流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

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第一章 日常ラブコメ編

第21話 膝枕?

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 夜の問題は……とりあえず、カットで良いだろう? チャーウェイは「一緒に寝よう」とか言っていたが、それを叶えてやるわけにはいかない。年齢的な意味でも、そして、俺個人の問題としても。前にラミアの侵入を許したのは、俺が引き起こした事故、所謂「油断」が招いた事だった。

「流石に一緒に寝ないだろう」と。その甘い考えが、あの事件を引き越し、母ちゃんに「あら、まあ」と笑われる原因ともなった。あの悲劇は、もう二度と繰り返してはならない。俺の理性、特に倫理観に賭けて。「自分の隣に美少女が寝ていた」と言うイベントは、何が何でも回避しなければならないのだ。

 俺は創意と工夫を以て、無事に朝を向ける事ができた。

「くわぁ、あああ」と、あくびを一つ。いや、二つ。一つ目のあくびが出た瞬間、二発目のあくびが出てしまった。

 俺は朝の準備を済ませて(朝飯を食ったりとか、鞄の中に二人を入れたりとか)、庭の自転車に跨がり、いつもの学校に行って、神崎宇美の注意を躱し、教室に行って、いつものメンバーに「おはよう」と挨拶した。

 相手は、俺の挨拶に「おはよう」と返した。

「今日も、ラミアちゃんを持ってきたのか?」

「ああ」と、うなずく俺。「家にいても暇だろう? ラミアは、学校に通っていないし」

 俺は鞄の中から彼女を取り出し、「ニコッ」と笑ってから、机の上にキューブを置いた。

 彼女は、周りの男子達に挨拶した。

「おはよう」

 男子達はその声に興奮したが、挨拶の方は決して忘れなかった。

「お、おはよう。ラミアさん」

 俺は、黒内くろうちりんのグループ(ラミアと仲良くしている女子グループだ)にラミアを持って行った。

 黒内は、俺の行為に喜んだ。

「おはよう、時任君。今日も、ありがとうね」

「いや」

 俺はまた、彼女に耳打ちした。

「先生には、絶対にバレるなよ?」

「分かっているって」

 彼女は「ニコッ」と笑って、ラミアと仲良く喋りはじめた。

 俺はその様子に安心しつつ、自分の席に戻った。それに合わせて……何を思ったのだろう? 鞄の中からチャーウェイが飛び出した。

 チャーウェイは机の中に入って(周りにバレないか冷や冷やしたが、どうにかバレなかった)、そこから俺に話し掛けた。

「ねぇ、ねぇ、サーちゃん」

「ああ、うん。なんだよ?」

「ラミアちゃんっていつも、あの子達と話しているの?」

 俺は、黒内の方に視線を移した。

「あ、ああ、そうだよ。帰る時も一緒に帰っている」

「ふーん。じゃあ、学校にいる時は話さないんだね?」

「え? ううん、まあ。基本的には、な。昼休みの時も、俺は男連中と過ごしているし」

 彼女の雰囲気が一瞬、変わった気がした。

「そう。じゃあ! 今日の昼休みは、あたしと遊ばない?」

「ふぇ?」

 昼休みに一緒に遊ぶ?

「チャーウェイと一緒に、か?」

「うん! 家にいたら、ラミアちゃんが邪魔してくるし。あたしは、サーちゃんと二人だけで遊びたいの」
 
 俺は彼女の誘いに戸惑ったが、最終的には「分かったよ」とうなずいた。

「断ってもどうせ」

 の続きは、言わなかった。それを言ったらたぶん、彼女が傷つくと思ったから。本当は面倒くさい事この上なかったけど、ここは「分かった」とうなずくのが賢明だろう。

 俺は学校が昼休みになるまで、その授業をぼうっと受けつづけた。
 昼休みになった後は、自分の弁当をさっさと平らげ、周りの仲間に「ごめん。今日は、ちょっと用事があるんだ」と謝ってからすぐ、ポケットの中に彼女を入れて、教室の中から出て行った。
 
 俺は、ポケットの中を弄くった。

「そんで、何して遊ぶの?」

「フフフ」と笑った彼女の声は、思いの他不気味だった。「それはもちろん、お喋りだよ!」

「お喋り?」

「そう! だから、誰もいない所に行って!」

「は?」と戸惑う俺だったが、逆らう理由もないので、仕方なく「分かった」とうなずいた。

 俺は、誰もいない学校の空き教室に向かった。

 彼女はそこで、人間の姿に変わった。

「うんうん! こう言うとこ、こう言うとこ!」

 彼女は「ニコッ」と笑って、教室の床に座り、自分の膝を叩いた。

「ほら、ほら、サーちゃん!」

「な、何だよ?」

 彼女の頬が、ぷくっと膨れた。

「膝枕だよ、膝枕! サーちゃん、何だか疲れていそうだから!」

 な、なんだと! あの男子が憧れる、女子の膝枕が受けられるだって? これは、受けざるを……いやいや! と、理性がストッパーを掛ける。ここでもし、彼女の厚意に甘えたら。

 俺はもう、戻れる所に戻れなくなるんじゃないか? その甘みを知った中毒者のように。俺も、本能の薬漬けになってしまう。

 俺は、目の前のある楽園に入るかどうかを悩みつづけた。
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