投資初心者の僕が株に手を出した訳(資産形成:僕は僕のお金を育てて見せる)

伊織 蒼司

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死亡保険金390万 (4時限目)

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佐々木さんの講義が終わると直ぐに、僕は検索しまくった。まずは【投資】で検索。そこでよく出たのがFX。為替レートを使った投資。FXも検索するとバーチャルで取引の仕方が出来るアプリが見つかった。僕はさっそくダウンロードして使ってみることにした。

線グラフが上がったり下がったり。たまに横ばいに。リアルタイムでグラフがどんどん動いていく。

「すごいな」
僕は思わず見入ってしまう。107円74銭から一気に107円70銭まで下落。
「いや、日本円だから円高、値上がりしたのか。あれ?どっちだ」
僕がラビリンスに嵌まっている間にもそこからまた一気に107円76銭近くまでグラフはまっすぐ上に伸びる。グラフが下がったところで買って、上に伸びたときに売ればいいんだな。
ふむふむと僕は一人頷く。
下がれ下がれ。僕は祈りながらグラフとにらめっこ。下がった107円74銭、今だ。僕は買いをクリックする。時計のマークと60:00、決済ボタンが表示された。
「これで買えたのかな?」
夢中になっているとき僕はよく独り言をいう。
59:59、58にカウントダウンが始まった。
3分経過、5分経過。残念ながら少し上がっては下がりを暫く繰り返す。
「うわ、まだ下がるのかよ」
グラフは107円72銭を下回る。74銭までが底値かと思っていた僕は軽くショックを受ける。
しかし、それからグラフは徐徐に右上がりに動き出し、8分ほどで107円90銭まで上る。
「よし、売りだ」
僕は決済をタップした。
「やったー。利益でた」
僕のバーチャルFX取引は成功。僕は大喜びでグラフを見続ける。下がれ、下がれ。下がったら買おう。僕は1時間以上もそれから取引を繰り返した。
その日の利益の総額は12,360円。
僕ってFXの天才?FXって簡単じゃん。1時間30分くらい取引したから、時給にしたら8,240円だよ、いいじゃんいいじゃん。僕は次の日もバーチャル取引を繰り返した。

その後、僕はFXに関して検索を繰り返す。取引には手数料が掛かる。それは安ければ安い方が良いに決まってる。僕は証券会社を片っ端から調べた。僕がやっていたのは【スキャルピング】と言う取引方法。証券会社によっては禁止している手法だった。
あれ、待てよ?代々木さんは長期の方が利益が出るんですと言ってたじゃないか。投資会社を使うんです、とも。ならこれじゃない。確かに時給8,000円くらいで稼げるのは魅力的。でもな、僕は投資するならあまり手間が掛からない方が良いんだよな。一度預けたら何もしなくてもいいのが理想。
もっと調べなきゃ。僕は他の投資も探し始めた。

「マイニング?仮想通貨?」
なんじゃそれ?仮想通貨は聞いたことがある。仮想通貨で億万長者になった人が大勢いるって。でも仮想通貨って胡散くさいしな・・・。
僕はマイニングを調べ始めた。マイニングって採掘って意味なんだ。PCを使って仮想通貨の取引に必要な計算をしてその報酬に仮想通貨を得ること、か。あ、実際にマイニングした人のブログがある。僕はその人のブログを読み漁った。

「うわ、大変」
マイニングするにはかなりの重装備が必要なんだ。PCっていうからデスクトップみたいな物かと思ったけどスーパーコンピューターの自宅用ミニバージョンって感じ?丸々一部屋使わないとなんないじゃん。しかもこれって始動してもいろいろ手間がかかるみたい。それは僕には無理だな。

じゃあ、仮想通貨はどうだろう。なになに、電子データでのみ使用できる通貨、か。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)・・・20種類以上もあるの?たかが仮想通貨なのに?なにそれ。
体験談とかないかな。あった。2年で79倍、おっ、200倍になったのもあるのか。僕の中では仮想通貨は胡散くさい部類。
やっぱ株、かなあ。

そうこうしているうちに代々木さんの来る日を迎えた。

「お待ちしてました」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
代々木さんはいつものように丁寧に頭を下げた。

重要事項を代々木さんが説明し、いよいよ加入と言うところで。
「私の口からいうのもなんですが・・・。今入っている保険はどうしますか?」
代々木さんが口ごもりながら僕に聞く。
ああ、そのことね。

「3ヶ月は解約しませんよ。保障にがんが入っている保険は通常3ヶ月は不担保。だから3ヶ月病気無しで正式に引き受けされてから解約します」
僕の言葉に代々木さんが安堵した。

「それを聞いて安心しました。私の口からは止めない方がいいとか言えませんから」
でしょうね。コンプライアンスに引っかかりますもんね。


代々木さんのお勧めの生保2社に加入を終えると、そこからは僕の待ち望むお金の講義が始まる。

「前回、代々木さんは投資会社の話をされましたよね。でも代々木さんは保険屋さんでしょ。僕の今加入してる生保でも投資目的の保険があると担当から聞いたことがあります。一度に纏まったお金を充てて長期的に資産運用したり、満期を迎えるまでに定期的に一時金を貰ったりと、いくつかの種類があったと思います。代々木さんの言っていたのはそのことですか?」
代々木さんは僕の話の内容から察してくれた。
「それならたぶんD社のことですね。まあ、近からず、遠からず、と言った所でしょうか。投資はもちろん証券会社さまでのお取引になりますよね。その投資で仮に10,000円の利益が出たとしましょう。通常の取引では雑所得として20%の税金が掛かります。つまり2,000円が税金で引かれます。100万円では20万です。そう考えるともったいない気がしませんか。

だからこそ保険を使うんです。保険には税金は掛かりません。まあ、契約者・被保険者が誰かと言うところで税金が加算される場合もありますが、今回ご紹介させていただくのは伊織さまがご自分でご加入し、ご自分で貰われるので問題はありません。
そしてその投資目的の保険に介護保険が付いているとしたらどうでしょう」
僕はハッとした。
だって僕は介護に関しての将来的不安を先週代々木さんに語ったばかりだったから。

代々木さんはA社のパンフレットと設計書を僕の前におもむろに出した。
「実際に数字を見ながらの方がいいでしょう。
伊織さま48歳でこの保険に入るとします。そして月々の保険料が20,000円としての計算です。
払い込みは75歳満了です。それまでは保険ですので介護状態、高度障害になられた場合には7,404,000円保障されます。もちろん死亡されたときもですが」
ちょっと待って、さらっといったよ、この人。740万だよ。もし加入して翌月に高度障害になっても740万、認知症で5年後に介護状態になっても740万来るんだよ。

「そしてここが私のお勧めしたいところです。75歳で保険料が払い込みが終わるときの払い込み保険料の累計は6,480,000円ですね。そして投資も兼ねていますのでその間運用した実績で7,404,000円を超えた額を差し引いて伊織さまにお支払いされます。プラスが出れば支払われますし、もし満たなかったとしても75歳までは7,404,000円の保障は変わりません」
へえー。トータルとしては100万くらい多く払うけど僕はコツコツお金を貯められないタイプ。75歳までに自力で648万円はきっと無理。

「間もなく6月を迎える今はちょうど世界的なウィルスの蔓延で株価は軒並み下落しています。
先週お見せした米国の投資会社K社のグラフもガクンと落ちていましたよね」
そうだ、落ちてた落ちてた。リーマンショック程までではなかったけどガクンだった。

「落ちてると言うことはチャンスでもあるんです。
10,000円が手元にあって10,000円一括で購入するタイプと3月に分けて購入するお話も先週させていただきましたよね」
そうそう、月々買う方が最終的にはお得ってことと、価格が安い時の方が同じものでも多く買えるってことね。
そっか、今が買いなんじゃないか!
僕の頭にパッと電球が灯る。

「思い出されましたか?」
僕は夢中で頷いた。

「75歳までは第1期になり、75歳まで平均6%の運用が出来ていれば1、214万円の原資になります。保険金(保障)がざっくり740万として482万円が精算金になります。そして76歳以降は730万円位の保障の第2期に移行します」
せんにひゃくまん。おおー、おもしろい。

「ここまではいい面ばかりをお伝えしましたが、あくまでもこれは投資目的のため必ずこうなるわけではありません。原資を割り込むこともあります。そして10年は解約しない事をお勧めします。10年以内に解約したら手数料、まあ違約金みたいなものですね、が取られます。そして10年後、解約するときは249万円の返戻金がありますが、私は解約しない方がいいと思います。その間貯まった原資はそのまま運用されますから」
へー。10年我慢すればいいんだ。10年ってことは240万円払うわけか。にしたって6%すごくない?10年払った保険料が249万円で戻るって、10年分の保険料チャラってことでしょ。

「先ほどは6%での運用のお話でしたが、3%も見てみましょう。
75歳まで3%の運用が出来ていれば740万円の原資になります。そして保険金も75歳までは740万円精算金は8万円です。76歳以降は同じく730万円位の保障になります」
うん、一気に現実味。

「まあ、ないとは思いますけど-3%の時は327万円の原資、保険金は740万円、精算金は0円です。そして76歳以降の保障は330万円位になります」
うーん。648万円払って330万円の保障ってがっかりするよね。しっかり運用してよって感じ。でもこれはあくまでも可能性の話。僕は代々木さんを信じる。たぶん、悪くない提案だ。でも、個人年金がなあ・・・。

「いかがですか?」
代々木さんが僕に率直な感想を望む。

「おもしろいです。でも、個人年金で月々20,000円の出費あるし。まだなんとも言えません。興味はとてもあるんですけど。少し考えさせてもらえませんか」
僕は正直悩んだ。これまでは即決だったのに。

代々木さんが帰った後、僕は必死にない知恵を絞った。まずは個人年金をが何とかなれば。

そうだ。母の死亡保険金390万円。これだ。
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