流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

読み方は自由

文字の大きさ
30 / 61
第一章 日常ラブコメ編

第28話 あたし達への思いは、変わらないでね?

しおりを挟む
 家に帰った後も……まあ、色々と大変だった。部活の事も含めて、親父を説得するのも大変だったし(元々、食費のかからない連中なんだから大丈夫だろう)、寝る場所についても、「夜はキューブ状態に戻る(二人は、かなり不満げだったが)」と言う条件で、何とか許しを得られた。

 ハーレムについては……これもかなりの不満を買ったが、「自分は絶対に負けない」、「負けるはずがない」と言う自信から、二人の許しを得る事ができた。事態がどんどん悪化して行く。それも、俺の望まない方向に。我が部長の野望が叶った暁には、俺は文字通りのハーレム王になっているだろう。一個あたり、最低でも200円の代償を払って。

「はぁ」

 俺は、自分の不運を嘆いた。

「俺、マジでついていないわ」

 学校の文芸部に入った事も、そして、自分が「選ばれた人間」になった事も、みんな……。

 俺は母ちゃんから貯金通帳を貰い、その残高を確かめると、暗い顔でコンビニのATMから全額、すべての貯金を下ろした。

「何やっているんだろう? 俺」

 はぁ、と溜め息をついた俺に、ラミア(チャーウェイは、家でお留守番だ)が「大丈夫?」と話し掛けた。

「私は、あなたとの時間を大事にしたい。だから、無理に」

「ラミア……」

 俺は三人分のアイスを買い、彼女と連れ立って、コンビニの中から出て行った。

「ありがとう」

 一瞬、彼女の顔が赤くなった。彼女は、俺の手を握った。

「私は、あなたの事が大好きだから。心配するのは、当然」
 
 今度は、俺が赤くなった。身体の方も火照って、正直辛い。ビニール越しに伝わるアイスの冷気が、より一層に冷たく感じられた。
 
 俺は胸の動悸を抑えつつ、彼女の手を握りつづけた。

「ただいま」と帰ったのはたぶん、夜の九時頃。親父が風呂から上がっていたから、正確にはもっと遅い時間だった。

 俺達は冷蔵庫の中にアイスを仕舞って、家の風呂に入り、その風呂から上がると、いつもの寝間着に着替えて(彼女達のパジャマは、母ちゃんが買ってきたらしい)、冷蔵庫のアイスを食べはじめた。

「甘くて美味しい!」

「ああ」

 俺達は部屋の壁に寄り掛かったり、ベッドの上に座ったりして、それぞれの時間をゆったり過ごしはじめた。

「明日」

「ん?」と、チャーウェイを見る俺。「なに?」

「また、キューブを買いに行くの?」

「ああ、そう言う課題だからな。キューブの全種類を擬人化させる。個人的には、やりたくねぇけど。まあ、部長命令なら仕方ねぇ。俺も『仕方ない』って諦めるさ」

 二人は、俺の言葉に俯いた。

「そう」

「ああ」

 二人は(ほぼ同時に)、俺の顔を見た。

「時任君」

「サーちゃん」

 二人の目が潤んだ。

「たとえ、キューブの全種類を擬人化させても」

「あたし達への思いは、変わらないでね?」

 俺は、その言葉に衝撃を受けた。まるで雷にでも撃たれたように。俺は自分の性格も忘れて、二人の身体を力いっぱい抱きしめた。

「当たり前だろう? 二人は、俺にとって大切な人なんだから」

 二人は「痛い、痛い」と言いつつ、俺の身体をそっと抱きしめかえした。

「ええ!」

「あたしも! サーちゃん、大好き!」

 俺達はお互いの気が済むまで、相手の身体を抱きしめつづけた。


 
 次の日。
 
 いつもの時間に目を覚ました俺は、いつもの準備をいつもと同じようにして、庭の自転車に跨がり、いつもの調子で、いつもの学校に向かった。
 学校の校門ではいつも通り、風紀委員達が生徒達の服装を検査していた。それを指揮する神崎宇美も。
 
 神崎は俺の姿を見た瞬間、いつもの注意を忘れて、その目から視線を逸らしてしまった。
 
 俺はその態度を不思議がったが……まあ、ラッキーと思って、学校の駐輪場に行き、自分の自転車を停めて、いつもの教室に向かった。

 教室の中には、いつものメンバーが集まっていた。
 
 俺はメンバーの全員に「おはよう」と挨拶して、自分の席に向かい、鞄の中から勉強道具を取りだして、机の中に「それら」を仕舞い、朝のホームルームが始まるまで(ラミア達は、黒内達の所に持って行ったが)、近くの仲間と下らない事を話した。
 

 そして、時は流れて放課後。
 
 俺は黒内達からキューブを回収し、学校の部活を終わらせて、いつものホビーショップに向かった。ホビーショップに着いた後は、キューブマニアの売り場に行って、その中から一つを選び出し、店の会計所に行って、その代金を払った。
 
 俺は、鞄の中にオモチャを仕舞った。「ここで擬人化させるのは、不味い」と。こんな人の多い所で擬人化させたら、沢山の人に迷惑を掛けてしまう。
 
 俺はモノフルの二人に目配せし、それから自分の家に帰った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...