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【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】
【二対の鷹の剣前編】
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「プハーッやっぱりモンスター討伐の後のエールは上手いぜ」赤毛のエルフエンデュミオンがゴクゴクと酒を飲んでいる。
隣ではエンデュミオンの相棒ルーンベルトもまたエールを上品に飲んでいる。
向かい側の席に座っているあたしことローズマリーとエルフの女剣士セレーナはミルクを飲んでいた。
「何だよ2人とも酒くらい飲んだらどうなんだ?」エンデュミオンが調子に乗って絡んでくる。
「あたしはまだ20歳になってないから飲めないの」
「俺はヒュームで言うと10歳から飲んでるぜ」通りで阿呆なわけだと納得するローズマリー。
「わたしは飲むと酔うまで時間がかかるから飲まないだけよ」と突き放すようにセレーナは言った。
「2人ともお堅くできてやがるなあ」ゲップをしながらおつまみの鳥の肉をかじった。
ローズマリーは考えていた。大分前に拳を交えたキャリクスとか言う魔王軍幹部の獣人族の王は飛空船なる乗り物を持っていた。アレを手に入れればさっさと北に向かい魔王のヤツをぶち殺せるのではないかと……。元の世界に戻るには使命とやらを果たさないといけないというからさっさと済ませたい気持ちもあるのだが、この3人と冒険するのも悪くはないなと思い始めていた。
「ねえ、飛空船で魔王の本拠地に乗り込むってのはどう?」
「「「……」」」3人は顔を見合わせた。
「バカだな、ローズマリー、魔王城には当然強力な結界やら飛空船よりデカいドラゴンなんかが配置されているに違いないぜ」
「ふっ、相棒の言う通りだ。それに魔王城の場所すら我々は分からないでいるのだぞ」
「大賢者様なら分かるんじゃないかしら」セレーナが言った。
「うん、こっからかなり北の方に禍々しい感じがする」
「ホントか!」エンデュミオンがしらふのような面持ちに変わる。
「でも、場所が分かっても飛空船も落とされるだろうし攻めようがないではないか?」あくまで気障なルーンベルトは青い前髪を弄っている。
「ルーンベルトの言うとおりね。やはり各国で協力して数の力で押すしかないわ」とセレーナ。
うーん。結局そうなってしまうのかと頭を悩ませていると昔超大作ファンタジー映画で見たことがある人種が現れた。おそらくドワーフだ。しかし手に鎖が付けられ感じの悪いヒュームに囲まれている。何だろう?
「守銭奴のフリューゲルが! 今回ばかりは許さんからな。お前は期限までにアレを造らなかった。王都に行って牢屋にぶちこんでくれるわ」リーダー格のヒュームが言うが両手が塞がれてるにもかかわらずドワーフは頭突きをヒュームに食らわせた。
「わしは完成した物しか渡さん。渡すくらいなら馬糞でも食った方がマシじゃわい」
「ドワーフのおっさん、助けてやろうか?」
「何じゃい珍妙な服のヒュームよ」
「今の珍妙なってのを取消さないと王都じゃなくてここで死ぬことになるぜ」酒場の空気がローズマリーから放たれる凶暴なオーラで鳴動する。
「わ、分かった。ヒュームのお嬢ちゃん。わしは鍛冶職人のフリューゲルじゃ。助けてくれるなら何か礼になるようなものを造ってやる」
「よし、分かった。ルーンベルト頼んだ」
「あいよ、ほれちんけなヒューム、これは我がベルファイア家の小切手だ望む額を書いて王都に行くと良い」
「本当にベルファイア家の人間なのか?」
ザンッと口答えしたヒュームの一人のすぐ横に槍が投げられた。
「次に疑うような真似をしたら我が家名において貴様を殺す」
「分かった。もうこれで下がるから殺さないでくれ」そう言ってガラの悪いヒュームの集団は逃げていった。
「ところでおっさん、何故絡まれてたんだ」普通なように頑丈な鎖をローズマリーは素手で破壊した。それを見てドワーフは驚いていた。
「あやつらがミスリルでできた二対の鷹の剣を造れと言ってきたんじゃ。しかし奴らわしが完ぺきなものを造る前に焦れて未完成で良いからよこせと言ってきおったのじゃ」
「それは期限を守らなかったおっさんも悪いと思うぞ」
「それ、ヒュームにわしらドワーフの職人魂が分かるものか」
「いやそれは否定してないから」とローズマリーは付け加えた。
「そうかお主みたいな若いヒュームにも分かる奴がいるとはな」
「あたしの住んでた日本には職人って結構いたからね」
「二ホン? 聞いたことがない国じゃな」
「まあそれは置いといて、おっさんその二対の鷹の剣ってあとどんだけかかれば造れるの?」
「2週間じゃ、ただし最後の仕上げに純度100%のミスリルが必要になる……そこが難点なのじゃ」
「材料を取って来いってことかい?」
「そうじゃ、だがこの辺で純度100%のミスリルは北の山にしかない」
「で、どうせ強力なモンスターがいて取りに行けないんだろ?」
「頭のよく回るヒュームじゃな。だがその通りじゃ。アレン山にはジャイアントサラマンドラが群れを成して住み着いておる……やはり無理かのう……」フリューゲルは肩を落とした。
「よし決めたその二対の鷹の剣はこのエンデュミオンとセレーナに渡してくれ、ついでにルーンベルトの槍も作ってくれると助かる。山ほどミスリル採ってきてやるぜ」
こうしてローズマリー達はアレン山に向かうことになった。ローズマリーは人里離れた山奥ならば上級魔法も撃ち放題で一石二鳥だと浮かれていた。
隣ではエンデュミオンの相棒ルーンベルトもまたエールを上品に飲んでいる。
向かい側の席に座っているあたしことローズマリーとエルフの女剣士セレーナはミルクを飲んでいた。
「何だよ2人とも酒くらい飲んだらどうなんだ?」エンデュミオンが調子に乗って絡んでくる。
「あたしはまだ20歳になってないから飲めないの」
「俺はヒュームで言うと10歳から飲んでるぜ」通りで阿呆なわけだと納得するローズマリー。
「わたしは飲むと酔うまで時間がかかるから飲まないだけよ」と突き放すようにセレーナは言った。
「2人ともお堅くできてやがるなあ」ゲップをしながらおつまみの鳥の肉をかじった。
ローズマリーは考えていた。大分前に拳を交えたキャリクスとか言う魔王軍幹部の獣人族の王は飛空船なる乗り物を持っていた。アレを手に入れればさっさと北に向かい魔王のヤツをぶち殺せるのではないかと……。元の世界に戻るには使命とやらを果たさないといけないというからさっさと済ませたい気持ちもあるのだが、この3人と冒険するのも悪くはないなと思い始めていた。
「ねえ、飛空船で魔王の本拠地に乗り込むってのはどう?」
「「「……」」」3人は顔を見合わせた。
「バカだな、ローズマリー、魔王城には当然強力な結界やら飛空船よりデカいドラゴンなんかが配置されているに違いないぜ」
「ふっ、相棒の言う通りだ。それに魔王城の場所すら我々は分からないでいるのだぞ」
「大賢者様なら分かるんじゃないかしら」セレーナが言った。
「うん、こっからかなり北の方に禍々しい感じがする」
「ホントか!」エンデュミオンがしらふのような面持ちに変わる。
「でも、場所が分かっても飛空船も落とされるだろうし攻めようがないではないか?」あくまで気障なルーンベルトは青い前髪を弄っている。
「ルーンベルトの言うとおりね。やはり各国で協力して数の力で押すしかないわ」とセレーナ。
うーん。結局そうなってしまうのかと頭を悩ませていると昔超大作ファンタジー映画で見たことがある人種が現れた。おそらくドワーフだ。しかし手に鎖が付けられ感じの悪いヒュームに囲まれている。何だろう?
「守銭奴のフリューゲルが! 今回ばかりは許さんからな。お前は期限までにアレを造らなかった。王都に行って牢屋にぶちこんでくれるわ」リーダー格のヒュームが言うが両手が塞がれてるにもかかわらずドワーフは頭突きをヒュームに食らわせた。
「わしは完成した物しか渡さん。渡すくらいなら馬糞でも食った方がマシじゃわい」
「ドワーフのおっさん、助けてやろうか?」
「何じゃい珍妙な服のヒュームよ」
「今の珍妙なってのを取消さないと王都じゃなくてここで死ぬことになるぜ」酒場の空気がローズマリーから放たれる凶暴なオーラで鳴動する。
「わ、分かった。ヒュームのお嬢ちゃん。わしは鍛冶職人のフリューゲルじゃ。助けてくれるなら何か礼になるようなものを造ってやる」
「よし、分かった。ルーンベルト頼んだ」
「あいよ、ほれちんけなヒューム、これは我がベルファイア家の小切手だ望む額を書いて王都に行くと良い」
「本当にベルファイア家の人間なのか?」
ザンッと口答えしたヒュームの一人のすぐ横に槍が投げられた。
「次に疑うような真似をしたら我が家名において貴様を殺す」
「分かった。もうこれで下がるから殺さないでくれ」そう言ってガラの悪いヒュームの集団は逃げていった。
「ところでおっさん、何故絡まれてたんだ」普通なように頑丈な鎖をローズマリーは素手で破壊した。それを見てドワーフは驚いていた。
「あやつらがミスリルでできた二対の鷹の剣を造れと言ってきたんじゃ。しかし奴らわしが完ぺきなものを造る前に焦れて未完成で良いからよこせと言ってきおったのじゃ」
「それは期限を守らなかったおっさんも悪いと思うぞ」
「それ、ヒュームにわしらドワーフの職人魂が分かるものか」
「いやそれは否定してないから」とローズマリーは付け加えた。
「そうかお主みたいな若いヒュームにも分かる奴がいるとはな」
「あたしの住んでた日本には職人って結構いたからね」
「二ホン? 聞いたことがない国じゃな」
「まあそれは置いといて、おっさんその二対の鷹の剣ってあとどんだけかかれば造れるの?」
「2週間じゃ、ただし最後の仕上げに純度100%のミスリルが必要になる……そこが難点なのじゃ」
「材料を取って来いってことかい?」
「そうじゃ、だがこの辺で純度100%のミスリルは北の山にしかない」
「で、どうせ強力なモンスターがいて取りに行けないんだろ?」
「頭のよく回るヒュームじゃな。だがその通りじゃ。アレン山にはジャイアントサラマンドラが群れを成して住み着いておる……やはり無理かのう……」フリューゲルは肩を落とした。
「よし決めたその二対の鷹の剣はこのエンデュミオンとセレーナに渡してくれ、ついでにルーンベルトの槍も作ってくれると助かる。山ほどミスリル採ってきてやるぜ」
こうしてローズマリー達はアレン山に向かうことになった。ローズマリーは人里離れた山奥ならば上級魔法も撃ち放題で一石二鳥だと浮かれていた。
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