強くなりたいと言ったら、元魔王に開発調教されていました~宝石姫と元魔王の恋物語~

花虎

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プロローグ.女の穴

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ビジューライト王国はいわゆる「宝石の王族」が治める国だ。名の通り宝石のような美貌を兼ね備えた王族は、さらに唯一無二である両性具有として生まれる。

 彼らは幼少期には性別がなく、十八歳の成人になると昼は性別なし、夜は固定された性別となる特殊な生態をしていた。

 その特殊性から、彼らは夜の性別が男性だろうと女性だろうとこの国の王となる系譜となっていた。

 宝石の王族はその土地に住まう「大精霊」と契約をし、王国を守っている。それは大精霊が宝石の王族の美しさに魅入られているからだと伝承され、常に時代を繋ぐ子は一人だけ生まれるという。

しかし今代は史上初、性別のない双子が誕生した。

 双子は例にもれず宝石の輝きを纏ったかのように美しく成長していた。一人は聡明で運動神経もよく、勇敢で勇猛なフィンリー。もう一人は、物静かだが奏でる楽器の旋律は聴くものを捉えて離さないたおやかなクイン。

 国中が確信していた。

フィンリーは大人になったら男性体になり国を治め、クインは女性体になるであろう、と。






 大きな窓から月明りが部屋の中を照らし、思ったよりも相手の顔も判別できるほど明るいことに、フィンリーはこくりと喉を鳴らした。

その月光を背にした長身の男が、慇懃に頭を下げた後、大きな寝台の縁に背を預けるように床へ座った。それから手を広げて、細い目を弧にすると囁くような声で告げる。

「さぁ、姫、こちらにどうぞ」

呼びかけに、むっとする。

「僕は、姫じゃない」

少し怒りを滲ませた声など、この男はどこ吹く風だ。フィンリーは不安から、自分の右手で左腕に触れる。

 幼少期、性別が存在しない自分達は、自身が好きな方の服装をする。フィンリーは今までもずっと男の子と同じ格好をしていた。この夜着だってそうだ。ワンピースではなく、上下で分かれている。

 対して、双子の妹であるクインは女の子の恰好をすることが多い。
 ――――信じて疑わなかった。
 まわりだってそう言っていた。
 僕は将来、男性体になって立派な王になる、と。
なのに……どうして……。

「……フィンリー様」

促すような呼びかけに、フィンリーは覚悟を決めた。するり、と下半身から下着ごと夜着を取り払う。上着の裾が長めなので、ぎりぎりあそこは見えていないけれど。

 そのまま、寝台に近づいて、自分は立ったまま右足を男の顔の横……寝台の縁へかける。

おそらく、床に座った男の視界には、自分の秘めた部分が見えているだろう。

今すぐ足を降ろして視線から隠してしまいたい衝動をぐっと堪えて、沈黙に身を任せていると。

「フィンリー様」
「何……?」

思わず硬い声で返すと、上目遣いでこちらを見上げる男の目と目が合った。

「上が邪魔でよく見えません」

人が恥じらいを見せているというのに、飄々と言ってのけるこの男が心底憎たらしくなりながら、上着の裾を両手できゅ、と掴んでそろそろと持ち上げた。臍のあたりまであげたところで止める。

 途端、錯覚かもしれないが痛いほどの視線をそこへ感じて、唇を噛む。

自分の股座を、人に見せるなんて初めてのことで、よるべない感覚がフィンリーを包む。まるで目の前の男に全てを曝け出しているかのような羞恥が、かすかに手を震わせる。

 部屋を無音が支配することで、何故か下腹部が蠢いた感覚がした。
奇妙なそれに、自分でも、驚く。

 思わず手を降ろしそうになると、察知したのか男がその手を掴んで降ろすのを阻止する。

男の目は細くて、開いているのか、閉じているのかすら普段わからないような顔をしている。加えてこの男は常に胡散臭い笑みを浮かべてこちらの質問を煙に巻くような性格だった。

 なんで、先生に、頼んでしまったのだろう……

自分の愚かさに今更気づいたって遅い。確かに舐めるような視線を感じて、フィンリーはますます羞恥に白い肌が色づく。

「は、早く……」

早く結論を言ってくれ、と願うフィンリーに、その男……レストはふ、と鼻で笑うと。

「安心してください、フィンリー様」

殊更優しい声音が夜の寝室に響く。一瞬、喜色を浮かべたフィンリーを、レストはにっこりとほほ笑んで地獄に叩き落すように告げた。

「立派な女の穴がございますよ」



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