強くなりたいと言ったら、元魔王に開発調教されていました~宝石姫と元魔王の恋物語~

花虎

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11.成人



 世界が夕闇に暮れる頃、フィンリーは鏡の中の自分を見つめていた。完全に瞳の色が深い赤紫であるバーガンディーに変わっている。それは、宝石の王族にとっての成人を意味する。
 つまり、この色になっているということは完全に性別が固定されたということだ。
 自分では、変化はわからない。確認するのが、少し怖い。
 だから、フィンリーは深夜、レストの寝室を訪れた。

「お願い……先生が、確かめて」

 大きな窓から月明りが部屋の中を照らし、思ったよりも相手の顔も判別できるほど明るいことに、フィンリーはこくりと喉を鳴らした。
その月光を背にした長身の男が、慇懃に頭を下げた後、大きな寝台の縁に背を預けるように床へ座った。それから手を広げて、細い目を弧にすると囁くような声で告げる。

「さぁ、姫、こちらにどうぞ」

呼びかけに、むっとする。

「僕は、姫じゃない」

少し怒りを滲ませた声など、この男はどこ吹く風だ。フィンリーは不安から、自分の右手で左腕に触れる。
 幼少期、性別が存在しない自分達は、自身が好きな方の服装をする。フィンリーは今までもずっと男の子と同じ格好をしていた。この夜着だってそうだ。ワンピースではなく、上下で分かれている。
 対して、双子の妹であるクインは女の子の恰好をすることが多い。
 ――――信じて疑わなかった。
 まわりだってそう言っていた。
 僕は将来、男性体になって立派な王になる、と。
なのに……どうして……。

「……フィンリー様」

促すような呼びかけに、フィンリーは覚悟を決めた。するり、と下半身から下着ごと夜着を取り払う。上着の裾が長めなので、ぎりぎりあそこは見えていないけれど。
 そのまま、寝台に近づいて、自分は立ったまま右足をレストの顔の横……寝台の縁へかける。
おそらく、床に座った男の視界には、自分の秘めた部分が見えているだろう。
今すぐ足を降ろして視線から隠してしまいたい衝動をぐっと堪えて、沈黙に身を任せていると。

「フィンリー様」
「何……?」

思わず硬い声で返すと、上目遣いでこちらを見上げるレストの目と目が合った。

「上が邪魔でよく見えません」

人が恥じらいを見せているというのに、飄々と言ってのけるこの男が心底憎たらしくなりながら、上着の裾を両手できゅ、と掴んでそろそろと持ち上げた。臍のあたりまであげたところで止める。
 途端、錯覚かもしれないが痛いほどの視線をそこへ感じて、唇を噛む。
自分の股座を、人に見せるなんて初めてのことで、よるべない感覚がフィンリーを包む。まるで目の前の男に全てを曝け出しているかのような羞恥が、かすかに手を震わせる。
 部屋を無音が支配することで、何故か下腹部が蠢いた感覚がした。
奇妙なそれに、自分でも、驚く。
 思わず手を降ろしそうになると、察知したのかレストがその手を掴んで降ろすのを阻止する。
レストの目は細くて、開いているのか、閉じているのかすら普段わからないような顔をしている。加えてこの男は常に胡散臭い笑みを浮かべてこちらの質問を煙に巻くような性格だった。
 なんで、先生に、頼んでしまったのだろう……
自分の愚かさに今更気づいたって遅い。確かに舐めるような視線を感じて、フィンリーはますます羞恥に白い肌が色づく。

「は、早く……」

早く結論を言ってくれ、と願うフィンリーに、レストはふ、と鼻で笑うと。

「安心してください、フィンリー様」

殊更優しい声音が夜の寝室に響く。一瞬、喜色を浮かべたフィンリーを、レストはにっこりとほほ笑んで地獄に叩き落すように告げた。

「立派な女の穴がございますよ」

伸びてきた長い指先が、くち、と水音を鳴らした。未知の感覚にびくり、と腰を引いたが、先回りしてもう片方のレストの腕がベッドの縁にかけた脚の太ももを掴んでいる。無理に身体を引いたら倒れてしまうことを察して、ぐ、と我慢すると。
 レストは嬉しそうに口角を上げながら、そこに這わせた指先を前後に動かす。
 いつもはじんわりと生まれる下腹部の熱が急速に生まれることに、フィンリーは焦った。

「ダメ……触らないで……っ」
「どうして?私の穴ですよ」
「は!?」

何を言い出すんだ、とぎょっとするが、レストは上機嫌だ。

「ふふ、見られるだけで濡らすなんて、本当に素晴らしい」

わざと水音を聞かせるようにフィンリーの膣口の浅いところを弄り倒してくる。言葉の卑猥さと音の淫靡さに、カッと頬が熱くなり、たまらず身体を折り曲げて、後ろに倒れないように前にあるベッドの縁に手をついた。すると、ますます濡れたそこがレストの顔に近づく。

「さっそくおねだりですか?仕方ないですねぇ」

おねだりなんてしていない、と言うよりも早くレストの長い舌がぬかるんだ蜜園を丁寧に舐め上げた。

「ぁ……っ何……っこれ……っ」

あまりにも強い刺激に、腹が収縮しているのがわかる。離れたいのに、掴まれた片足はびくともしない。
 そうこうしているうちに、長い舌はにゅぐ、と隘路へと侵入を試みる。

「や……っせんせ……っ」

奥から溢れてくる愛液を掻き出すように舌を動かすと、たっぷりぬるつかせた舌をブロンドの下毛の奥に恥ずかしそうに隠れている小さな陰核に這わせた。
 びくり、とフィンリーの腰が跳ねる。
 さっきからあまりにも強い刺激が襲ってくるので、頭の中がパニック状態だ。一度手を離してほしいのに、レストは言うことを聞いてくれない。
 いや、考えたらこの男は普段からフィンリーのお願いを聞いてくれることはほとんどなかった。
 舌で器用に蜜芽に少し被った皮をむいて、出てきた赤く充血した神経の集中した果実を丹念に愛撫する。

「ぁ……ぁあ……っ」

さらに強い、まるで刺すような快感が突き抜ける。
思わず逃げるように動くフィンリーの腰をレストは支えると、空いた手の人差し指を膣の中に入れてちょうど陰核の裏側にあたる位置を押し込む形で、内と外の陰核に同時に刺激を与えてくるからたまらない。

「ひぅ……っぁ……っ」

ぶるぶると、不安定な体勢のまま内腿が限界を訴えて、これ以上は無理だ、と口にするよりも早く、レストはフィンリーの固定を解放すると、そのままひょい、と抱きかかえて自分の寝台へ乗り上げた。

「ちょ……と……待って……せんせ……」
「待ちません。貴方、男が三年間お預けくらうことがどれだけきついかわかってないでしょう」

息も絶え絶えに訴えるフィンリーに、レストはにべもない。見上げればさっきまで上機嫌だったくせに、今度は目が座っている。
 え?いつものあの余裕はどこにいった?と思ったけれど。
頬を撫でる指先がかすかに震えていて。
 月夜に照らされたレストの髪と瞳が漆黒へ染まる。

「フィンリー、俺のものになって」


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