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5.ドキドキ同棲生活スタート
次の日、何故かレストとクインが向かい合っていた。
「フィンリーは私と一緒に女子寮に住まわせます」
いつもはおっとりしているクインが、はっきりとそう宣言した。すると、言われたレストはどこ吹く風で答える。
「フィンリー様は将来国王になると明言されているお方。そんな方が女子寮に住むのはいかがなものでしょう?」
クインはキッとレストを見据えてフィンリーと繋いでいる手に力を籠める。
「だからって、どうしてレスト先生のところにフィンリーを住まわせないといけないんですか」
普段クインはここまで強く自分の意思を主張することはない。だから、今回はやけに食い下がっていることに面食らう。
そんなに僕のこと心配してくれて……やっぱりクイン好きだぁ……
フィンリーは感動に目が少し潤む。
そんなフィンリーを挟んで二人の攻防は続く。
「王宮からこの学園は遠いし、王宮では社会性を身に着けるという学園の主旨には沿わないでしょう。学園長の許可ももう取ってます」
「でも、それならレスト先生以外の先生のお家でも良いはずですよね?」
「それはほら、今、私の研究をフィンリー様に手伝っていただいていますから」
もっともらしい理由を出されて、クインがぐ、と詰まった。非常に不本意そうだ。勝ちを確信したレストは、少しだけ声を弾ませる。
「あ、クイン様は大丈夫ですよ。二人も住まわせてあげられるほど我が家は広くないので」
それなら私も、とクインが言い出すことを先読みしてぴしゃり、とレストがシャッターを下ろした。
クインが敗北を喫して、うるうると深いフォレストグリーンの瞳を潤ませる。
「ちょ……レスト先生、クインを泣かせないでよ」
完全にクインの味方なフィンリーが抗議する。その様子に、レストははぁ、と呆れたようにため息をついてから、目を細めた。それから、口の中だけで呟くような小さな声でぽつり、とこぼした。
「本当に貴方は忌々しい」
それはフィンリーも聞き逃すほど小さな声、だった。
さて、何故フィンリーがレストの家に行くことになったのかというと、完全に先日の事件が原因である。
正直なところ男子寮にフィンリーのような美貌の美少年とも美少女ともつかないような子がいるのは思春期の男の子たちには辛いだろう、という話になった。
過去の王族もそのことから女子寮に基本は入っていたらしい。だが、今回初の双子で、かつ互いははっきりと将来の性をどちらにするか求めていたこともあり、初の試みとして男子寮への入寮も許したのである。
だが、やはり恐れていたことが起きてしまった。
そこで学園としても一度はクインと共に女子寮へ入寮させることを検討したのだが、それをフィンリー自身が拒否した。
自分は公に将来男性体になることを目指していることを明かしている。それで女子寮に入るのは、女性側への不信感や不快感を与えかねない、としたのだ。
主張としては一理ある。しかし男子寮にこのままというわけにはいかない、ということで問題が振り戻しになったところ、レストが自分の家に住まわせればいい、という提案を出したのだ。
教師と一緒というのは少々窮屈かもしれないが、元々フィンリーは国王を目指すことを己に課しているため品行方正なタイプだ。今一緒に研究を行っているということも大きくその理由を後押しした。
もちろんフィンリー自身が嫌がれば無理強いはしないとしたが、はたしてフィンリーは願ってもないと二つ返事で了承したのだ。
レストの提案は実際フィンリーにとっては願ったり叶ったりだった。フィンリーはまだ魔力コントロールを覚えられていない。成人するまでには覚えて、クインを守らねばならないことを考えると、時間がいくらあっても足りない。
それならレストと共に暮らし、学ぶスピードをあげられる方が、よほど効率が良いと考えた。
クインは最後まで反対していたが、女子寮は安全だし、学園では今回のことで教師たちが目を光らせている。今の内に自身を強化しておく必要があったので、言いくるめた。
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