最強!最凶?理不尽賢者ローズマリーを夜露死苦!

日置弓弦

文字の大きさ
12 / 92
【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】

【二対の鷹の剣前編】

しおりを挟む
「プハーッやっぱりモンスター討伐の後のエールは上手いぜ」赤毛のエルフエンデュミオンがゴクゴクと酒を飲んでいる。

隣ではエンデュミオンの相棒ルーンベルトもまたエールを上品に飲んでいる。

向かい側の席に座っているあたしことローズマリーとエルフの女剣士セレーナはミルクを飲んでいた。

「何だよ2人とも酒くらい飲んだらどうなんだ?」エンデュミオンが調子に乗って絡んでくる。

「あたしはまだ20歳になってないから飲めないの」

「俺はヒュームで言うと10歳から飲んでるぜ」通りで阿呆なわけだと納得するローズマリー。

「わたしは飲むと酔うまで時間がかかるから飲まないだけよ」と突き放すようにセレーナは言った。

「2人ともお堅くできてやがるなあ」ゲップをしながらおつまみの鳥の肉をかじった。



 ローズマリーは考えていた。大分前に拳を交えたキャリクスとか言う魔王軍幹部の獣人族の王は飛空船なる乗り物を持っていた。アレを手に入れればさっさと北に向かい魔王のヤツをぶち殺せるのではないかと……。元の世界に戻るには使命とやらを果たさないといけないというからさっさと済ませたい気持ちもあるのだが、この3人と冒険するのも悪くはないなと思い始めていた。



「ねえ、飛空船で魔王の本拠地に乗り込むってのはどう?」

「「「……」」」3人は顔を見合わせた。

「バカだな、ローズマリー、魔王城には当然強力な結界やら飛空船よりデカいドラゴンなんかが配置されているに違いないぜ」

「ふっ、相棒の言う通りだ。それに魔王城の場所すら我々は分からないでいるのだぞ」

「大賢者様なら分かるんじゃないかしら」セレーナが言った。

「うん、こっからかなり北の方に禍々しい感じがする」

「ホントか!」エンデュミオンがしらふのような面持ちに変わる。

「でも、場所が分かっても飛空船も落とされるだろうし攻めようがないではないか?」あくまで気障なルーンベルトは青い前髪を弄っている。

「ルーンベルトの言うとおりね。やはり各国で協力して数の力で押すしかないわ」とセレーナ。



 うーん。結局そうなってしまうのかと頭を悩ませていると昔超大作ファンタジー映画で見たことがある人種が現れた。おそらくドワーフだ。しかし手に鎖が付けられ感じの悪いヒュームに囲まれている。何だろう?



「守銭奴のフリューゲルが! 今回ばかりは許さんからな。お前は期限までにアレを造らなかった。王都に行って牢屋にぶちこんでくれるわ」リーダー格のヒュームが言うが両手が塞がれてるにもかかわらずドワーフは頭突きをヒュームに食らわせた。

「わしは完成した物しか渡さん。渡すくらいなら馬糞でも食った方がマシじゃわい」

「ドワーフのおっさん、助けてやろうか?」

「何じゃい珍妙な服のヒュームよ」

「今の珍妙なってのを取消さないと王都じゃなくてここで死ぬことになるぜ」酒場の空気がローズマリーから放たれる凶暴なオーラで鳴動する。

「わ、分かった。ヒュームのお嬢ちゃん。わしは鍛冶職人のフリューゲルじゃ。助けてくれるなら何か礼になるようなものを造ってやる」

「よし、分かった。ルーンベルト頼んだ」

「あいよ、ほれちんけなヒューム、これは我がベルファイア家の小切手だ望む額を書いて王都に行くと良い」

「本当にベルファイア家の人間なのか?」

 ザンッと口答えしたヒュームの一人のすぐ横に槍が投げられた。

「次に疑うような真似をしたら我が家名において貴様を殺す」

「分かった。もうこれで下がるから殺さないでくれ」そう言ってガラの悪いヒュームの集団は逃げていった。

「ところでおっさん、何故絡まれてたんだ」普通なように頑丈な鎖をローズマリーは素手で破壊した。それを見てドワーフは驚いていた。

「あやつらがミスリルでできた二対の鷹の剣を造れと言ってきたんじゃ。しかし奴らわしが完ぺきなものを造る前に焦れて未完成で良いからよこせと言ってきおったのじゃ」

「それは期限を守らなかったおっさんも悪いと思うぞ」

「それ、ヒュームにわしらドワーフの職人魂が分かるものか」

「いやそれは否定してないから」とローズマリーは付け加えた。

「そうかお主みたいな若いヒュームにも分かる奴がいるとはな」

「あたしの住んでた日本には職人って結構いたからね」

「二ホン? 聞いたことがない国じゃな」

「まあそれは置いといて、おっさんその二対の鷹の剣ってあとどんだけかかれば造れるの?」

「2週間じゃ、ただし最後の仕上げに純度100%のミスリルが必要になる……そこが難点なのじゃ」

「材料を取って来いってことかい?」

「そうじゃ、だがこの辺で純度100%のミスリルは北の山にしかない」

「で、どうせ強力なモンスターがいて取りに行けないんだろ?」

「頭のよく回るヒュームじゃな。だがその通りじゃ。アレン山にはジャイアントサラマンドラが群れを成して住み着いておる……やはり無理かのう……」フリューゲルは肩を落とした。

「よし決めたその二対の鷹の剣はこのエンデュミオンとセレーナに渡してくれ、ついでにルーンベルトの槍も作ってくれると助かる。山ほどミスリル採ってきてやるぜ」



こうしてローズマリー達はアレン山に向かうことになった。ローズマリーは人里離れた山奥ならば上級魔法も撃ち放題で一石二鳥だと浮かれていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...