流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

読み方は自由

文字の大きさ
38 / 61
第一章 日常ラブコメ編

第35話 オレの仲間は、そこにいるマスターと喧嘩の強い奴だけだよ

しおりを挟む
 その男子高校生がもし、店の商品を毎日のように買っていたら。その店員は一体、何を思うだろう? 数ある客の一人として、別に何も思わないか。それとも「コイツ、オタクだ」と思いつつ、無表情で商品のバーコードを読み取るか。どちらにしろ、あまり良い印象は抱かれないだろう。

 一週間に一遍、多くても三日に一遍の割合で行けば、その印象も大きく変わってくるだろうが。周りの空気に逆らえない俺には、それを変えるだけの力が無かった。ここで買わなかったら、また我が部長様の逆鱗に触れてしまう。「全種類を集めて、って言ったよね?」と言う風に。俺の事を睨みつけるに違いない。

 そうなったら……。
 
 俺は憂鬱な顔で、キューブマニアの袋を買った。

「最初にスペシャルを当てちまったからな。流石にダブらないだろう」

「ええ。たぶん、新しい仲間が増える」

 「仲間」と言う表現は魅力的だが、今の俺には重い言葉に聞こえた。これを買えばまた、俺の部屋に美少女が増える。今度は一体、どんな美少女が来るんだろう? 冷静、天然、お淑やか、と来て。次は、腹黒系ドSか?

 俺は不安な気持ちで、自分の家にキューブを持ち帰り、ラミアやチャーウェイ達が見ている中、その袋をゆっくりと開けた。
 袋の中には、赤色のキューブが入っている。それも有色透明の。袋の中から取り出されたキューブは、夕陽の光に相まって、その赤をより一層に光らせていた。
 
 俺は、その光に生唾を呑んだ。「赤って言いや、情熱の赤だよな?」と。コイツは、物凄い熱血女が出てくるかも知れない。
 
 俺は複雑な顔で、そのキューブが擬人化するのを待った。
 キューブは、すぐに擬人化した。夕陽の光に呼応するように。それが擬人化する時も、美しい光を放っていた。
 
 俺は、その光に息を呑んだ。
 
 キューブもとへ、モノフルの少女は、俺達のぐるりと見渡した。
 見るからに戦い好きな、好戦的な目。その髪も真っ赤に燃えていて、顎のあたりまでしか無いショートカットの髪が、その雰囲気をより一層に醸し出していた。
 体型の方も、無駄なく引き締まっている。それこそ、アスリートのように。その全身から攻撃的雰囲気を漂わせていた。
 
 彼女は、少女達の顔に目を細めた。

「モノフルが三人か。そんで」

 と言ってから、俺に視線を向ける。

「アンタが、オレのマスターと?」
 
 マスター呼びに抵抗はあったものの、とりあえず「あ、ああ」とうなずいた。

「そうだよ。俺の名前は、時任智」

「トキトウサトル?」

 彼女は、自分の耳穴をほじくった。

「ッケ! 俺の趣味にはドストライクだが、見るからに弱そうなマスターだぜ。オレの名前は、ドンファン。流行の作りだす力が」

「ストープッ!」

 俺は、彼女の言葉を遮った。

「そのくだりは、もう良いから」

「ふうん。そっ」

 彼女はまた、周りのモノフル達を見渡した。

「アンタ達は?」

 彼女達は、ラミアから順に「ラミア」、「チャーウェイだよ」、「ウリナと申します」と答えて行った。

 ドンファンは、部屋の壁に寄り掛かった。

「ふうん。どいつも、こいつも、みんな弱そうだぜ」

 彼女達は、その顔に顔を顰めた。特にウリナは(暴力事が嫌いなのか)怒ったような顔で、彼女の目をじっと見かえした。

「弱くても別に良いではありませんか? わたくし達は、同じモノフルの仲間なのだし」

「同じ仲間のモノフル、ねぇ」

 ふん! と、ドンファンは笑った。

「オレの仲間は、そこにいるマスターと喧嘩の強い奴だけだよ」

 彼女は、自分の指をポキポキと鳴らした。

「ああ! どっかに強い奴はいないかな。身体が疼いて仕方ねぇぜ」

「ドンファンさん」

 ウリナはまた、彼女の顔を睨みつけた。

「どんな理由があろうと、喧嘩はいけません」

「はっ!」

 ドンファンは、俺の唇をいきなり奪った。

「なら、こう言う喧嘩は好きなのか?」

「なっ!」

「おっ!」と、彼女は笑った。「今の反応。こっちの喧嘩は、やっぱり負けたくねぇみたいだな」

「当り前です! わたくし達は」

 残りの二人も、その言葉に続いた。

「そうだよ!」

「彼の事が大好きだから!」

 二人は、彼女の顔を睨みつけた。

 うううっ。予想していたとは言え、この展開はやっぱり辛い。こんなにも可愛い子達が、俺を巡ってガチバトルとか。バトルまんがも真っ青の展開だ。

 彼女達の喧嘩を必死に止める。
 
 俺は真剣な顔で、全員の顔を見渡した。

「俺の事を想ってくれるのは、嬉しいけど。それで喧嘩するのは、なしだ。お互いの事を挑発し合うのも。それを破った奴は、この家から出て行って貰う!」

 少女達は、その言葉に押し黙った。今まで笑っていたドンファンも、今は仔犬のように大人しくなっている。まるで俺の言葉に脅えるように。

 ドンファンは悔しげな顔で、俺の言葉に「分かったよ。アンタの前じゃ、喧嘩はしねぇ」と言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...