愛いし、美味しそうだ。さっそく、いただこうか」
「はい、召し上がれ~っ!」
「うん、とっても美味しいぞ。青龍が作ったんだ、マズいはずがない」
「ホント? 良かった~っ!」
父親である組長に褒められて、坊ちゃんもめちゃくちゃ嬉しそうだ。
組長はうちらにも、声を掛ける。
「てめぇらも食え」
「「「へい! ありがたく頂戴致しますっ!」」」
「ぼくも食べる~」
うちらは5人は、坊ちゃんが作ったクッキーを食べた。
分量や焼き時間は俺が正確に計ったから、間違いないんだけど。
坊ちゃんが作ったクッキーだと思うと、いつもより何倍も美味しく感じられた。
きっと、世界一美味しいクッキーに違いない。
坊ちゃんはクッキーを食べながら、俺に向かってにっこりと笑い掛けてくる。
「みんなで食べると、とっても美味しいね! 白虎お兄ちゃん、また一緒にお菓子作ってくれる?」
「はい、喜んでっ!」
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