木漏れ日で微睡みを ~もふもふたちと幸せな生活~

山吹レイ

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 兄上と僕が一緒の部屋でお茶を飲んでいる。こんなことはじめてだ。
 ケイトもちらちらと僕のほうに視線を向けることから、戸惑いが見えるけれど、さすがに表情には出さず、お茶を出した後はいつも通りの場所に控えている。
 クリスもドアの前で物音一つ立てず待機している。
 優雅にお茶を飲んでいる兄上が、設えた本棚やサイドテーブルに積み上がっている図鑑を見て呆れたように言った。
「お前はいつも本ばかりだな」
 また嫌なことばかり言うのかと思うと、向かい合って座る兄上を見ていられなくて、テーブルの上に置かれた焼き菓子に視線を落とした。
「もっと体を鍛えたほうがいい。ほら、これを見ろ。父上からもらった剣だ」
 兄上は腰に差した剣を鞘ごと抜くと、見せつけるようにテーブルの上に置く。剣の善し悪しがまったくわからない僕でも、たくさん宝石がついて装飾された鞘の華麗さについ「綺麗だね」と言葉が零れた。
「そうだろ? 切れ味も最高だ」
 立ち上がった兄上は剣を鞘から抜き、室内であるにもかかわらず剣を振るってみせた。ケイトは悲鳴をあげて、部屋の隅で震えている。びゅんびゅんと音がして怖かったけれど、兄上は見せつけるように得意げに片手でも振るってみせる。その矛先がこちらに向いたときに、ケイトが「レネ様!」と僕を庇うように抱きしめた。
 兄上は冷たい表情で僕たちを見下していたけれど、不意に剣を鞘にしまい腰に差した。
「お前が戦場に出たらすぐに死ぬだろうな」
 ケイトが僕を抱きしめながら兄上を睨みつけて声を張り上げた。
「恐れながらリューク様、このような場所で剣を振るうなど……レネ様に当たったらどうなさるおつもりですか!」
「レネに当たる前に、お前が死ぬ。そうだろ?」
 従者や侍女の命を軽んじている兄上の言葉に、ケイトは見たこともない険しい顔で唇をわなわなと震わせながらも言い返した。
「わたくしの命で助かるのなら、いくらでもレネ様に差し出します」
「ケイト」
 思わず窘めるように口を開いたけれど、怒っているわけじゃない。僕のことをそこまで想ってくれているケイトに感謝している。でも僕のために命を捨ててはいけない。
 視線を向けると、兄上は「ふん」と面白くなさそうに鼻で笑って、音を立てて椅子に座ると焼き菓子に手を伸ばした。
「今日ここに来たのは、お前を狩りに誘うと思ったからだ」
「狩り……?」
 まさか、誘われるとは思わなくて困って訊くと、兄上は焼き菓子を食べずに、皿に軽くとんとんと叩いて音を鳴らした。行儀が悪い行為に、僕からゆっくりと体を離したケイトが顔を顰める。
「そうだ。楽しそうだろう?」
 楽しそう、と言われて、唇をきゅっと結ぶ。動物を追いつめて殺す行為を、楽しそうとは思えない。僕はお肉もお魚料理も苦手だった。血を見るのが苦手というのもある。
 それに、剣を持ったこともない馬にも乗ったことがない僕が、狩りができるとは考えられない。
 それをわかっていて誘う兄上の気持ちがわからない。何故僕と狩りをしたいのかも不明だ。
「僕は……」
 言いかけた僕の声を遮るように兄上が言った。
「お前の体調がいいときにしよう。それまで、ちょっとでも力をつけておけ」
 僕の返事を聞かずに立ち上がった兄上に、咄嗟に声をかける。
「あの……兄上はどうして僕を誘ってくれたの?」
「お前は外の世界を知らないから、一緒に行って、少しでも楽しませてやろうと思っただけだ」
 会えば意地悪なことを言う兄上の口から出てきた言葉とは思えなかったから、一瞬ぽかんとしてしまった。
 もしかしたら兄上も僕と仲良くなりたかったのだろうか。口では嫌なことを言っていても、心の中では僕のことを気にかけてくれていた?
 信じられない気持ちが強くて戸惑っていると、兄上は「また誘いに来る」とそっけなく言って、クリスを伴い出て行った。
 暫く黙っていた僕に、ケイトがぽつりと呟いた。
「どういう風の吹き回しでしょうか……」
「僕もびっくりした」
 肩から力が抜けて、萎れた花のように頭を垂れる。疲れてしまった。思った以上に力が入っていたのか、椅子の背もたれに背中を預けると強張った体がゆっくりと沈んでいく。
「……一緒に行ってもいいのかな?」
「レネ様は行きたいのですね?」
「うん。兄上と仲良くなりたい。けど……狩りは……」
 どう考えても僕ができるとは思えない。それは兄上もわかっているはずだ。
「別のことを提案されたらどうでしょうか? 散歩でしたらレネ様の体にも負担がかかりませんし、何があっても対処できます」
「散歩かあ……」
 散歩が許されるなら今頃毎日兄上としている。兄上は僕と特別なことがしたいのだ。
 とりあえず、いつになるかわからないけれども、兄上が言うように少しでも力をつけておけばいいかもしれない。
「毎日走ったほうがいいのかな」
「おやめくださいませ」
 ケイトがすぐに止める。
「じゃあ、馬を見に行こうかなあ。近くで見たことがないんだ」
「おひとりで行かないように。それと、決してご無理は……」
「わかってる」
 剣を振るうのは無理でも弓なら……と考えて、狩りなら剣ではなく弓で行うことに今気づいた。
 剣が上手い兄上なら弓もきっと上手いだろう。弓なら軽そうに見えるし、僕も持てるかもしれない。
 これで少しは兄上と仲良くなれれば……このときは純粋にそう思っていたのだ。
 
 
 数日後、その日は朝から抜けるような青空が広がっていた。雲が一つもなく、風もほとんどない、外で過ごすには最適な日だった。
 そこに朝早くから兄上が狩りに行くぞと誘いに来たのだ。僕は急いでお医者さんを呼んで体を診てもらった。体調はよく熱もない。最近はなんだか調子がよくて、毎日のように外を散歩している。そのせいか、寝つきもよく、朝すっきりと起きられる。
 ケイトは心配な様子で「今はエリス様もおりませんのに……」と言いながら、動きやすい服装を用意してくれた。父上と母上は今、シャンティアラスに行っている。なんでも王族の結婚式があるらしく、外遊も兼ねているから暫く帰ってこない。
 母上がいたら絶対に反対されるから、いなくてよかったかもしれない。
 外に出ると、馬が何頭もいて、一緒についてきてくれる護衛の人たちもたくさんいる。
 僕は怖がらせないようにそうっと馬に近づいて体を撫でた。
 何度挑戦してみても、とうとう一人で馬には乗れなかったけれど、こうして撫でることは平気になった。近くで見ると馬は本当に大きくて、乗ると高くて不安定に揺れる。背後から支えてもらってやっと乗れるようになったものの、長く乗っているとお尻が痛くなる。みな軽々と馬に乗っているし、手綱を持って自由に馬を操っているから僕でもできるかと思ったのに、難しかった。
 難しいといえば、弓も一応習ってみたんだけど……これも無理だった。
 大きな図鑑ほど重くはないと思ったのに、片手で構えていることができない。それに弓を引くのも意外に力がいって、途中で疲れてしまった。
 ならばと走ってみても、数歩足を動かしただけで、息切れがして眩暈がした。
 結局、何もできないままだ。
 それでも、兄上は「お前はただ馬に乗っていればいい」と言ってくれたので、名前も知らないいかつい顔をした護衛の人と一緒に馬に乗る。
 剣も持てない、弓も使えない僕が持つものは、以前母上から身を守るために持たされた短剣だ。それと、朝が早かったのに、挨拶に来たアンからもらった銀色のリボンがついたお守り。
 アンとは久しぶりに会ったのに、最初に会ったときと同じような笑顔で僕に接してくれた。兄上の婚約者になってから、ときどき城に来て勉強を学んでいるらしい。「お勉強は難しいわ」と言っていたけれど、声が弾んでいたし、表情もとても明るい。兄上とうまくいっている証拠だ。アンは僕を特に嫌っている様子はない。リボンの色は違っても兄上とお揃いのお守りもくれたから、もしかしたらそれなりに気にかけているのかもしれない。
 でも、アンが幸せそうでよかった、と思う反面、兄上の婚約者なのだから気軽に話をしないほうがいいと思う自分がいる。
 兄上と仲睦まじく話をする姿に、もう胸は痛まなかったけれど、見ていられなくて、俯いたままダレンのことを思い出した。兄上と狩りに行く話をしたときに、無謀ですよ、と言って心配していた。ダレンは僕が何もできないことを知っているから、兄上に誘われただけでついていく僕を危ぶんでいるのかもしれない。
 馬に乗ってほどなくして、先頭を行く兄上に合わせ常歩から速歩に変わる。
 揺れる体を護衛の人が背後からがっちりと抱えて固定してくれたから、落ちずに済んだけれども、僕はびくびくしながら馬に乗っている。
 怖くて下ばかり見ていた顔を不意に上げると、真っ青な空と街並みが広がる。こんな場所を馬で走るのもはじめてで、僕は思わず笑顔になってきょろきょと周りを見回した。
 朝が早いにもかかわらず、大きな籠を背負って歩いている人、それから畑で仕事をしている人、井戸の周りで楽しそうに話をしている女性たち、それに子供たちも走り回っている。
 この国の人たちは、みな元気に暮らしている。それを目にするのもはじめてだった。
 街を抜けて森の中に入ると、そこは図鑑でしか見たことがない世界が広がっていた。沢山の木、それもそれぞれ葉っぱが違うから一本一本が違う種類の木なのだとわかる。
 そんな木に絡みつている蔦は、かなり高くまでのぼっている。もし指を絡めたら僕の体にも巻きつくのかな、と考えていると、ゆっくりと馬は足を緩めて止まった。
 どうやら休憩するらしく、一緒に乗っていた護衛の人が僕を馬から降ろしてくれた。
 僕はマントを敷いてその上に座り、渡されたチーズが挟まったパンを食べて果実水で喉を潤した。見上げると、空を覆うのは木々の葉っぱ。時折聞こえるのは鳥の鳴き声だ。
 庭園では見たこともない植物がたくさん生えている。それに聞いたことがない鳥の鳴き声も。小さな羽虫も飛んでいる。図鑑では見たことがあるけど、こうして実物を見るのははじめてのものが多く、僕は興奮気味に近くに生えていた葉っぱを触ったり観察したりする。
 ここに図鑑があれば、見比べたりできるのに。狩りじゃなければ、もっとゆっくりできたのにと思ったりする。
 兄上や護衛の人たちは森の中にいるのに、誰一人背中に背負った弓を構えたりしていない。狩りをする様子がない落ち着いた姿に不思議に思ったけれど、狩り場というものがあるらしいから、まだそこにたどり着いていないのだろう。
 護衛の人たちは言葉少なげに会話をしながら食事を終えた後、もう荷物をまとめている。そんな彼らに兄上はあれをしろこれもしろと指示していた。
 僕はただ何をしたらいいのかわからないので「もう行くぞ」という言葉に従うだけだ。
 休んだとはいえ、かなり体が強張ってきたし、お尻も痛い。
 特に、道がないような場所は足場も悪く、体が上下したり、大きく揺れたりするから、疲れてくれる。一緒に乗っている護衛の人にどこまで行くのか訊きたいけど、訊く雰囲気でもなく、大人しく揺られるだけになった。
 森を抜けて見晴らしのいい草原に出る。
 木は遠くにポツリポツリと見えるだけで、なだらかな斜面がずっと続いている。
 所々に花が咲いている群生地もあり、ほっとできる風景だった。
 ここが狩り場なのかと思ったけれど、こんな見晴らしのいい場所に、狩る動物などいるのかと思ったら、まだ進んでいく。
 太陽は大きく傾いている。風も出てきて雲が流れていく。
 後ろを振り向いても街など見えず、周りはずっと草原で、人も動物もいない。時折虫たちが飛ぶ姿が見えるくらいだ。
 ここまで来るのにこんなに時間がかかるのなら、帰るのも同じくらい時間がかかることになる。もう夜になってしまう。
 どこまで進むのか不安に思っていると、前方にまた森が見えた。もうその頃には西日が差していて空は夕焼けで染まっていた。
 森に入る手前でやっと止まった。
「レネ」
 兄上が振り向いて僕の名を呼ぶ。その声が今まで聞いたことがないほど冷たく乾いていて、僕は咄嗟に返事ができなかった。
「降りろ」
「どうして?」
「お前をここに置いていく」
 言われた言葉の意味がわからない。だって、そんなことをしたら僕は死んでしまう。
 僕と一緒に馬に乗っていた護衛の人が僕を無理やり馬から降ろした。
 ぽつんと立っているのは僕だけで、みな馬に乗って僕を見下している。だけど護衛の人はすぐに目を逸らしてしまった。そんな中、兄上だけは僕を睨みつけている。
「兄上は……僕が邪魔だった?」
 涙が零れ落ちる。次から次へと流れる涙をすぐに拭ってくれる人は、ここにはいない。
「アンと結婚し、僕は王になる」
「……わかってる。僕は反対しないよ。兄上が王様でも、アンと結婚しても……僕には何もできないもの」
 涙を流しながら無理やり笑った。体が弱く何もできない僕が王なんてなれるわけがない。それにアンが好いているのは兄上だ。
 けれど兄上は炎が燃え上るような敵意を僕に向けて言い放った。
「お前のその軟弱さが全てを奪った! みな、お前を気にかける! 母上さえも……!」
 兄上は怒っている。そうずっと兄上は怒っていたのだ。僕と仲良くなりたいなんてこれっぽっちも思っていなかった。
「僕は……こんな弱い体で生まれてきたかったわけじゃないよ。兄上は馬にも乗れる。剣だって振るう。僕よりたくさんのものを持ってるじゃないか」
「兄と呼ぶな! 僕には弟などいない! お前などもう知らない」
 兄上が護衛の人たちに合図する。本当に僕を置いて行こうとしている。
「ま、待って! 兄上!」
「悔しかったら、ここから一人で帰ってみろ!」
 吐き捨てるように言うと、兄上と護衛の人たちは馬を走らせた。
「いやだ! 一人にしないで! 兄上!」
 慌てて追いかけようとして、足が縺れて転んだ。
「待って!」
 大声で叫んでも誰も振り返らない。兄上と護衛の人たちの姿が小さくなっていく。
「待ってよ! うわあああん!」
 僕は声の限り泣き叫んだ。
 夕日が徐々に闇に染まっていく。
 誰も来ない。いつもならケイトが優しく声をかけてくれるのに、ここにはいないのだ。
 しゃくりあげながら、周りを見渡す。狼かなにかの遠吠えのような声にびくっとして、僕は短剣を持っていたことを思い出した。
 涙を拭い、きゅっと唇を結んで、漏れそうになる泣き声を押しこめる。
 誰もいない場所に一人きりで置いて行かれた怖さと寂しさに、心が押しつぶされそうだった。
 母上からもらった短剣を握り締めて、僕は呼びかける。
「誰か……誰かいませんか!」
 草原には人影もない。森の中はすでに暗闇で、お化けが出そうな気配だ。
「誰か! 助けて!」
 もう一度僕は大声で叫んだ。
 すると、森の中からのっそりと大きな動物が現れた。光を纏っているように仄かに発光していたそれは、図鑑でしか見たことのない肉食動物……虎だった。しかも色が真っ白だ。
『人間の子供がどうしてこんな場所に一人でいる?』
 しかもその白い虎は僕に話しかけてきた。
 これが、神獣といわれる白虎との最初の出会いだった。
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