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6-2.
十七になったフィンリーは、身長も伸び、手足もすらりと長くなった。幼い顔から、大人へと近づくようなシャープなあごのラインを手に入れた。が、相変わらず鏡を見れば美少女とも美少年ともつかない。
まぁもうこの顔は仕方ないな、とはぁ、とため息をつくと。
「フィンリーは私よりキリッとしてるわよね」
優しいクインがそう言ってくれる。同じ顔だろ、と二人以外なら突っ込んだかもしれないが、双子には双子なりの感じる相違点があるのだ。クインはいつもこうやって褒めて、フィンリーの気分を上げてくれる。
「クインは相変わらず可愛いなぁ」
ぐりぐりと額を突き合わせる。
「ふふ、フィンリーもね」
「僕は可愛さなんていらないよ。もっと身長が欲しいなぁ」
うーん、と背伸びしてみると、クインが首を傾げた。
「どれくらい?」
「ん~。レスト先生を見下ろしたい」
ぶすっと不機嫌そうな顔で言うと、クインが笑った。
廊下の端で二人が身を寄せ合いながら話す様子は、もうすでに学園の名物にもなっている。
美しい双子が楽しそうに笑い合っているのを見ると癒されるとかで、いつも少し離れたところに見物人達がいるが、会話がはっきり聞こえる距離でもないし、と放っておいている。
「また、負けたの?」
また、とつけられてフィンリーは嫌そうに柳眉を寄せた。魔力コントロールの訓練が進んできて、今フィンリーはレストと勝負事をしている。
それは魔力を使っての肉体強化だ。身体能力を上げるので、通常よりも早く動けたり、ただの蹴りに威力を持たせたりすることが出来る。体術を習っていた経験を活かすことをレストが提案したのだ。いわゆる派手に炎を出したり、氷を降らせたり、といったことはさらに長い年月がかかるので、それなら今持っている能力を補強する力を身に着けた方がよっぽど実戦で役に立つ、とのこと。
おそらく昔フィンリーが襲われた時にレストが放った蹴りも、これだったのではないだろうか。
ということで、体術にちょっと覚えのあるフィンリーは、身体強化をした状態でレストと手合わせをして、一発でも当てられたら、願い事を聞いてもらう、という約束をしたのである。これならレストにも勝てそうだ、と踏んだはずが。まったくと言っていいほど歯がたたなかった。一発届きそうで、届かない。
それが悔しくて悔しくて最近は毎度勝負を挑んでいるのだが、未だに一勝もできていない。
おかしい……授業ではもう身体強化使わずともほとんどの同級生を負かせるのに。いくら先生の方が魔力コントロールうまいっていっても、研究室にこもってばっかりのモヤシのくせに。
……いや、違うな。レストはいわゆる着やせするタイプだ。身長が高く、ひょろっとした印象を受けるが、自分が身体を預けた時など広い胸筋を感じるし……
不意に思い出して、頬が熱くなる。
何を思い出しているんだ、僕は……
そもそも男が男の胸筋思い出して恥ずかしくなるとかないだろ……
「フィンリー?大丈夫?顔が赤いよ」
心配そうに顔を覗き込んでくれるクインを安心させるように微笑む。
「大丈夫、大丈夫」
「本当?レスト先生が嫌になったらすぐ言ってね。私いつでもフィンリーを連れ戻しにいくから」
ふん、とクインが細い腕で力こぶをつくるポーズをする。どうも、いつもおっとりして穏やかなクインが、レストのことになると少し好戦的だ。まぁ、双子の片割れである自分を慮ってくれているのだろう、と思うとフィンリーとしては嬉しいだけだが。
クインをぎゅーっと抱きしめると、その手が嬉しそうに背中に回る。二人でこうしているだけで、嫌な気分も吹っ飛び、力が湧いてくるのだ。
「ふふ、ありがと!クイン!」
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