流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

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第一章 日常ラブコメ編

第30話 平等に愛せば、良いんです

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 女の友情ほど脆いモノはない。テレビドラマが大好きな母ちゃんは、その言葉をまるで名言のように語っていた。女は孤独が嫌いで、いつも群がっているけれど。その内心では、互いの事を罵り合う……だけならまだ可愛い。

 その欠点を見つけて、互いに「それ」を潰し合っているのだ。表面で語られる「可愛い」は、裏では「不細工」と罵られ、「それ似合っている」と褒められた言葉には、「あたしの方が似合うのに」の意味が込められている。「だから、女の言葉の友情を信じてはならない」と。

 彼女達は(表面上では)仲良くしているが、その内心では、互いの事をやっぱり嫌っていて、メンバーの一人がそこからいなくなると、決まってその子の悪口を言ったり、あるいは、日頃溜まっている不満や愚痴を言ったりしているのだ。
 
 俺はその事実を知って以降、「女」と言うモノがどうも苦手になったが(内心では、モテたいと思いつつ)、自分の中にある悪癖、つまりは性格が災いして、大抵の場合は普通に、あるいは穏やかに女子との会話を楽しむようになった。
 
 どうせ、コイツは俺の事を嫌っている。そう思うと、余計な期待は抱かなくて良いし、何より「空気に流されていれば良い」と言う感じが、ある意味でとても救いになった。大抵の女子は……普通に話せば、好かれはしないが、一方で嫌いもしない。正に絶妙な距離感だ。
 
 俺は、その絶妙な距離感が堪らなく好きだった。自分がいつも、安全地帯にいるようで。だからこそ、今の状況が……俺にとっては大変奇妙で、文字通りの不思議な世界だった。
 
 三人の美少女(あるいは、それ以上の)から好かれている。それも、「大好きです」と告白までされて。彼女達は母ちゃんの言う「裏表」など無しに、俺の事が大好きで、しかも、心の底から愛していた。今の状況、三人の笑顔を観ても分かるように。
 
 彼女達は本気で、って、おい! いきなり抱きつくんじゃねぇよ! チャーウェイの匂いが、その感触に混ざって伝わってくる。男のアレをそそり立たせる、それこそ、夢のような感触が。
 
 俺はその感触をしばらく味わったが、ラミアの顔が凄く怖かったので、チャーウェイの身体をゆっくりと離し、興奮全開の心を何とか落ち着かせた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 俺は疲れた顔で、机の椅子に座った。

 ラミアはベッドの上に座り、チャーウェイは床の上、ウリナはそのまま立ちつづけた。

「皆さん」

 ウリナは、全員の顔を見渡した。

「わたくしはまだ、擬人化したばかりです。ですので」

 の続きは、聞かなくても分かった。ウリナの方は、二人に「それ」を話しているけれど。ようは、「今までの事を話して欲しい」と言う事だ。自分が擬人化する前の出来事を。

 俺は全員を代表して、彼女に今まで起った出来事を話した。

 ウリナはその話に驚いたが、口元の笑みは決して消さなかった。

「なるほど。それは、大変ですね」

「ああ、マジで大変だ。『キューブの全種類を擬人化させろ』なんて。擬人化マニアもビックリの内容だ。しかも、それを基にして作品も書かなきゃならねぇし」

 ホント、マジで大変な作業だ。時間も掛かるし、金も減る。労力に見合った見返りもない。ただ、我が部長様を満足させるだけだ。「わたしは、これが読みたかったんだ!」と。

「はぁ」

 俺は、椅子の背もたれに寄り掛かった。

「あと、105人も増えるのか」

 どっかのソーシャルゲームばりに。部屋中がキューブだらけになっちまう。

 俺は、その現実に頭を痛めた。

 ウリナは、その態度に苦笑(かな?)した。

「そうですね。そうなると……残りのキューブも含めて、あなたには、108人の恋人ができる事になります」

「ひゃ、108人」

 その言葉に肩を落とした。分かっていた事だが、改めて聞くと、気分が暗くなる。こんな美少女達とあと、105人も付き合わなきゃならないなんて。「おかしくなるな」と言う方が無理な話だった。

 机の上に目を落とす。

 俺は暗い顔で、机の上を見落としつづけた。

「俺にそんな甲斐性があるかな?」

「大丈夫ですよ」

 ウリナは、俺の背中を撫でた。

「今はたぶん、無理でしょうが。平等に愛せば、良いんです。わたくし達の事を」

「ううっ」

 理屈としては、確かにそうだけどさ。それでも……。

「やっぱり、自信ない」

 ウリナは他の二人に目をやり、二人もまた彼女の目を見かえした。

「なら、こうしましょう」

「え?」

「順番で、わたくし達と付き合う。流石に最初からハーレムでは、疲れるでしょうから」

 俺は自分の頭を持ち上げて、彼女の目に視線を向けた。

「ウリナ」

 他の二人も、彼女の意見に同意した。

「確かに」

「その方が、サーちゃんを独り占めできるし!」

 二人は納得した顔で、互いの顔を見合った。
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